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安倍総理大臣は15日から17日まで3日間の日程で、インド北東部アッサム州の中心都市グワハティなどを訪れ、モディ首相と首脳会談を行う方向で調整を進めていました。

しかし現地では、インド議会がパキスタンなど近隣の国から迫害を受けて逃れてきたヒンドゥー教徒などに市民権を与えるとした法律の改正案を可決したことに対し、デモ隊の一部が暴徒化するなど、急速に治安が悪化しているということです。

これについて、菅官房長官は夕方の臨時閣議のあとの記者会見で、「インド側の提案により、グワハティとインパールの訪問を調整していたが、現地情勢に関するインド側からの報告を受け、両国間での協議のうえ、延期することとした」と述べ、延期することを明らかにしました。

そのうえで、菅官房長官は「今後、双方にとって都合のよい適切なタイミングでの訪問について、インド側と相談して決定していく。現時点で決まっていることはない」と述べました。

安倍総理大臣がインド訪問を直前で延期した背景には、インド議会の上院が11日に可決した市民権にまつわる法律の改正案をめぐって、抗議活動が広がっていることがあります。

この改正案は、近隣のパキスタンバングラデシュ、それにアフガニスタンから迫害を逃れてきたヒンドゥー教徒など6つの宗教の信者について、一定の条件を満たせば市民権を与えるとしています。

その一方で、近隣の国で多数派のイスラム教徒は対象外になっています。

このため、宗教による差別だという批判が出ているほか、バングラデシュと隣接する北東部を中心に、移民の流入を懸念する住民の反発が強まり、各地で抗議デモが起きました。

このうち安倍総理大臣が訪問する方向で調整が進められていたアッサム州グワハティでは、デモ隊の一部が車やタイヤに火をつけたり石を投げたりしたのに対して、治安部隊が催涙弾を使うなど衝突し、12日に市民2人が死亡したほか、けが人が複数出るなど急速に治安が悪化していました。

また現地では外出禁止令が出され、軍の兵士が配置されたほか、インターネットが規制されるなど市民生活にも多くの影響が出ていました。

さらに、改正案に不快感を示していたバングラデシュの外相が12日に予定していたインド訪問を直前にとりやめ、外交面にも影響が及んでいました。

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