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EUは、来年から2027年までの中期予算案の策定を目指していますが、予算全体のおよそ1割を拠出してきたイギリスが先月、離脱し、予算の縮小が避けられない状況です。

このため、EUは20日、ベルギーのブリュッセルにある本部で臨時の首脳会議を開いて協議を進めています。

EUが示した新たな予算案では、イギリスが抜けた穴を埋めるため、発展が遅れている加盟国への資金援助や各国の農業分野に割り当てる補助金を大幅に削減するなどとしています。

しかし、インフラ整備などのためにEUからの支援が不可欠なポルトガルポーランドなどが強く反発しているほか、農業が盛んなフランスやスペインも補助金の減額に反対しています。

会議に先立ってポルトガルのコスタ首相は「予算案は、ヨーロッパにとっても各国の結束にとってもわが国にとっても悪い」と述べ、修正を求めていく考えを示しました。

イギリスの離脱を受けてこれまで以上に結束が問われているEUですが、予算の配分をめぐって自国の利益確保を優先させたい各国の思惑が対立し、議論はいまも続いています。

EUの予算は加盟国の拠出によってまかなわれていますが、ドイツに次ぐ2番目の拠出国で、予算全体のおよそ1割を拠出していたイギリスが先月、離脱したことにより、その分をどう穴埋めするかが焦点となっています。

EUはさまざまな分野に割り当てていた予算を削減する必要に迫られ、各国の意見の対立を招いています。

その1つが予算全体の3分の1を占める農業の補助金です。ことしまでの予算では、イギリスを除く各国への補助金の総額はおよそ3800億ユーロ、日本円でおよそ46兆円でした。

しかし、来年からの予算案では14%程度少ないおよそ40兆円に削減するとしています。

これに対しては、国内の農業をEUからの多額の補助金で維持している農業国のフランスやスペインが強く反発しています。

また今度の予算案では、EUの中でも発展が遅れている加盟国を支援するため、インフラの整備などにあてている予算も大幅に減らすとしています。

この予算の総額の7割以上を受け取っているのがスペインやギリシャなどの南欧ポーランドハンガリーといった中東欧諸国で、これらの国では貴重な財源となっているだけに削減に強く反対しています。

EU側は、この予算の減額は避けられないものの、配分を豊かな国からより貧しい国にシフトさせるとして妥協を取り付けたい考えですが、各国が応じるかどうかは不透明です。

経済規模もまちまちでEUの予算への依存度も異なる加盟国の利害を調整するのは容易ではなく、分け合う予算そのものも、主要な拠出国を失ったことで縮小を余儀なくされており、議論はかつてなく紛糾しています。

予算をめぐり臨時の首脳会議が行われているブリュッセルのEU本部前では、20日、農業への補助金の大幅な減額が議論されていることを受けて、農業団体が抗議活動を行いました。

ベルギー各地から集まった農家は100台を超えるトラクターに乗って集結し、補助金を削減しないよう求めました。

団体の代表が「EUがわれわれの将来を左右しようとしている。農家のためには強い予算が必要だ」と訴えると参加者は大きな拍手で応じていました。

抗議活動にはベルギーだけでなく、イタリアやスペインなどからも多くの農家が参加したということです。

ベルギー南部で親の世代から農業を営んでいる64歳の男性は「少なくともこれまでと同じレベルの農業予算を維持すべきだ。人々に食べ物を提供するために私たちが行っている努力を考慮すべきだ」と話していました。

また、イタリアで5代にわたってワイン造りをしているという35歳の男性は「農業が厳しい状況に置かれているだけに他の国の人たちと声をあげるのは重要だ。私はまだ若いが、今のままでは農業に未来を見いだせない」と話し、農業への補助金を拡充すべきだと訴えていました。

#EU