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デジタル化を推進する一環として、河野行政改革担当大臣は、すべての府省庁に対し、行政手続き上の押印を可能なかぎり不要とするよう求めていて、年間の利用が1万件を超える手続きについては30日までに、検討結果を報告するよう要請していました。

これについて、河野大臣は、30日夜、みずからのツイッターで、ほぼすべての府省庁からの回答が出そろったことを明らかにしました。

そのうえで、「法律で押印が定められているものなど検討対象が若干あるが、大半は廃止できそうだ」と書き込みました。

河野行政改革担当大臣は、規制改革や行政改革をスピード感をもって進めるため1日、みずからの直轄チームを発足させ、内閣府のほか、愛知県や高知県といった地方自治体の職員など合わせて9人に辞令を手渡しました。

そして、河野大臣は「菅内閣は、『国民から見て価値を作り出す規制改革を内閣の1丁目1番地としてやる』と言って スタートした。遠慮することなく、規制改革を着実に進めなければならず、全身全霊をかけてやってもらいたい」と訓示しました。
直轄チームでは河野大臣のウェブサイトなどを通じて寄せられた規制改革や、行政改革についての提案を精査したうえで、関係省庁と連携して、実現に向けた取り組みを急ぐことにしており、今後、さらに態勢を拡充していく方針です。

河野行政改革担当大臣は、すべての府省庁に対し、行政手続き上の押印を可能なかぎり不要とするよう求めていて、年間の利用が1万件を超える手続きについては、先月30日までに検討結果を報告するよう要請していました。

これについて河野大臣は1日、報道各社のインタビューで「800種類ぐらいの手続きのうち、廃止の方向と言えないものが35種類ほどあったが、『法律などが押印を要求している』というものは、変えればいいだけのことだ」と述べました。

そのうえで、河野大臣は「理由があれば相談に応じるが、『全部、押印はいらないのでは』と思って押し戻している」と述べ、年間の利用が1万件を超える行政手続き上の押印については、法改正などで廃止できるのではないかという見方を示しました。

また、河野大臣は国家公務員の働き方をめぐり、すべての府省庁に対し来月までの2か月間、職員の職場での滞在時間を調査するよう指示したことを明らかにし、調査結果をもとに業務の見直しを進める考えを示しました。

「デジタル庁」の新設に向けて政府は30日、内閣官房のIT総合戦略室に「デジタル改革関連法案準備室」を発足させました。

菅総理大臣は職員への訓示で「新しい成長戦略の柱として、わが国の社会経済活動を大転換する改革だ」と述べ、来年の通常国会に必要な法案を提出するため準備を加速させるよう指示しました。

「法案準備室」では今後、「デジタル庁」を設置するための法案やIT政策の基本方針を定めたIT基本法の改正案の作成に加えて、個人情報保護法マイナンバー法の改正案など、合わせて国会に提出する法案の洗い出しを進める方針です。

また、IT企業や先進的な取り組みを進める海外の関係者からヒアリングを行うなどして、「デジタル庁」の具体的な機能についても検討することにしています。

「防衛装備庁」は防衛装備品の効率的な調達を図るため、陸・海・空の各自衛隊の装備部門などを統合し、研究開発から調達までを一元的に担う防衛省の外局として5年前の平成27年10月に発足しました。

これまで開発や調達に多額の費用が必要な装備品などを選定して、専門のチームが重点的にコストの点検を行うなど、効率化に向けた取り組みを進めてきました。

また、6年前に閣議決定した「防衛装備移転三原則」に基づき、海外への技術移転も進めていて、国産の防衛装備品の完成品として初めて2種類のレーダーをフィリピン政府に輸出する契約がことし8月に成立しました。

今後は、配備を断念した新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策の技術的な検討や、国際協力を視野に日本が主導する航空自衛隊のF2戦闘機の後継となる次期戦闘機の開発など大型プロジェクトへの取り組みが課題になります。

防衛大臣は記者会見で「防衛装備移転の推進などさまざま取り組んできたが、経済界との連携も深めながら防衛力の強化を図ることが必要だ。非常に限られた防衛予算の中で、研究開発にどう優先順位をつけていくか適切に判断していきたい」と述べました。

雇用保険の失業手当は解雇などで仕事を失った場合は申請の1週間後から支給されますが、転職などの自己都合で退職した時はハローワーク離職票を提出し、その3か月後から支給される制限が設けられています。

厚生労働省はこの給付制限を安易な退職を防ぐために行ってきましたが、当面の生活費を確保しないと転職ができないなどという声が出ていて対応を検討してきました。

その結果、これまでより1か月早い退職の2か月後から失業手当が支給されるように1日から運用を改めます。

対象は1日以降に自己都合で退職した人で、厚生労働省は安心して転職の活動を行うことができるよう環境を整えたいとしています。

また退職後2か月から失業手当を受け取ることができるのは、5年間で2回の退職までだということです。

厚生労働省は2年後をめどに転職活動などにどのような影響があるのか検証し、対応を検討することにしています。

30日に締め切られた国の来年度予算案の概算要求で、各省庁が要求した一般会計の総額は、105兆円を超えて、過去最大の規模になる見通しであることが関係者への取材で明らかになりました。

さらに今回の概算要求では、新型コロナウイルスの影響を見極めるのは難しいとして、現時点では額を明示していない要求も数多くあり、今後、規模はさらに膨らむ可能性もあります。

また、新型コロナウイルスに関わる問題以外にも、整備の遅れが指摘される行政のデジタル化や、不妊治療をめぐる高額な治療費への助成、相次ぐ災害を踏まえた水害対策など課題は山積みです。

今年度、一般会計の歳出は、2度の補正予算を組んだことからすでに160兆円余りに達し財政状況は一段と厳しくなっています。

菅新政権の発足後、初めてとなる予算編成は1日から本格化しますが、年末の閣議決定に向けては、幅広い問題に対しいかに効率的に予算を配分できるかが焦点となります。

9月14日午後、グランドプリンスホテル新高輪の大宴会場で開かれた自民党両院議員総会。事前の予想通り大差で新総裁に選出された菅義偉は、緊張した面持ちで壇上に上がり、短い挨拶を行った。

「新総裁に選出をいただきました菅義偉であります。どうぞよろしくお願い申し上げます」

冒頭、会場に向かって頭を下げた菅が、次に口にしたのは首相・安倍晋三への感謝の言葉だった。

自民党総裁として約8年、総理大臣として7年8カ月にわたって日本のリーダーとして国家国民のために大変なご尽力をいただきました安倍総理に心から感謝を申し上げます」

だがこう述べた菅は、斜め後ろに座っていた安倍本人を一瞥すらせず、安倍に背を向けたまま会場に向かって深々と頭を下げた。続いて「一緒に万雷の拍手を安倍総理にお願いします」と述べると、ようやく体を横に向けて拍手をしたが、その間、互いに目を合わせようともしない2人の姿に多くの議員が違和感を覚えた。

それもそのはずだ。「安倍政権の継承」を掲げる菅だが、この1年余、水面下で自らに政権が転がり込んでくるよう安倍の手足を縛り、権謀術数の限りを尽くして、晴れのこの日を迎えたのだ。

安倍の大叔父である宰相・佐藤栄作は長期政権の幕を閉じるにあたり、首相の座を自分と同じ高級官僚出身の福田赳夫に継がせたいと考えていたが、結局、叩き上げの田中角栄に権力を奪取された。今回はその時と全く同じ構図となった。安倍は、自分と同じ政治家三世の岸田文雄に後を継がせたいと考えながら、結局、叩き上げの菅に政権を簒奪された。古代ローマ以来、まさに「歴史は繰り返す」のだ。

昨夏の参院選では、岸田の地元である広島選挙区で、自民党2人目の候補として自らの側近である元法相・河井克行の妻・杏里の擁立を主導。地元県連の猛反発を押し切って、創価学会やゼネコン等の票を河井に集中させ、岸田派長老である現職を落選させて岸田に大打撃を与えた。

「岸田潰し」の策略はそれだけではない。岸田派の前会長で今も派閥に影響力を持つ元幹事長・古賀誠の政治資金集めに協力するなどして古賀を取り込んだ。古賀はテレビ番組などで「ポスト安倍は岸田でなくてもいい」「菅が望ましい」などと繰り返し発言し、岸田は求心力を削がれた。

さらに遡れば、前回2018年の自民党総裁選の前には、最後まで立候補するかどうか迷っていた岸田に苛立っていた安倍に対し、「岸田さんには立候補してもらったほうがいいのでは」と進言。安倍と岸田の離反を促してもいた。

一方、昨春行われた麻生の地元の福岡県知事選では、麻生と不仲の現職知事を古賀と連携して裏で支援し、麻生が擁立した自民党推薦の新人を大敗させて麻生に打撃を与えた。

ポスト安倍」を巡る安倍と菅の思惑の違いが決定的になったのが、昨年9月の内閣改造・党役員人事だった。

岸田を次期首相に押し上げたい安倍は、幹事長を二階俊博から岸田に交代させるつもりだった。これに対して菅は「二階さんを幹事長から外せば党内をまとめることはできない」と強く反対。結局、安倍は、菅―二階連合の圧力に屈して「岸田幹事長」を断念した。この一件を明確なきっかけとして、安倍は菅と二階が一体であることを強く認識し、脅威と感じるようになった。

閣僚人事も菅の意向が色濃く反映されたものになった。菅は最側近である菅原一秀経産相に、菅を囲む中堅議員らの会を主宰する河井克行を法相に押し込んだ上、「菅派」であることを隠さなくなった小泉進次郎環境相に就任させた。党内からは「事実上の菅内閣ではないか」との声も上がった。

安倍が「次の総理は菅ちゃんでもいい」と周囲に漏らし始めたのがこの頃だった。「(妻の)昭恵がしきりに『次は菅さんがいい』と言うんだよね。森友学園の問題の時も、助けてくれたのは菅さんだったんだからと言うんだ」との言葉を聞いた関係者は少なくない。

これについて安倍側近は、「安倍総理は一貫して『後継は岸田に』と考えてきたが、菅がそれに強く反対し、幹事長の二階と連携して人事に介入してくるようになったため、菅を脅威と感じ始めていた。それゆえ、本人の耳に入るように敢えて『菅後継』を口にして、菅をなだめようとしたのではないか」と語る。つまり安倍は、昨夏の段階では、本気で「菅後継」を考えていたわけではなく、まだ岸田を諦めてはいなかったのだ。

昨年10月以降、安倍周辺の「菅脅威論」はしばらく影を潜める。9月の内閣改造から程なくして、菅が閣僚に押し込んだ菅原と河井に相次いで不祥事が発覚して引責辞任それをきっかけに菅の求心力が衰えたからだった。

安倍自身が菅を本物の脅威と感じ始めたのは、今年の3月以降だ。安倍が陣頭指揮を執った一連の新型コロナ対策が国民に不評だった上、「官邸の守護神」とも呼ばれた東京高検検事長の黒川弘務を強引な定年延長で検事総長に就けようとして批判を受けたことが重なり、内閣支持率が急落した中でのことだった。

以前から菅を警戒していた政務秘書官の今井は、全国一斉休校や全世帯マスク配布など、一連の新型コロナ対策を首相秘書官室の主導で行った。菅は後から報告を受けるというケースが相次いだのだ。

このとき菅は「全国一斉休校はやりすぎだ」と珍しく周囲に不満を漏らしただけではない。「一斉休校が決定したことを、首相が発表する当日の午後になってから聞かされた」と国会の場で明らかにした。

過去にも安倍と菅の意見が対立する局面は幾度もあったが、菅がその内情までも明かすことはなかった。不満を強めていた菅は、内情を暴露することであからさまに安倍をけん制したのだ。

そして、大きな転機が4月中旬に訪れた。新型コロナ対策として「一定額以上の減収世帯への30万円給付」を主導した政調会長の岸田に対し、幹事長の二階が公明党を巻き込んで、閣議決定まで終わっていた予算案を撤回させるという前代未聞の荒業を見せつけた。

当初の案は、安倍が振り付けて「岸田主導」を演出したものだった。それが全面撤回を余儀なくされたことで、岸田の面目が丸つぶれになっただけではない。安倍自身が当事者能力を失っていることを白日の下に晒すことになったのだ。

表面的には、公明党代表山口那津男が安倍に強く迫って予算案を撤回させた形になったが、二階が公明党に同調しなければ実現しなかったことは明らかだ。

菅は、創価学会選挙対策を一手に担う副会長の佐藤浩と極めて親密な関係を築いている。この「事件」も、当初案に学会員から強い不満が噴出していることを聞きつけた菅が、二階にその情報を吹き込んだことが発端だと考えれば合点がいく。

安倍を「菅支持」へと追い込む決定打が、「菅・二階連合が石破擁立」との「フェイク情報」だった。

安倍が「30万円給付」の閣議決定撤回に追い込まれた4月頃から、菅は親しい永田町関係者に、「ポスト安倍の総裁選で、石破を担ぐことも有力な選択肢」との考えを示すようになる。

それに先立つ1月末には、菅が石破派会長代行の元農水相山本有二とホテルで会食。その席で、山本から次の総裁選で石破を支援するよう要請を受けた菅は「任期が終わるまでは安倍さんを支えます」と支援に含みを残す返事をした。

この会食の内容を報じる記事が朝日新聞に掲載されたのは、ひと月以上が経った3月半ばのことだった。これをきっかけに「菅が石破を担ぐ」との噂が流れ始め、菅自身も親しい記者らにその可能性を自ら語るようになった。これも、安倍の耳に入ることを前提に菅が意図的に漏らしていたのだ。

そもそも、安倍が石破を毛嫌いしていることを熟知していながら、石破側近の山本と秘密裏に会食していたのだ。菅は当初から、山本との会談の事実が安倍に漏れ伝わることを前提にしていたのだろう。

「菅氏をあまり追い詰めると、秋の内閣改造で閣外に出て、二階幹事長と一緒に石破支援に回る恐れがある」。この頃、周囲がこう安倍に進言すると、安倍は「分かっている。最近は菅ちゃんと話をする機会を増やしている」と応じた。菅の思惑通り、菅と石破の接近情報は安倍の耳に入り、安倍は疑心暗鬼に陥っていた。

5月の大型連休明けには、「石破首相―小池百合子官房長官―菅幹事長で話がまとまっている」との怪情報も永田町を駆け巡った。発信源は、国対委員長森山裕とも、森山が所属する石原派の前会長・山﨑拓とも言われた。

6月に入ると「菅後継」に向けた安倍包囲網はほぼ完成する。

まずは二階だ。6月8日、石破から9月に予定している派閥の資金パーティーの講師を頼まれるとその場で快諾。その上で石破を「さらに高みを目指して欲しい期待の星の一人だ」と持ち上げたのだ。永田町に波紋が広がり、マスコミは「二階幹事長は石破氏を担ぐことも選択肢に入れている」などと書き立てた。

だが、これは二階一流の「見せ球」だった。総裁選で菅が選出された直後、二階側近は「幹事長には石破を担ぐ選択肢など初めからなかった」と記者団に打ち明けている。

一方、ほぼ同時期に菅は、自らの秘書官に「一度すべての役職から降りたほうがいいと思っている」と秋の内閣改造を機に官房長官を退任する考えを漏らした。その傍ら、閣外に出るべきだと勧める親しい永田町関係者には「私には安倍内閣を作った『製造物責任』があるからなあ」と退任を迷っているかのような言葉も吐いている。

これらの言葉は報道されることはなかったが、安倍の耳には届き、「菅は二階と連携して本当に石破を担ぐのか」と疑心暗鬼にさせる効果を十分すぎるほどもたらした。

この一連の情報戦は、二階と菅の見事な連係プレーだった。コロナ禍で多くの国民が苦しんでいる中、菅は権力奪取に向けたゲームに精力を傾けていたのだ。

こうした中、安倍は6月だけで8回も麻生太郎と会談した。政権が窮地に追い込まれた時、安倍は必ず麻生に相談を持ち掛ける。

ともに首相経験者を祖父に持つ政界エリートとして、2人は深い信頼関係にある。かつて森友・加計学園問題で安倍が窮地に立たされた際、「麻生氏は首相再登板を狙い、裏で安倍政権の足を引っ張っている」との情報が側近たちから寄せられたが、安倍は「麻生さんは後ろから鉄砲を撃つようなマネは絶対にしない」と語り、その信頼は全く揺るがなかった。

一連の会談の話題は、支持率低下で求心力が失われた政権の立て直しと「ポスト安倍」だった。

後者に関しては、2人とも岸田の支持率が全く上がらないことに苛立っていた。この頃、各種世論調査の「次の首相にふさわしい政治家」で、環境相小泉進次郎の人気が下がるのと反比例するかのように石破支持がさらに増加。一方の岸田は、政調会長として新型コロナ対策で脚光を浴びるはずが逆に深い傷を負い、支持は低迷したままで、石破に4倍もの差を付けられていた。

このまま岸田を担いで総裁選に臨んでも、菅・二階連合が石破を担ぐ動きを見せる中、安倍が実質的に掌握する細田派と麻生派の両方から一定の造反者が出れば、石破に敗北するかもしれないとの現実が2人に重くのしかかっていた。しかも派閥が空中分解すれば、2人とも今の役職を離れた途端に「過去の人」となる。実際、細田派でも麻生派でも、岸田を担ぐことへの疑問の声は少なくなかった。

麻生と会談を重ねる安倍は、この時点ですでに「このままでは石破が本当に次期首相になりかねない」「それを阻止するためには、菅という選択肢しかない」と本気で考え始めていた。だが麻生は「菅後継」には同意しなかった。

この7年余、消費税率引き上げや衆院選の時期などを巡り、菅と対立してきたからだけではない。先述したように、菅は麻生の地元の福岡でも、裏で足を引っ張ってきたのだ。容易に許せる相手ではなかった。

その麻生の望みは、党則を再び改正して安倍を来年以降も続投させることだった。そのため、麻生は安倍に対し、早期に解散・総選挙を行うことで局面打開を図るよう繰り返し進言し、安倍も「やれるときにはやる」と応じていた。

だが、衆院解散による巻き返しは「絵に描いた餅」だった。内閣支持率は不支持が支持を大きく上回ったままで反転材料はなく、新型コロナも収束する見通しは立たない。何より、安倍に解散するだけの気力が失われかけていた。2人が何度会っても結論は出ないままだった。

この時期、安倍は初当選以来の盟友である少子化担当相・衛藤晟一とも、何度か政権の立て直しについて協議した。2人は「現状では、今秋に解散すれば大敗北しかねない」との見方で一致していた。衛藤はまず、維新と国民民主党を連立政権に引き込む「疑似大連立」で局面転換を図るべきだと進言したが、安倍は力なく相槌を打つだけだった。

一方、菅は早期解散を警戒していた。既に風前の灯火となっていた「岸田首相」だったが、安倍が解散して単独過半数を獲得すれば安倍の求心力が回復し、同時に岸田も復活する可能性が出てくるからだ。

それゆえ菅は、7月にTBSのCS番組の収録で今秋の解散の可能性について問われると「新型コロナの問題がこのような状況では難しい」と明確に否定。その後も同様の発言を繰り返した。

解散は首相の専権事項であり、官房長官といえども言及しないことが永田町の暗黙のルールだ。今井ら安倍側近たちは「何様のつもりだ。菅は総理の解散権を縛るのか」と憤った。

7月に入り、安倍の体調に異変が生じる。持病の潰瘍性大腸炎の再発だった。すでに菅・二階連合によって追い詰められていた安倍は、体力だけでなく気力をも喪失し、最終的に「菅を後継にせざるを得ない」との考えを固めた。

内閣支持率に回復の兆しは見えず、解散総選挙のチャンスが巡ってくる見通しは立たなかった。八方塞がりとなった安倍に、もはや選択肢は残されていなかった。

そもそも岸田の擁立構想は、かつて第1次政権の際、真っ先に退陣要求を安倍に突きつけ、第2次政権発足後も安倍の政権運営にケチをつけ続けた石破の総裁就任を阻止するためのものだった。それなのに、岸田を担いで石破に負ければ元も子もない。

それに石破政権が誕生すれば、「桜を見る会」をはじめとする政権のスキャンダルが蒸し返される恐れもある。石破政権を何としても阻止するには、自分も菅に乗るしかない――安倍は一人でそう決断した。

7月後半、安倍は官邸で菅とサシで向き合った。「本当にやる気であれば応援します」と安倍が言うと、菅は「お願いします」と即答した。政治エリートの安倍が、叩き上げの菅・二階連合に膝を屈した瞬間だった。

そもそも今回の政局は、いずれも祖父の代から国会議員という政界エリート家庭の出である「安倍・麻生・岸田」と、地方議員からの叩き上げの「菅・二階・森山」の対決だった。叩き上げの議員が減った今の政界で「政局偏差値」が突出して高い3人の「叩き上げ連合」に、名家の出で人がいい3人が敗れるのは、必然だったのかもしれない。

菅政権は本人も驚く高支持率でスタートした。だが、不本意ながら「菅支持」へと追い込まれた安倍や麻生に、本気で菅を支えようという気構えなどあろうはずがない。

岸田が石破を3倍以上も上回る議員票を獲得したのは、「菅支持」のはずの細田派や麻生派から20~30票が上積みされたからだ。最も熱心に岸田票の上積みに心を砕いたのは、安倍の本心を汲んで動いた元首相の森喜朗だった。

総裁選の告示前、「総理の本心は岸田さんだと皆分かっています。総理が岸田支援の『天の声』を出してくれれば、岸田でまとめます」と安倍に迫った細田派の幹部に対し、安倍は「どのみち次の政権は短命になる。岸田さんは『次の次』に温存しておく方がいい」と返した。

負け惜しみとも受け取れる言葉だが、安倍が菅を長く首相の座に留めたくはないという意思表示とも受け取れる。

かつて菅は自ら「私には国家観というものがない。しょせん地方議員上がりですから、安倍さんとは違いますよ」と周辺に語っていた。安倍や麻生には、そもそもそうした男がこの国の舵取りを担うことへの嫌悪もあるのだろう。

権謀術数の限りを尽くして権力の座を得た菅の周囲には、怨嗟が渦を巻いていることは間違いない。果たして菅は、それを乗り越えて本格政権を打ち立てることができるのか。その答えが出るのは、それほど先の話ではない。

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連続する解散総選挙の中で、政界再編が行なわれ、二大政党制が定着していく。

参議院議員河井案里被告(47)は、夫で元法務大臣の克行被告(57)とともに去年の参議院選挙をめぐって公職選挙法の買収の罪に問われ、無罪を主張しています。

河井元大臣が弁護士を解任し、裁判が開けなくなったことを受けて、案里議員の裁判は分離されて開かれていますが、案里議員の起訴内容とは関連性の低い証人尋問が続いたため、前回の裁判で裁判長が検察に対し、証人尋問を絞り込むよう求めていました。

1日の裁判で検察は、地元議員や陣営関係者ら5人を改めて証人として採用するよう求めました。

証人尋問はこれまでに13人が終わり、すでに決まっていたものを含めると、証人の人数は合わせて20人程度となる可能性が出てきました。

検察は河井元大臣とともに審理していた当初は、139人の証人を申請していましたが、これと比べると大幅に減って審理が早まる見通しです。

裁判所は2日の裁判で検察が求めた証人尋問を行うか、判断を示すことにしています。

#法律

菅総理大臣は、1日午前、議員会館にある安倍・前総理大臣の事務所を訪れおよそ10分間、会談しました。

この中で、菅総理大臣は、「外交については安倍政権の路線の上に、さらに発展させていきたい」と述べ、就任以来、アメリカのトランプ大統領やロシアのプーチン大統領など各国首脳と重ねた電話会談の内容を報告しました。

また、就任後初めての外国訪問として、今月中旬にもベトナムインドネシアを訪れる方向で調整を進めていることなどを説明しました。

これに対し、安倍氏は、「急なバトンタッチの中、よくやってもらっていて感謝したい」と応じました。

菅総理大臣は、このあと、総理大臣官邸で記者団に対し、「一連の外国首脳との電話会談を終え、『晋三は元気か』と病状を心配する首脳もいたので、電話会談の内容を報告した」と述べました。

菅総理大臣が安倍氏と個別に会談するのは、総理大臣就任以降、初めてです。

自民党杉田水脈衆議院議員は、先週開かれた党の会合で、性犯罪などをめぐって、「女性はいくらでもうそをつける」と発言したとされましたが、これまで杉田氏本人は否定していました。

こうした中、杉田氏は、1日午後、みずからのブログを更新し、「改めて当時の私の発言を精査したところ、指摘されている発言があったことを確認した。事実と違っていたことをおわびする」として、発言を認めました。
そのうえで、「女性を蔑視する意図はまったくない。女性であれ、男性であれ、暴力や性犯罪は、さまざまな方法で撲滅していくべきだと考えている。ただ、指摘されている発言で、女性のみがうそをつくかのような印象を与え、不快な思いをさせてしまった方にはおわび申し上げる」と陳謝しました。

この問題をめぐっては、下村政務調査会長が30日、発言の真意が正確に伝わるよう丁寧な説明が必要だとして、杉田氏を口頭で注意しています。

東京都は、1日午後3時時点の速報値で都内で新たに235人新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

1日の感染の確認は、29日が212人、30日が194人と、1日までの3日間は200人前後で推移しています。

これで都内で感染が確認されたのはあわせて2万5973人になりました。

新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、政府は、アメリカとイギリスの製薬会社と開発に成功した場合に供給を受けることでそれぞれ基本合意しているほか、別のアメリカの企業とも供給を受ける方向で交渉を進めていて、来年前半からの接種開始を目指しています。

厚生労働省は、感染の防止を図るためにはワクチンが確保でき次第速やかに接種を進める必要があるとして、希望する人が無料で接種を受けられるよう、自己負担を求めない方針を固めました。

今年度の予備費を活用し、必要な財政措置を講じる方向で調整を進めることにしています。

厚生労働省は、接種の開始に向けて基本方針の策定を進めていて、まだ結論が出ていないワクチンを接種する優先順位などについて、検討を急ぐことにしています。

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#政界再編・二大政党制