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中国の情勢に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は、今回の逮捕の背後にあるとみられる中国の思惑について「アメリカの制裁に対する報復であると同時に、民主派に対する警告でもあり、香港社会に対する相当な威嚇効果になる。立法会選挙の延期もそうだが、とにかく民主派を一掃したいのだと思う」と指摘しています。

中国に批判的な論調で知られる「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏が逮捕されたことについては「香港では中国を批判するメディアは、ほとんど残っておらず、リンゴ日報は『最後の砦』と言われていた。今回の逮捕で、ほかのメディアも、ますますものが言えなくなると思う。彼は発言力と行動力もあるし、民主化運動の中核的な存在だったので、最悪の場合、中国に連れて行かれて裁判にかけられ、かなり重い量刑もありうるのではないか」と話しています。

また、民主活動家の周庭氏の逮捕については「彼女は若い人たちのシンボルでもあるし、海外に積極的に発信していたので、一種の見せしめ的な効果をねらったのではないか」と指摘しています。

そのうえで、興梠教授は習近平指導部は香港の民主化運動を放置すれば、中国本土に波及するのではないかという恐怖感を抱いている。このため、国際的なイメージが失墜しようが、どれだけアメリカとの摩擦が深まろうが、政権の維持と安定を最優先にあらゆる行動を正当化している」と話し、香港への統制強化に対するアメリカをはじめとする、国際社会の批判は受け入れないのではないかという見方を示しました。

来月6日に予定されていた香港の立法会の議員選挙は、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年間延期されましたが、現職の議員は来月末に任期満了となるため、議員の任期を定めた香港基本法の解釈権を持つ全人代の常務委員会が対応策を審議していました。

国営の中国中央テレビによりますと、全人代常務委員会は最終日の11日、現職の議員の任期を来年の選挙で新たな議員が選ばれるまで、少なくとも1年間、延長することを決めたということです。

現職議員の中には、香港国家安全維持法に反対していることなどを理由に、先月、香港の選挙管理当局から立候補を取り消された民主派の議員も含まれていて、議員資格の剥奪も取り沙汰されていましたが、常務委員会はこれらの議員についても任期延長を認めたものとみられます。

ただ、民主派の勢いをそぎたい中国政府としては、今後、立法会での民主派の排除に向けて統制をさらに強めるのではないかという見方も根強くあります。

香港で、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法は、ことし6月末に施行され、以来、当局は民主活動家らへの締めつけを強めています。

香港国家安全維持法は国の分裂や政権の転覆などの行為を犯罪と規定していて、法律が施行されたあとの行為が適用の対象になるとしています。

法律施行の翌日の先月1日には、「香港独立」と書かれた旗を所持していた男性が初めて逮捕され、初日だけで、逮捕者は10人に上りました。

先月末には来月に予定されていた立法会の議員選挙に立候補を届け出た民主派の候補12人の資格が取り消され、香港政府はその理由について「香港国家安全維持法に反対しているためだ」などと説明しています。

その後、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、選挙の実施は来年に延期されました。

香港国家安全維持法は海外での行為も取締りの対象になるとしています。

香港メディアは、今月に入って当局の摘発を恐れて海外に逃れた民主活動家の羅冠聡氏など、海外在住の6人を香港の警察が指名手配したと伝えました。

香港国家安全維持法に違反した疑いで逮捕された人はこれまでに少なくとも20人に上り、当局による反政府的な動きへの締めつけが強まっています。

アザー長官は、アメリカが41年前に台湾と断交して以来、台湾を訪問する最高位の高官で、滞在3日目の11日、外交トップの呉※ショウ燮外交部長と会談したのに続き、午後は台北市内にある台湾大学で講演しました。

この中でアザー長官は、台湾の新型コロナウイルスへの対応は、透明性があり協力的だと称賛する一方、中国については中国共産党は、警告を発し、世界と連携できたのにそうはせず、その選択の代償は日に日に大きくなっている」と非難しました。

そのうえで、アザー長官は「中国は、今世紀で最も重要な衛生面の課題において、誠実な協力が欠けている。よい例を示してくれた台湾にこうして感謝でき光栄だ」と述べました。

アメリカのトランプ政権は、中国に対して強硬な姿勢をとる中、台湾との関係を強化していて、今回のアザー長官の講演でも新型コロナウイルスに対する中国と台湾の対応の違いを指摘することで、中国をけん制するねらいがあるものとみられます。

※金へんに「りっとう」

香港の警察は10日、香港国家安全維持法に違反した疑いなどで、民主活動家の周庭氏や中国に批判的な論調で知られる「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏ら10人を逮捕しました。

周氏は日本時間の12日未明、保釈が認められて警察署から姿を現しました。

周氏は記者団に対し、「これまで逮捕された中で一番怖かった。どういう形で法律に違反したのかわからない部分がたくさんある」と述べました。そのうえで、「政治的な弾圧であり、法律は本来、市民の権利を守るものだが、この法律は侵害するものになっていて、とても残念だ」などと述べ、警察の対応を強く批判しました。

また香港メディアによりますと、黎智英氏らも11日夜から12日未明にかけて保釈されました。

周氏や黎氏はこれまでのところ起訴されていませんが、今後、警察が捜査を進め、起訴するかどうか判断するとみられます。

今回の逮捕をめぐっては、アメリカの政府高官が中国政府を強く非難しているほか、欧米各国や日本の多くの人たちがSNS上で抗議の声を上げています。

ただ、中国政府は「国家の安全に危害を与える者は厳しく罰しなければならず、手を緩めてはならない」などとしていて、中国や香港の政府は、今後も民主活動家らへの締めつけを強めるものとみられます。

周庭氏は、12日未明、自身のフェイスブックを更新して保釈されたことを報告しました。

この中で周氏は、「周庭です。帰ってきました。みなさんを心配させてしまいすみません。これまでに4回逮捕されましたが、今回が最も恐ろしいものでした。しかし、警察署でも弁護士を通して香港や海外のみなさんからの心配や愛情について聞くことができました。ありがとうございました」として感謝のことばを述べています。

そのうえで「警察署から保釈されて出たばかりで疲れていて、まだ詳しい状況や心境をお話しできませんが、改めて説明させてください。道のりは苦しいものですがみなさん気をつけましょう」と述べています。

香港の複数のメディアは、「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏らが香港国家安全維持法に違反した疑いなどで逮捕されたことに関連して、香港の警察が、アメリカなどに住む香港出身の活動家2人を指名手配したと伝えました。

このうちの1人は、アメリカ在住の活動家朱牧民氏で、30年前に渡米したあと、1996年にアメリカの市民権を取得し、アメリカ政府や議会に香港の民主化への支援を訴える活動を続けています。

香港メディアは、朱氏が先月末、イギリスなどに住む香港出身の活動家5人とともに、香港国家安全維持法に違反した疑いで、香港の警察に指名手配されたと伝えていましたが、今回、黎氏の逮捕に関連して再び指名手配されたとしています。

また、もう1人は、ことし初めにイギリスに渡った26歳の男性の活動家だと伝えています。

香港の警察は10日、香港国家安全維持法などに違反した疑いで、民主活動家の周庭氏や、中国に批判的な論調で知られる「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏ら10人を逮捕しました。

香港では、逮捕された場合、起訴を決める前に保釈が認められることがあり、警察は今回逮捕された10人を12日未明までに保釈しました。

このうち周氏は日本時間の12日未明、勾留されていた警察署の前で取材に応じ、取り調べについて日本語で「これまで4回逮捕されたが、正直、今回はいちばん怖かった」と述べました。

そして「警察は、逮捕の理由として、7月からSNSを利用して外国勢力と結託したとしているが、日時や内容については何も言っておらず漠然としている」と述べたうえで、「国家安全維持法は、政治的な弾圧のためのものではないかと思います」と述べ、香港政府の対応を強く批判しました。

周氏によりますと、警察はパスポートを没収したうえで、来月1日に改めて出頭するよう求めているということです。

警察は今後、起訴に向けた捜査を続けることにしています。

香港で国家安全維持法に違反した疑いで民主活動家らが逮捕されたことを受け、超党派議員連盟は、思想や言論の自由など基本的人権をじゅうりんする行為は許されないとして、中国共産党や香港当局に抗議する緊急声明を取りまとめました。

国会内で開かれた議員連盟の会合には、自民党の中谷 元防衛大臣や国民民主党山尾志桜里衆議院議員らが出席しました。

日本で暮らしているという香港市民もマスクなどをつけて参加し、民主活動家の周庭氏らの逮捕を受け、「国家安全維持法は威嚇ではなく人権と自由を奪い取る道具になった」などと訴えました。

そして、会合では「思想や言論の自由など基本的人権をじゅうりんする行為は許されない」として、中国共産党や香港当局に抗議する緊急声明を取りまとめました。

また、日本政府に対して、香港当局からの国家安全維持法違反を理由とした捜査の協力に応じないことや、香港市民がビザなしで日本に滞在できる期間を延長することなどを求めました。

トランプ大統領は11日、FOX・スポーツ・ラジオに出演し、中国の習近平国家主席について、「私たちはとてもよい関係にあった。だが、もはや同じようには感じていない。長い間、話もしていない」と述べ、関係悪化を強調しました。

その理由について、トランプ大統領は、中国が新型コロナウイルスをもたらしたと主張したうえで、「多くの人を死に追いやり、世界が閉鎖しなければならなかった新型コロナウイルスは貿易をめぐる協議の1000倍の規模だ。ひどいことだ」と述べ、新型コロナウイルスが貿易をめぐる対立をはるかに超える被害をもたらしたと非難しました。
米中をめぐっては、トランプ大統領中国企業が運営する世界的に人気の動画アプリ「TikTok」を禁止する構えを見せたり、香港をめぐって制裁を科したりするなど対立が一層、深まっています。

それに加えて、アメリカでは世界で被害が最も深刻となっている新型コロナウイルスへの対応について政権への批判が強まっていてトランプ大統領としては、感染の拡大は中国に責任があると主張することで非難の矛先を中国に向けるねらいがあると見られます。

中国の全人代全国人民代表大会の常務委員会は来月予定されていた香港の立法会の議員選挙が延期されたことを受けて、任期満了を迎える現職の議員の任期を、少なくとも1年間延長することを11日決めました。

議員の中には、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法に反対していることなどを理由に、先月、選挙管理当局から立候補の資格を取り消された民主派の議員も含まれていて、取り扱いが注目されていましたが、常務委員会は、具体的に言及はしておらず、原則としてすべての議員の任期の延長を認めたとみられます。

ただ、常務委員会のメンバーの1人は、中国や香港のメディアに対して、延長後の立法会に向けて具体的にどのような手続きを行うかは、香港政府に委ねられていることを明らかにしています。

このため、香港国家安全維持法を付属文書に盛り込んだ香港の憲法にあたる基本法への宣誓を求めるなど、香港政府が、民主派議員の排除に向けて統制をさらに強める可能性もあります。

アメリカの税関当局は11日、香港で製造され、これまで「香港製」と表示してきた輸入品について、来月26日から中国本土の製品と同じく「中国製」と表示するよう義務づけると発表しました。

トランプ大統領は先月、香港国家安全維持法によって高度な自治が損なわれたとして、香港に認めてきた貿易などの優遇措置を撤廃する大統領令に署名し、今回の措置もそれに基づいています。

アメリカは香港から電子機器や貴金属などを輸入していますが、アメリカのメディアは輸入品のほとんどはもともと中国本土から香港に輸出され、香港で製造されたものは少ないため、影響は限定的だと伝えています。

ただ、トランプ政権は大統領令に基づいて今後もさまざまな優遇措置の撤廃を進めていくとみられ、米中の対立がさらに激しくなるのは避けられない見通しです。

台湾を訪れているアメリカのアザー厚生長官は、先月、亡くなった李登輝元総統の追悼会場を訪れて哀悼の意を示し、4日間の日程を終え帰国の途につきました。

アザー長官は、アメリカが41年前に台湾と断交して以来、台湾を訪問する最高位の高官で、滞在最終日の12日、台北市内に設けられている李登輝元総統の追悼会場を訪れ、花を手向けました。

そしてメッセージのコーナーに「李元総統の民主化の功績は、アメリカと台湾の関係を末永く前進させていくだろう」と書き記しました。

このあと、マスク工場を視察したアザー長官は4日間の訪問日程を終え、日本時間の午後2時半すぎ、政府専用機で帰国の途につきました。

今回の訪問についてアザー長官は、台湾メディアに対し「これまで同様、1つの中国政策に反するものではない」と話しているということです。

ただ、これまで民間行事への参加にあわせるなどの形が多かった閣僚級の高官の訪問とは異なり、今回は、蔡英文総統や外交トップの閣僚などと相次いで会談するなど、当局どうしの交流が主な日程となっていました。

一連の会談で、アザー長官はトランプ政権を代表した訪問であることをたびたび強調していて、政権の中国に対する強硬な姿勢と台湾との関係の深さを印象づける訪問となりました。

アメリカのアザー厚生長官の台湾訪問について、中国外務省の趙立堅報道官は12日の記者会見で、アメリカの高官が台湾を訪れることに改めて反対するとしたうえで「中国の核心的利益に関わる問題において幻想を抱くべきではない。火遊びをすれば必ず大やけどする」と強く非難しました。

また、台湾当局に対しても「新型コロナウイルスを理由に台湾独立をたくらむのは、行き止まりの道だ」などとけん制しました。

さらにアザー厚生長官が11日、台北市内で講演し、中国の新型コロナウイルスへの対応について「中国共産党は警告を発し、世界と連携できたのにそうしなかった」などと非難したことに対し「中国を批判するのはアメリカの感染対策がうまくいっていないため、中国をスケープゴートにしたいからだ」と反発しました。

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