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ミャンマーはクーデターの発生から5月1日で3か月がたちました。
軍による市民への弾圧で犠牲者が増え続けているうえ、軍と少数民族武装勢力との戦闘も激化していて、混乱が収束する見通しは立っていません。

クーデター以降、抗議する市民に対して、軍や警察は発砲や暴行を繰り返し、現地の人権団体によりますと、4月30日までに759人が犠牲になっています。

ASEAN東南アジア諸国連合は4月24日、首脳級会議を開き、ミャンマー軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官も出席する中で、暴力の即時停止を含めた5つの項目で合意したとして、議長声明を発表しました。

しかし、ミャンマー軍はその後、国営新聞を通じて「会議での提案は国内の状況が安定した時に慎重に検討する」と表明し、すぐには応じない姿勢をにじませています。

実際、ミャンマー国内では4月24日以降もおよそ10人が銃で撃たれるなどして死亡しています。

最大都市のヤンゴンでは4月30日、市民による抗議デモがゲリラ的に行われるなど、各地で街頭での抗議活動が再び活発化していて、軍がこれに強硬な姿勢で臨むことが懸念されています。

また、ミャンマー国内では市民に加勢する少数民族武装勢力と軍との戦闘が激しくなり、双方に死者が出ているうえ、軍による空爆で大勢の市民が避難を余儀なくされています。

軍は4月30日、国営テレビを通じて声明を出し「5月の1か月間すべての軍事作戦を停止する」と発表しました。

しかし、1か月前にも同様の声明を出したあと戦闘が続いていることから、予断を許さない状況で、混乱が収束する見通しは立っていません。

2月のクーデターからおよそ1か月後に離反したミャンマー軍の元大尉が、オンラインでNHKのインタビューに応じました。

この元大尉は「クーデターを起こし、その後、市民を敵と見なして弾圧することまで、軍は用意周到に計画を立て準備をしていた。軍はこの計画を着実に進めているだけだ」と話しています。

そして「私はこの計画に基づいた命令に従うことができなかったので、軍を離れた」と話したうえで、軍からの離反者はさらに増えるだろうと指摘しました。

ミャンマー情勢をめぐっては、ASEANが先週、ミャンマー軍のトップも出席した首脳級会議をインドネシアで開き、暴力の即時停止を含めた5つの項目で合意したとする議長声明を発表しました。

これを受けて安保理は30日、オンラインによる会合を非公開で開き、ASEANの議長国 ブルネイのエルワン外相や、首脳級会議に合わせて現地入りしミャンマー軍のトップとも会談した国連のバーグナー特使が報告を行いました。

会合の詳しい内容は明らかになっていませんが、安保理議長国のベトナムは、すべてのメンバー国が一致した内容とする報道機関向けの談話を発表しました。

談話はASEANの議長声明を歓迎するとしたうえで「建設的な対話を通じた平和的な解決に向けて、速やかに合意事項を実行に移すよう求める」としています。

安保理は、事態の打開に向けたASEANの取り組みに期待を示した形ですが、市民への弾圧を止めるための具体的な手だては打ち出せずにいます。

UNDP=国連開発計画は、ミャンマー新型コロナウイルスの感染拡大と軍によるクーデターが社会や経済に与える影響に関する報告書をまとめ、来年初めまでには貧困率が人口の半分近くまで上昇するおそれがあるとして、国際社会に支援を求めています。

4月30日に公表された報告書によりますと、新型ウイルスの感染拡大による外出制限や入国制限などによって、小売業や農業、それに水産業など幅広い業種で収入が悪化しているとしています。

そして、ことし2月に軍がクーデターを起こしたあと、新型ウイルスで打撃を受けた経済に対する支援策が十分取られていないことなどから、経済の悪化が加速したと指摘しています。

UNDPは、この状況が続いた場合、来年初めまでにおよそ1200万人が貧困に陥るおそれがあるとしています。

これにより、2017年には24.8%と改善傾向にあったミャンマー貧困率が、人口の半分近くにまで上昇するおそれがあるとしています。

報告書は「国際的な支援はミャンマーの安泰にとって重要だ」として、各国に支援を求めています。

軍のクーデターによる混乱は、民主化の進展に伴う、外国企業の投資拡大の恩恵を受けてきたミャンマー経済に深刻な打撃を与えています。

ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれ、400社以上の日系企業が進出していますが、クーデターの影響で外国からの投資は冷え込み、物流や金融サービスも滞っています。

さらに、軍や警察が市民への発砲を繰り返すなど、治安上の不安も高まり、現地の日系企業の間では、工場の稼働を停止する動きが相次いでいます。

日系企業が数多く進出するティラワ経済特区では、自動車メーカーの「スズキ」が2月8日以降、操業を停止し、鉄鋼大手の「JFE」も操業をとめています。

また、「トヨタ自動車」は、新工場が、ことし2月に稼働を始める計画でしたが、今も稼働できていません。

取材班が現地を訪れた際も、資材や製品を運ぶトラックが行き交う姿は見られず、多くの工場で、人の姿はまばらでした。

事態の改善が見えないことから、現地の駐在員を帰国させる日系企業が増えています。

日系企業で働き、自宅待機が続いているミャンマー人の男性は「クーデターによって、経済は悪化の一途をたどっている。私たちができることは何もありません」と話していました。

こうした混乱を受けて、アジア開発銀行は、ミャンマーのことし9月末までの1年間の経済成長率が、マイナス9.8%に落ち込むという見通しを示していて、高い成長が続いてきたミャンマー経済が、クーデターによって暗転しています。

ミャンマーに進出する外国企業の間では、治安上の不安に加えて、軍に協力的だと見なされ、人権上の観点から批判を受けるリスクも高まっています。

ミャンマーでは、軍の幹部が支配する大手複合企業などが経済面で強い影響力を持っているとされ、その収益が軍の資金源になっているとも言われています。

市民の間では、クーデターをきっかけに、軍と関係する企業への批判が高まって、商品の不買運動が広がっているうえ、こうした企業とビジネスを手がける外国企業にも厳しい目が向けられています。
日系企業では、大手ビールメーカーの「キリンホールディングス」が軍の幹部が支配する大手複合企業と合弁事業を行っていますが、クーデターを受けて提携を解消する方針を発表し、協議を続けています。

しかし、提携解消にはまだ至っておらず、キリンの株主で世界最大の政府系ファンドを運営するノルウェー中央銀行からは、株式を手放す可能性があるリストに追加されました。

背景には、欧米の投資家や人権団体を中心に、企業が人権を守っているかをチェックする姿勢が強まっていることがあります。
最大都市ヤンゴンで、日系のゼネコンや官民ファンドなどが現地企業と合弁で手がける、オフィスや商業施設が入る複合施設の開発事業についても、国際的な人権団体が、軍との関わりが疑われると指摘しています。

人権団体は、この施設の建設地が軍事博物館の跡地であり、賃料の支払いが、軍への資金提供につながっているおそれがあるとして、国連人権高等弁務官事務所に調査を要請しました。

こうした指摘について、事業を進める日系企業は「合弁相手の企業が建設予定の土地をミャンマー政府の一機関である国防省から借りているが、最終的な受益者は国防省ではなく、ミャンマー政府だと認識している」と取材に対してコメントしています。

日系企業の間では、軍が経済に深く関わるミャンマーでビジネスを続けることが、人権を軽視しているという指摘につながりかねないという懸念も出ていて、ミャンマーでの事業にどう向き合っていくかが問われています。

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