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イランを訪問していたロシアのラブロフ外相は23日、首都テヘランでアブドラヒアン外相と会談しました。

この中で、両国は貿易の拡大や金融、農業、それにエネルギー分野での協力など経済的な連携を深めることで一致したということです。

共同記者会見でラブロフ外相は「アメリカや同盟国による不法な制裁が両国間の発展や交流を阻止しようとしている。この差別的な行動があるなか、両国間の去年の貿易額は増えていて、この傾向が続くよう全力を尽くす」と強調しました。

また、アブドラヒアン外相は「ロシアへの不当な制裁に反対する。われわれは制裁を無効にするための重要な合意ができていて、それらを実行しなければならない」と述べ、ロシアとともに制裁に対抗していく考えを示しました。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を受けて欧米からの制裁が強化され、一方、イランは核合意から離脱したアメリカのトランプ前政権が制裁を再開させたことで、各国との貿易が停滞しています。

両国としては制裁を回避する形で取り引きを活発化したい考えで、欧米に対抗する姿勢を鮮明にしています。

中国やロシア、インドなど新興5か国でつくるBRICSの首脳会議は、日本時間の23日夜、中国を議長国としてオンライン形式で行われました。

この中で、習近平国家主席は、ウクライナへの侵攻をめぐってロシアへの制裁を強める欧米などを念頭に「われわれは公平公正な声を上げ、国際社会が真の多国間主義を実践するよう推し進めなければならない。冷戦思考は捨て去り、一方的な制裁や制裁の乱用には反対しなければならない」と述べ、対抗姿勢を示しました。

また、ロシアのプーチン大統領「一部の国々の身勝手な行動によって、世界経済に問題が起きている。真に多極的なシステムを作るために、これまで以上にBRICS指導力が求められている」と述べ、BRICSの結束の強化を呼びかけました。

一方、中国はBRICSの加盟国の拡大に意欲を示していて、習主席は「志を同じくするパートナーを早期に加入させるべきだ」と述べ、議論を加速させたいという考えを強調しました。

中国としては、新興国や途上国の代表だと位置づけるBRICSの枠組みを拡大することで欧米とは一線を画す対立軸を築きたい狙いがあるとみられます。

欧州への天然ガス供給を削減するロシアの動きはエネルギー市場を崩壊させる恐れがあるとして、ドイツが金融危機につながった米リーマン・ブラザーズ破綻を例に挙げて危機感を示した。

  ハーベック経済相は23日、エネルギー供給企業は高い代金を支払って供給分を確保せざるを得えず、損失が膨らんでいると指摘。この影響が各地域の公益事業者やその顧客である企業や消費者などに波及するリスクがあると述べた。ドイツは同日、国内のガス供給リスクの水準を上から2番目の「警報」に引き上げた。

  ハーベック氏はベルリンで行われた緊急会見で、「この損失があまりに大きくなり、エネルギー供給企業がそれを抱え込むことができなくなれば、市場全体がどこかの時点で崩壊する恐れがある」と語り、「つまりエネルギーシステムにおけるリーマン危機だ」と続けた。

  欧州最大の経済大国であるドイツは、企業や消費者のエネルギーが枯渇するという、かつてない厳しい見通しに直面している。ロシアのプーチン大統領ウクライナ侵攻への対ロ制裁措置に反発し、その明らかな報復としてここ数カ月でエネルギー供給を漸進的に削減した。

  先週は主要ガスパイプライン経由でドイツに供給するガスをロシアが大幅に削減し、対立はさらにエスカレートした。ドイツは冬に向けて十分なガスを備蓄できるか危うい状況だ。

  ガス供給のリスク水準引き上げで、数基の石炭火力発電所が再稼働される。またエネルギー企業にコスト上昇分を家計や企業に転嫁することを認める法案を制定する選択肢も政府には付与される。ハーベック氏は、欧州にとって現状はエネルギー消費削減を求めるシグナルでもあるとの見方を示し、域内他国と今後数日間で協議する計画だと語った。

原題:Germany Warns of Lehman-Like Contagion From Russian Gas Cuts (1)(抜粋)

ドイツでは、ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムが先週、ドイツ向けの主要なパイプライン「ノルドストリーム」を通じて供給する天然ガスの量を大幅に減らすと発表したあと、ロシアからのガスの供給量がおよそ60%減少し、警戒感が高まっています。

ドイツ政府は23日、こうした状況が続けば暖房需要などが高まる冬に向け十分な量を確保できないおそれがあるとして、ガスの供給の緊急事態に備える警戒レベルを、3段階のうち上から2番目に引き上げると宣言しました。

政府はことし3月、調達の先行きが不透明になっていて供給状況を監視する必要があるとして、上から3番目のレベルを宣言していました。

レベルの引き上げに伴い、政府は国民や企業にガスのいっそうの節約を求めているほか、発電に使うガスを減らすため、待機状態の石炭火力発電所に稼働の準備を呼びかけるなどしています。

エネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相は会見で「ロシアはエネルギーを武器にドイツを攻撃している」と強く非難するとともに、今回の措置への理解を求めました。

ドイツ経済省はドイツとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」の一部を改造し、バルト海沿いの液化天然ガス(LNG)ターミナルとの接続部にすることを検討している。

シュピーゲル誌が24日報じた。

ドイツ領にある同パイプラインを接収し、残りの部分から切り離すことも検討しているという。

ロシアのペスコフ大統領報道官は会見で、この報道についてコメントできないとしながらも、ドイツが具体的な措置を講じれば、まず弁護士が対応すると述べた。

EUは23日、ベルギーのブリュッセルで首脳会議を開き、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月に加盟を申請したウクライナとその隣国のモルドバについて、交渉開始の前提となる「加盟候補国」の立場を認めることを全会一致で決めました。

EUは急きょ、記者会見を開き、フォンデアライエン委員長は「ウクライナモルドバの市民にとってこの大変な時期にこれ以上、希望のしるしとなるものはない。われわれのきょうの決断は、ロシアによる侵攻が続く中、ウクライナモルドバを強くするし、EUをも強くする。外部からの脅威に対してEUが結束していることを世界に示すからだ」と述べ、合意を歓迎しました。

ウクライナをめぐってはEUの執行機関、ヨーロッパ委員会が今月17日、意見書をまとめ、「加盟候補国」として認めるよう加盟国に勧告した一方、法の支配や汚職対策などに課題があるとして、ウクライナに対応を求めました。

23日の首脳会議では、こうした課題についても確認したということです。

EUでは加盟候補国として認められても加盟に向けた交渉が直ちに始まるわけではなく、両国が実際に加盟するまでには相当な時間がかかると見られています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、ツイッターに投稿し「EUのリーダーたちの決定を心から称賛する。これはウクライナEUの関係において、特別で歴史的な瞬間だ。ウクライナの未来はEUとともにある」としています。

ゼレンスキー大統領は23日、新たな動画を公開し「われわれは今、加盟候補国として認められた。これは勝利だ」と喜びを語りました。

また、ウクライナの大統領府は23日、EUヨーロッパ連合の首脳会議に参加した各国首脳などにゼレンスキー大統領が感謝を伝える動画を公開しました。

この中で、ゼレンスキー大統領は「ウクライナの独立から30年間で、最も重要な決定の1つだ。これはウクライナのためだけでなく、ヨーロッパを強化するための最も大きな一歩だ」としています。

ロシア外務省は24日、リトアニアがロシアの飛び地カリーニングラードへの貨物列車通過を拒否した問題について、米国を非難した。ロシアと西側諸国との緊張がさらに高まったとしている。

声明で「西側は米国の明白な指示で、カリーニングラードに向けた貨物列車の通過を禁じた」と指摘、これは米国のさらなる敵対的行動の一つとしている。

欧州連合(EU)加盟国のリトアニアは18日、EUの規制対象の貨物を積んだ列車の通過を禁止した。

ロシア側はこれを「封鎖」と非難し、厳しい対抗措置を取ると明言。リトアニアは、ロシアの電力供給遮断に備えていると表明している。

オーストリアの首都ウィーンで今月21日から開かれていた核兵器禁止条約の初めての締約国会議は、最終日の23日、日本時間の23日夜遅く、▽「核なき世界」の実現を国際社会に呼びかける「ウィーン宣言」と、▽核廃絶に向けた具体的な取り組みをまとめた「ウィーン行動計画」を採択し、閉幕しました。

このうち「ウィーン宣言」は、ロシアの名指しは避けながらも「核兵器を使用するという威嚇に憂慮し落胆している。いかなる核による威嚇も明確に非難する」として、核の使用や威嚇を行わないよう、強く求めています。

そのうえで「核兵器の存在はすべての国の安全とわれわれの生存を脅かしている。核兵器は不名誉で正当性がないという、国際規範を築く」と訴えています。

また「ウィーン行動計画」は50の項目からなり、▽条約の締約国を増やすために取り組むことや▽被爆者や核実験の被害者への支援や救済を進めることなどが盛り込まれています。

さらに▽核保有国に核軍縮の取り組みを課すNPT=核拡散防止条約との関係については、「禁止条約とNPTは補完し合う関係だ」として、「2つの条約の調整役」を任命するとしています。

初めての締約国会議には、条約を批准した国に加え、条約に参加していないNATO北大西洋条約機構の複数の加盟国もオブザーバーとして出席し、3日間にわたって合わせて80か国以上が議論を行いました。

議長を務めたオーストリア外務省のクメント局長は「各国が協力して成果を上げ、条約に懐疑的な国も議論に参加したことが重要だ。今後は条約を軽視することが難しくなるだろう」と述べ、会議の意義を強調しました。

世界の核軍縮をめぐっては、ことし8月、7年ぶりにNPTの再検討会議も開かれる予定ですが、ウクライナ情勢を受け核保有国同士の対立が続く中、行き詰まった核軍縮の方向性を示すことができるかが、問われることになります。

核兵器禁止条約の初めての締約国会議で採択された「ウィーン宣言」のポイントは以下の通りです。

核廃絶を実現する決意を、再確認する。核兵器が二度と使われない唯一の方法は核廃絶だ。

▽核の使用や威嚇は国連憲章を含む国際法に反するもので、いかなる核による威嚇も明確に非難する。

▽いまだに9か国がおよそ1万3000の核兵器保有していることを、深く憂慮する。

核兵器保有国と核の傘のもとにある同盟国のいずれの国々も、核兵器への依存を弱めるために真剣に取り組むことなく、逆に核兵器を維持、強化していることを、遺憾に思う。

核兵器は不名誉で正当性がないという、強固な国際規範を構築する。

▽国際機関やNGO被爆者、核実験の被害者、若者の団体などと、連携していく。

▽NPT=核拡散防止条約は核軍縮と不拡散の基礎であり、核兵器禁止条約とは相互に補完する関係にある。

▽条約にまだ参加できないという国にも、「核兵器のない世界」という共通の目標に向かって協力を呼びかける。核兵器の非保有国が条約に参加することを妨げる核保有国の行為を憂慮する。

核兵器禁止条約の初めての締約国会議の閉会後、会議の議長を務めたオーストリア外務省のクメント軍縮軍備管理局長は記者会見を行い、NATO北大西洋条約機構の加盟国を含めた30を超える国が会議にオブザーバーとして出席したことについて「明るい兆しだ。これらの国々が政治的に複雑な立場に置かれているのは理解しているが、禁止条約にとっては前向きな一歩であり、次回の会議にはより多くの国が出席してくれることを願う」と評価しました。

さらに「締約国は核兵器による人道上の影響やリスクについて科学的な証拠に基づいて議論していることを示し、国際社会全体にとって極めて重大な問題であることを提起した。これまで懐疑的だった人たちもそれを認め、いまこそこの問題の解決に関わるべきだ」と述べ、核の脅威が高まる中でこそ核兵器の禁止に向けた議論を進めるべきだと訴えました。

また、ICAN核兵器廃絶国際キャンペーンのフィン事務局長は「これだけ多くの国の代表が集まり、核の脅威や核抑止政策を非難したことは、不確実な世界において極めて重要だ」と述べ、会議の意義を強調しました。

その上で「核保有国が影響力を強めようと、あらゆる手をつくして各国を軍事的に取り込もうとしているのを、私たちは知っている。いま核兵器を禁止しなければ、さらに多くの国が核兵器を持ち、核の傘に頼り、同盟をつくって世界を分断し、実際に核兵器が使われてしまうかもしれない」と述べ、核抑止に頼らない安全保障政策を模索すべきだという考えを示しました。

ロシア国防省は23日、東部ルハンシク州でウクライナ軍の兵士150人以上を殺害したほか、ミサイルなどの攻撃で、ウクライナ軍の49か所の燃料施設や最大で50台の戦闘車両を破壊したなどと発表しました。

ロシア軍は、東部2州に戦力を重点的に投入しているとみられ、特にルハンシク州について近く完全掌握することを目指し、ウクライナ側の拠点、セベロドネツクや隣接するリシチャンシクで攻勢を強めています。

イギリス国防省は23日、ロシア軍が最近、リシチャンシクに向けて部隊を進軍させ、セベロドネツクなどの一帯に対して圧力を強めていると分析し、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も22日、「ロシア軍は数日でリシチャンシクに到達する可能性が高い」と指摘しています。

これに対してウクライナ軍は、南部ヘルソン州などで一部の支配地域を奪還する動きをみせているほか、穀物の輸出で輸送ルートとなる黒海の沿岸や拠点の島でも激しい攻防を続けています。

こうした中、ウクライナのレズニコフ国防相は23日、精密な攻撃が可能だとされる兵器「高機動ロケット砲システム」がアメリカから届いたとしたうえで「ロシアの侵略者たちにとって暑い夏となり、一部にとっては最後の夏になるだろう」と述べ、欧米側の軍事支援を弾みに反転攻勢を強めたい考えを明らかにしました。

一方ロシアは、欧米から軍事支援を受けるウクライナに対する戦意をいっそう強め、プーチン大統領は今月17日、「特別軍事作戦のすべての目標は確実に達成されるだろう」と述べ一歩も引かない姿勢を強調しました。

ロシア軍とウクライナ軍は、互いに多くの損失を伴う消耗戦を展開していて、ロシアによる軍事侵攻から4か月となるなかでも戦闘の終結に向けた道筋は全く見えない状況です。

軍事侵攻が4か月に及ぶなか、ウクライナでは、双方の兵士の犠牲や、ウクライナ側の社会インフラの損失が増え続けています。

ウクライナ大統領府で顧問をつとめるアレストビッチ氏は11日、ウクライナ側の兵士の死者数が1日あたりおよそ100人に上るという見方を示し、これまでにあわせて1万人の兵士が犠牲となった可能性に言及しました。

▽一方、ロシア側の死者数について、ロシア国防省は、3月下旬に1351人と発表して以降、人数を公表していません。

▽イギリス国防省は先月23日、ロシア軍の死者数が、およそ1万5000人に上る可能性が高いことを指摘しています。

またウクライナ側の兵器の損失について、ウクライナ軍で地上部隊の補給を担う司令官は、今月15日付けのアメリカの軍事専門誌「ナショナル・ディフェンス」のインタビューに対し、これまでに▽戦車およそ400両、▽歩兵戦闘車1300台、▽ミサイル発射システムなど700基を失い、それぞれの損失の割合は、最大で全体の50%に上ると答えました。

ウクライナのレズニコフ国防相は12日、イギリスの有力経済誌エコノミスト」のインタビューで、「一部の戦闘地域では、ロシア軍の火力が、ウクライナ軍の10倍ある」と述べ、欧米各国に兵器の供与を加速するよう呼びかけました。

ウクライナでは、ロシア軍の砲撃や空爆による経済的な損失も増大しています。

首都キーウの経済大学は、インフラ被害の総額について、8日の時点で1039億ドル、日本円で14兆円あまりにのぼるとした上で、道路や空港施設、それに医療機関や学校など幅広い被害が確認されたと報告しました。

軍事侵攻によって、ウクライナが受けた経済的な損失は、先月下旬の時点で、GDP国内総生産の5倍にあたるという指摘もあり、拡大し続ける被害がウクライナの今後に暗い影を落としています。

ウクライナ東部では、激しい戦闘が続き、ウクライナ軍とロシア軍双方の兵士の犠牲や兵器の損失が拡大し続ける消耗戦となっています。

一方、南部ではウクライナ側が、反転攻勢に乗り出す構えを見せ、ロシア側が掌握したとする地域で、根強い抵抗運動が起きています。

ロシア軍は先月下旬、東部の要衝マリウポリを掌握したあと、東部のルハンシク州とドネツク州の完全掌握を目指して攻勢を強め、ルハンシク州ではすでに90%を占領したとみられています。

これに対してウクライナ軍は、徹底抗戦の構えを崩さず、ルハンシク州に残る拠点のセベロドネツクと、川を挟んで隣接するリシチャンシクの防衛に臨んでいます。

このうちセベロドネツクでは、激しい市街戦のすえ、ロシア軍が街の大部分を掌握し、ウクライナ側は、「アゾト化学工場」を拠点に抵抗を続けていますが、火力で上回るロシア軍に対して、苦戦が伝えられています。

一方、ロシア側の損失も積み重なり、戦況を分析するイギリス国防省は16日、東部のロシア軍が深刻な兵員不足に陥り、進軍が鈍っていると指摘しました。

双方の兵士の犠牲や兵器の損失が拡大し続ける現状について、15日、アメリカ軍の制服組トップのミリー統合参謀本部議長は「第1次世界大戦のような激しい消耗戦だ」と述べ、東部の戦況は今後の全体の戦局を大きく左右するとみられています。

東部でロシア軍が攻勢を強めているのに対し、ウクライナ軍は南部で反転攻勢に乗り出そうとしています。

南部のへルソン州は8年前、ロシアが一方的に併合したクリミア半島に隣接し、ロシア国防省は3月中旬以降、州全体を掌握したとして行政機関を管理下に置いてきました。

これに対してウクライナ側は欧米からの兵器の供与を待って反撃に転じる方針を示し、へルソン州の奪還に強い意欲を示してきました。

ウクライナ側としては、ロシア軍の兵力が比較的手薄とみられる南部で反撃に転じ、東部の戦況を有利にしたいねらいもあるとみられます。

アメリカのシンクタンク、戦争研究所は19日「ヘルソンの州の境で、局地的にウクライナ軍の反撃が続き、ロシア軍が押し戻されている」と指摘しました。

こうした中、4月、ロシア側に市長の職を一方的に解任された、へルソン市のイーホル・コリハエウ市長が、17日、NHKのインタビューに応じ、▽ヘルソンでは、ウクライナからの支援物資や通信が遮断され、▽ロシアによる支配の既成事実化が進んでいると訴えました。

具体的には、ロシア側が▽企業の法人登記を移し替え、▽個人の家屋を許可なく利用しているほか、▽ロシアのパスポートを一部の市民に発行したということです。

一方、こうした支配に抵抗する動きも根強く、コリハエウ市長は現在も公共交通機関の運営や水道事業などに関しては遠隔で指示を出し、行政に影響力を残しているということです。

コリハエウ市長は「敵と関わる人はいるが、数は少ないだろう。ロシアに権力を譲ったように見られてはいけない」と述べ、抵抗姿勢を強調しました。

ウクライナ軍は、ロシア軍による侵攻から4か月となるいまも攻勢を強めるロシア軍に対して激しい抵抗を続けています。

専門家は、ウクライナ軍はロシア側が兵力を集中させている東部で戦況をこう着状態に持ち込んでいるほか、一部の地域では攻勢に転じる動きもあるとして「ウクライナ軍は想定よりも善戦している」と指摘したうえで、背景には欧米諸国からの武器の供与があると分析しています。

2月24日に軍事侵攻に踏み切ったロシア軍は、ウクライナの首都キーウ掌握に向けて攻勢を強め、一時、キーウ近郊にまで迫りましたが、ウクライナ軍による激しい抵抗を受け、4月上旬までに撤退を余儀なくされました。

その後、ロシア軍は、重点をウクライナ東部へと移し、現在、完全掌握を目指す東部ルハンシク州のセベロドネツクのほか、東部ドネツク州や南部の各地でも攻撃を強めていますが、ウクライナ軍は激しい抵抗を続けています。

イギリス国防省は今月22日に発表した分析で、ドネツク州の親ロシア派の武装勢力は、今月16日の時点で2128人の兵士が死亡し、8897人がけがをしたことを認めているとして「死傷率は、およそ55%に相当し、東部ドンバス地域でロシア軍と親ロシア派の兵員が減少していることを浮き彫りにしている」と指摘しています。

また、ウクライナ軍は、黒海の島でロシア軍の拠点のひとつズミイヌイ島で「ロシア側に甚大な被害を与えた」と今月21日公表したほか、ロシア軍が掌握したとする南部ヘルソン州などでもウクライナ軍がロシア軍を押し返す動きも出ています。

ウクライナ軍の抵抗について、ロシアの安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治 政策研究部長は「ロシア軍に比べて火力の数量が劣っているにもかかわらず、ウクライナ軍はみずからの祖国を守るという高い気概のもと、これまでロシア軍の大幅な進軍の動きを阻んできた」と述べ、ウクライナ軍がロシア側の想定を上回る抵抗を続けていると分析しています。

その背景の1つには、ウクライナ軍が、欧米諸国から供与された兵器を活用して、効果的に侵攻を食い止めているという見方があります。

ウクライナ側にはこれまでアメリカなどから▽戦車などの装甲を貫通する対戦車ミサイル「ジャベリン」や、▽ヘリコプターや戦闘機などを撃墜できる地対空ミサイル「スティンガー」といった兵器が供与されてきました。

こうした兵器は、兵士が肩に担いで発射できる機動性を兼ね備えた「携行型」で、キーウ近郊などの市街戦で活用されてきました。

一方、アメリカのシンクタンクなどによりますと、激しい戦闘が続いている東部ルハンシク州とドネツク州などでは、建物などの障害物が少ない開けた場所で戦闘が行われているため、欧米から供与される兵器が火力が強く、射程が長い「重火器」へと移行しているということです。

ウクライナ政府も、さらなる「重火器」などの供与を各国に強く求めていて、アメリカ政府は、これまでに敵軍の後方により精密な攻撃ができる「高機動ロケット砲システム」などの供与を決めました。

ウクライナ軍が善戦しているとされる背景にはロシア側の事情も影響していると指摘されています。

兵頭政策研究部長は、▽侵攻の長期化でロシア兵の士気が大幅に低下していたり、▽兵士が戦線から離脱するなどロシア軍の指揮命令系統が混乱したりしているほか、▽精密誘導弾などの最新兵器が底をつきはじめて、古い兵器を使わざるをえない状況にあると分析しています。

そのうえで「ロシア軍のもっとも大きな問題としては、現在の兵力を大幅に増強することができないところにある。この状況はしばらく続いていくのではないかとみられる」と述べロシア軍が苦戦する状況が続くという見方を示しました。

戦闘が長期化する中でウクライナがロシア軍への抵抗を続けられるかは、欧米からの軍事支援が滞ることなく進められるかが鍵になると見られます。

兵頭政策研究部長は「ポイントの1つは、ロシア軍が戦力を大幅に増強できるかどうか。そして、火力で劣勢に立たされているウクライナ側が要求する兵器を欧米諸国が供与できるかどうかだ」と指摘し、欧米側が、軍事支援について足並みをそろえて実行に移せるか注目したいとしています。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で4か月となることについて、ロシア軍の元将校で、軍事評論家のワレリー・シリャエフ氏は、NHKのインタビューに対し「ロシア、ウクライナの双方とも今は決定的な優位に達していない。ウクライナ軍は、反撃を拡大できる状態ではなくロシア軍も欧米の軍事支援で武装したウクライナ軍を撃破できる状態にはない」と述べて、戦況はこう着しているという考えを示しました。

一方、東部ルハンシク州のウクライナ側の拠点、セベロドネツクについては、ロシア軍が近く掌握するという見方を示した上で「ロシア軍は東部2州の掌握後も戦闘を止めず、南部ミコライウ州やオデーサ州を掌握しようとし、黒海沿岸を攻撃するだろう。ただ、首都キーウを掌握するのは現実的ではない」と述べ、黒海沿岸など南部でロシア側は支配地域の拡大を目指すと指摘しました。

これに対して、ウクライナ側については「7月末から8月にかけて、欧米からウクライナへ兵器と弾薬が多く流入し、ウクライナは長期にわたり抵抗できる兵器と人員を持つことになる」と指摘しました。

そのうえで「ウクライナ側は、東部ハルキウ州や南部ヘルソン州で反撃するかもしれないが、支配地域を奪還するには少なくとも3万人以上の組織化され武装した新たな部隊が必要だ」と述べてロシア側の支配地域を奪還するのは難しいという考えを示しました。

さらに、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米とロシアが衝突する事態に発展する可能性に懸念を示し「ロシアは、ウクライナ軍に対して戦術核兵器を使う必要はないがロシア軍とNATOとの衝突が起きれば、戦術核兵器の使用はあり得る。これが最も恐ろしく最も気がかりなシナリオだ」と述べて、NATO側との直接的な衝突になれば、プーチン大統領核兵器の使用に踏み切る可能性は排除できないという見方を示しました。

一方、停戦交渉については「ロシアもウクライナも勝利することを期待し、交渉を必要としていない」と述べ、交渉の機運は高まっていないと指摘しました。

そのうえで、ロシア側としてはウクライナでの軍事的な敗北は、プーチン体制の崩壊を意味しているため、許されない。ロシアは、いまはまだ平時の軍で戦っている。仮に負けそうになれば、プーチン大統領は動員を宣言するだろう」と述べ侵攻の成果が得られなければ、プーチン大統領は国民の大量動員も辞さないという考えを示しました。

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから4か月となるなか、首都キーウでは避難していた人たちが戻ってきているほか、商店やレストランの多くが営業を再開するなど、以前の街の姿が徐々に戻ってきています。
その一方で、戦闘が続いている現実を常に意識してもらう取り組みも行われていて、キーウ中心部にある独立広場の一角には戦闘で亡くなった人たちの名前を書いた国旗が掲げられ、現在500以上の国旗が並んでいます。

また、追悼のことばをつづるノートも置かれ、道行く人が足を止めて書き込んだり写真を撮ったりする姿が見られます。

広場を訪れた19歳の女性は、一時的にスペインに避難していたということで「キーウに戻ってきたことで、人々が経験した戦争の痛みを感じています。本当につらい話ばかりで、言葉もありません」と話していました。

そのうえで「この戦争はウクライナの民主主義だけでなく、世界の民主主義に関わるものであることをわかってほしい」と述べ、戦争が長期化する中でも国際社会はウクライナに対する関心を持ち続けてほしいと訴えていました。

一方、キーウ中心部の別の広場では、ウクライナ軍が破壊したロシア軍の戦車や、ロシア軍の攻撃を受けた乗用車などが展示されています。

軍事侵攻が始まって4か月となることについて53歳の女性は「ロシアに対する怒りは今や憎悪に変わりました。あすにでも戦争が終わってほしいですが、実際にいつ終わるのかは見当もつきません」と話していました。

また、60歳の男性は「この4か月で考えが大きく変わり、ウクライナの勝利を確信するようになった」と話した一方で「残念だが、戦争はすぐには終わりそうもない。ウクライナ軍はよく戦っているが、敵はわれわれよりもはるかに多くの部隊や装備を持っている」と話し、戦闘のさらなる長期化は避けられないという考えを示しました。

また、12歳の息子と訪れた40歳の母親は「息子にはゲームをさせたり、おいしい料理を食べさせたりして、悲惨な戦争について考えなくて済むよう気をつけてきました。でも今は将来に希望が持てず、真っ暗闇の中にいるかのようです」と話していました。

一方、欧米のメディアなどが「ウクライナ疲れ」という表現でウクライナへの支援を含めて関心が低下していると指摘していることについて53歳の女性は「ヨーロッパは爆撃を受けず、人々が殺されることもないのでそのようになるのでしょう。ただ、もしウクライナが負ければ次は間違いなくヨーロッパが標的になることを認識すべきです」と訴えました。

また、37歳の女性は「そうした考えに失望しています。ウクライナの人々のほうがはるかに疲れているからです。世界が引き続き私たちを支援してくれることを願っています」と話していました。

ウクライナでは、戦争が半年以上、続くと思っている国民が67%にのぼり、3か月前に比べて5倍以上に増えるなど、戦闘の長期化を覚悟する人が多くなっていることが世論調査の結果、わかりました。

この世論調査は、ウクライナの独立系の調査機関が今月18日と19日、ロシアが併合したクリミア半島やロシアの支配下にある地域を除きウクライナ各地で行ったもので、18歳以上の1200人から回答を得ました。

それによりますと、ウクライナが、ロシア軍を撃退できると考える人は93%にのぼり、いまも圧倒的に多くの人がウクライナの勝利を信じています。

一方、いつまで戦争が続くと思うかという問いには、6か月以上、もしくは1年以上と答えた人があわせて67%とおよそ3人のうち2人にのぼっていて、3か月前の調査の12%から5倍以上に増えるなど戦闘の長期化を覚悟する人が多くなっています。

また、ウクライナが申請しているEUヨーロッパ連合への加盟については87%の人が支持していて、5年以内に加盟できると思っている人が69%を占め、早期の加盟を願う結果となっています。

ロシアが掌握したとするウクライナ南部のヘルソンから今月初めに避難した地元のテレビ局の記者がロシアによる支配の既成事実化や市民の厳しい生活の実態を明らかにしました。

この記者は、ヘルソン出身でウクライナ民間放送局の現地支局で働くオレーナ・バニナさん(44)です。

今月8日から2日かけて夫と3人の子どもとともにロシア軍の厳しい検問などをくぐり抜け、車でヘルソンから避難することができ、21日、首都キーウ近郊でNHKの取材に応じました。

バニナさんは、ロシア軍の侵攻初日は現地の様子を伝えたものの、ロシア側がヘルソンを掌握したと発表した3月になってからはジャーナリストであることを隠しつつ、携帯電話で街の様子をひそかに記録してきました。

映像では、道路沿いにロシア軍の装甲車などが止まり、近くには銃を持った兵士の姿も見られ、バニナさんによりますと、至る所に検問所があり、厳しい夜間の外出禁止措置がとられていたということです。

また、元軍人や警察といった治安関係者などのリストをもとに関係者の自宅の捜索が行われたほか、600人以上が拘束され、その後、遺体で見つかった人もいるということです。

バニナさんは「人々が抗議のデモを行うと、ロシア軍は、はじめは様子を見ていましたがその後、排除するようになり、犠牲者も出ました」と明らかにしました。

また、バニナさんの長女で17歳のオレクサンドラさんは「同級生の姉がロシア兵に連れて行かれそうになりました。女の人はみんな外に出るのを怖がっています」と話し、3か月あまり家に閉じこもっていたということです。

一方、バニナさんは、人々の日々の生活も厳しい状況に置かれていると語りました。

スーパーや薬局は、ウクライナ側から商品が届かず閉店したため、人々が持ち寄った商品を販売する市場が開かれたということです。

こうした商品や食料品の多くは、ロシアが一方的に併合した、隣接するクリミアから運ばれ、映像では、多くの人が野菜などの食料や日用品などが並べられた通りの出店に買いに訪れている様子が写っていますが、とりわけ医薬品の不足が深刻だということです。

また、ATMも使えない状態で、銀行でお金を引き出すにも数週間待たなければならず、利子を払って個人業者からお金を借りてやりくりしている人もいるということです。

先月末からは携帯電話が通じなくなり、インターネットもクリミアにあるロシアのネットワークに接続しないとアクセスできないということです。

また、バニナさんは、ロシアが一方的に任命したヘルソンの行政の長のもとで、ロシアが支配の既成事実化を進めようとしていると指摘したうえで「ロシアの通貨ルーブルを流通させようと、店主に値札を2つ作るよう命じました。また、ロシアの教育プログラムを導入しようと教員たちを集めていますが、誰も賛同していません」と明らかにしました。

また、メディアへの統制も行われていて、ロシア軍によってテレビ塔の機器が破壊され、通常の放送は、ロシアの番組しか見られなくなっているということです。

ヘルソン州で進むこうした「ロシア化」の動きについて、バニナさんは「まるでガンのようです。一見、正常に見えますが、ヘルソンの街はもう死にかけています。未来は何もありません。時代が30年、後戻りしてしまいました」と嘆いていました。

こうした状況を受けて、ヘルソンからの脱出を決意したバニナさんたちですが、ウクライナ側に避難するルートは表向きは存在しておらず、入念に下調べをして地元の人しか知らない道をひたすら進むしかなかったといいます。

ヘルソンからロシアの支配地域を抜けウクライナ側に向かう途中、30を超える検問所が設けられていたということで、行き先や目的のほか子どもの荷物にいたるまで何度も調べられました。

避難中に撮影した映像には、道ばたに砲撃を受けて破壊された建物や車が写っていて、自分たちもいつ攻撃を受けるかわからず、命がけの避難だったといいます。

バニナさんは、「ジャーナリストなので拘束対象のリストに載っているかもしれず、砲撃を受けるかもしれないと常に緊張状態でした。ウクライナ側に着いてウクライナ軍の兵士にあいさつをされたとき、みんな涙を流しました」と話し、目頭を熱くしていました。

そして、「ヘルソンの人々は解放されるのを待っています。ウクライナ軍の犠牲が最小限に抑えられるなら長く待つ覚悟はできています」と述べ、ウクライナ軍の反撃でヘルソンが解放されることを願っていました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから4か月となりますが、ロシア国内では厳しい情報統制のもとで、えん戦や反戦の声は抑えられているものの、欧米からの制裁の影響が徐々に広がっていることから、首都モスクワでは侵攻の長期化への不満の声も聞かれました。

このうち、インテリアの会社を経営する47歳の女性は「制裁の影響で客が目に見えて減った。新型コロナウイルスの感染拡大の時にはあった行政からの補助金や、融資はいまは非常に難しく、中小企業にとっては厳しい状況だ」と話し、経営が厳しくなっていると話していました。

また34歳の男性は、電化製品を扱う会社で営業を担当していたものの、制裁の影響で海外から商品が届かなくなり、仕事がなくなったとして「正直、不愉快な状況だ。住宅ローンを抱えているため何か解決策を見つけなければならないが、仕事を探すのは難しい」と話していました。

そのうえで、軍事侵攻については「もっと早く終わると思ったが、正直、とても長い」と不満をこぼしていました。

さらに、外国人を顧客にしている法律事務所で働く27歳の男性は「友人の何人かはここは息苦しいといって出て行った」と話し、すでに海外へ移住した人もいることを明かしました。

プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻の正当性を国民に繰り返し訴え、国内では情報統制を強め、えん戦や反戦の声を抑えてきましたが、侵攻の長期化や欧米からの制裁の強化に対して、市民の間では不満がくすぶっているものと見られます。

 ウクライナの内務次官は6月6日、国民の死傷者が約4万人に上ると明かした。最近は兵士の1日あたりの死傷者が最大1000人に達するといい、苦戦の色が濃くなっている。

 露軍は、完全制圧を目指すウクライナ東部ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)を中心に、10万人を超える兵力を投入した。英国防省は5月下旬時点で、露軍側に1万5000人の死者が出たとの推計を示したが、その後も犠牲は増え続けているとみられる。ウクライナ国営通信によると、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月12日、露軍が6月だけで4万人の兵力を失うことになると警告した。

 大砲などの物量でウクライナ軍を上回る露軍は、ルハンスク州の要衝セベロドネツクに戦力を集中させ、ほぼ制圧した。露軍は東部の要衝を順次攻略する戦術に転換し、ウクライナとの「根気比べ」に出た形だ。

 行き詰まる戦況を打開しようと、ウクライナは6月後半に反転攻勢をかける計画だった。だが、米欧が供与する重火器の配備が遅れ、兵士の訓練も十分に進んでいないため、実行に至っていない。

 両軍ともに局面を変える決め手を欠いている現状を、米欧諸国は「第1次世界大戦のような消耗戦」(マーク・ミリー米軍統合参謀本部議長に突入したとみており、戦争状態が最大で数年続くことを視野に入れ始めた。

 米欧などの経済制裁を受け、ロシアでは年内に深刻な景気後退が始まると見込まれる。ウクライナは国際社会から約300億ドル(約4兆700億円)の援助を受けているが、それでも戦費が足りず、戦時国債の発行額は1000億フリブニャ(約4600億円)に達した。

 食糧やエネルギー価格の高止まりが続く中、ウクライナを支える西側諸国に、「支援疲れ」が出始めたとの指摘もある。米欧や日本も、長期戦にどう向き合うのか、覚悟が問われている。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから、24日で4か月がたちます。

ロシア軍は、東部2州のうちルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側が拠点とするセベロドネツクや、隣のリシチャンシクに、重点的に戦力を投入してきました。

ロシア国防省は24日、▽過去5日間で、周辺の地域を相次いで掌握し▽セベロドネツクの南方では、ウクライナ側の兵士およそ2000人を包囲していると発表しました。

ルハンシク州のハイダイ知事は24日、地元メディアに対して「残念ながら、ウクライナ軍はセベロドネツクから撤退せざるを得ない」と述べ、防衛にあたってきた部隊が別の拠点に移動することを明らかにしました。

そして、セベロドネツクの隣のリシチャンシクにもロシア軍の部隊が向かっていると危機感を示しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は23日、2つの都市をめぐる攻防でのロシア軍の優位を認めたうえで「ウクライナ軍は、ロシア軍の侵攻を遅らせ、部隊に打撃を与えるという基本的な目標を達成している」と分析しています。

そのうえで「ロシア軍の攻撃は、今後数週間、停滞し、ウクライナ軍に反撃の機会を与える可能性が高い。セベロドネツクを失うことは、ウクライナにとって損失だが、この戦いはロシアの決定的な勝利にはならないだろう」と指摘し、今後も一進一退の攻防が続くという見通しを示しました。

またイギリス国防省は24日の分析で、▽ロシア空軍が、戦闘に参加する軍用機の乗組員として退役軍人を搭乗させたと、兵員不足を指摘しました。

さらに▽軍用機のパイロットが、軍用ではなく商業用のGPS装置を使っていたとみられるとして、ロシア軍の装備品の課題も指摘しています。

東部での劣勢が伝えられるなか、ウクライナのレズニコフ国防相は23日、射程が長く、精密な攻撃が可能な高機動ロケット砲システム=ハイマースがアメリカから届いたことを明らかにするとともに、欧米の軍事支援を弾みに攻勢に転じる構えを示しました。

ハイマースについては23日、アメリカ国防総省が、4基を追加供与すると発表していて、合わせて8基が供与されることになります。

ウクライナでは、ロシア軍とウクライナ軍双方の兵士の犠牲や兵器の損失が拡大し続ける消耗戦となっていて、戦闘の終結に向けた道筋は全く見えない状況です。

アメリカのシンクタンク「アトランティック・カウンシル」は、先月末、戦況によって状況が変化するため断定はできないと前置きしたうえで、今後考えられる展開について3つのシナリオを提示しました。

シナリオ1.「ウクライナは徐々に追い込まれていく」

ロシアは、ウクライナ東部から、すでに併合している南部クリミアにつながる陸続きの地域の支配を強めていく。

そして、南部の港湾都市オデーサを壊滅させるか封鎖することで、ウクライナを海に面することのない内陸に封じ込める。

プーチン大統領は、ウクライナ全土でインフラ施設への攻撃を続け、南部と東部の一部を併合するとともに、ロシア国内においては、反戦などの世論を抑えて一方的に勝利宣言をする。

プーチン大統領は、来年の早い時期に停戦を呼びかけるものの、和平に向けて合意する用意はない。

プーチン大統領は、モルドバにつながる地域など、将来的にはより広い範囲の土地を得たいと望んでいる。

来年になっても、NATOの加盟国は、領土を取り戻そうとするウクライナへの軍事支援を続ける。

しかし、来年の後半までには、経済的な負担や難民への対応、それに核攻撃のリスクを含めた緊迫の高まりへの懸念から、欧米側の合意や結束にほころびが生じ、このうち、ドイツとフランスが中心となって和平に向けた交渉を働きかけることになる。

シナリオ2.「ロシアは戦果を得ることができない」

東部ドンバス地域などで反撃が成功するなど、ウクライナ軍の戦術によって、ロシア軍は、来年の初めまでに軍事侵攻を開始した2月24日以前の支配地域にまで押し戻される。

しかし、ロシア側の強固な守りに阻まれ、ウクライナ側がさらに前進することまでは難しい。

プーチン大統領は、経済の崩壊などに対する国民の不満の高まりに直面し、ウクライナとの和平合意の締結に向けた圧力にさらされる。

来年初めごろから、世界的な経済危機を理由に、トルコ、カタール、インドが調停者として停戦を強く求める。

一方、ヨーロッパの指導者も外交的な枠組みを求め始めるようになる。

フランスのマクロン大統領は、解決策を見いだすため、中国の習近平国家主席とともに協議を呼びかける。

協議の枠組みは、ウクライナをはじめ、ロシアを含む国連安全保障理事会常任理事国5か国に、ドイツを加えたもの。

中国は、プーチン大統領の計画を損なうようなことはしたくないが、経済上の理由からもほかに選択の余地はない。

シナリオ3.「ウクライナがほぼすべてを取り戻す」

ウクライナへの欧米の軍事支援が、大幅に増加するのに対して、ロシア軍は、兵士たちの士気がうせるとともに制裁によって軍の装備品などが補給できなくなることで、クリミアを除いてウクライナからの完全な撤退を余儀なくされる。

これによって、ウクライナは、クリミア奪還に向けた準備を始める。

欧米の軍事支援を止めるため、ロシアによる核を使った報復のリスクが高まる。

そして、ウクライナが攻撃を開始し、フランスと中国による仲介が失敗することで、第3次世界大戦の可能性が一気に高まることになる。

プーチン氏は、再選を目指す大統領選挙の1年前にあたる来年半ばごろ、国民の怒りによって権力を維持することが脅かされることになる。

隣に「巨大な北朝鮮」が現れることを恐れるヨーロッパは、ロシアがエネルギー収入などで得た一部を賠償金としてウクライナの復興基金に充てる見返りとして制裁緩和のための模索を始める。

これらのシナリオを発表した「アトランティック・カウンシル」は、次に戦場で何が起きるかによって現在、こう着状態にある戦闘が最終的にロシアとウクライナのどちらに有利になるのかが決まるとしています。
では、現在の戦況はどうなっているのか。

防衛省防衛研究所の兵頭慎治政策研究部長は、「東部のセベロドネツクなど局所的にロシアが優勢だという見方ができたとしても、今後、ロシア軍が東部2州の完全制圧を短期間で達成するのは難しい。一方でウクライナ軍も、ロシア軍が支配している地域を大幅に奪還することは難しく、ロシア側もウクライナ側もみずからの支配地域を大きく変更することができない状況にある」と話しています。

そのうえで、今後の鍵を握るとみられる欧米からウクライナへの軍事支援について、「今後いつまで、そして、どの程度の兵器を供給し続けるのかということに関して、各国の間で温度差が見られつつある。背景にはウクライナへの『支援疲れ』のようなものがあるのではないか」と指摘しました。

ロシアとウクライナの停戦に向けた交渉が中断したまま進展が見られない中、ウクライナ情勢をめぐっては、欧米各国の立場や対応の違いが浮き彫りになっており、今後の展開は依然として見えにくい状況が続いています。

このうちアメリカは、バイデン大統領が、先月21日、ウクライナへの兵器の供与や人道支援などを強化するため、およそ400億ドル、日本円にして5兆円余りの追加の予算案に署名し法律が成立しました。

アメリカは、軍事面では、▽携帯型の地対空ミサイル「スティンガー」や、▽対戦車ミサイル「ジャベリン」などを供与してきましたが、ウクライナが求める長距離ミサイルの供与には慎重で、ロシアを過度に刺激したくないという思惑もあるとみられます。

イギリスは、ジョンソン首相が今月17日、ウクライナの首都キーウを訪問してゼレンスキー大統領と会談し、その後の記者会見で「ウクライナの人々がプーチン大統領とは妥協できないことはよく理解できる」と述べ、財政面や軍事面での支援が引き続き必要だと強調しました。

フランスは、マクロン大統領が、今月3日に伝えられたフランスの新聞のインタビューで「ロシアに屈辱を与えてはならない。外交的な手段で出口を作ることができなくなるからだ」と述べました。

この発言は、停戦交渉でフランスが仲介役を担うためにもロシアのプーチン大統領と対話ができる関係を維持したいという考えを示したものでしたが、ウクライナ側の強い反発を招く結果となりました。

ドイツは、ショルツ首相が、先月13日、プーチン大統領と電話で会談し、一刻も早く停戦を実現し外交による解決を模索するよう促したほか、先月28日には、マクロン大統領とともにプーチン大統領との3者による電話会談を行いました。

この会談についてドイツ側は、ショルツ首相とマクロン大統領は、プーチン大統領にゼレンスキー大統領との直接交渉を呼びかけたとしています。

ただ、ロシアと対話するフランスとドイツの首脳については、ポーランドのドゥダ大統領が、今月8日、ドイツメディアとのインタビューの中で「第2次世界大戦の最中に、ナチス・ドイツを率いるヒトラーと電話でやり取りするのと同じだ」と批判しました。

このほか、ロシアと地理的に近いバルト3国は、今回の軍事侵攻に危機感を強めており、このうちリトアニアでは、先月10日、議会がロシアの軍事侵攻を「ウクライナ人に対する集団虐殺」だとする決議案を全会一致で採択しました。

一方、ロシアへの制裁をめぐっては、EUヨーロッパ連合が、先月30日の首脳会議で、ロシア産の石油の輸入禁止で合意しましたが、ハンガリーが自国のエネルギー確保が脅かされるとして強く反発し、パイプラインによる輸入については、当面除外されることになりました。

このように、ウクライナ情勢をめぐっては、欧米各国の立場や対応の違いが浮き彫りになっており、今後の展開は依然として見えにくい状況が続いています。

各国が表明したウクライナに対する軍事支援や人道支援などを含む支援の額について、ドイツの「キール世界経済研究所」が、ことし1月から今月7日までの総額をまとめ、今月16日に発表しました。

それによりますと、▽総額は780億ユーロ、日本円でおよそ11兆円となっていて、▽このうちアメリカは、もっとも多い426億ユーロ、日本円でおよそ6兆円で、全体の半分以上を占めています。

次いで、▽EUヨーロッパ連合は155億ユーロ、日本円でおよそ2兆2000億円、▽イギリスは48億ユーロ、日本円でおよそ6800億円、▽ドイツは32億ユーロ、日本円でおよそ4500億円、▽ポーランドは27億ユーロ、日本円でおよそ3800億円などとなっています。

また、支援額が各国のGDP国内総生産に占める割合については、多い順に、▽エストニアが0.87%、▽ラトビアが0.73%、▽ポーランドが0.49%、▽リトアニアが0.31%などとなっていて、ロシアに地理的に近く、歴史的にもロシアを脅威と捉えてきた国々が上位を占めています。

これについては、ヨーロッパの主要国であるドイツやフランスは、いずれも0.1%未満となっています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐってヨーロッパ各国の国内世論には違いも見られます。

ヨーロッパの調査研究機関「欧州外交評議会」が、ことし4月下旬から先月中旬にかけてヨーロッパの10か国で、合わせて8000人を対象に調査を行いました。

調査では、▽「たとえ領土をロシアに渡すことになったとしても、もっとも大事なのは可能なかぎり早く停戦することだ」という回答を選択した人たちを「和平派」としています。

一方、▽「たとえさらに多くのウクライナ人が殺されたり、避難を余儀なくされたりしても、もっとも大事なのは侵攻したロシアを罰することだ」という回答を選択した人たちを「正義派」としています。

調査結果をみると、▽「和平派」が35%なのに対し、▽「正義派」が22%、▽「どちらとも言えない」が20%となりました。

国別に「和平派」と「正義派」の割合をみると、▽イタリアは52%と16%、▽ドイツは49%と19%、▽ルーマニアは42%と23%、▽フランスは41%と20%などと、調査が行われた10か国のうち9か国で「和平派」が「正義派」を上回っていることがわかりました。

一方、▽ポーランドだけは、逆の傾向を示して16%と41%となっており、「正義派」が「和平派」を上回る結果となりました。

ウクライナ情勢をめぐる欧米各国の対応について、国際安全保障に詳しい慶應義塾大学の鶴岡路人准教授は、各国の立場には一定の違いはあるものの、経済制裁などでロシアに対して圧力をかけていく点では結束していると分析しています。

このうち、ヨーロッパの中でもロシアと地理的に近い場所に位置するポーランドやバルト3国については「ロシアを負けさせるべきだという主張を非常に強く打ち出している」として、ロシアに最も厳しい姿勢で臨んでいる立場だと分析しています。

背景として鶴岡氏は「これらの国々は、侵略戦争によってロシア側にも得るものがあったという結末になってしまうと、ロシアは再び侵略すると考えている。その場合、次に侵略される対象が自分たちの国になると真剣に考えている」と指摘しています。

また、同じヨーロッパでも、ドイツとフランスについては「ロシアの脅威に対する差し迫った切迫感はない。ロシアを排除して孤立させても、中長期的にはヨーロッパの安全は保障できないと考えている」として、ロシアとの対話を重視する立場だと位置づけています。

アメリカについては「ヨーロッパ各国の中で、ロシアに厳しい姿勢の国と甘い対応だと言われる国との中間に位置している」と分析しています。

そのうえで「バイデン大統領が『ウクライナに関する決定をウクライナ抜きで行うことはない』と繰り返し強調しており、この原則は非常に重要だ」と述べ、ウクライナとの合意形成に基づく支援を行う姿勢を維持していると指摘しています。

欧米各国の対応について、鶴岡氏は「いつも『足並みが乱れている』と指摘されるヨーロッパ各国だが、今回は足並みが極めてそろっている。アメリカとヨーロッパの間でも高いレベルで結束できている」として、各国の立場には一定の違いはあるものの、経済制裁などでロシアに対して圧力をかけていく点では結束していると分析しています。

一方、今後の見通しについては「ウクライナにとっては、領土内のロシア軍を押し返すことがいまの戦争の目的であり、それが勝利だ。ロシアが勝ったという形にしてはならないというのが国際社会の一致した考えだ」と述べています。

鶴岡氏は、戦闘の長期化が世界各国の政治経済にも影響すると指摘しています。

今月19日に行われたフランスの議会下院にあたる国民議会の選挙で、与党連合の議席過半数を下回る結果となったことについて「ウクライナ情勢を受けた物価高騰に対応しきれなかった政府への不満が背景にあると言える」と分析しています。

そのうえで「ロシアにとって『物価高騰の責任は欧米各国の経済制裁にある』と主張することは、ほぼ唯一残された手段となっている」と指摘しました。

ロシアによる軍事侵攻から4か月を迎える中、アメリカのバイデン政権は、ウクライナへの軍事支援を一段と強化しています。

一方、アメリカ国内では、秋の中間選挙まで5か月を切り、国民のウクライナへの関心は薄れつつあり、バイデン大統領は、ウクライナ危機に対応しながら、選挙を見据え、インフレ対策など国民の暮らし向きを目に見える形で改善させるという大きな課題に直面しています。

アメリカのバイデン政権は、ウクライナ東部地域でロシア軍が攻勢を強めていることを受けて、軍事支援を一段と強化し、これまでに、▽対艦ミサイル「ハープーン」や▽高機動ロケット砲システム=ハイマースなどの兵器の供与を発表しました。

国務省によりますと、ウクライナへの軍事支援額は、ことし2月のロシアの侵攻以降、61億ドル以上、日本円にして8200億円以上に上ります。

さらに、バイデン政権は、軍事侵攻の長期化も見据え、多国間の枠組みでの支援にも力を入れています。

これまでに、NATO北大西洋条約機構の加盟国などが参加する国際会合を3回、主催し、今月15日の会合では、ドイツが多連装ロケットシステムを供与する方針を示すなど、ヨーロッパ各国からの武器の供与の旗振り役も担っています。

一方、アメリカ国内ではことし11月の中間選挙まで5か月を切る中、バイデン大統領の支持率は、世論調査の平均値で、40%を下回り、就任以降、最も低い水準に低迷しています。

さらに、アメリカ国民のウクライナへの関心は薄れつつあります。

調査会社イプソスが行っている世論調査によりますと、「アメリカが直面する最も重要な問題は何か」という質問に対し、「戦争と外国の紛争」と答えた人の割合は、侵攻直後のことし3月上旬は、「経済、失業、雇用」と答えた人の割合に次いで多い17%だったのに対し、3か月後の今月は、3%でした。

これに対し、今月、「経済、失業、雇用」と答えた人の割合は最も多い32%で、国民の関心は目の前の生活へと移っていることがわかります。

その大きな原因の1つがアメリカ国内で続く記録的なインフレです。

先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて8.6%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準に達しました。

バイデン大統領は今月10日、「プーチン氏による値上げがアメリカに打撃を与えている」と述べ、インフレの原因は軍事侵攻を続けるロシアだと非難し「物価を下げるためであれば、できることは何でもする」としています。

バイデン大統領は、車社会のアメリカに欠かせないガソリンの価格の上昇に歯止めをかけようと、石油大手のエクソンモービルなど7社にみずから書簡を送り、速やかに供給を増やすよう求めました。

また、来月中旬には、これまで人権問題などで関係が冷え込んでいた産油国サウジアラビアを訪問すると発表しました。

バイデン大統領としては原油の増産を促すことで、ガソリン価格の抑制につなげたい考えです。

さらに、トランプ前政権が中国からの輸入品に課した関税の一部引き下げを検討していることも認めています。

こうしたあの手この手のインフレ対策の背景には、11月の中間選挙で、与党・民主党が敗れれば、残り2年間、議会の協力を得られず、思うように政策遂行ができないいわゆる「レームダック」に陥ることがあります。

バイデン大統領は、長期化しつつあるウクライナ危機に対応しながら、国内では選挙を見据え、国民の暮らし向きを目に見える形で改善させるという大きな課題に直面しています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから4か月となる中、アメリカの専門家からは国民の関心が記録的なインフレなど身近な問題に移りつつあり、バイデン政権は、秋の中間選挙に向け、一段と国内問題に力を入れることになるとの見方が出ています。

アメリカ政治が専門のオハイオ州、ヤングスタウン州立大学のポール・スラシック教授は、NHKのインタビューの中でウクライナ情勢についてアメリカでは、ここまで長期化すると考えられていなかったことに加え、アメリカが直接、ウクライナに軍を派遣していないこともあり、人々の関心がやや薄れつつある」と述べ、国民の関心がインフレなど身近な問題に移りつつあるという見方を示しました。

そして「バイデン政権がいま行おうとしているのは、ガソリン価格の高騰はロシアのせいだと非難することで、インフレなどの経済問題とウクライナでの戦争を結び付けることだ」とし、「選挙が近づくにつれて、一段と、国内問題に焦点を当てていくことになるだろう」と述べ、バイデン政権は支持率の低迷に悩む中、投票まで5か月を切った中間選挙に向けて、今後、一層、内政に重きを置くようになると指摘しました。

また、このことがアメリカの戦略に与える影響について、スラシック教授はアメリカはウクライナに対し、400億ドルの巨額の支援を行うとしているが今後、大きな資金的援助が難しくなってくる可能性がある。特に野党・共和党の候補者の中には、国内で財源が必要なときにそうした資金を提供することに疑問を投げかける人がいる」と述べました。

そのうえで「問題は、ウクライナが死活的に必要だとする武器を提供するため、アメリカがどれだけ進んで資金を投入し続けるかだ」と述べ、中間選挙が近づくなか、戦闘の長期化はアメリカの軍事支援のあり方に影響を与える可能性があるという見方を示しました。

ハイダイ氏はテレビ演説で、「残念ながら我々は(セベロドネツクから)軍を撤退せざるを得ないだろう。数カ月に及ぶ戦闘で破壊された陣地にとどまる意味はない。防御施設のない場所での死者が日々増えている可能性があるからだ」と述べた。

「現地の守備隊はすでに、退却して新たな陣地に向かうよう命令を受けた。そこから戦闘を完全に遂行する」としている。

ハイダイ氏はまた、ロシア軍から数カ月にわたり絶え間ない砲撃を受け、セベロドネツクの状況は維持不可能になっているとも指摘した。

「市のインフラはすべて破壊された」「民家の9割あまりが攻撃を受け、約8割は激しく損壊している。修復はもはや不可能で、解体するしかない」(ハイダイ氏)

ロシアはいま隣接するリシチャンスクを攻撃目標にしており、同市の南に約30キロ離れたゾロテやトシキウカから攻撃を実施しているという。

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