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アフガニスタンでは、治安を担ってきたアメリカ軍が今月末までに撤退を進める中、反政府武装勢力タリバンが攻勢を強め、15日までに34ある州都のうち9割余りにあたる31を支配下に置き、さらに、首都カブールに進攻しました。

地元メディアなどは、タリバンが中心部にある大統領府や政府庁舎を制圧したと伝えました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラが、大統領府に入ったタリバンの戦闘員たちを撮影したとする映像では自動小銃を手にした男たちが大統領府の執務室や会議室とみられる部屋に集まっている様子が映し出されています。

こうした中、日本時間の16日朝早くになって、タリバンのナンバー・ツーのバラダル師がビデオ声明を出し、政府に対する勝利を宣言しました。

一方、ガニ大統領はアフガニスタンから出国し、政権が事実上崩壊しました。

ガニ大統領は、フェイスブックに「流血の事態を避けるため出国することが最善だと考えた」と投稿したうえで、「タリバンが勝利した」という認識を示しました。

タリバンは、今後の政権作りを主導することになるとみられ、政府とタリバンとの停戦の行方も焦点となります。

首都カブールで取材活動を続けているジャーナリストのアブドゥル・ハフィーズさんがNHKのインタビューに応じ、現在のカブールの状況を語りました。

ハフィーズさんは「カブールはいま無政府状態で秩序もなく、店などに盗みに入る人たちも出てきている。また、タリバンのメンバーが家々の扉をノックして住民の仕事などを聞いて回っている。市民はいま恐怖の中にいる」と話しました。

そして「今後、誰が政権をとるのかわからず、安全が維持されるのかどうかが人々のいちばんの関心事だ。市内を見渡してみても怖くて誰も外に出ておらず、みんな自分の命と家族のことだけを考えている」と話していました。

一方市内にある国際空港には、脱出を試みているとみられる人々が殺到しています。
15日から16日にかけて撮影された現地からの映像には、大勢の人が航空機が駐機している薄暗い滑走路の中を足早に進んでいく様子が確認できます。

また、トルコの最大都市、イスタンブールに向かう機内では何人もの人が手荷物をもって狭い通路を行き交うなど混乱した様子がうかがえます。

アフガニスタン情勢をめぐり国連の安全保障理事会は、日本時間の16日、緊急の会合を開いて対応を協議することになりました。

緊急会合は、非常任理事国エストニアノルウェーの要請を受けて開かれることになり、冒頭、グテーレス事務総長が人道危機の懸念が高まっている現地の状況を報告する予定です。

アフガニスタンをめぐって国連は、グテーレス事務総長が先週、臨時の会見で「軍事力で権力を握っても内戦の長期化や完全な孤立を招くだけだ」と述べるなど、武力によって樹立した政府は認めないという姿勢を示してきました。

タリバンが攻勢を強め事態が大きく変わる中、安保理が緊急会合などを通じて国際社会に一致した姿勢を示すことができるのかが焦点です。

アフガニスタンの政権が事実上、崩壊したことについて、アメリカのバイデン政権はこれまでのところ公式な反応を出していません。

バイデン大統領は週末をワシントン郊外のキャンプ・デービッド山荘で過ごしていて、ホワイトハウスはバイデン大統領が15日の朝、NSC国家安全保障会議の高官からアフガニスタンの最新の状況について説明を受けたとする写真をツイッターに投稿しました。

また、ブリンケン国務長官は15日午前、ABCテレビなど主要ネットワークの番組に相次いで出演し、反政府武装勢力タリバンが首都カブールに迫っていることについてアフガニスタン軍は自国を守ることができず、それはわれわれの予想を上回る速さで起きた」と述べて、見通しが甘かったことを認めました。

一方で、番組の司会者から1975年当時、ベトナム戦争アメリカが支援する南ベトナムの首都サイゴンが陥落したときの状況に似ていると指摘されると「そのときと状況ははっきりと違う。われわれは同時多発テロ事件の責任を問うという唯一の任務を果たすため、20年前からアフガニスタンに入っているがその任務は成功した」と反論しました。

そのうえで「われわれが政権に就いたときタリバンは2001年以降でもっとも強力だった」とし、「現地に残っている部隊を撤退させると決めたのは前の政権であり、それを引き継いだバイデン大統領は難しい決断を迫られた」と述べ、バイデン大統領の決断に問題はなかったと主張しました。

ガニ大統領はアフガニスタンで多数派を占めるパシュトゥン人で、アメリカの大学で教べんをとったあと、世界銀行に入り、各国の開発事業に携わりました。

2001年の同時多発テロ事件を受けたアメリカ主導の軍事作戦でタリバン政権が崩壊すると、ガニ氏は帰国し、カルザイ前大統領の顧問や財務相を務めました。

2014年に大統領に就任してからは反政府武装勢力タリバンとの間で和平の糸口を探りましたが、タリバンが強硬な姿勢を変えなかったことから対決姿勢を強めました。

しかし、その後もタリバンによるテロや襲撃を防ぐことができず、多くの国民の批判にさらされたほか、政権内部でも異なる民族出身の実力者とのあつれきが深まり、政権運営は厳しさを増していました。

タリバンは旧ソビエト軍撤退後の内戦で国内が疲弊していたさなかの1994年にアフガニスタン南部で結成されました。

タリバンとはイスラム教を学ぶ「神学生」という意味で、隣国パキスタンイスラム神学校で教育を受けた学生たちが「真のイスラム国家の樹立」を掲げて結成しました。

勢力を急速に拡大しながら、2年後の1996年には首都カブールを制圧して政権を樹立し、国土のほとんどを支配下に置きました。イスラム教を極端に厳しく解釈した政策をとり、女性の就労や教育を制限したほか2001年には偶像崇拝イスラム教の教えに反する」として世界的な仏教遺跡であるバーミヤンの大仏を爆破し、国際的な批判を浴びました。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件では首謀者である国際テロ組織アルカイダオサマ・ビンラディン容疑者の身柄の引き渡しを拒否したため、アメリカ軍などがアフガニスタンへの軍事作戦に踏み切り、タリバン政権は崩壊しました。

しかし、政権崩壊後、タリバンの一部の勢力は拠点のあった南部カンダハルを中心に態勢を立て直したり、隣国パキスタンとの国境地帯に潜伏したりして戦闘能力を増強しました。そして、2014年にアフガニスタンに駐留する国際部隊の大部分が撤退したのをきっかけに、その隙を突くように勢力を盛り返し、テロや襲撃を繰り返すようになりました。

その一方で、タリバンは2013年に中東カタールの首都ドーハに対外的な窓口となる事務所を開設し、アフガニスタンの和平に向けて当時のアメリカのオバマ政権と水面下で接触を続けたほか、2018年からはトランプ政権と和平交渉に向けた協議を行い、2020年2月、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍の完全撤退を含む和平合意に署名しました。

和平合意を受けてアメリカ軍がことし4月末から撤退を始める中タリバンアフガニスタン各地で攻勢を強めて支配地域を拡大し首都カブールに進攻しました。

日本政府は、アメリカが軍事作戦を始めた2001年以降、これまでにアフガニスタンへの復興支援として治安や農業、インフラ整備、それに保健・教育などを重点分野に合わせて7049億円を拠出しています。
資金額ではアメリカやイギリス、ドイツとともに主要な支援国の一つです。

ことしは、▽警察の治安能力の向上のために82億円、▽帰還民・国内避難民の支援に5億5000万円、▽麻薬取締官の研修などを通じた麻薬対策に2億5000万円余りを拠出しています。

また去年は、新型コロナウイルス対策としてマスクや人工呼吸器などの医療物資を提供するために9億5800万円を拠出しています。

アメリカ史上、最も長い戦争」とも言われるアフガニスタンでの軍事作戦は20年前のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに始まりました。

2001年9月11日に起きた事件を受けて当時のブッシュ政権は国際テロ組織「アルカイダ」を率いるオサマ・ビンラディン容疑者を事件の首謀者と断定。アメリカ側はアフガニスタンの当時のタリバン政権に対してビンラディン容疑者の身柄の引き渡しを要求しましたが、タリバン側が拒否したため軍事作戦に踏み切り、タリバン政権を崩壊させました。

しかし、政権崩壊後、タリバンは隣国パキスタンとの国境地帯に潜伏するなどして戦闘能力を増強して勢力を盛り返し、テロや襲撃を繰り返すようになります。これに対応するためアメリカ軍は現地に展開する部隊の規模を増強し、ピーク時には10万人規模の部隊が駐留していました。

その後、アメリカ側は2011年にビンラディン容疑者を殺害したことや戦費の削減を求めるアメリカ議会などの声を受け、段階的に現地の部隊の規模縮小を進めます。

さらに2017年に就任したトランプ前大統領アフガニスタンからの撤退を目指してタリバン側と和平交渉を続け、去年2月に初めての和平合意に署名しました。アメリカ政府とタリバンの和平合意ではアフガニスタンに駐留するアメリカ軍などが合意から14か月以内に完全撤退することが盛り込まれ、ことし5月1日までという撤退の期限が示されました。

ただ現地では和平合意以降も戦闘やテロが相次ぎ、ことし1月に発足したバイデン政権は期限を4か月余り延期して同時多発テロから20年となることし9月11日までに完全撤退させると決めました。さらに先月、バイデン政権は現地のアフガニスタン政府軍には十分な力が備わっているなどとして完全撤退の時期を今月末とする方針を発表しました。

バイデン政権の高官はアフガニスタンから部隊を完全撤退させる背景について、軍事的な活動を活発化させる中国に対抗するため人員や資源を再配置する戦略の一環でもあるとの認識を示しています。また戦闘の長期化によって戦費や派遣された兵士の数も積み上がり、アメリカ国内の世論が「戦争疲れ」に傾いていったこともバイデン大統領の決定を後押ししたものとみられます。

ただアメリカ軍の撤退に伴って現地の治安情勢は急速に悪化しており、撤退を急ぐバイデン政権の対応に懸念の声が上がっています。

アメリカのブリンケン国務長官は15日、アメリカ・ABCテレビとのインタビューで、首都カブールにあるアメリカ大使館の職員を市内にある国際空港へ移動させていることを明らかにしました。

そのうえでブリンケン長官は「外交活動は維持する」と述べ、大使館を閉鎖するわけではないと強調しました。

アフガニスタンの情勢が緊迫化する中、日本政府は現地の大使館職員を国外に退避させることになりました。事態の急速な悪化を踏まえ、ほかの日本人とともに、アメリカ政府が使用している航空機での退避も検討しています。

アフガニスタンでは各地を制圧した反政府武装勢力タリバンが首都カブールに部隊を進め、政府に対し政権の移行を迫るなど、情勢が緊迫化しています。
こうした状況を受けて、日本政府は現地の大使館職員10数人を国外に退避させることを決め、職員らはすでに大使館などを離れたということです。

また日本政府は現在も現地にとどまっている日本人に対し、やむを得ない事情を除いて速やかに退避するよう呼びかけていて、事態の急速な悪化を踏まえ、大使館職員とともに、アメリカ政府が自国民の退避に使用している航空機に搭乗することも検討しています。

外務省幹部はタリバンの攻勢は予想以上の早さだと話していて、引き続き現地の状況を注視するととともに、各国と連携し今後の対応を検討するものとみられます。

イギリスのジョンソン首相は15日、メディアの取材に対し、アフガニスタンにまもなく新たな政権ができるとしたうえで「各国には個別にタリバン政権を承認してもらいたくない。同じ考えの国々が一致して対応することが必要だ」と述べ、性急にタリバン政権を認めるべきではないという考えを示しました。

そして、「われわれが一致して対応すれば、アフガニスタンがテロの温床になるのを防ぐためにあらゆる手を尽くすことができる」と述べました。

また、ジョンソン首相は、カブール駐在のイギリスの大使が市内にある国際空港でイギリス人の退避のため職務を続けていると明らかにしました。

イギリス人の退避のために派遣されたイギリス軍の部隊はすでにカブールに到着し、活動を始めているということです。

ドイツ政府はアフガニスタンの治安情勢が急激に悪化しているとして、15日、首都カブールにある大使館を閉じたと発表しました。

ドイツのマース外相は15日、記者会見を行い、大使館の職員はカブールの国際空港の安全な場所に移動したと述べたうえで、15日のうちに退避を始めると明らかにしました。

ただ、一部の職員は現地に残り、退避の支援にあたるとしています。

フランスの大統領府と外務省は15日、それぞれ声明を発表し、カブールにあるフランス大使館の機能を急きょ市内にある国際空港の近くに移しアフガニスタンに残るフランス人の退避に力を尽くしていることを明らかにしました。

声明のなかで、ルドリアン外相は「数時間以内にUAEアラブ首長国連邦フランス軍を展開し、アフガニスタンからUAEの首都アブダビへの退避を開始できるようにする」としています。

NATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は15日、ツイッターに投稿し、アフガニスタン情勢をめぐって、イギリスのジョンソン首相のほかカナダ、デンマーク、オランダの外相と相次いで協議したことを明らかにしたうえで「退避が進むよう、NATOはカブールの空港の機能の維持を支援している」としています。

首都カブールにあるロシア大使館の外交当局者は15日、ロシア国営のタス通信に対して「カブールの状況はやや緊張しているが、軍事衝突は起きていない。大使館に脅威は迫っておらず職員を退避させる必要はない」と話しています。

また、ロシアのプーチン大統領は15日、アフガニスタンと国境を接する中央アジアウズベキスタンのミルジヨエフ大統領と電話で会談しました。

ロシア大統領府によりますと、この中で両首脳は、アフガニスタン情勢をめぐって連携を強化していくことを確認したということです。

ウズベキスタンなどアフガニスタンと国境を接する中央アジアの国々は、国境周辺が不安定化すれば、テロリストが自国に流れ込むなど影響が及ぶのではないかと懸念を強めています。

こうした中、ロシアは、今月上旬に中央アジアウズベキスタンタジキスタンと合同で軍事演習を行っていて、この地域での影響力を一層強めようとしています。

トルコのチャウシュオール外相は15日、記者団に対して、アフガニスタンの首都カブールにある大使館の業務を継続する方針を明らかにしました。

トルコはアフガニスタンに軍を駐留させていて、反政府武装勢力タリバンは先月、トルコ軍の撤退を強く求めましたが、エルドアン大統領は対話をしていく姿勢を示していました。

アフガニスタン情勢が緊迫するなか、隣国イランの政府高官は15日、アフガニスタンから逃れてくる人々の一時避難先として国境を接する東部の3つの州にキャンプを設けたことを明らかにしました。

イランの国営通信は、アフガニスタンと国境を接する南東部シスタン・バルチスタン州にアフガニスタン政府軍の兵士がこれまでに多数、逃れてきたと伝えています。

ただ、イラン内務省の高官は、軍の関係者であればアフガニスタン側に引き渡すことになるとしているほか、市民であってもアフガニスタンの状況が改善すれば本国に戻ってもらうとしています。

長年にわたり難民を受け入れてきたイランには難民として登録されていない人も含めて、アフガニスタンから逃れてきた人がおよそ300万人いるとされていて、イラン政府としてはアメリカの制裁で経済が苦境に陥る中、隣国から多くの難民が押し寄せることを警戒しているものとみられます。

また、イラン外務省の報道官は、15日、コメントを発表し、アフガニスタンの首都カブールにある大使館について、一部の職員をイランに帰国させるものの、大使館の業務は継続する考えを示しました。

アメリカでは15日、現地に駐留するアメリカ軍部隊の撤退を進めたバイデン政権に抗議するデモが行われました。

ワシントンのホワイトハウス前には、アメリカに暮らすアフガニスタン人など数百人が集まり、アフガニスタンの国旗を掲げながら、「バイデン大統領はわれわれを裏切った」と声を上げていました。

また、かつてタリバンアフガニスタンの政権を握っていた当時、イスラム教を極端に厳しく解釈した政策をとり、女性の権利を制限してきたことから、「アフガニスタンの女性を守れ」などと書かれたプラカードを掲げる女性の姿も見られました。

アフガニスタンの和平協議を巡り、仲介役を担ってきた中東カタールの政府は15日、声明を発表しアフガニスタンでの平和的な政権の移行を呼びかけました。

仲介役を担ってきたカタール政府が政権の移行を促した背景には、アフガニスタンの現政権の存続はもはや困難だという認識があるものとみられます。

2014年にノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは15日、「私たちは反政府武装タリバンアフガニスタンを支配するのを大きな衝撃をもって見ている。女性やマイノリティー、人権を擁護する人たちのことがとても心配だ」とツイッターに投稿しました。

マララさんは女性が教育を受ける権利を訴えていた15歳の時に、女性の教育を否定するイスラム過激派の男たちに銃で頭を撃たれ、一時、意識不明の重体となりました。

タリバンは、アフガニスタンの政権を握っていた2001年までの5年間、イスラム教を極端に厳しく解釈した政策をとり、女性の就労や教育を禁止するなどしたため、タリバンが政権をとると、再び自由が制限されるのではないかという懸念の声が出ています。

アフガニスタンは米軍撤退とタリバンの猛攻により、9.11以来の大転換を迎えている。

タリバンの大攻勢は米軍撤退だけでなく、これを食い止めるべきアフガニスタン政府・軍の無気力・無力によっても加速してきた。

・さらに、タリバンが経済的に自立したことで、外部から影響を受けにくくなったことも、大攻勢につながっている。

 タリバン兵の総数はおよそ6万人、それに協力する民兵を含めても20万人程度と推計され、アフガニスタン軍の30万人より少ないと見積もられている。

 それにもかかわらず、なぜタリバンはアフガン全土を掌中に収めつつあるのか。そこには大きく3つの理由がある。

 第一に、アメリカ撤退による勢いだ。

 昨年3月、当時のトランプ政権はタリバンとの間で和平合意を締結した。ここでは戦闘停止、タリバンが国家再建についてアフガニスタン政府と交渉することなどの条件と引き換えに、米軍の撤退が約束された。

 2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件とそれを契機としたアフガニスタン侵攻の後、米軍はアフガニスタンの政府・軍を支援しながら、タリバン掃討作戦を続けてきた。しかし、地方に根を張ったタリバンのテロ攻撃に手を焼いた米軍は、結局撤退に追い込まれたのである。

 これはタリバンにとって事実上の勝利だ。そればかりか、「テロリストとは交渉しない」と言い張り続けてきたアメリカがタリバンと対等の交渉に臨んだことは、「タリバンはテロリストではない」とアメリカが認めたことにもなる。

 これに拍車をかけたのが、第2の理由である「アフガニスタン政府・軍の無気力・無力」だ。

 アメリカの撤退はアフガニスタン政府・軍からすれば「見捨てられた」に等しい。だからこそ、アフガン政府はタリバンアメリカの交渉そのものに反対し続けただけでなく、国家再建についてタリバンと交渉することにも消極的だった。

 政府だけではない。アメリカがこれまで数十億ドルの武器・装備を提供してきたアフガニスタン軍の兵士のほとんどは、汚職にまみれた体制の末端公務員に過ぎないため、モラルも士気も低く、タリバンとまともに戦おうともしない。

 そして第三に、タリバンがもはや誰にも遠慮しなくなりつつあることだ。

 もともとタリバンは1979年からのアフガニスタン内戦で発生した多くの難民が、隣国パキスタン内で訓練を受けて誕生したといわれる。つまり、アフガニスタンに勢力を伸ばしたいパキスタン政府が、その手駒としてタリバンを育成したとみられるのだ(パキスタン政府はこれを否定しているが)。


 そのため、今回の猛攻に関しても、反タリバン派の間では「パキスタンタリバンを通じて攻撃してきた」という見方が支配的だ。

 ただし、パキスタン政府とタリバンの深い関係は確かとしても、アメリカ撤退に合わせてタリバンアフガニスタンを一気に掌握することは、パキスタン政府にとっても負担が大きい。戦闘の拡大で生まれる難民の多くはパキスタンが引き受けることになるからだ。

 むしろ、タリバンが平和的に権力を握る方が、パキスタンにとってはメリットが大きい。だからこそ、パキスタン政府は昨年以来、タリバンに対して再三、アフガニスタン政府と交渉に臨むよう求めてきた。

 しかし、それでもタリバンの猛攻が全く収まる気配のないことは、パキスタン政府の影響力がかつてほど強くないことをうかがわせる。その最大の要因は、タリバンが経済的に自立してきたことにあるとみられる。

アフガニスタンでは、現地で20年近くにわたって軍事作戦を続けてきたアメリカ軍が今月末までの撤退を進める中、反政府武装勢力タリバンが攻勢を強め、15日までに国内のほぼすべての州都を支配下に置いたほか、首都カブールに進攻し、大統領府や政府庁舎を制圧しました。

タリバンは、日本時間の16日朝早く声明を出し、政府に対する勝利を宣言したほか、ガニ大統領も自身のフェイスブックで出国したことを認め、政権は事実上、崩壊しました。

これまでのところ、カブール市内では、大規模な戦闘などは伝えられていませんが、現地のジャーナリストによりますと、店舗などでの略奪も起きているということで、治安の悪化が懸念されています。

カブールの国際空港には、出国を試みる人たちが殺到し、駐機場にまで人があふれるなど、混乱が生じています。

こうした中、アメリカ政府は15日、日本やイギリスなど60か国余りと共同声明を発表しました。

声明では、タリバンを念頭にアフガニスタン全土におよぶ権力を持つ者は、人命と財産を保護し、治安と秩序を速やかに回復させる責任がある」として、アフガニスタン人や外国人が国外に安全に退避できるよう求めています。

そのうえでアフガニスタンの人たちは安全と尊厳が保たれた状態で生活ができなければならない」として、今後の政権運営にあたって、女性の人権の確保などを求めています。

タリバン側は、AP通信の取材に対し、政権の樹立に向けて数日以内にほかの勢力と協議を始めることを示唆していますが、タリバンかつてのように厳格なイスラム法に基づいた政権運営を進めるのではないかという警戒感も国際社会に広がっています。

アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンが首都カブールに進攻し、政権が事実上崩壊したことを受け、アメリカのバイデン政権はこれまで現地の大使館職員などを国外に退避させるために派遣するとしていた部隊をさらに1000人増強し、6000人規模の部隊で退避を加速させると発表しました。

アメリ国務省国防総省は15日、合同で声明を発表し、今後48時間以内にアフガニスタンの首都カブールにある国際空港におよそ1000人の部隊を追加で派遣し、現地の部隊を6000人規模に拡大することを明らかにしました。

派遣された部隊は空港の管制業務を引き継ぎ、アフガニスタンに暮らす数千人のアメリカ人と、アメリカ軍に通訳などとして協力してきた現地の関係者とその家族の国外への退避計画を加速させるとしています。

国務省によりますと、すでにアメリカ大使館の職員は全員、カブールの国際空港に避難したということです。

これに先立ちブリンケン国務長官「われわれの作戦を妨害するいかなる試みや部隊への攻撃に対し、強くきぜんとした対応をとる」と述べ、関係者の退避を妨害しないよう、タリバンに強く警告しました。

バイデン政権は、現地の大使館職員の退避のために前日の14日に追加の部隊の派遣を発表したばかりですが、政権が事実上崩壊したことで、さらなる対応に追われています。

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