将棋 藤井新棋聖「探究心持ち盤上に向かいたい」一夜明け会見 #nhk_news https://t.co/K7S1p72R01
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年7月17日
藤井聡太新棋聖(17)は、16日、自身初のタイトル戦となる「棋聖戦」五番勝負の第4局で渡辺明三冠(36)に勝ち、3勝1敗でタイトルを奪って、タイトル獲得の最年少記録を30年ぶりに更新しました。
藤井棋聖は、一夜明けた17日午前、大阪の関西将棋会館で記者会見に臨みました。
16日夜はふだん通りの心境で6時間の睡眠を取ったということで、はじめに「棋聖獲得」の心境を改めて聞かれると、「まだ実感がないですが、これから徐々に実感する場面が増えてくるのかなと思います。今回、渡辺棋聖と五番勝負を戦えたことは、自分にとって本当にいい経験だったと感じています」と語り、熱戦を振り返りました。
また、16日夜の対局のあと、母親に電話でタイトル獲得を報告したということで、「家族も結果は知っていると思ったので、自分からは何も言いませんでしたが、『よかったね』と言ってもらえました。喜んでもらえたかなと思います」と話していました。
中学2年でデビューしてからタイトル獲得までの道のりについては「棋士になった段階で、タイトルは当然目指していましたが、やはりなかなか遠いものではあったので、棋士になってからの3年半で経験も積み、成長できたことが、今回の結果につながったと感じます。トップ棋士と対戦する中で自分の将棋の課題も見つけることができましたし、特に中盤戦は、デビュー当時と比べると成長できたと思っています」と振り返っていました。
タイトルを獲得したことで、「藤井聡太棋聖」と呼ばれることについては、「現状はまだ慣れない気がしますが、これから徐々にタイトルホルダーとしての立ち居振る舞いを勉強していければと思っています」と話しました。
藤井棋聖は現在、「王位戦」七番勝負に挑戦者として出場し、ここまで木村一基王位を相手に2連勝しています。
今後の対局に向けて聞かれると、「木村王位の力強い指し手に苦しめられる場面も多かったので、そこを反省して、第3局以降もいい将棋を指せるように頑張りたい」と述べました。
会見で藤井棋聖は、『探究』ということばを記した色紙を掲げ、「タイトルを獲得できましたが、将棋は本当に難しいゲームで、この立場になってもまだまだ分からないことばかりだと感じるので、これからも探究心を持って盤上に向かいたい」と今後への思いを語っていました。
将棋 谷川九段 藤井棋聖の強さを分析「弱点が見当たらない」 #nhk_news https://t.co/OshGrAdvqR
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年7月17日
谷川浩司九段は昭和51年に、藤井棋聖と同じ中学2年生の14歳でプロ入りし、これまで通算27期のタイトルを獲得して、羽生善治九段らと共に一時代を築きました。
谷川九段は藤井棋聖のタイトル獲得について、「相手の渡辺明さんは現在の将棋界で“最強の棋士”と言っていい存在です。その渡辺さんに勝ったということもそうですし、その内容も4局通じてすばらしかったと思います」と快挙をたたえました。
また、昭和58年に自身が「史上最年少名人」として、初のタイトル獲得を果たした時を振り返りながら、「その時は最終局で勝ちが見えると平常心ではいられなくなり、打った駒がマス目からずれてゆがんでしまうようなこともありました。あと1勝でタイトルという時はそうした状態になることも普通ですが、藤井さんはそういうところは全くなくて、最後も最短距離の勝ち方を選んでいました。ひょっとするとタイトル獲得ということは頭にはなく、盤面だけに集中しているのかもしれません」と話していました。
そして、今回の五番勝負で見えた藤井棋聖の強さとして「中盤力の成長」を挙げ、「プロ入り直後は詰め将棋で培った終盤の正確さや鋭さが特に目立っていましたが、逆に言うと、それ以外の分野ではそこまでではなかったとも言えます」と指摘したうえで、「特にこの数か月で中盤の力が伸び、初めて見る局面や混とんとして訳が分からない局面で、本質や急所を素早く見極めて最善手を導き出せています。今では序盤や中盤のレベルも上がってきて、ほとんど弱点が見当たらない状態です」と分析していました。
そして、「彼は大勢の報道陣の中で対局するなど、ほかのトップ棋士が20代になってから経験するようなことをすでに10代で経験しています。そういう意味では、まだ棋士になって4年もたっていませんが、相当なベテラン棋士だと思いますよ」と笑顔で語っていました。
今後は藤井棋聖にとってお互いを高め合える存在となるライバルが現れることを望んでいるとして、「私も羽生さんと160局以上対局をすることで、お互いのことを熟知して、最後には2人でよい作品を作り上げようという気持ちで対局することができました。そうした勝負を超越した芸術を作り上げていく関係性を築ける棋士が何人も出てくれば、将棋界全体のレベルも高まります。今、タイトル戦に登場しているようなトップ棋士にはぜひ、切磋琢磨して藤井さんとも高いレベルで戦ってほしいです」と話していました。
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