w存在論としての漱石論(11) (本稿は、『月刊日本』連載中の『江藤淳とその時代(3) 』の下書きです。完成稿は『月刊日本』でお読みください。) 前にも書いたが、私は、小さ頃は、「文学」も「読書」も「図書館」も嫌いであった - 山崎行太郎公式ブログ『 毒蛇山荘日記(続)』 https://t.co/PV7448xAOW
— 山崎行太郎。『月刊日本』に『 江藤淳とその時代』を連載中。 (@yamazakikoutaro) March 16, 2021
前にも書いたが、私は、小さ頃は、「文学」も「読書」も「図書館」も嫌いであった。嫌いというより、激しく軽蔑し、むしろ憎悪さえしていた。私は、その屈折した自分の心理構造がよく分からなかったが、高校時代、遅ればせながら、大江健三郎や小林秀雄やドストエフスキーなどを読むようになって、ぼんやり分かってきた。私は、「文学」や「読書」などが嫌いなのではなく 、ニセモノの文学やニセモノの読書が嫌いだったのだ、と。たとえば、私は、大宰治や太宰治フアンが嫌いだった。現在でいえば、私は、村上春樹や村上春樹フアンが大嫌いである。そういう状態にあった頃、私は江藤淳を読むようになった。江藤淳の文章も文体も、私には、心地よかった。たとえば、江藤淳は、この問題を的確に、『 夏目漱石』論で、書いている。
《 文学青年という人種が軽蔑されるのも、結局は、現実にありもしない亡霊を信仰しているからであって、健康な生活人の感覚が自然にそのようなからくりに反発を覚えるのである。》(江藤淳『 夏目漱石』)
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