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日銀は、ことし7月の金融政策決定会合で民間の銀行などが行う気候変動対応の投資や融資を支援するため、金利ゼロ%で貸し付ける新たな資金供給策の骨子案を決めました。

28日に公表された会合の議事要旨によりますと、1人の委員は「中央銀行が直接介入して気候変動対応を進めると、金融システムにさまざまなゆがみが生じる可能性がある」と述べ、具体的な投融資については銀行などの判断に委ねることで、そうした影響を避けられると指摘していました。

また、別の委員からは「一定の開示を求めることで規律を働かせる仕組みとすることは重要だ」として、各銀行などが気候変動対応に位置づける投融資の基準などについて、情報の開示を求める意見が示されていました。

一方、会合では景気の現状について、複数の委員から、飲食や宿泊といった対面型サービス業と製造業などで回復に差が生じ、「経済の二極化が進行している」との見解が示されたほか、1人の委員からは外出や移動などの自粛要請が続いている中では、ワクチン接種が進んでもすぐには経済活動の拡大につながらない可能性があると指摘されていました。

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#日銀#金融政策決定会合

黒田総裁の在任期間は28日で3115日となり、戦後のインフレ抑制などに大きな役割を果たした一萬田尚登・元総裁と並び、歴代で最長となりました。

2013年3月に就任した黒田総裁は、2%の物価上昇率の目標を2年程度で実現するとして、国債などの買い入れを大幅に増やし、市場に大量の資金を供給する大規模な金融緩和策を打ち出しました。

「黒田バズーカ」とも呼ばれたこの政策によって一気に円安や株高が進みました。

さらに、2016年1月には日銀史上初めてとなる「マイナス金利政策」を導入するなど、形を変えながら8年半にわたって大規模な金融緩和を続けています。

しかし、2%の物価目標は達成できておらず、超低金利を受けた金融機関の収益圧迫や、日銀による国債の大量買い入れで国の財政規律が失われるなどといった金融緩和の長期化による「副作用」も指摘されています。

在任期間が歴代最長になることに関連して、黒田総裁は22日の記者会見で「非常に大幅な金融緩和を粘り強く続けていなければ、経済成長率や物価上昇率はさらに低く、雇用もこれほど拡大していなかった。金融政策の運営は正しかった」と述べました。

黒田総裁の任期は再来年の4月までですが、日銀によると任期中に物価上昇率は2%の目標には届かない見通しで、残り1年半の任期中に目標達成に向けてどのような道筋を示すのか課題となります。

黒田総裁の就任から8年半、日銀は2%の物価目標を実現しようと「異次元」とも呼ばれる大規模な金融緩和を続けてきました。

2013年3月に就任した黒田総裁は、2%の物価目標を2年程度で実現するとして、国債などの買い入れを大幅に増やし、市場に大量の資金を供給する政策を打ち出しました。

この「黒田バズーカ」と呼ばれた政策によって、一気に円安・株高が進み、それまでマイナスで推移していた消費者物価指数の上昇率はプラスに転じました。

しかし、2%の物価上昇には至らず、2016年1月、日銀史上初めてとなる「マイナス金利政策」の導入に踏み切ります。

金融機関から預かっている当座預金の一部に、マイナスの金利を適用するもので、世の中に出回るお金の量を増やすねらいがありましたが、金融機関の収益や資産運用などが圧迫されるなどの「副作用」を指摘する声が次第に強まっていきました。

こうした中、日銀は2016年9月、大規模な金融緩和を継続しつつ、政策運営の軸足を「量」から「金利」に移します。

短期金利をマイナスにしたうえで、長期金利をゼロ%程度に抑えるという金融政策を導入し、この枠組みをいまも継続しています。

2018年4月、2期目に入った黒田総裁は、繰り返し先延ばししてきた2%の物価目標の達成時期を示すのをやめ、大規模な金融緩和は長期化していきます。

去年以降は、新型コロナウイルスの影響を受けた経済を下支えするため、国債や複数の株式をまとめてつくる、ETF=上場投資信託などの買い入れの上限を一段と引き上げています。

しかし、日銀がことし7月に公表した経済と物価の最新の見通しでは、2022年度の物価上昇率はプラス0.9%、2023年度はプラス1.0%にとどまり、黒田総裁の任期中に2%の物価目標を達成するのは困難な状況になっています。

黒田総裁のもとでの8年半に及ぶ大規模な金融緩和の長期化で、さまざまな「副作用」も指摘されています。

金利が極めて低い状況が続く影響で、企業などへの融資でのいわゆる「利ざや」が縮小し、金融機関の収益が圧迫されています。

また、日銀が保有する国債の残高はことし8月末時点で、536兆円と全体のおよそ4割を占めるまでになっています。

日銀が市場から大量の国債を買い入れることで国の財政規律が失われるという批判もあります。

さらに、日銀は多くの株式を集めてつくる、ETF=上場投資信託も買い入れていますが、保有するETFの額はことし3月末時点で、51兆円余りと、東証1部に上場する株式の時価総額のおよそ7%に上り、市場の価格形成をゆがめているという指摘もあります。

こうした副作用を抑えるため、日銀はことし3月に金融緩和策の「点検」を行って各種の施策の見直しを決めましたが、金融政策は一段と複雑化したという指摘も出ています。

また、日銀が保有する国債ETFなどが膨れ上がることについては、大規模な金融緩和を縮小していくいわゆる「出口政策」の際に、金融市場に及ぼす影響が大きくなるという懸念も出ています。

これまでの黒田総裁の金融政策について、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「就任後に市場の予想を上回る大胆な金融緩和策を実行したことで、極端な円高・株安が是正されて、日本経済を活性化した」と指摘しています。

そのうえで「金融政策の手段には日銀に独立性があるかもしれないが、アベノミクスのもとで政府と日銀が一体となって、2%の物価目標の実現という共通のターゲットに向けて、経済政策を連携して運営してきたのが大きな特徴だった」と述べました。

残る1年半の任期での課題について永濱氏は「一般国民からすれば物価上昇2%という目標は実感を持ちづらいので、例えば賃金の上昇率や雇用の最大化をターゲットにするなど、金融政策の目標を柔軟にする工夫を模索するべきかもしれない」と指摘しました。

日銀の理事として金融政策にも関わった、みずほリサーチ&テクノロジーズの門間一夫エグゼクティブエコノミストは、黒田総裁の大規模な金融緩和はデフレからの脱却に一定の効果を果たしたと評価したうえで「2%の物価上昇という最大の目標は、金融政策だけで実現することは難しく、金融緩和に限界があることを証明した8年だった」と指摘しています。

そして「当初は積極的に金融緩和を拡大し目標達成を目指したが、後半の5年間は副作用への配慮が政策の中心となっていった」と分析しています。

今後の課題について門間氏は「株価は好転し企業の収益も上がったが、景気の回復のためには賃金を上げて家計の所得にまわすことが大事になってくるので、より広い議論が必要だろう」と述べ、経済成長や賃金上昇に向けて日銀の金融政策だけでなく政府や企業による取り組みも進めていく必要性を指摘しました。

黒田総裁の在任期間が歴代最長となったことについて、麻生副総理兼財務大臣は、閣議のあとの記者会見で「これまで努力をしていただき大変感謝している」と述べました。

また、日銀が目標に掲げてきた2%の物価上昇率が達成できていないことについては「日本では消費者の需要が増えないと物価上昇率が上がることは期待できない。金融政策だけでは限界があるといった意見もあり、金融と財政の両方でやっていかねばならない」と述べ、政府と日銀が連携して取り組んでいく姿勢を示しました。

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#アベノミクス#リフレ#金融政策