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岸田総理大臣は19日、WHOのテドロス事務局長とおよそ25分間、電話で会談しました。

この中で両氏は、今月22日からWHOのことしの年次総会が始まることを踏まえ、今後の新型コロナ対策やWHOの財政の在り方などについて意見を交わし、連携を一層強化していく方針で一致しました。

また岸田総理大臣は、WHOの次期事務局長選挙でテドロス氏の再選を支持する方針を伝えたほか、台湾の年次総会へのオブザーバー参加を支持する日本の立場を伝えました。

一方、テドロス事務局長は、すべての人に質のよい保健・医療サービスを提供する「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の推進が新型コロナ対策などに有益だと指摘し、両氏は関連する組織の日本への設立に向けて検討を進める作業チームを設置する方針を確認しました。

外務大臣は日本を訪れているIAEAのグロッシ事務局長と会談し、IAEAがロシアに一時占拠されるなどしたウクライナ原発の安全確保を支援していることなどをめぐって意見を交わしました。

このあと、林外務大臣はグロッシ事務局長とともに記者発表を行い「ロシアによるウクライナへの攻撃は原子力施設にも及び、決して許されない暴挙だ。グロッシ事務局長が原子力施設の安全や核セキュリティの確保のために全力を注いでいることに敬意を表する」と述べました。

そのうえで、日本としてもIAEAによる現地への専門家の派遣や機材の供与といった取り組みをサポートするため、200万ユーロ、日本円でおよそ2億7000万円の財政支援を行う方針を明らかにしました。
これに対し、グロッシ事務局長は「原発の事故があってはならず、それを防ぐための重要な仕事を日本に支援してもらい大変ありがたい」と謝意を示しました。

鈴木財務大臣や日銀の黒田総裁が出席してドイツ西部のボン近郊で開かれているG7の財務相中央銀行総裁会議は、日本時間の19日、1日目の討議が行われ、ウクライナのシュミハリ首相やマルチェンコ財務相もオンラインで参加しました。

まず、ロシアによる軍事侵攻への対応などをめぐり、鈴木財務大臣は「ロシアの侵略行為は国際社会の根幹を揺るがすものであり断じて容認できない。ウクライナに対する全面的な支援と連帯が必要だ」と述べたうえで、日本として世界銀行との協調融資を3億ドルから6億ドルに倍増し、ウクライナが教育や医療などの公共サービスを維持できるよう来月までに迅速に実施する方針を表明しました。

また会議では、ロシアに対する経済制裁について、引き続きG7が足並みをそろえ圧力を強めていくことを確認しました。

G7は日本時間の20日も新型コロナや気候変動への対応などをめぐって協議を行い、議論の成果を声明として取りまとめることにしています。

バイデン大統領は19日昼すぎ、日本時間の20日午前1時すぎ、最初の訪問国、韓国に向けて専用機で首都ワシントン近郊のアメリカ軍基地を出発しました。

バイデン大統領は20日午後に韓国に到着し、21日にはユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と初めての首脳会談を行う予定です。

22日からは日本を訪れ、岸田総理大臣と首脳会談を行うほか、日米両国にオーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み、クアッドの首脳会合に出席することになっています。

また、日本滞在中、地域での影響力を増す中国への対抗を念頭においたIPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた協議の開始も表明する見通しです。

今回の訪問についてホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は「インド太平洋という重要な地域でアメリカのリーダーシップを発揮する極めて重要なときだ」としています。

バイデン大統領が日本、韓国を訪問するのは就任後初めてで、ウクライナ情勢をめぐって対応を迫られる中でも、中国を念頭にインド太平洋地域への関与を深める姿勢に変わりはないことを強調したい考えです。

アメリカの歴代の大統領は1974年に、現職の大統領として初めて日本を訪れたフォード大統領以降、在任中に少なくとも1度は日本を訪れています。

レーガン

1983年に来日したレーガン大統領は中曽根総理大臣と「ロン」「ヤス」と愛称で呼び合う間柄でした。

レーガン大統領を東京 日の出町の別荘「日の出山荘」で中曽根氏がもてなし、ほら貝を吹く姿も話題になりました。

ジョージ・H・W・ブッシュ

ジョージ・H・W・ブッシュ大統領は1992年、宮沢総理大臣との会談で自動車の貿易やコメの市場開放など、日米の貿易摩擦の解消について議論しました。

晩さん会ではブッシュ大統領が体調を崩し、会場で倒れる場面もありました。

クリントン

現職の大統領としては最も多い5回の来日を果たしたのがクリントン大統領です。

クリントン大統領は1996年の来日で、橋本総理大臣と冷戦終結後も日米の安全保障体制が地域の安定の基礎だとする共同宣言を発表しました。

また、宣言では沖縄県に集中しているアメリカ軍基地について整理・縮小に取り組むとし、クリントン大統領は4年後の2000年、九州・沖縄サミットに出席するため沖縄の本土復帰以降、アメリカの大統領として初めて沖縄を訪れました。

クリントン大統領は公式行事の合間を縫って、シークレットサービスを引き連れて皇居周辺などをジョギングする姿も話題になりました。

ジョージ・W・ブッシュ

2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件をきっかけに「テロとの戦い」を掲げ、アフガニスタンでの軍事作戦やイラク戦争に乗り出したジョージ・W・ブッシュ大統領は小泉総理大臣と親しい関係を築きました。

2002年に来日した際には「テロとの戦い」で協力を求めたのに対して、小泉氏は「日本は常にアメリカと共にある」と応じ、緊密に連携する考えを示しました。

その後の来日でもブッシュ大統領と小泉氏は自衛隊派遣を含むイラクの復興支援などについて協議しました。

オバマ

アジア重視の外交政策を掲げたオバマ大統領の最初の日本訪問は2009年。

同じ年に就任した民主党の鳩山総理大臣と会談しました。

この際、沖縄県アメリカ軍普天間基地の移設先について「最低でも県外」と述べていた鳩山氏が「トラスト・ミー=私を信頼して」と発言し、アメリカ側が沖縄県の名護市辺野古を移設先とした日米の合意通りに決着できると約束したものと受け止め、混乱が広がりました。

また、2016年5月に来日した際には現職の大統領として初めて広島を訪問し、被爆者たちを前に「われわれは核兵器のない世界を追い求めなければならない」とスピーチしました。

オバマ大統領は在任中、4回、日本を訪問していて、2014年の来日の際には、安倍総理大臣がオバマ大統領を東京 銀座のすし店に招き個人的な信頼関係の構築に努めました。

トランプ

そして、アメリカ第一主義を掲げたトランプ大統領

初めての来日となった2017年11月は安倍総理大臣と首脳会談を行い、北朝鮮への対応について話し合ったほか、両国の経済対話の枠組みなどについて意見を交わしました。

また、令和初の国賓としての訪問となった2019年5月の来日では、外国の元首として初めて、この年即位された天皇皇后両陛下と会見しました。

またトランプ大統領安倍氏は訪日の際、共通の趣味であるゴルフを楽しみ親交を深めています。

バイデン大統領が今回初めて日本を訪問する最大のねらいは、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が続く中でもアメリカのインド太平洋地域への関与は揺るがないと明確に示すことにあります。

アメリカが軍事侵攻への対応に追われ、中国が軍事力を背景に影響力を増すインド太平洋地域への関与を「後回し」にするのではないかという懸念が関係国の間で生じているからです。

このため、バイデン大統領は今回、日本と韓国という、信頼を置く東アジアの同盟国に足を運び、強固な同盟関係や地域の安全保障への一貫した関与をアピールしたい考えです。

とりわけ、岸田総理大臣との首脳会談では、アメリカの核兵器を含む軍事力による抑止力を同盟国に提供するいわゆる「拡大抑止」が強固で十分であることを再確認することで、中国をけん制したい考えです。

バイデン政権は、ウクライナ危機を受けて、中国が軍事力で台湾統一を試みることへの懸念が台湾で強まりつつあることも認識しています。

アメリカとしては、今回の日本訪問が中国による軍事的な圧力にさらされている台湾に対するアメリカのメッセージになるとも考えています。

さらには弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮へのけん制にもつなげたい考えです。

また、バイデン大統領は24日、日米豪印4か国からなるクアッドの首脳会合にも出席し、中国を念頭に多国間の枠組みでの結束を打ち出したい考えです。

隠れたもう一つのねらいは、東南アジア諸国の取り込みです。

バイデン政権は、中国を念頭に置いたインド太平洋戦略の成否は、ASEAN東南アジア諸国連合の国々と強力な関係を築けるかにかかっていると見ています。

ところがASEAN諸国の中には、アメリカの「本気度」に対する懐疑的な見方や、経済的結び付きの強い中国との関係悪化を懸念する声が少なくありません。

このためバイデン大統領はデジタル貿易や経済安全保障の分野などで、ASEAN諸国の取り込みを図ろうと、今回、IPEF=インド太平洋経済枠組みという新たな経済連携の枠組みの立ち上げに向けた協議の開始を東京滞在中に発表したい考えです。

ただ、ASEANの中には、関税の引き下げといったメリットが感じられないとして参加に慎重な意見も出ています。

こうしたことから、ASEAN諸国の間で信頼度の高い日本の後押しを受ける形でIPEFの構想を発表することで立ち上げに向けたスタートダッシュを図りたい考えです。

今回の訪日中、IPEFの具体的な中身や何か国が参加するのかが注目されることになります。

アメリカのバイデン政権は、軍事的な活動を活発化させる中国への対応を安全保障上の最優先の課題と位置づけ、日本を含む同盟国などとの連携を強化して対抗する方針を示しています。

アメリカ国防総省はことし3月、バイデン政権としては初めてとなる「国防戦略」をまとめ、概要を公表しました。

この中で、中国を「最も重要な戦略的競争相手」と位置づけ、幅広い領域で脅威を増す中国に対応する形で国土を防衛するとしています。

そして「インド太平洋における中国の挑戦を優先し、次いでヨーロッパでのロシアの挑戦を優先する」と明記し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中でも中国への対応を最優先する姿勢を強調しました。

バイデン政権は去年8月、アフガニスタンから軍を完全撤退させたほか、12月にはイラクに駐留している部隊の戦闘任務を終了させるなど、戦力を中国への対応に振り向ける態勢づくりを進めています。

ただ、中国が軍事力を急速に増強していることを踏まえ、アメリカ単独ではなく同盟国や友好国との協力関係を強化しながら中国に対抗していく方針も繰り返し示しています。

去年9月にはイギリス、オーストラリアとの3か国による「AUKUS」と呼ばれる安全保障の枠組みを創設し、オーストラリアの原子力潜水艦の配備を技術面で支援するほか、中国がすでに実戦配備したとされる極超音速兵器の開発を共同で行うことを決めました。

そして日本についても「日米同盟はインド太平洋地域の平和と繁栄の礎だ」として、安全保障面での連携を一層強化していきたい考えを示しています。

ことし1月に行われた日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」では、海洋進出の動きを強める中国を念頭に、南西諸島などでの態勢を強化するため両国による施設の共同使用を増やしていくことで一致しました。

これを受けて両国政府は、鹿児島県にある海上自衛隊鹿屋航空基地アメリカ軍の無人機を配備する方向で検討を進めるなどアメリカ軍と自衛隊が協力を強化する動きが鮮明になっています。

協議ではまた、中国がサイバーや宇宙などの領域で軍事力を強化していると見られることも念頭に、従来の陸・海・空だけでなく、新たな領域も含めた横断的な能力の強化が重要だとして、サイバー空間での脅威に共同で対処する必要があるという認識で一致したほか、多数の小型衛星が互いに連携する「衛星コンステレーション」について議論を続けることを確認しました。

西太平洋地域では、アメリカ軍の中国軍に対する優位性が失われつつあるとも指摘されている中、今後、アメリカが日本にさらなる役割を求めてくることも予想されます。

バイデン政権はことし2月、外交政策の柱となる「インド太平洋戦略」を発表し、太平洋とインド洋沿岸の国と地域からなるインド太平洋地域について「世界のGDPの60%を占め、経済成長をけん引している。アメリカはこの地域に根ざし、同盟国や友好国とともにこの地域を強化することによってのみ、自国の利益を高めることができる」と、その重要性を強調しています。

一方で、この地域に「大きな挑戦を突きつけている」として「最大の競合国」と位置づける中国に対し、強い警戒感を示しています。

バイデン政権は「中国はインド太平洋地域に安定と繁栄をもたらしてきた人権や航行の自由などの国際法を弱体化させている」と批判したうえで「中国がこれらのルールや規範を書き換えるかどうかは、今後10年間のわれわれの努力次第だ」として日本や韓国、それにヨーロッパ諸国などの同盟国や友好国との連携を強化し、経済を含めた安全保障の面で対抗する姿勢を鮮明にしています。

ただバイデン政権は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの対応に追われ、いわば「二正面作戦」を強いられる中、この地域での影響力を増している中国を思うように抑え込めていません。

先月には中国が南太平洋のソロモン諸島と安全保障協定を締結しました。

協定の詳しい内容は明らかになっていませんが、中国が軍の部隊を常駐させるのではないかという見方が広がっています。

バイデン政権は去年、中国に対する抑止力の強化を念頭に、同盟国オーストラリアへの原子力潜水艦の配備支援を打ち出しましたが、仮に中国がオーストラリアに近いソロモン諸島に部隊を常駐させた場合、抑止力は低下するのではないかという懸念が出ています。

また、経済安全保障の面では、バイデン政権は新たな経済連携「IPEF=インド太平洋経済枠組み」の立ち上げを掲げています。

これは参加国の間で貿易上の共通ルールの設定を目指すものですが、関税の引き下げは対象になっていないためメリットが見えにくいとも指摘され、どれだけの国が参加するのかや、どこまで実効性のある枠組みにできるのかなど、見通せないのが実情です。

さらに、地域内の友好国との連携も課題です。

バイデン政権は、中国への対抗を念頭に去年、日本、オーストラリア、それにインドとの4か国による枠組み「クアッド」の首脳会合を初めて開きました。

このうちインドは、伝統的に「非同盟」と呼ばれる、特定の国との関係に偏らない外交方針をとっていて、安全保障に関わる分野での協力には慎重な姿勢を示すなど、各国の間で温度差もあります。

そして、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応も引き続き課題となっています。

バイデン政権は非核化に向け対話の再開を呼びかけていますが、アメリカ政府によりますと北朝鮮はこれに応じておらず、弾道ミサイルなどの発射を繰り返している上、7回目の核実験に向けた準備を進めていると見られ、核・ミサイル開発に歯止めをかけられていないのが現状です。

バイデン政権は、日米両国にインドとオーストラリアを加えた4か国でつくる「クアッド」の枠組みを重視しています。

背景にあるのは「最大の競合国」と位置づける中国に対抗するうえで、民主主義や法の支配といった価値観を共有する同盟国や友好国との連携を強化するという外交方針です。

このためバイデン大統領は、閣僚レベルの枠組みだったクアッドを首脳レベルに引き上げて、去年3月にオンラインの首脳会合を、9月には対面での首脳会合を初めて開き、今後は定例化して毎年開催することで合意しています。

アメリカはほかの3か国のうち、日本とオーストラリアとはそれぞれ同盟関係にあり、インドは同盟国ではないもののアメリカが関与を深めるインド太平洋地域の大国で、中国に対抗するうえでの重要なパートナーと位置づけています。

これまでの会合では、国境を接する中国との緊張の高まりを懸念するインドに配慮して、新型コロナワクチンの供給に向けた取り組みなど合意が得やすいテーマを中心に話し合われました。

クアッドの枠組みでは、新型コロナウイルスや気候変動への対策に加え、中国が強化を図っている宇宙やサイバー、それに高速・大容量の通信規格、5Gといった先端技術などの分野でも連携を深めようとしています。

また、アメリカは、従来の同盟関係や2国間関係などでは対処しきれない、インド太平洋地域全体での経済安全保障や先端技術といったさまざまな分野を包括する連携の枠組みとして重視しているとされています。

一方、クアッドはこれまでの共同声明では中国を名指しせず、インドや米中対立の先鋭化を望まない東南アジア諸国に配慮していますが、中国外務省の報道官はクアッドについて「時代遅れの冷戦思考に満ちている」と述べるなど、強く反発しています。

IPEFは、Indo-Pacific・Economic・Frameworkの頭文字をとった新たな経済連携で、「インド太平洋経済枠組み」と呼ばれています。

提唱したのは、アメリカのバイデン政権です。

アメリカはもともと、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に積極的に関わっていましたが、トランプ政権時代に交渉から離脱し、バイデン政権も労働者への配慮や議会の対立といった国内事情から協定への復帰に否定的です。

このため、TPPに代わる枠組みとして、去年、IPEFの構想を打ち出しました。

最大のねらいは影響力を強める中国への対抗です。

アメリカは、経済安全保障を強化するため、軍事転用に関わっているとする中国のハイテク企業に対する半導体の輸出禁止や、新疆ウイグル自治区で強制労働によって生産されたとみられる製品などの輸入を原則禁止するといった措置を相次いで導入しています。

アメリカとしてはインド太平洋地域でこうした共通の基準やルールを設け、各国と理念を共有していきたい考えです。

対象として挙げられている4つの柱が▽デジタルを含む貿易、▽サプライチェーン=供給網、▽クリーンエネルギー・脱炭素、インフラ、▽税制・汚職対策です。

一方で、TPPなどと違って、関税の撤廃や引き下げの交渉は行わないとしています。

しかし、IPEFの構想には課題が指摘されています。

バイデン政権はIPEFをことしの早い時期に立ち上げるとして各国と議論を重ねてきましたが、中国と経済面のつながりが深い東南アジア各国との調整が遅れ、参加する国がどこまで広がりを見せるかや、中国への対抗というねらいが十分に実現できるか見通せない面があるとされます。

東南アジアの中には、アメリカ主導のIPEFに参加すれば中国との貿易などに影響が出るおそれがあると考えたり、関税の撤廃や引き下げがないため、アメリカ向けの輸出の拡大といったメリットを得にくいと見たりする国があるとみられます。

このため、関係者によりますと、バイデン政権は、IPEFの協議に参加する条件を4つの柱すべてではなく、参加したい分野を選べるように緩和し、各国に参加を促す方針に改めているということです。

こうした中で中国は、日本や東南アジア各国などとことし1月にRCEP=地域的な包括的経済連携を発効させたほか、去年秋にはアメリカのいないTPPへの加入も申請し、アメリカを揺さぶっています。

日本が加わるこの地域での経済連携協定には、TPP=環太平洋パートナーシップ協定とRCEP=地域的な包括的経済連携があります。

4年前に発効したTPPは、日本のほか、オーストラリアやカナダなどアジア太平洋地域の11か国による経済連携協定です。

当初はアメリカも交渉に参加していましたが、トランプ政権時代に離脱。

一方で、去年、イギリスが加盟申請を行ったほか、中国と台湾なども相次いで申請しました。

また、日本や中国、韓国など東アジアを中心に15か国が参加するRCEPは、世界のGDPと人口のおよそ30%をカバーし、世界最大規模の自由貿易圏です。

TPPやRCEPでは関税の撤廃や引き下げで市場開放を進めることになっていますが、IPEFは関税の交渉は対象になっていません。

▽TPP11か国
▼締約国
日本、シンガポールニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、メキシコ
▼未締約国
ブルネイ、チリ、マレーシア

▼加入申請
イギリス、中国、台湾、エクアドル

▽RCEP15か国
▼発効
日本、ブルネイカンボジアラオスシンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランド、韓国、マレーシア
▼未発効
インドネシア、フィリピン、ミャンマー

かつてアメリ国務省でTPPの交渉などに関わったカート・トン氏は、IPEFについて、課題があるとしつつも、今の国内状況の中でバイデン政権ができる最大限の取り組みだという見方を示しました。

トン氏は「今のアメリカ国内の政治状況は貿易協定を結べるような環境にはない」と述べ、国内産業の保護を打ち出すバイデン政権の姿勢や議会の対立といった事情から、日本がアメリカに呼びかけているようなTPPへの復帰は現実的ではないと指摘しました。

そのうえで「率直に言ってIPEFはTPPほど意味のあるものではないが、今のアメリカにできる精いっぱいの取り組みだ。政治的に可能な範囲内でインド太平洋地域、特に東南アジアの経済発展に関与しようとするものだ」と述べ、関税の撤廃や引き下げを含まないといった課題があるものの、バイデン政権としては議会の承認なしにできる最大限の取り組みだという見方を示しました。

また、IPEFの柱の一つとされる強じんなサプライチェーン=供給網の構築について「友好国の間でお互いを頼れる安心感をもたらすことができる。それはTPPにもRCEPにもなく実りが期待できる協力分野になるだろう」と意義を強調しました。

一方、ウクライナ情勢への対応を迫られるアメリカが中国に十分注力できていないのではという懸念があることについては「重要な課題と喫緊の課題との間でどうバランスを取るかは常にある問題だ」と述べました。

そのうえで「価値観を共有する国々と連携して対処する問題の中で最も重要なものの一つは専制主義国家による侵略行為にどう向き合うかだ。ウクライナ情勢はアメリカのアジア政策から注意をそらすもののように見えるかもしれないが、実は同じ問題だ」述べ、ロシアによる軍事侵攻への対応は中国への対応にも通じるものだと指摘しました。

#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制

バイデン米大統領が22日からの訪日中に打ち出す新たな経済連携「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について、日本政府は参加を表明する方向で調整しているものの、経済的な実利は少ないとの冷めた見方が政府関係者の間から聞かれる。米国の環太平洋経済連携協定(TPP)復帰が見込めない中、中国包囲網の抜け穴を埋めるための次善の策だと関係者は口を揃える。

IPEFはバイデン大統領が昨年10月の東アジアサミットで表明した経済圏構想で、シンガポールや韓国などが参加検討を表明している。日本も参加する方向で調整を進めており、松野博一官房長官は18日、米国のインド太平洋地域への関与を示すものとして歓迎の意を示した。

貿易や供給網(サプライチェーン)、脱炭素などいくつかのテーマを設定し、どこに参加するかを自由に選べる形になる見込みで、米政府は多くの国が手を挙げられるようハードルを低く設定している。しかし、TPPと異なり関税引き下げによる市場開放を打ち出しておらず、巨大な米国市場にアクセスできる機会が増えるかどうか分からない経済枠組みに参加するメリットを感じる国は多くない。

米・ASEAN東南アジア諸国連合)首脳会談のためにワシントンを訪れたベトナムのファム・ミン・チン首相は11日、「関心があるが詳細を知る必要がある」と述べた。インドネシアなども参加を表明していない。

日本の経済産業省の関係者は「米国はアジアの実情について不勉強。アジア各国が乗りやすい仕組みを作らないと、上から目線で新たな枠組みを構築しても参加しない」と解説する。

<TPP脱退で恨み節>

表向きは支持する姿勢を表明した日本の政府内にも、米国の通商政策が目まぐるしく変わる状況を冷淡な目で見る向きがある。日本は対中包囲網の意味合いがあった米国主導のTPPに乗ったものの、自国第一主義を強めたトランプ政権が途中で離脱を決め、はしごを外された苦い経験がある。

岸田文雄首相に近い政府関係者は、米国主導のTPP交渉に「日本側は多大な労力を割いてきたにも関わらず米国が勝手に脱退した」と話す。

バイデン大統領は12日、ASEAN東南アジア諸国連合)首脳らとの特別会議でて総額1.5億ドル(約193億円)の支援を表明した。しかし「同時期に米国はウクライナに約400億ドル(約5.1兆円)の支援を表明しており、米国にとってアジアの優先順位は高くないとの見方を助長する可能性がある」と、テンプル大学ジャパンキャンパスジェームス・ブラウン上級准教授は指摘する。

それでも日本がIPEFに参加するのは、中国が台頭する中で米国のアジアへの関与を一段と強めるためだと、複数の政府関係者は言う。

日米安全保障条約や日米豪印4カ国の枠組みクアッドなど、安全保障面で中国をけん制する地域協力は複数あるが、経済面は米国がTPPが参加しなかったことで網に穴が空いた状態にある。本来は米国のTPP復帰という形でけん制したいところだが、バイデン政権に代わっても保護主義が続く中で実現は難しいと、日本の政府関係者はみている。

「トランプ前大統領以来の保護主義的な通商政策に対し、民主・共和両党の穏健派から懐疑的な声がある」と、外務省関係者は言う。「日本は引き続き米国にTPP復帰を求めるという立場だが、それまでのつなぎという位置づけでIPEFを歓迎する」と語る。

松野官房長官は18日の会見で、「IPEFを通じても協力を推進し、米国を含む形での地域の望ましい経済秩序の構築に向け、日米で緊密に連携して取り組んでいく」と述べた。

バイデン大統領が訪日するのは、昨年1月の就任後初めて。20日から2日間韓国を訪れ、就任間もないユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と会談した後、日本に到着する。23日に岸田文雄首相と会談するほか、24日に日米豪印首脳会合に参加する。

「米国との安保・経済関係は重要なので、バイデン訪日は日米の協力関係が改めて評価されるという意味でプラスだ」と、元自民党幹部職員で政治評論家の田村重信氏は話す。

岸田総理大臣は、フィリピンの大統領選挙で勝利したフェルディナンド・マルコス氏と電話で会談し、両国の一層の関係強化に向けて連携していくことで一致しました。

岸田総理大臣とマルコス氏の電話会談は20日午前、およそ15分間行われました。

この中で、岸田総理大臣は、マルコス氏に祝意を伝えたうえで、経済協力の枠組みや外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」などを通じてインフラ整備などの経済分野や安全保障分野で協力していく考えを伝えました。

これに対し、マルコス氏は「フィリピンにとって対日関係は極めて重要だ。今後、幅広い分野で岸田総理大臣と協力を深化させていきたい」と述べ、一層の関係強化に向けて連携していくことで一致しました。

また、岸田総理大臣は、中国や北朝鮮の動向を念頭に「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に連携していきたい」と述べ、両首脳は、地域の平和と繁栄に向けて連携していく方針を確認しました。

#東南アジア

岸田総理大臣はIAEA国際原子力機関のグロッシ事務局長と会談し、ウクライナ原子力施設の安全確保や北朝鮮の核・ミサイル活動などに対し、緊密に協力していくことで一致しました。

この中で岸田総理大臣が「ウクライナ原子力施設の安全確保に向けたIAEAの取り組みを高く評価する」と述べたのに対し、グロッシ事務局長は「多くの施設がある場所で戦闘が行われており、安全確保が極めて重要な状況だ」と指摘し、原子力施設の安全確保に向けて緊密に協力していくことで一致しました。

また、グロッシ事務局長は、ロシアに占領されているウクライナザポリージャ原子力発電所を近く訪れる考えを示しました。

一方、東京電力福島第一原子力発電所の処理水を海に放出する方針をめぐっても意見が交わされ、岸田総理大臣は「海洋放出に向けたIAEAによる科学的、客観的なレビューは、国内外の理解を得る上で大変重要な取り組みだ」と述べたのに対し、グロッシ事務局長も引き続き協力していく考えを示しました。

さらに、活発化している北朝鮮の核・ミサイル活動に対応するため、日本とIAEAで協力していく方針で一致しました。

IAEAのグロッシ事務局長は20日、都内でNHKの単独インタビューに応じ、政府と東京電力が進めている、福島第一原発にたまる処理水を基準以下に薄めて海に放出する計画について「基準にのっとって適切に進められれば、環境に悪影響を与えることはなく、福島の水産物や農産物も問題ないだろう」と述べ、みずからの見解を示しました。

一方で、処理水放出について、地元や漁業者を中心に風評被害を懸念する声が根強いことについて「地元の懸念には最大限配慮すべきだ。生活に関わる問題なので、透明性が確保されたあらゆる情報を開示するなど、政府や東京電力をはじめ関係者は誠実に向き合うことが必要だ」と話し、必要に応じてIAEAの調査団を派遣するなど引き続き協力する姿勢を示しました。

また、海洋放出について、近隣諸国の反発などがあることについて「IAEAの調査には中国や韓国などの専門家もいて、安全性の検証は極めて客観的だ」と述べました。

そのうえでグロッシ事務局長は、国内外の理解促進に向けて「処理水の海洋放出による環境影響などを把握できるよう、リアルタイムで情報発信するシステムをつくり、世界中の人々が知れるようにしたい」と述べ、処理水の放出についての最新情報を伝える新たな仕組みを設ける考えを示しました。

グロッシ事務局長は、NHKの単独インタビューの中で、北朝鮮による核実験の可能性について「私たちが入手した衛星画像は、核実験につながる過去の活動に近い重要な活動を捉えている。決定の瞬間が近づいていることを示している」と述べて、近く実施できる状況にあるという認識を明らかにしました。

北朝鮮の核実験について、アメリカのサリバン大統領補佐官は、20日からのバイデン大統領の韓国、日本訪問中にも実施に踏み切る可能性があるという見方を示しています。

また、グロッシ事務局長は「誰もこれ以上の核実験は望まない」と述べ、IAEAとして2009年から停止している北朝鮮への査察を再開する準備はできているとして、関係国による打開策に期待を示しました。

一方、グロッシ事務局長は、ロシアがウクライナに侵攻後、南東部にあるザポリージャ原子力発電所を掌握したことについて「現地には大量のウランやプルトニウムがあり、これらの記録が失われるわけにはいかない。査察やモニタリングを実施する必要がある」と述べ、査察に向けてロシア側と協議していることを明らかにしました。

グロッシ事務局長はインタビューで、北朝鮮の情勢やロシアの軍事侵攻を受けて、原子力の安全や将来性が脅かされているかという質問に対し「原子力全体としては風向きは明らかに逆の方向に変わっている。パンデミックによる不況以降、脱炭素の公約の達成のため、持続的な成長という課題に対して、原子力は非常に効率的な手段であると認識されている。万能薬ではないが、非常に効率的、経済的でクリーンなエネルギーだ」と述べ、世界的な脱炭素の潮流の中、原子力の役割は高まっているという考えを示しました。

また、日本については「日本は多くの分野で最先端の国で、核兵器を使用された唯一の経験を持つ一方、原発の事故も経験した国だ。同じような事故は二度と起こってはならない」と述べたうえで、原子力の平和利用や、次世代原子炉の開発、放射線治療の普及などの分野での役割に期待を示しました。

#反ロシア#対中露戦

出入国在留管理庁によりますと、外国人材の受け入れ拡大に向けて3年前に導入された「特定技能」の在留資格を持つ外国人は、ことし3月末時点で6万4730人と、去年の同じ時期より4万人余り増えました。

このうち、国内で「技能実習」や「留学」などの在留資格から変更した人は5万8217人と全体のおよそ90%を占めた一方、海外で「特定技能」の試験に合格するなどして入国した人は6513人にとどまっています。

国・地域別では
ベトナムが4万696人と最も多く、次いで
▽フィリピンが6251人、
インドネシアが5855人などとなっています。

分野別では
▽「飲食料品製造業」が2万2992人、
▽「農業」が8153人、
▽「介護」が7019人などとなっています。

出入国在留管理庁は「新型コロナの感染拡大で海外からの受け入れに影響が出ている時期もあったが、おおよそ一定のペースで増えている。感染状況が落ち着けば受け入れは増えていくと見込んでいる」としています。

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馬渕睦夫】ひとりがたり 移民政策 最後の●

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