https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

 今回の逮捕劇について、中国の人民日報は、社説で「逮捕されるのは自業自得で、容赦なく厳罰に処す」「逮捕は混乱をもたらせた若者らへの警告」「過激派は情勢を見誤らず、理性と法治に戻るべきと主張した。しかし2人は日本時間の午後7時過ぎ、突如保釈。ジョシュア・ウォン氏は記者団に対し、「私たちは逮捕されようとも訴追されても戦い続ける」と訴えた。

 このタイミングでの逮捕、そして保釈の背景について、シンクタンク「中国問題グローバル研究所」の遠藤誉所長は「香港に駐留している中国人民解放軍の、97年以降22回目のローテーションの時期に来ており、入れ替えのために香港へ進軍・入城していた。もちろん武力行使が目的ではないわけだが、デモを行う人たちにはとっては大変なプレッシャーになっていたと思う。そこで北京政府としてはこの31日に、激しい勢いのデモをやるだろうと計算していたが、なかなかそういう状況が見えてこないので、とりあえずこの二人を拘束したということだろう」と話す。

 「一方、2人の逮捕を受けて、民主化活動の主催団体が31日のデモは中止すると言ってしまった。つまり、ここで暴れてくれれば一網打尽にできてしまうと考えていた中国政府の計算が狂ってしまった。その意味で主催団体の判断はとても賢明で一枚上手だったし、北京政府は"やられた"と思っているはずだ。だから改めて刺激するという意味で二人を保釈し、また暴れてもらおうと。そういう計算だろう。暴れてくれればテロ指定ができる、させてくれよと。そのための状況を作るために煽っている。暴走してしまう人を待っていると思う」との見方を示した。


香港では政府や警察への抗議活動が2か月半にわたり続いていて、31日は5年前の抗議活動、「雨傘運動」のリーダーや議員が逮捕されたことなどに反発して香港島の中心部で警察が許可しないまま、多くの市民がデモ行進をしました。

デモ隊の一部は立法会や政府庁舎周辺の道路を占拠して火炎びんなどを投げ入れたのに対し、警察が催涙弾や放水車で強制排除に乗り出しました。

警察本部の近くではデモ隊がバリケードに火を放ち激しく燃え上がったほか、一部は地下鉄の駅構内の窓ガラスや券売機を壊すなど過激な行動に出て警察と衝突し、香港政府などによりますと、21人がけがをしたほか40人を拘束したということです。

また警察は1日未明の会見で、ビクトリアパークで2人の警察官が実弾を1発ずつ、威嚇のため空に向けて発砲したと明らかにし、「暴徒に襲われ命の危険を感じたためだ」と説明しています。

香港政府は31日夜、「過激なデモ参加者の違法な暴力行為はエスカレートし続けていて、市民の安全を顧みておらず、厳しく非難する」とする声明を出しました。

ただ、抗議活動は1日未明になっても一部の若者が路上に残り、警察とにらみ合う状況が続きました。

香港では1日午後にも空港への交通を妨げることなどが呼びかけられていて、事態が収束する見通しはたっていません。

警察の許可がないまま抗議活動が行われた香港では、31日から1日未明にかけて警察が地下鉄の駅に突入し、抗議活動に参加した大勢の若者を拘束しました。

地元メディアが地下鉄の太子駅として伝えた映像には、大勢の警察が一斉にホームに駆け下りてきて、抗議活動に参加したとみられる若者を捕らえたり催涙スプレーをまいたりする様子が映っています。

なかには警察に地面に押さえつけられ警棒で何度も殴られている人もいて、頭から血を流すなどけがをしている人もいました。

また、多くの人が後ろ手に縛られ、壁に向かって座らされている様子も映っています。

香港では31日から1日未明にかけて各地で政府や警察に反発する抗議活動が続き、一部の参加者が議会にあたる立法会窓ガラスを割ったり、周辺の道路を占拠して路上で火をつけたりしました。

さらに観光客も多く利用する九龍半島側の地下鉄の駅では、黒い服にマスクをした若者たちが事務室や券売機を破壊し、警察によりますと、別の駅でも乗客ともめたりしたため、駆けつけた警官隊が催涙スプレーやこん棒を使って抑え込み、40人を逮捕したということです。

この混乱の影響で3つの駅が1日朝になっても営業できずに閉鎖されているほか、香港政府によりますと、各地で起きた警察と若者たちとの衝突で1日朝までに男女31人がけがをしたということです。

香港では容疑者の身柄を中国本土に引き渡すことができる条例改正の動きをきっかけに抗議活動が3か月近く続いていますが、先週の民主派の活動家や議員らの逮捕を受けて激しさを増しています。

1日も午後から空港の周辺で交通を妨害する抗議活動が始まっていて、デモ隊の一部が空港の建物への侵入を試みるなど、混乱が続いています。

環球時報の電子版は、黄氏に似た髪型で眼鏡をかけた若い男性が、夜、警察に連行される様子を撮影した動画を掲載し、「黄氏が無許可の集会に参加して拘束された」と伝えました。

黄氏は、保釈された際の条件として夜間の外出が禁止されていましたが、みずからのフェイスブック「私は捕まえられておらず、この映像は私ではない。眼鏡をかけて髪が短いからといって私だと思わないでくれ」と皮肉交じりに否定しました。

このあと、環球時報の編集長は中国版ツイッターのウェイボーで「同僚が撮影した暴徒が黄氏に似ていたが、警察に確認したら違った。この誤りに悪意はなかった」と述べて謝罪し、報道を取り消しました。

環球時報は、香港での一連の抗議活動について連日、批判的に伝えてきましたが、今回は足をすくわれた形です。

香港ではもう2カ月以上、週末になると香港の中国化に反対する青年達のデモが荒れる。そしてロシアのモスクワでも、この1カ月以上、週末になると民主化を求める青年達の集会で機動隊が動員される。

時期が一致しているのは偶然だが、双方とも明確なリーダーを欠いているのに、SNSを通じて何となくまとまった行動を示す点、そして暴力行為を極力控える点ではよく似ている。

こういう時、世界の情報プロは、何者かが背後にいて糸を引いているのではないかと考えるもの。実際中国でもロシアでも、「米国の民主化支援団体が裏で糸を引いているのだ」という声がちらほら聞かれる。

「中国やロシアの政権転覆を狙う米国諜報機関、つまりCIAが糸を引く全米民主主義基金(National Endowment for Democracy, NED)と、そこから助成金を得ている諸NGOが青年達に、集会のやり方等を指南しているのだ」というわけだ。

NEDが作られたのは1983年。米国レーガン政権の時代だ。この頃、「イラン・コントラ事件」とか「ニカラグア政権転覆工作事件」などが起こり、いずれも失敗してCIAの失態が白日の下にさらされた。

そこでNEDが作られ、毎年約1億ドルの予算を国務省等から配布され、海外での民主化啓蒙活動に携わるNGOに配分し、宣伝工作活動を代行することとなったのだ。

資金の3分の1は共和党傘下のNGOであるInternational Republican Institute、同じく民主党のNational Democratic Instituteに配分する暗黙の約束がなされていたので、以後、毎年、共和党民主党超党派でこの予算を自ら議会で提案、採択し続けたのである。

2003年頃、筆者はある中央アジアの国で大使をしていたが、ここでも米国の「民主化を支援する」NGOは活発に活動していた。

専制主義国での民主化は、言葉上は美しいが、ほとんど全ての場合、その国の国民が大迷惑を被って終わる。と言うのは、専制主義国で「民主化」を欲する者のほとんどは、国の利権に自分もありつきたい一心で、国民のことなど考えていないからだ。

そういう国でレセプションに出ると、環境保護とか人権保護とかの団体名を刷った名刺を持った得体のしれない者達がすり寄ってくる。目指すものは、外国大使館がその国の民主化のために出す資金なのだ。

NEDは当初、いくつかの成功例を築いた。特に1989年ポーランドで、自主労組「連帯」を押し立て、選挙を経て民主化を実現したのが好例である。

そして2003年にはグルジアジョージア)でサカシヴィリの「バラ革命」、同年ウクライナでの「オレンジ革命」、そして2010年からの「アラブの春」や2013年末のウクライナ民主化運動では、大衆が大規模な集会を続けることで、政権を転覆、あるいは追い詰めている。

これらは社会に鬱積した不満のエネルギーが表面化したものだが、これを、SNSを使って組織する手法等は、米国や西欧の「民主化を支援する」NGOが授けている場合が多い。

2013年末のウクライナの場合、米国やオランダの大使館が計14万ドルほどの資金を1つのインターネット・テレビ局に支出したとの報道がある(2014年3月25日 Readersupportednews.org, Steve Weissman)。そして当時のヌーランド米国務省欧州担当次官補は、反政府の集会に顔を出して、参加者を激励している。

1989年のポーランドや東欧諸国の場合、民主化は一応成功したことになっている。それは、これら諸国の多くには戦前の民主主義の伝統があったし、隣接するEUから投資も行われたからだ。

しかしこれ以降、西側のNGOによる「民主化啓蒙活動」の成果は芳しくない。政権転覆に成功しても、民主化や力強い経済発展は起きていない。多くの場合、政権転覆の結果、新しい権力者が国内の利権を手に収めて、腐敗した強権政治を続けることになるのである。

最悪の場合には、「民主化」で国内の微妙な力、民族、クラン、利権のバランスが破壊され、血で血を洗う内戦状態となる場合もある。イラクリビア、シリアの場合がそれである。そしてその時には、西側のNGOは何の責任も取らないし、取る能力もない。

だから筆者は、以前から親しくしていた米国大使になぜ自国のNGOをもう少し抑制しないのか、と聞いたことがある。米国のNGOが反政府活動を助けていることで、その国の大統領はすっかり反米になり、アフガニスタンでの対テロ戦争のために貸していた空軍基地から米軍を追い出す気配を見せていたからだ。

米国の大使は、少し悲しげな顔をして言った。「その点は自分も気がついている。しかしNGOには米国の政党が後ろについているので、大使の自分でも何ともできないのだ。」と。

一方、そうしたNGOを支援する立場の米大使館員(つまり国務省は一枚岩ではない)とも論争したことがある。

筆者は「このような国で民主化を支援しても、本当の民主化は起きず、混乱を呼ぶだけだ」と述べたのに対して、その館員は「そうかもしれない。しかし政府を倒して社会を揺り動かさなければ、何も起きないではないか」と答えた。要するに、政府を倒すことばかり考えて、その後のことは野となれ山となれ、なのである。

だからその国の大統領はその後、米国のNGOのほぼ全ての活動を禁止し、国外に追放した。ロシアでもある上院議員が2015年、米欧の「望ましからざる」NGOのリストを作り、その閉鎖を提唱した。

そこには、これまで言及した団体の他にFreedom House、Open Society、ポーランドウクライナの団体等が挙げられている。

これら団体は、米国政府の指揮で動くわけではない。NGOが海外で騒動を起こし、米国政府を難しい立場に追い込むこともある。米国政府は、「民主化」と言われると表向きは支持せざるを得ないのだが、軍を送って失敗したイラクの二の舞は金輪際したくないからだ。

例えば2008年8月、グルジアのサカシヴィリ大統領がロシアを挑発しすぎて、ロシア軍による武力侵攻を招いたが、こうなる前には米共和党の故ジョン・マケイン上院議員が何度もグルジアを訪れて、サカシヴィリ大統領をおそらくけしかけていたことが、こうした事態を招いたと思われる。

マケイン議員は、共和党傘下のRepublican International Instituteの会長を務めていたのである。結局、当時のブッシュ政権は軍を送るどころか、ロシアを制裁することもなく、グルジアはロシア軍に領土の一部を制圧されたまま今日に至っている。

面白いことは、中国ではCIAやNGOが活動の手を控えてきたのではないかと思われることである。

中国との関係では経済的利益を優先したのかもしれないが――面白いことに、米国との関係が薄い程、その国の人権問題がやり玉にあげられる傾向がある――、1972年ニクソン大統領が訪中して以来、米中の諜報機関の間では協力関係が存在していたとの報道があることが興味深い。

この件について、米国防総省顧問マイケル・ピルズベリーは、2015年11月23日「日本経済新聞」で、1972年のニクソン大統領訪中以来、両国情報機関の間ではソ連の核ミサイルの配置場所等につき情報交換を行なったし、1978年カンボジアに侵攻したベトナムを追い返すべく、協力して秘密工作を行ったこともある、しかし米国は米中秘密協力について日本には一切、教えてこなかった、との趣旨を述べている。

近年、米中関係が対立度を深めるにつれて、米中の諜報機関同士も対立度を深め、米側からは「以前は中国との協力について黙っていて、日本に申し訳ないことをした」という趣旨の言葉さえ聞かれるのである。

だからこそ、今起きている香港での事態に、米国がどのくらい関与しているのかは、よく見ておかねばならない。今回、香港住民が立ち上がった動機は純粋だし、彼らには民主政治を実現する能力もあるだろう。

しかしその裏で、このような運動を煽動して、中国政府の足を引っ張ることができればそれでよし、とする勢力も蠢いているだろう。彼らは民主化運動の暴力化をけしかけて中国政府による武力弾圧を招き、それに対して制裁を課すことで、中国を最終的に孤立させようと企んでいるかもしれない。

だから香港情勢の今後を占う方程式には、「住民の民主化希求」と「保守的な中国政府」という2つの変数だけではなく、他にもいくつもの変数を入れないと正しい解は出てこない。

plaza.rakuten.co.jp

 香港では街中で火炎瓶が飛び交っている。抗議活動の参加者数として170万人とか200万人という数字がアメリカでは事実として扱われているが、実際はせいぜい十数万人のようで、それも連日動員できるわけではなさそうだ。「テレビ映り」を考えると、人数の少なさを過激さで補う必要があるのかもしれない。


 こうした活動を売り出すためには象徴になる「スター」が必要。2014年9月から12月まで続いた「佔領行動(雨傘運動)」のときから、弁護士の李柱銘(マーチン・リー)、メディア王の黎智英(ジミー・リー)、香港大学の戴耀廷(ベニー・タイ)副教授、あるいは陳日君(ジョセフ・ゼン)、余若薇(オードリー・ユー)、陳方安生(アンソン・チャン)といった名前が挙がっているが、アメリカがスターとして売り出したのは黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、羅冠聰(ネイサン・ロー)、そして周永康(アレックス・チュー)。アメリカのマルコ・ルビオ上院議員は2017年10月、この3人と雨傘運動をノーベル平和賞の候補者として推薦している。

大手精密機器メーカーのリコーは、アメリカ向けに輸出してきた年間数万台の複合機について、生産を中国からタイに切り替えました。

タイの工場の生産量はこれまでより1割ほど増えたということで、会社は、中国の工場では日本やヨーロッパなどほかの地域に輸出する製品を生産しています。

リコーの西宮一雄常務執行役員は、「関税の影響は極力、減らしていきたい。日本メーカーにとって、関税や為替、災害などの影響に柔軟に対応できる体制を持つことが課題であり、今回は適合できたと思っている」と話しています。

このほか、三菱電機アメリカに輸出していた半導体や産業用機械の生産の一部を中国から日本に切り替えたほか、ダイキン工業アメリカ向けのエアコン部品のコンプレッサーの生産を中国からタイに切り替えました。

米中の貿易摩擦は収束の兆しが見えない状況になっているだけに、生産体制の機動的な見直しは日本のメーカーにとって欠かせない戦略になっています。

米中の貿易摩擦の激化による中国の景気減速の影響で、日本の輸出額全体のおよそ2割を占める中国への輸出の落ち込みが続いています。

財務省の貿易統計によりますと、去年1年間の日本から中国への輸出額は15兆8977億円で、10年前の1.5倍に増えました。

しかし、ことし6月までの上半期の輸出額は、7兆301億円で前の年の同じ時期と比べて6200億円あまり、率にして8.2%減少しました。

そして、7月の輸出額も1兆2288億円と、去年の同じ月を9.3%下回りました。7月の輸出額を品目別に見ますと、自動車部品は、483億円で前の年の同じ時期より35%減ったほか、半導体の製造装置は716億円で31.5%減少しました。

またスマートフォンやパソコンなどの製造に欠かせない、半導体などの電子部品は799億円で19%減少しました。このほか、合成ゴムや油脂などの原材料が52.9%減ったほか金属を加工する機械が37.3%と大幅に減少しています。

貿易統計に詳しい第一生命経済研究所の小池理人副主任エコノミストは「米中の貿易摩擦の激化による中国の景気減速の影響で、中国企業が設備投資を控えたり、アメリカへの製品の輸出が減少したことで、中国向けに部品などを供給している日本企業の輸出に影響が出ている」としています。

トランプ政権は中国との貿易交渉がこう着状態に陥る中、日本時間の1日午後1時すぎ、中国からの輸入品3200品目余り、金額にしておよそ1100億ドル分に15%の関税を上乗せする措置を発動します。

これによって、追加関税の対象は、中国からの輸入額の7割近くに上ることになります。対象には、中国から輸入される、液晶テレビや時計、家具や食器といった日用品が多く含まれ、アメリカの消費者にも悪影響が及ぶことが懸念されます。

これに対して、中国側も同時にアメリカからの原油や大豆などの輸入品、1700品目余りを対象に、最大で10%の関税を上乗せする対抗措置を発動します。

米中両国はことし12月にもさらなる関税の上乗せ措置を発動する構えで、発動されれば米中ともに互いの輸入額の大半が関税上乗せの対象になる見通しです。

いっそう激しくなる米中の貿易摩擦によって、すでにドイツがマイナス成長に陥るなど、その悪影響は、米中両国にとどまらず、世界経済全体に広がっています。

今回、9月1日に発動される追加の関税措置の特徴は、対象に生活に身近な日用品が多く含まれていることです。

対象になるのは、液晶テレビ、時計、眼鏡、枕、カーテン、子ども用の机やいす、ピアノやドラムといった楽器類、それに野球のボールやテニスラケットといったスポーツ用品など3240品目です。

アメリカのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所の試算によりますと中国からの輸入品のうち、金額にして1120億ドル分になるということです。

また、クリスマス商戦がピークを過ぎることし12月15日からは、スマートフォン、ノートパソコン、おもちゃなど中国からの輸入の依存度がより高い550品目、金額で1600億ドル分にも15%の関税を上乗せすると発表しています。

これによって、中国からのほぼすべての輸入品に高い関税がかけられることになります。

これとは別に、トランプ大統領はすでに25%の関税を上乗せしている2500億ドル分についても10月1日から関税の上乗せを30%に引き上げるとしています。

中国からの輸入品に対する平均の関税率は、12月までにすべての関税が実施された場合、一連の措置が始まる前の2017年の時点のおよそ3%から24%まで、8倍に引き上げられるということです。

アメリカと中国は去年7月以降、互いの輸入品に高い関税を上乗せする応酬を繰り返し、すでに金額ベースでアメリカが中国からの輸入品のほぼ半分、中国がアメリカからの輸入品の7割に関税を上乗せする事態となっています。(※9月1日の上乗せ分は含まず)

両国は去年7月から9月にかけて3回に分けて、アメリカ側は中国からの輸入品2500億ドル分、中国側はアメリカからの輸入品1100億ドル分に関税を上乗せしました。

その後、去年12月にアルゼンチンで行われた首脳会談では関税の引き上げを一時、見送って閣僚級の交渉を行うことで合意し、ことしに入ってからアメリカ側はライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官、中国側は劉鶴副首相がワシントンと北京を相互に訪ねる形で交渉を重ねてきました。しかし、交渉はことし5月にとん挫し、トランプ大統領は中国からの2000億ドル分の輸入品に上乗せしていた関税を10%から25%に引き上げました。

これに対して中国も6月、アメリカからの600億ドル分の輸入品に上乗せする関税を最大25%まで引き上げる対抗措置に踏み切りました。

こうした中、米中の両首脳は6月下旬にG20大阪サミットに合わせて首脳会談を開催し次の関税の引き上げを見送り、こう着状態に陥っていた閣僚級の交渉を再開させることで一致しました。

両国は7月末に中国・上海で直接対面する形での交渉をおよそ2か月半ぶりに再開しましたが、直後にトランプ大統領は新たに中国からの3000億ドル分の輸入品に追加関税をかけることを表明しました。

さらに、アメリカは先月5日、中国が自国の輸出に有利になるよう人民元を意図的に安く誘導しているとして「為替操作国」に認定したと発表し、両国の対立は関税だけでなく為替もからんだ新たな局面に入ったという見方も広がりました。

一方、中国は先月23日、アメリカの追加関税に対し、対抗措置としてアメリカ側の関税引き上げに合わせて同じ日に合わせて750億ドル分の輸入品に最大10%の関税を上乗せするとしました。

これに対してトランプ大統領は即座に次の措置を打ち出し、今月と12月に発動を予定していた合わせて3000億ドル分の関税上乗せの税率を10%から15%に拡大し、すでに発動済みの2500億ドル分についても来月1日に上乗せの関税を25%から30%に引き上げると発表しました。

トランプ大統領は「アメリカは中国を必要としていない」としてアメリカ企業に中国にある生産拠点などを国外に移すよう促し、貿易をめぐる米中の溝は両国経済を分断しかねない状況にまで深まっています。

中国の今回の対抗措置はトランプ大統領が来年の大統領選挙での再選を目指して重視するアメリカの農業分野を狙い撃ちしたという見方も出ています。

中国のアメリカからの輸入は、去年の実績で1500億ドル余りですが、これまでにこのうち7割余りにあたる1100億ドル分にはすでに関税を上乗せしています。

このため、1日の関税上乗せの対象にはすでに一度、対象となっている品目も含まれ、それらは二重に上乗せされることになります。

こうした品目にはアメリカからの主要な輸入品である大豆や肉類など農産品が多く含まれ、このうち一部の大豆は上乗せされる税率が合わせて30%となります。

トランプ大統領はこれまでの交渉で中国に農産品の輸入拡大を強く迫ってきましたが中国は逆に課税を強化した形で、アメリカ側のさらなる反発を招くことも予想されます。

トランプ大統領が仕掛けるアメリカと中国の貿易摩擦によって世界経済の先行きには懸念が広がっています。

高い関税措置が直撃する中国は、ことし4月から6月までのGDP=国内総生産の伸び率が去年の同じ時期に比べて6.2%にとどまり、四半期ごとのデータが公表されている1992年以来、最も低くなりました。

また工作機械などの輸出で中国との取り引きが多いドイツも4月から6月までのGDP=国内総生産の伸び率が3四半期ぶりのマイナス成長となったほか、東南アジアでもタイやシンガポールで輸出が低迷するなど、米中貿易摩擦の影響は世界に波及しています。

さらに中国に高い関税をかけて自国の企業に生産回帰を促して雇用を増やそうとするアメリカでも設備投資や輸出がマイナスに転じていて、景気が後退するのではないかという懸念も出ています。

IMF国際通貨基金は、3か月ごとに発表している世界全体の経済成長率の見通しを7月までに4回連続で下方修正していて、米中の貿易摩擦が予想以上に世界経済にダメージを与えていると警鐘を鳴らしています。

アメリカと中国の貿易摩擦が激しさを増す中、アメリカの農家はたび重なる追加関税の影響で出荷の大きな割合を占めていた中国への輸出が減少し大きな打撃を受けていますが、トランプ政権には根強い支持があります。

アメリカ最大の農業団体「米国農業連合会」によりますと、アメリカから中国への農産物の輸出は2017年に年間195億ドル、日本円にしておよそ2兆700億円に上っていました。しかし、米中の関税上乗せの応酬が激しくなった去年、2018年には91億ドル、およそ9700億円と半分以下に減少しています。

それでも多くの農家が短期的に経営への影響があっても不公正な中国の姿勢を正すためには耐えるべきだなどとして、依然としてトランプ政権を支持しています。

アメリカ最大のトウモロコシの生産地、中西部アイオワ州でトウモロコシや大豆、豚などを生産する農家のブラッド・モークリーさん(59)も引き続きトランプ政権を支持している1人です。

485ヘクタール、東京ドームおよそ100個分の広大な土地で祖父の代から農業を続けているモークリーさんは貿易摩擦による影響について「短期的な影響はとても大きい。貿易摩擦の影響で農産物の価格が下落し、収入も減っている」と述べ、影響は深刻だと言います。

一方で「よい貿易協定がまとまってほしい。これは農家にとってとても重要なことだ。私たちは今の政権が中国との関係を改善しようとしていることを支持している」と述べ、中国の不公正な貿易を正すというトランプ政権が目指す方向は間違っていないと言います。

アメリカの農業専門誌「ファーム・ジャーナル」が8月、全米の農家1153人を対象に行った世論調査では、トランプ大統領を支持するが71%、支持しないが26%で支持が大きく上回っています。こうした農家による根強い支持もトランプ大統領が中国との貿易交渉で強気な姿勢を貫く背景にあると見られます。

ニューヨークにある創業50年のベビー用品メーカーはトランプ政権による新たな追加関税に反発を強めています。

この会社がアメリカで販売している幼児用のいすと机には9月1日から15%の関税が上乗せされることになりました。

この会社は生産コストを削減するため中国の委託先の工場で完成品の生産を行う体制をとっているため、ほとんどの商品を中国から輸入しています。

会社では部材の調達の見直しなどコストを削減する工夫をしていますが、上乗せされた関税分のコストを吸収するのは限界があるとして今月から商品を1割程度値上げすることを決めました。

また、主力商品のベビーカーについても12月15日から15%の関税が上乗せされる予定で、同じように1割程度、値上げせざるをえないとしています。トランプ大統領は先月、ツイッターに「アメリカの企業は中国から撤退してアメリカで生産する選択を探すべきだ」と投稿し、関税を負担したくなければ生産をアメリカ国内に戻して雇用の創出に貢献するよう呼びかけています。

ベビー用品メーカーのジョセフ・シャミー社長は「生産を移転する場合、中国に設けた製品の安全テストの施設も移転しなければならず、大きな投資が必要になる。商品を値上げする以外に選択肢がない。貿易戦争は中国だけでなくアメリカにとってもよいことだと思えない」と訴えています。

アメリカの調査会社「トレード・パートナーシップ」の推計では、中国からのほぼすべての輸入品に高い関税(25%)が上乗せされた場合、アメリカの平均的な家庭では日本円にして年間25万円の負担増になるということです。

アメリカの消費者からは「私には子どもがいるので値上げは望みません。トランプ大統領は非常に悪い決断をしている」とか「給料が上がらないのに出費が増えるなんて、関税には絶対に反対です」などという声が聞かれました。

トランプ政権による中国への追加の関税措置によってアメリカを代表する大手IT企業、アップルの業績にも影響が出ないか懸念が広がっています。

トランプ大統領はアップルに対して中国で生産している製品に関税をかけられたくなければアメリカに工場を移すよう強く求めてきました。

これに対しアップルは、関税の引き上げはアメリカにとっても打撃だとして自社の製品を対象から外すよう求める書簡を提出するなど、経営への打撃を避けようと働きかけを続けてきました。

しかし、今回の措置では中国で生産している腕時計型の情報端末「アップルウォッチ」などが対象になりました。

また、主力商品であるiPhoneも中国で組み立てているすべての機種がことし12月から追加関税の対象となります。

こうした状況を受け、アメリカ国内のアップルの愛好家の間でも追加関税の影響でアップルの製品が値上がりするのではないかと懸念する声が上がっています。

このうち、西部カリフォルニア州でアップル製品の販売を手がけるビリー・チャンさんはアップルの熱烈な愛好家やユーザーとともに毎月、会合を開いて製品をアピールしたり情報交換をしたりしています。

先月の会合では追加の関税措置が話題になり、参加者からは「新商品が関税の影響で値上がりすれば買うのをやめるかもしれない」とか、「政治がビジネスに口を挟むべきではない」といった意見が出ていました。

チャンさんは「貿易戦争を続けてもどちらの側にもいいことはない。世界第1位と第2位の経済大国どうしの争いならばなおさらだ」と話していました。

一方、アメリカのメディアはアップルが関税の引き上げ分を価格に反映させず、すべて自社で負担した場合には最終的な利益が4%減少するという試算も伝えていて、業績の先行きも注目されています。

米中の対立が激しくなり関税の上乗せの応酬が続く中、中国市場向けに部品や工作機械を販売する日本企業の間には売上が落ち込むなどの影響が広がっています。

中国南部、広東省仏山で、ことし7月に行われた日系企業中国企業との商談会では影響の拡大を懸念する声が相次ぎました。

このうち福井県に本社がある金属加工の工作機械メーカーは上海に販売拠点を設け、産業用の金型などの中国メーカー向けに日本から製品を輸出しています。

しかし、中国経済の減速に加えて米中の貿易摩擦の影響で顧客の輸出企業が工作機械の購入など設備投資に慎重になっているため受注が落ち込んでいるということです。

ことし上半期の中国市場の売り上げは去年の同じ時期より6割減っていて、上海の拠点では人員を増やす計画を凍結したということです。

松浦機械製作所の上海の事務所の隅田悦次首席代表は「米中の貿易摩擦はさらに長期化すると考えていて当面は我慢の時と考えている。取引先からは設備投資の計画を見直さざるをえないという声が相次いでいて対策を考えたい」と話していました。

アメリカと中国が互いの輸入品に追加の関税を掛け合う応酬を続けた場合、相手への輸出額が多い中国のほうが影響が大きくなるとみられていて、中国側は関税の引き上げ以外にも対抗措置を検討しているとみられています。

中国の政府系シンクタンク中国社会科学院」が去年まとめた試算では、米中両国が互いのすべての輸入品に25%の関税をかけた場合、1年目にはアメリカの経済成長率が0.13ポイント押し下げられるのに対して、中国の成長率は0.59ポイント押し下げられるとしています。

さらに、7年後には累計でアメリカの成長率が0.37ポイントの押し下げにとどまるのに対して、中国への影響は1.33ポイントの押し下げと、長期化にともなって影響の差はより鮮明になるとしています。

中国政府は関税の引き上げの応酬では中国側の影響がより大きいことから関税以外の手段で対抗措置を検討しているとみられ、ハイテク分野で欠かせない希少な資源、レアアースの輸出規制に踏み切るのではないかという見方も出ています。

習近平国家主席はことし5月、レアアースの関連企業を視察し「重要な戦略資源だ」と述べ、直後には中国政府の担当機関は「われわれが輸出したレアアースで中国の発展を妨げようとするなら中国の人民は皆喜ばないだろう」というコメントを出し、アメリカへの輸出規制の可能性を示唆しています。

中国は世界一のレアアース産出国でアメリカにも大量に輸出していて、輸出規制が実施されればアメリカのハイテク産業への打撃となります。

さらに、中国政府は中国企業の利益を損ねる外国の企業や組織をリストにまとめ制裁を科す措置を準備していて、アメリカへの対抗措置の1つではないかという指摘が出ています。

アメリカは中国の通信機器大手、ファーウェイやその関連企業を政府の許可なく取り引きすることを禁じる企業のリストに入れて締めつけを強めていますが、中国が検討している新たな措置もこれと似た制度になる可能性もあります。

アメリカとの貿易摩擦が長期化する中、中国の地方都市にも影響が現れています。中国東部の浙江省・義烏にはアクセサリーや文具、ドライヤーなどの小型家電まで180万種類の商品を扱う卸売り市場があり、7万軒以上の業者が軒を連ねて世界各国からバイヤーが集まります。

ここで10年以上、LEDを使った看板を扱っている蒋楊軍さんはアメリカとの貿易摩擦で商売に大きな影響が出ていると言います。

蒋さんの店の売り上げのおよそ4割はアメリカ向けでしたが、去年、トランプ政権がLEDを使った製品に対して25%の関税を上乗せして以降、アメリカからの受注は半分に落ち込みました。

蒋さんは受注を維持するために取り引き先が支払う上乗せされた関税の半分を負担する対策をとっていますが業績は回復せず、「利益は減るばかりだ。関税措置はやめてほしいが国どうしのことでわれわれはどうしようもない」と諦め気味に話していました。こうした中、新興国などの新たな市場を開拓しようという動きもあります。

この卸売り市場では世界各地のクリスマス商戦にむけてこの時期、数多くのバイヤーが訪れますがアメリカからの注文は減少しています。代わって増えているのがアジアや中東、それにラテンアメリカなど新興国向けの輸出です。

ここで14年間、経営を続けている何旭群さんが今、力を入れているのがインドです。

経済発展に伴ってインドでもクリスマス商戦は拡大しているといいます。英語ができない何さんですが、スマートフォンの翻訳ソフトを使ってSNSを通じてインドの顧客を増やしていて、「インドからの注文はだんだん増えてきている。技術が発達したから英語も中国語も翻訳できるので全く問題ない」と話していました。

地元政府も新たな市場開拓を後押ししていて「一帯一路」構想の一環としてアジアやヨーロッパの国々とを結ぶ貨物列車やトラックのターミナルの整備を進めるほか、海外の展示会に参加する企業に費用を補助するなど支援策を打ち出しています。

米中の貿易摩擦は、両国の貿易取り引きだけでなく投資の分野にも影響を広げています。

アメリカの調査会社によりますと、去年の中国からアメリカへの投資額は48億ドル、日本円で5000億円余りと前の年と比べて80%余り減少しました。

中国が海外投資に一定の規制をかけたことに加え、トランプ政権がハイテク関連産業を中心に中国からの投資を警戒し規制を強めていることが影響しているとみられます。

トランプ政権は去年10月には技術の流出を防ぐという名目で航空や半導体など27の分野で監視機能を強化すると発表し、中国のアメリカへの投資はことしはさらに落ち込む可能性もあると指摘されています。

北京に住む投資家、劉揚声さん(69)もアメリカの対中政策の変化を見て投資戦略を見直した一人です。劉さんは1970年代からおよそ20年にわたってアメリカで金融関連などの仕事をしたあと1990年に北京に移り、投資家として活動してきました。

アメリカのハイテク分野や環境関連の企業に1000万ドル、日本円で10億円以上を投じて経営に参画してきました。劉さんはそのねらいについて「アメリカは技術が非常に先進的で、中国は市場が大きいので進んだ技術を中国で製品化したいと思った」と話しています。

しかし、トランプ政権が関税の引き上げや投資の規制、それにハイテク分野での中国企業への締めつけを強化する中、劉さんは投資家の仲間とも意見を交わし、アメリカへの投資を当面、見合わせることを決断しました。

劉さんは中国国内での投資に資金を集中していく考えで、「アメリカが中国からの投資を望んでいない以上、いくら投資しても成果は得られない。アメリカがこの数年、みずから失った信頼は回復し難いものだし、投資やビジネスという観点からしても全く先が見通せなくなった」と話していました。

中国共産党の機関紙「人民日報」は1日付けの紙面で、アメリカのトランプ政権が中国からの輸入品に関税を上乗せする措置について「関税というこん棒のどう喝で、中国の発展を阻むことはできない」と題した評論を掲載しました。

この中でアメリカの一部の者が貿易摩擦エスカレートさせつづけているが、中国はこれに耐えうる底力がみなぎっている」と述べ、中国経済への影響は抑えられるという考えを示しました。

そのうえで「中国の発展の歩みは阻みようがなく、大勢に逆らおうというアメリカの一部の者のいかなるたくらみも、まかり通るはずがない」と述べてアメリカ側の対応をけん制しました。

一方で、「たとえアメリカの一部の者がアメリカ企業を中国から撤退させ、両国の経済を切り離そうと騒ぎ立てたとしても、ウィンウィンの関係を求めようという時代の潮流に逆らうことはできない」と述べ、今後の貿易交渉によって良好な関係を築きたいという思いものぞかせました。

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