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トルコ軍は隣国のシリア北部に侵攻して敵対するクルド人勢力を国境地帯から排除する軍事作戦を9日開始し、10日は、地上部隊による攻勢を強め国境周辺の村などの制圧を進めています。

この軍事作戦についてトルコのエルドアン大統領は10日、与党の集会でクルド人勢力はテロ組織だと改めて主張し、シリア難民を帰還させるためだとして作戦を続ける考えを強調しました。

そのうえで、ヨーロッパ諸国が批判していることについて「作戦を『侵略』と呼ぶならわれわれは扉を開き、360万人のシリア難民をヨーロッパに送り込む」と激しく反発しました。

現地の情報を収集するシリア人権監視団によりますと、シリア側では、市民8人を含む少なくとも30人が死亡し、6万人以上が家を追われたということです。

一方、クルド人勢力もトルコ側への砲撃などで激しく抵抗していて、トルコの国営放送によりますと国境を接する2つの県で市民6人が死亡、70人がけがをしたということです。

今後、戦闘が拡大すれば双方で民間人の犠牲者がさらに増えるおそれがあり人道的な危機への懸念が高まっています。

トルコによる軍事作戦について、フランスのマクロン大統領は10日の記者会見で、「断固として非難する。即刻、やめるよう求める」と述べ、トルコ政府を強く非難しました。

そのうえで、「シリアで最も重要なのが過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いであることをトルコは忘れている。何百万人もの人々を人道的な危機に陥れるだけでなく、ISが混乱に乗じて復活するおそれがある」と述べ軍事作戦は、ISの復活に利する行為だとして強い懸念を示しました。

また、これに関連してフランスのルドリアン外相は10日夜、地元テレビ局の番組に出演し、「フランス政府は、有志連合による緊急会合の開催を呼びかける」と述べ、ISとの戦いのために結成されたアメリカ主導の有志連合の参加国による会合を速やかに開き、対策を急ぐべきだと訴えました。

トルコ軍が隣国のシリア北部に侵攻して、敵対するクルド人勢力への攻勢を強める中、トランプ大統領は10日、ツイッター「終わりのない戦争を終わらせようとしている」として、アメリカ政府が事態の収拾に向けてトルコ政府とクルド人勢力の双方と協議をしていることを明らかにしました。

そのうえでトランプ大統領「トルコの対応しだいでは経済制裁をかけ、経済に打撃を与えることになる」と投稿しトルコ政府に自制を促しました。

トランプ大統領は6日、トルコのエルドアン大統領と電話で会談し、アメリカ軍はこの作戦に支援も関与もしない考えを伝えましたが、この対応をめぐってアメリカ国内からは、「テロとの戦いアメリカ軍が協力を受けてきたクルド人勢力への裏切りだ」などとして野党だけでなく、与党側からも批判する声が上がっています。

トランプ大統領は来月、エルドアン大統領をホワイトハウスに招き、シリア情勢などについて協議する見通しで、トルコ側をけん制した今回の発言は、来年の大統領選挙に向けて協力が欠かせない与党議員の批判をかわすねらいもあると見られます。

シリアの内戦では国境を接するトルコが、シリア北部を実効支配するクルド人勢力に対して国内の分離独立闘争と関係しているという理由で9日、軍事作戦を開始しました。

これを受けて国連の安全保障理事会は10日ドイツやフランスの要請に基づいて臨時の会合を非公開で開きました。安保理関係筋によりますと会合では国連の人道支援担当の責任者が現地の情勢について報告を行い多くの国から軍事作戦がもたらす市民生活への影響について懸念が示されました。

会合の後、ドイツのシュルツ国連次席大使はイギリスやフランスなどヨーロッパ6か国による共同声明を読み上げ「トルコの安全保障問題の解決につながる行為とは思えず、一方的な軍事行動をやめるよう呼びかける」として作戦の停止を求めました。

一方、クルド人勢力を支援してきたアメリカのクラフト国連大使は、「無力の市民を犠牲にしたり過激派組織が息を吹き返すことがあればトルコは代償を払う」と述べてトルコをけん制したものの、作戦の停止には言及しませんでした。

またシリアのアサド政権を支援するロシアのネベンジャ国連大使「トルコの軍事作戦中はすべての当事者に最大限の自制を求める」と述べ作戦の是非には触れず、事態を注視する立場を示し、安保理で各国の温度差が浮き彫りになりました。

トルコ軍は、隣国シリア北部のクルド人勢力の支配地域に軍事侵攻してから3日目となった11日も国境周辺の村の制圧を進めていて、トルコ国防省は、今回の作戦でクルド人勢力側の250人以上を殺害したと発表しました。

現地の情報を集めている「シリア人権監視団」によりますと、トルコ軍が攻勢を強めるなか、シリア側の国境の町などで市民10人が死亡したほか、家を追われた避難民は7万人に達したということです。

また、トルコ側でもクルド人勢力側の砲撃で市民6人が死亡し、双方で民間人の被害が拡大しています。

一方、今回の軍事作戦についてヨーロッパ各国はトルコへの非難を強め、作戦の停止を求めていて、アメリカのトランプ大統領も軍事作戦を黙認したと批判されるなか仲介に乗り出す構えを見せています。

しかし、トルコのエルドアン大統領は強硬な姿勢を崩さず作戦を続行する方針で事態打開の見通しはたっていません。

トルコ軍は9日、隣国シリアの北部に侵攻して、敵対するクルド人勢力に対する軍事作戦を開始し、10日は地上部隊による攻勢を強め、国境周辺の村などの制圧を進めました。

トルコ国防省はこれまでにテロリスト200人以上を殺害したと主張し、現地の情報を収集しているシリア人権監視団は、シリア側で市民10人が死亡したとしています。

一方、クルド人勢力の砲撃などでトルコ側でも市民6人が死亡したと伝えられ、民間人の犠牲者が相次いでいます。

アメリカのトランプ大統領は10日、ツイッター「われわれの選択肢は3つのうち1つだ」と書き込み、
▽軍の部隊の派遣、
▽トルコへの金融制裁、
▽トルコとクルドの仲介、という3つの選択肢を示しました。

これについて記者団から問われると「兵士は派遣したくない。われわれはクルド人とは非常によい関係だ。仲介できることを望んでいる」と述べ、事態打開に努める姿勢を示しました。

トルコによる軍事作戦はシリア北部からアメリカ軍部隊が撤退した直後に始まり、トランプ大統領は侵攻を黙認したと国内外から批判を浴びていて、今回の発言には批判をかわすねらいがありそうです。

トランプ大統領は10日、中西部ミネソタ州で支持者を前に行った大規模集会でもトルコによるシリア北部での軍事作戦について言及しました。

この中でトランプ大統領「われわれは過激派組織IS=イスラミックステートのカリフ国家を100%打倒し、トルコが軍事作戦を行っている地域にはもうアメリカ軍の部隊はいない」と述べ、軍事作戦に先立ってアメリカ軍を撤退させた判断は正当だったと主張しました。

そのうえで「兵士たちはシリアなどで警察の役割を果たしている。しかし、彼らは軍人だ。われわれは仕事を果たした。兵士たちを帰国させるときだ」と述べると、会場からは大きな歓声があがりました。

トランプ大統領は3年前の前回の大統領選挙の選挙戦で、シリアからのアメリカ軍の撤退を訴えていて、来年の大統領選挙まで1年余りとなる中、公約の実現を目指す姿勢を国内の支持者にアピールするねらいがあるとみられます。

イランの国営通信によりますと、アラビア半島とアフリカの間に広がる紅海のサウジアラビアの沖合100キロ付近を航行していたイランのタンカーで11日、爆発が起きました。

それによりますと、爆発は午前5時と5時20分の2回、船体の異なる場所で起きたということです。

爆発についてタンカーを所有する国営会社の幹部はミサイル攻撃を受けた可能性があるとしたうえで、「ミサイルはおそらくサウジアラビアの方角から発射されたとみられる」と話しましたが、具体的な根拠は示していません。

今回の爆発では当初タンクが損傷を受けて原油が海に流出していましたが、その後流出は止まり、タンカーも安定した状態にあるということです。

両国をめぐってはサウジアラビアが先月石油関連施設に攻撃を受けた際にイランの関与を主張したのに対し、イラン側は関与を否定し対立の激化が懸念されています。

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