インド月探査機 通信途絶 モディ首相 月面着陸に引き続き意欲 #nhk_news https://t.co/dr3RstgIKk
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年9月7日
「チャンドラヤーン2号」は、インドがことし7月に打ち上げた無人の月面探査機で、日本時間の7日午前5時半前、チャンドラヤーンから切り離された月面着陸機が、世界で初めて月の南極付近に着陸する予定でした。しかし、高度2.1キロまで降下したところで、突然、通信が途絶え、ISROが詳しい状況を調べています。
一方で、チャンドラヤーン2号の一部で、月の上空100キロの極域の軌道を周回する「オービター」と呼ばれる機体は、予定どうり飛行していて、今後1年間、南極付近の水の存在について詳しい調査が続けられます。
これについて、モディ首相は演説で「チャンドラヤーンの最後は、思うようにはいかなかったが、その旅は光輝いていた」としたうえで、「私たちを月に運ぶという意志と夢はより強く確固たるものになった」と述べ、今後も月面着陸に挑み続ける姿勢を強調しました。
月の南極付近には、水が氷の状態で存在すると言われ、将来、生存のための酸素を取り出したり、宇宙船やロケットの燃料となる水素を取り出したりできるようになるのではないかと期待されていて、今回の着陸は世界的な注目を集めていました。
インドは50年前の1969年に宇宙の研究機関を設立したのをきっかけに、本格的に宇宙開発に乗り出しました。
当時、関係が良好だった旧ソビエトから支援を受けながら開発を進め、1975年に初めて衛星を打ち上げたのに続き、1984年にはインド人初の宇宙飛行士が旧ソビエトの有人宇宙船で打ち上げられ、宇宙に滞在しました。
2000年代に入ると、アメリカの協力も得ながら太陽系の探査に乗り出し、2008年に月探査衛星「チャンドラヤーン1号」を打ち上げたほか、2014年には火星探査機をアジアの国としては初めて、火星を回る軌道に投入することに成功しました。
モディ政権は、イギリスから独立して75年となる2022年までに国産の宇宙船による有人飛行を実現させるとしているほか、独自の宇宙ステーションの建設計画も明らかにしており、宇宙開発を通じた国威発揚のねらいもあるとみられます。
一方で、インドは周辺地域で存在感を強める中国を念頭に、2012年に射程が5000キロを超え中国全土を射程におさめるICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したほか、ことし3月には人工衛星のミサイル撃墜実験に成功したと発表するなど、軍事の分野でも宇宙開発を応用しています。
今回、インドが打ち上げた月面探査機「チャンドラヤーン2号」は、2008年に打ち上げに成功した月探査衛星「チャンドラヤーン1号」に続くものです。
「チャンドラヤーン」とは、古代からインドなどで使われたサンスクリット語で「月への乗り物」を意味していて、インドは今回、旧ソビエト、アメリカ、中国に次いで4か国目の月面着陸を目指していました。
NASA=アメリカ航空宇宙局は去年、1号機に搭載されたNASAの観測機器のデータ分析などから「太陽の光があたらない月の南極と北極にあるクレーターの表面に水が氷の状態で存在する決定的な証拠が得られた」と発表しました。
今回の「チャンドラヤーン2号」は、月の軌道を周回する「オービター」、月面着陸機の「ビクラム」、月面を走行する探査車「プラギャン」の3つの機体から構成されます。
「ビクラム」の着陸後、搭載している「プラギャン」を月面に走らせ、太陽電池を動力に月面で14日間、約500メートルを移動しながら特殊なX線などで月面にある鉱物や化学物質のデータを集めることになっていました。
今回、「ビクラム」は通信が途絶えた状態となっていますが、「オービター」は順調に飛行を続けていて、上空100キロの月の周回軌道を周りながら約1年間、搭載されたレーダーなどの機器で月表面にある水の分子の分布など詳しいデータを調べることにしています。
月に大量の水が存在すれば、宇宙飛行士の生活用水のほか、水素と酸素に分解することで、燃料としても活用できるということで、将来的な月面基地の建設にもつながる可能性があると期待されています。