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金融庁の栗田照久監督局長は、ロイターのインタビューで、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に陥る地元企業に対して地方銀行がどのように向き合うかによって銀行が選別され、将来的な「優勝劣敗」につながる可能性があると指摘した。

現在103行ある地銀について、菅義偉官房長官は26日のロイターのインタビューで地方銀行の数が多いのは事実」と述べ、再編・統合が今後進むとの見通しを示した。

栗田局長は「(地銀の統合は)経営判断の問題で、数だけが問題ではないと思う」と述べ、地銀がどのようなビジネスモデルを描くかが重要だと強調した。

<融資先の本業支援徹底を>

栗田局長は、コロナ禍が地銀の選別につながる可能性に言及した。「この銀行はこの厳しい状況でうまく企業を支え地域を支えてくれた、ここの銀行は結局、制度融資をぼんぼんやっていただけであまり企業に付加価値を供給できなかったというかたちで、おそらくこの差は何年か後に出て、その後の優勝劣敗につながっていく可能性がある」と指摘した。

金融庁は民間金融機関に対し、企業の資金繰り支援の徹底を要請している。ただ、コロナの影響が長期化すれば金融機関の信用コストが膨らみ、財務健全性に影響が及ぶリスクがある。日銀の鈴木人司審議委員は27日の講演で「今後、第2波、第3波と感染症の影響が拡大する場合には、信用コストが膨らんでいき、リーマン危機時の水準に近付く可能性がある」と述べた。

栗田局長は、地銀の信用コストの見通しは「きわめて予測不能だ」と述べた。その上で、苦境に陥った企業の再生支援の重要性を指摘した。「経営が厳しい企業の将来性はどうなのか、B/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)に出てこないような付加価値はないのか、人を入れるだけでもだいぶ変わってくる企業もあるからそういう余地はあるのか。再生支援や本業支援がうまくできれば、そんなに信用コストが上がるということにはならないかもしれない」と話した。

地銀の財務健全性について、金融庁はストレステストの活用や早期警戒制度などを通じ「足元のB/Sを見るだけではなく、将来の収益性はどうなのか、将来のB/Sの健全性はどうなのかということも踏まえて銀行をモニタリングしているし、銀行からも話を聞く」と述べた。

<異業種との提携、想定外の組み合わせも>

一方、栗田局長は地域銀行にGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)みたいな成長を求めるのは違う」と述べた。「多くの人たちが地銀に求めていることは、地元の企業にきちんと寄り添って地元の企業を大事にし、地域の活性化に貢献してほしいということだ」と指摘。「(地銀が)地元の経済を盛り立て、拡大していくように努力することをせずに地域貢献と言ってもむなしい」と話した。

SBIホールディングスのような異業種と地銀の提携が増える可能性については「だんだん業の境目がなくなってくるだろうから間違いなくそうなるだろう」と指摘。「今、われわれが想定できないような組み合わせが起こるかもしれない」とも述べた。

栗田局長は「低金利が長引いているということで、地銀の収益が厳しいというのは事実だと思う」とする一方、「あまり日銀の金融政策と地域金融機関の収益を結び付けて考えるのはどうかと思う」と述べた。日銀の金融緩和は「潜在成長率が上がらない、期待インフレ率が上がらない、よって金利が上がらず、政策金利も上がらない。そういうことがぐるぐる回っている」結果だと指摘した。