https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

アメリカ大統領選挙に向けた民主党の全国党大会が日本時間の18日から行われるのに合わせてアメリカのトランプ大統領は17日、党大会の会場がある中西部ウィスコンシン州隣接するミネソタ州で支持者を前に演説しました。

この中でトランプ大統領は、「バイデン氏はワシントンで47年間も政治に関わってきたのに何も成し遂げられなかった。今になってすばらしいことをやると言っても、それは無理だ」と述べたうえで、移民や経済、治安維持などさまざまな分野でのバイデン氏の政策を批判しました。

そのうえで、「バイデン氏は極端な左派の操り人形だ。国境をないがしろにし、警察をだめにして、アメリカの自由を左派のファシストの考えに置き換えようとしている」と主張してアメリカを守れるのは自分だと強調しました。

トランプ大統領は、党大会の会場のウィスコンシン州にまもなく移動して再び演説を行うほか、今週は西部アリゾナ州や東部ペンシルベニア州といった激戦州も回る予定で、選挙がおよそ2か月半に迫る中で、舌戦が激しさを増しています。

トランプ大統領の集会に参加したウィスコンシン州の64歳の女性は「トランプ大統領は弟の死という困難の中でも、予定を変えずにわれわれのために来てくれた。彼はツイートでも何でも約束したことを必ず実現してくれる。彼は110%再選されると確信しています」と話していました。

また、集会に参加したウィスコンシン州の56歳の男性は、民主党のバイデン氏が党大会が行われるウィスコンシン州に来ないことについて「残念なことです。ウィスコンシンに興味がないことを示しています。民主党は前回の選挙から何も学んでいないようです。私はバイデン氏を支持していませんが、ウィスコンシンの人々は彼に会い、彼の話を聞く権利があります」と批判していました。

また、男性はトランプ大統領新型コロナウイルスの対応について、「このパンデミックは一生に一度の出来事で、正しい対処法などありません」と述べ、トランプ大統領は最善を尽くしていると評価していました。

一方、飛行機の格納庫で行われた集会では換気をよくするなど新型コロナウイルス対策がとられていますが、会場に集まった数百人の支持者のうち、マスクを着用しているのは半分ほどにとどまっています。

東部メリーランド州からマスクを着用せずに集会に参加した男性は、「私は強い信仰心を持っており、神はすべてをコントロールし、新型コロナウイルスよりも力強いと信じています。そのため、外に出ることも、日常も全く怖くありません」と話していました。

民主党の全国党大会は現地時間の17日、日本時間の18日午前10時から4日間の日程で始まりました。

大会では中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーに会場が設けられましたが、新型コロナウイルスの影響でほとんどはオンラインで行われる異例の形式となりました。

初日はアメリカでかつてなく高まる人種差別への抗議活動を受けて、さまざまな人種の党の有力者や支持者のメッセージが流され、デモのきっかけとなった事件で亡くなったジョージ・フロイドさんの弟も参加して「正義を求める戦いは私たちにゆだねられている」と訴えました。

また、新型コロナウイルスへの対応では、感染が拡大したニューヨーク州のクオモ知事が「アメリカの分断がウイルスに耐える力を弱らせた。分断がトランプ氏を生み、それをトランプ氏がより深刻にした」と述べて、トランプ大統領を批判し社会の融和を呼びかけました。

大会では期間中、バイデン前副大統領を党の大統領候補に正式に指名し、事実上の公約となる政策綱領を採択して、トランプ大統領への対決姿勢を鮮明にするとともに社会の融和を訴えて、政権奪還への支持を呼びかけるねらいです。

ただ党内では4年前の前回選挙での敗因の一つとされる中道派と左派の間の溝は埋まっておらず、今回の大会でバイデン氏のもとで党の結束を示すことができるかも焦点となります。

人種問題

民主党トランプ大統領への批判が根強い人種差別問題や社会の分断の解消も選挙戦の重要な争点の1つに位置づけ、国民の結束を訴えています。

人種差別への抗議デモの対応では、トランプ大統領が「法と秩序」を強調し黒人に対する構造的な差別に対しては「昔に比べればかなり少なくなっている」として、対応に消極的な姿勢を見せたのに対し、民主党は「人種、民族、ジェンダー、障害の有無などによる差別を終わらせる」して、問題の解決に取り組む方針を強調しています。

また抗議デモで高まった警察改革の要求については、トランプ大統領が警察の弱体化につながる予算の削減に反対しているのに対し、民主党は徹底的な見直しを通じて改革を進める方針を掲げています。

さらに民主党は経済格差を是正するため白人以外の人たちが経営する企業への支援などの政策も打ち出しています。

新型コロナウイルスへの対応

民主党新型コロナウイルスの感染拡大でトランプ大統領の対応を批判しその責任を追及するとともに、政権との違いを明確にすることで、不安や不満を抱く人たちの支持を幅広く取り付けたいねらいがあるとみられます。

民主党は「パンデミックから回復し、アメリカ国民を守る」と訴えて新型コロナウイルス対策を最優先課題に位置づけ、ワクチンを無料で接種できる態勢の整備や医療保険制度の拡充などを掲げています。

そしてトランプ大統領が専門家の科学的な助言を軽視して感染の拡大を招いたと批判し、経済活動の再開は慎重に進める姿勢を示すとともに感染拡大の防止に重点を置いて、選挙運動や党大会もいち早くオンラインに切り替えるなどトランプ大統領との違いを全面に打ち出しています。

またトランプ大統領がWHO=世界保健機関への資金提供を停止し脱退を通知したことに対しては、パンデミックを抑えるための世界的な取り組みを妨害したと指摘したうえで「アメリカの指導力を復活させ、保健医療や経済の面で国際的な協調を図りトランプ大統領とは反対の方針をとる」と主張しています。

挙党体制を目指す

党の有力者が相次いで演説した中で、党の候補者選びで中道派のバイデン前副大統領と激しく争った左派のサンダース上院議員も登場しました。

「今回の選挙ではまとまってトランプ氏を打倒しなければならない。失敗の代償は想像を絶するほど大きい」と演説し、党内の結束を呼びかけました。

民主党では中道派と左派の間の溝が前回4年前の選挙の敗因の一つとされ、今回も社会保障環境政策での違いを乗り越えることができるかが課題となっています。

「反トランプ勢力」の結集

与党・共和党に所属しながらも反トランプ大統領の立場を取る政治家らもメッセージを寄せました。

このうち前回選挙の際、共和党の候補者選びで最後まで争ったケーシック前オハイオ州知事は「私は生涯共和党員だが、党への義理はアメリカに果たすべき責任と比べれば二の次だ。バイデン氏は時代が求めている男だ。自分たちのため、そして子どもたちのために党派を超えて行動しよう」と呼びかけました。

共和党の有力者が民主党の全国党大会に出席するのは異例で、民主党としてはトランプ大統領に反発する人たちの結集を訴えて幅広い支持を取り付けたいねらいがあると見られます。

#米大統領