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韓国の国会では、ムン・ヒサン(文喜相)前議長が去年12月、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決を目指す法案を、与野党の議員たちと共同で提出しました。法案は日韓両国の企業や国民からの寄付金で財団をつくり、日本企業に勝訴した原告などに慰謝料を支払うとする内容で、1965年の日韓請求権協定に反しない形だとして日本側に評価する声もありましたが、先月30日、議員の任期満了に伴って廃案となりました。

しかし、新しい国会議員の任期が始まったことを受けて、最大野党と無所属の議員合わせて12人が8日、同じ内容の法案を再び提出しました。理由としては、韓国の裁判所が今月1日に日本企業宛ての書類をホームページに公開したことで、差し押さえられた日本企業の資産の売却に向けた手続きがことし8月以降、進む可能性が出ており、そうなれば日韓関係がさらに悪化することを挙げています。

ただ、前回は日本企業が賠償すべきだとする原告側が反対し、大統領府も懐疑的な見方を示す中、一度も審議されずに廃案となった経緯があるうえ、今回の再提出には与党の議員が加わっておらず、成立するかどうかは不透明です。

韓国の元慰安婦の支援団体をめぐっては、元慰安婦の91歳の女性が運営に問題があると批判したのをきっかけに韓国メディアから寄付金の使いみちが不透明だなどと指摘され、検察が横領などの疑いがあるとする告発を受けて捜査を進めています。

ムン・ジェイン大統領は8日の会議で、この問題に初めて言及し「市民団体の活動の在り方を振り返るきっかけになった」と述べ、韓国政府として寄付金を管理する仕組みを構築し募金活動の透明性を強化する方針を示しました。

一方でムン大統領は、元慰安婦の支援団体への批判が高まっていることを踏まえ、「支援活動はいまも続いており、その大義を傷つけようとする試みは正しくない」と述べ、30年間続けられてきた支援活動そのものを否定すべきではないとする考えも強調しました。

8日付けの朝鮮労働党機関紙、「労働新聞」は、キム・ジョンウン委員長が出席して7日、党の政策を決定する政治局会議が開催されたと伝えました。

会議では、化学工業を柱とした経済の自立やピョンヤン市民の生活保障などについて話し合われたということです。

北朝鮮では、制裁が続いている上、新型コロナウイルスの感染対策の一環で、中国やロシアとを結ぶ航空便や列車を停止していることから経済が打撃を受けています。

こうした中、会議を通じて国内経済を立て直す姿勢を強調するねらいとみられます。

一方、北朝鮮は、韓国の脱北者が先月、キム委員長を批判するビラを飛ばしたことを受けて南北接触の窓口となっている共同連絡事務所を閉鎖するとしていて、今後も対抗措置を続ける構えを見せています。

7日の会議では、韓国への対応については議題になりませんでしたが、「労働新聞」は、北朝鮮国内で、韓国への抗議集会が相次いで開かれていることを伝えており、今後の出方が注目されます。

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