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北朝鮮南西部にあるケソン工業団地には、韓国企業120社余りが進出し、北朝鮮の労働者およそ5万5000人が働いていましたが、北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射を受けて、2016年の2月10日に当時のパク・クネ(朴槿恵)政権が制裁措置として操業を中断しました。

韓国のムン・ジェイン政権は、南北の経済協力に意欲を示していて、操業中断から5年になるのを前に統一省は9日、「操業再開を議論できる日が早く来ることを希望している」としました。また、工業団地に進出している韓国企業の代表らが9日、ソウルの大統領府の前に集まり、操業の再開を求めました。

ただ、操業再開に向けてはアメリカの理解が不可欠で、北朝鮮の非核化に進展が見られず国際的な制裁が続く中、理解を得るのは難しいと指摘されています。

さらに北朝鮮は去年6月、ケソン工業団地にあった南北の共同連絡事務所を爆破し、その後も工業団地をめぐって具体的な態度を示しておらず、操業再開の見通しはたっていません。

これは、北朝鮮に対する制裁の実施状況を調べている国連安全保障理事会の専門家パネルがまとめた年次報告書で明らかになりました。

それによりますと、北朝鮮は去年までの2年間に暗号資産の交換所にサイバー攻撃をしかける手口でおよそ3億1640万ドル、日本円で330億円以上を不正に入手したとみられるということで、報告書では、北朝鮮がこうした資金を核とミサイル開発に充てている疑いがあるとしています。

暗号資産については、おととしの報告書でも秘密工作を担当する「偵察総局」の指揮下にあるハッカー集団が大規模なサイバー攻撃を仕掛けた疑いがあると指摘されていて、北朝鮮の主要な資金調達の手段になっているとみられています。

報告書はこのほか、北朝鮮が去年、2隻の船舶を並べて洋上で積み荷を移し替える瀬取り」の手口で、制裁で定められた年間の輸入上限を数倍上回る石油精製品を不正に輸入した疑いがあるとしていて、北朝鮮の不正な資金調達をいかに防ぐかが依然として課題になっています。

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