タリバン復権半年 女子教育再開せず 国際社会批判強める #nhk_news https://t.co/3wUoqhABEw
— NHKニュース (@nhk_news) 2022年2月19日
アフガニスタンでは半年前の去年8月15日、タリバンが首都カブールを制圧し、その後、暫定政権を発足させました。
タリバンは、日本の中学校と高校にあたる中等教育の学校で、男女別学などタリバンの解釈によるイスラムの教えに沿った環境が整っていないとして、女子生徒に自宅待機を命じ、ほとんどの学校で女子生徒が登校できなくなりました。
こうしたアフガニスタンの女子生徒のために、隣国イランの動画配信会社は授業の動画を無料で配信するサービスを始め、2000人近くが利用しているということです。
また、カブールの公立学校に勤めていた女性教師は、親戚の家などタリバンの目が届かない場所に25人の教え子を集め、無料で授業を続けています。
この女性教師は「世界には宇宙を旅する人がいるのに、アフガニスタンでは生徒が学校にも通えず、みじめな気持ちになる。勉強したい子を置き去りにはできない」と話していました。
女子の中等教育について、タリバンの暫定政権の教育省は来月(3月)下旬にも再開する見通しを示しているものの、実行できるかどうかは不透明な状況で、国際社会は批判を強めています。
アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンの暫定政権で、女子教育を担当する教育相代行がNHKの単独インタビューに応じ、タリバンの復権以降、日本の中学校と高校にあたる中等学校のほとんどで女子生徒が自宅待機を命じられて登校できなくなり、国際社会から批判されていることについて「誰の指図も受けない」と反発しました。
タリバンの暫定政権が、男女が同じ場所で学ぶのはイスラムの教えに反するというみずからの解釈を示したことからアフガニスタンでは日本の中学校と高校にあたる中等学校のほとんどで女子生徒は登校できなくなり、国際社会から批判されています。
これについてタリバンの暫定政権のヌールッラ・ムニール教育相代行は17日、首都カブールでNHKの単独インタビューに応じ「アフガニスタンは独立した国家であり、われわれは女子教育の再開について、誰の指図も受けない」と反発しました。
一方「中等学校で、女子の教育が再開できないのは、宗教的、文化的な問題があるからだ。新しい規則を作り、上層部の許可を待っている」と述べ、男女別学などの環境を整えたあと、中等学校への女子の登校を認める意向も示しました。
アフガニスタンではタリバンの復権に伴い、公立の大学や、都市部を除くほとんどの中等学校が、閉鎖されていましたが、このうち公立大学の一部は今月2日から授業が再開されました。
タリバンは、中等学校についても来月下旬には再開する方針を示しているものの、教師の給与の未払い問題など課題が山積しており、実行できるかどうかは不透明な状況です。
アフガニスタンの首都カブールでは、教え子を、タリバンの目が届かない場所に集め、授業を続ける教師がいます。
この教師は女性で、カブールの中等学校で女子のクラスを受け持っていましたが、去年8月以降、教え子が自宅待機を命じられ、自身も出勤停止の状態が続いています。
教え子に学習の機会を提供し続けようと、当局の許可がないいわゆる「地下授業」を去年9月から始めました。
「地下授業」は1週間のうち6日間、親戚の家などで授業料をとらずに、行われています。
25人の教え子は黒板も机もない部屋でじゅうたんに座り、ノートを取っていました。
教師は、近所の人には「女子に裁縫を教えている」と説明し、タリバンに気付かれないよう細心の注意を払っているということです。
教え子の1人は2年前、難民として暮らしていた隣国パキスタンから戻り、タリバンの復権以前は日本の高校3年にあたるクラスで学んでいました。
この生徒は「家族は授業を受けることに賛成していますが、今のアフガニスタンでは、女性が安全に勉強したり外出したりできないので、全面的な賛成ではない。将来、弁護士になりたいので、授業は役に立っている。しかし、タリバンの暫定政権が女性の就業を認めるかどうか分からず、将来は楽観できない」と話していました。
教師は「世界には宇宙を旅する人がいるのに、アフガニスタンでは生徒が学校にも通えず、みじめな気持ちになる。学校は人間の背骨のようなもので、教育がなければ、この国からはパイロットも医者も技術者も生まれない。たとえ暫定政権が学校を再開させなくても、私には生徒を教える責務があり、ここで授業を続ける」と決意を語りました。
アフガニスタンの隣国イランでは、大手の動画配信会社が、学校に通えなくなったアフガニスタンの生徒のために授業の動画を無料で配信するサービスを始めました。
動画のことばはイランで話されるペルシャ語ですが、アフガニスタンの公用語の1つダリ語に近いことから、理解できる生徒が多いということです。
首都カブールに住む18歳の女子生徒は学校に通えなくなり、勉強の遅れを感じていたところ、インターネットでこのサービスを知りました。
将来、医師を目指す女子生徒は、定期的に友達と動画を視聴するようになり、この日は物理の動画を再生し、ノートを取っていました。
この生徒は「タリバンの復権以降、どのように勉強したらよいか悩んでいたときに、イランのサイトがオンライン授業を提供していることを知った。今の私たちにはオンライン授業以外の選択肢はない」と残念そうに話していました。
また、別の16歳の女子生徒は「学校が始まったときに取り残されたくないので、自宅学習は続けようと思う。しかし、先生が教えてくれ、わからなかったら質問もできる学校と比べて、1人で勉強するのはとても大変だ」と話していました。
この会社では、現在、算数や科学、英語など1400を超える動画を配信し、イランでおよそ7万人、アフガニスタンでは2000人近くが利用しているということです。
創業者のメフディ・シャクリモガッダム氏は「アフガニスタンで政権が変わったあと、教育を受けることができない学生がいると知り、このサービスを思いついた。イランはアフガニスタンの隣国で、友人でもあり、現地の経済状況を考慮して無料で提供することにした」と話していました。
イスラム主義勢力のタリバンは、イスラムの教えにみずからの解釈を加え、国際社会からは「女性の権利を抑圧している」と批判されています。
教育についてタリバンは「女性の教育はイスラムの教えの範囲内で行われる」としていますが、実際は、日本の中学校と高校にあたる中等教育の学校のほとんどで女子生徒は自宅待機を命じられ、登校できなくなりました。
また高等教育についても、暫定政権の高等教育省が大学での男女共学を認めない方針を示した上、女子学生には頭髪を覆うスカーフなどの着用を求めました。
また就労についても、国営放送の女性キャスターが出社を拒否されたり、多くの政府機関で女性の職員が勤務できないといった、タリバン復権の影響が出ていて、今後、女性の職業の選択範囲がさらにせばまることにならないか懸念されています。
さらにタリバンは、女性が顔や体を隠すことができないスポーツを行うことを認めない考えを示したほか70キロ以上離れた場所に外出する時には男性の近親者が同伴するよう勧告しました。
タリバン指導部の中には、女性の人権について柔軟な姿勢を示すメンバーもいるものの、国際社会からは「女性の権利を抑圧している」と批判されています。
#南アジア