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皇太子時代から15年間、陛下を見続けてきた記者として、まず衝撃を受けたのは、「側近に拝察させる」という、その「陛下らしからぬ行動」だった。

 しかし、宮内庁長官が自分の一存で勝手に陛下の思いを語ることは常識的にあり得ない。合意の上で「お気持ち」の発露を実現させたことは疑う余地がない。慎重で遠慮深い陛下が、「長官の口」を使ってまで自らの意思を示すという極めて政治的な行動を取ったと考えるしかなかった。

関係者はみな、気さくで飾らず表裏がない人柄と話す。策を巡らすような政治性からはほど遠いと思っていただけに、今回の発言には驚かされた。

 長官の発言が個人の見解による自分の一存だったのかそうでなかったのかは、結局、長官と陛下以外に誰も断言することはできないだろう。しかし、たとえ一存による個人的見解だったとしても、推察された陛下の「お気持ち」が、社会に影響を与えたことに変わりはない。

 五輪開催の是非をめぐり国論が二分されているとも言える中、「お気持ち」は、どちらかの陣営から政治的に利用される恐れがある。宮内庁長官による拝察という「間接話法」であっても、残念ながら、天皇の政治への不干渉という大原則が破られたと批判されてしかるべきだと思う。

 陛下も長官も、真意はあくまで「気持ちを示しておく」という点にあり、「開催中止」を希望していたとは思えない。開会まで約1カ月に迫ったこの時期に、陛下の思いで事態が変わったら、それこそ政治関与との非難は避けられない。感染拡大を全力で防ぐよう政府にメッセージを送る意味合いもあっただろう。長官会見は2週に1度と決まっている。発言は慎重にタイミングを計って行われたように思える。

 天皇は「国と国民統合の象徴」であり、憲法が「国政に関する権能を有しない」と規定するため、政治的発言や政治への干渉が禁じられる。また憲法には、天皇は「国事行為のみ」を行い、その行為は「内閣の助言と承認を必要とする」とも書かれている。したがって「天皇は黙って内閣に従うのが筋である」との主張にも理がある。

 しかし、私たちが、ほとんどの人権を制限してまで天皇を「象徴」として国の高みに置き、幼少からの「仁徳の涵養」を強いている以上、その「良心」は尊重されるべきだと思う。そうでなければ、生身の人間としてあまりに気の毒だとも思う。

憲法上の立場は重々承知の上で「拝察発言」にならざるを得なかったことを、誰よりも残念に思っているのは陛下自身なのではあるまいか。

 一方で、天皇の言動に過剰とも言える反応を示す国民の側にも課題がある。内閣は国会で多数を占める与党で組織され、与党の議員は選挙で選ばれているのだから、内閣は民意を反映している。天皇の思いがその内閣を飛び越えて、政府のコロナ対策への「満たされない民意」を代弁してしまうことを歓迎するのは、民主主義国家として健全とは言えない。

 拝察発言の反響は大きく、天皇の持つ圧倒的な存在感と言葉の影響力を見せつけられた。インターネット上には「陛下の御心をお察しして即刻五輪は中止せよ」「勅命が下された」などといった物騒な書き込みもあった。

 天皇の意思によって政治が動かされれば、明らかな憲法違反である。「よくぞ言ってくださった」などと無条件にありがたがり、世間に一種の「熱狂」が広がるのは不気味でもある。それよりも、人としての良心をコロナ禍でどう実現していくのか、一人一人が考えて実践することが求められていると思う。

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五箇条の御誓文 - Wikipedia

一 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ

一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ

一 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス

由利案ではこの条文は第一条に置かれ最重視されていた。由利は後の著書「英雄観」で「庶民をして各志を遂げ人心をして倦まざらしむべしとは、治国の要道であって、古今東西の善政は悉くこの一言に帰着するのである。みよ、立憲政じゃというても、あるいは名君の仁政じゃといっても、要はこれに他ならぬのである。」と述べている。

この条文は、もともとの由利の意図では庶民の社会生活の充足をうたったものであったが、福岡が政治の意味を込めて「官武一途」の語を挿入したため、条文の主旨が不明瞭になったことが指摘されている(稲田正次)。

一 旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ

総じて、「天地の公道」(木戸当初案では「宇内の通義」)とは、普遍的な宇宙の摂理に基づく人の道を指しているものと解される。

一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ

福岡はこの条文を「従来の鎖国的陋習を打破して広く世界の長を採り之を集めて大成するの趣旨である」と回顧している。

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