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米国の住宅ローン貸し付け会社や借り換え提供企業、不動産業者が今後数カ月間に数千人の従業員を解雇する可能性があることが分かった。複数の業界関係筋が明らかにした。ウクライナでの戦争による経済不安や、米連邦準備理事会(FRB)による政策金利引き上げに伴う住宅ローン金利上昇で多くの米国人が住宅購入を先延ばしし、住宅市場が冷え込んできているため。

全米住宅建設業協会(NAHB)のチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「金利上昇と実際の住宅建設費用の高止まりの両方による住宅購入コストの上昇で、購入者の関心低下が見られる」と指摘した。

5月の米中古住宅販売戸数は約2年ぶりの低水準になったが、販売価格の中央値は前年同月比14.8%上昇の40万7600ドルと過去最高になり、初めて40万ドルの大台に乗った。

格付け会社フィッチは、今年の新築住宅販売戸数が2%減になると予想。従来予想は1.8%増だった。

数十万人を雇用する米住宅産業は人員削減で対応しようとしており、不動産仲介業者のコンパスとレッドフィンは今月、それぞれ数百人の雇用削減を発表した。

また、住宅ローン金利高騰で借り換え需要が減退し、住宅ローン貸し付け会社にも影響が波及する可能性がある。

米金融大手JPモルガン・チェースは「住宅ローン市場の循環的変化」を理由に住宅ローン部門の従業員の解雇を始めた。関係者によると、1000人を超える従業員が影響を受け、約半数は別部門に移動する。

住宅ローン貸し付け会社ローンデポの幹部は6月の決算発表で、市場が縮小する中でコスト管理のために従業員を削減する見通しを示した。アリー・ファイナンシャルの関係者は「慎重かつ必要不可欠な雇用だけに」注力していると話した。

米住宅市場の異変は急激に起きた。ワシントン州シアトル近郊のエバレットにある自宅を売りに出しているカーリンとジャック・ステンジェム夫妻は5月以降、提示価格を10万ドル(約1350万円)近く引き下げた。夫妻は小さい家への住み替えを希望している。

  レンガ造りで湖やトレイル(自然歩道)への専用アクセスを持つ夫妻の自宅は現在、89万9000ドルで売りに出ている。カーリン夫人はこの価格に「うんざり」しているという。

  「2カ月前には、不動産サイトのジローで110万ドルと評価されていた」と夫人は話した。

  新型コロナウイルス禍をきっかけとした住宅市場の活況は急失速しつつある。住宅ローン金利が少なくとも50年ぶりの速いペースで上昇する中、住宅購入のハードルは一気に高くなり、多くの売り手が不意打ちを食らっている。わずか数カ月前までは、買い手は数日のうちに購入の意思表示を行い、住宅診断は放棄し、提示価格を大幅に上回る金額を申し出なくてはならないとの切迫感を持っていた。今では落ち着いて考えることができ、より好条件の物件を探すことも可能だ。

  不動産市場が2008年のような崩壊に向かっているというわけではない。しかし、市場がこうした高みに達すると、正常に向かう低落ですら急激に感じられる。もちろん、リセッション(景気後退)が起きれば全ての状況がさらに深刻化する恐れがある。

  不動産情報サイトのリアルター・ドット・コムのシニアエコノミスト、ジョージ・ラティウ氏は「住宅市場は間違いなくリセットを必要としている」と指摘。「市場の過熱は持続不可能だ。価格は調整する必要があり、既に減速している。問題は価格が下落するのか、あるいは横ばいで推移するのかだ」と述べた。

  現在売りに出されている物件数は6月に前年同月比18.7%増加し、年間ベースでの伸びは2017年までさかのぼるデータで最大となった。リアルター・ドット・コムが今週公表したデータで明らかになった。ラスベガスやデンバーカリフォルニア州のリバーサイドやサクラメントなど、コロナ禍で活況となった地域で特に価格の引き下げ傾向が顕著だったという。

米住宅市場に異変、売り出し物件が急増-在庫不足に緩和の兆しか

原題:

Home Sellers Are Slashing Prices in Sudden Halt to Pandemic Boom(抜粋)

ボルティモア市近郊でポール・センテナリ氏が経営する段ボール箱工場には最近、職を求める人々が訪れるようになった。ここ1年間、目にしたことのない光景だ。

「1カ月前にはなかったことだ」とセンテナリ氏。ほんの半年前、自身が最高経営責任者(CEO)を務めるアトラス・コンテナ社は人手不足を埋めるため、元受刑者に職を斡旋(あっせん)する社会福祉団体の戸をたたいたばかりだった。

労働市場はまだタイトだが、わずかに緩み始めている」とセンテナリ氏は語る。

どの程度緩んでいるのかは、まだ明らかでない。米労働省が30日に発表した直近週の新規失業保険申請件数は、相変わらず数十年ぶりの低水準に近かった。

給与事務サービスを手がけるUKGの報告によると、米労働市場は6月前半に堅調さを増した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを実施し、一部エコノミストが景気後退入りの可能性を指摘し始めているにもかかわらずだ。

もっとも、ハイテクや住宅などのセクターで著名企業が解雇を発表するなど、労働市場が弱含む兆しも出ている。

電気自動車(EV)のテスラは今週、自動運転支援システム「オートパイロット」部門で200人を解雇。これに先立ちイーロン・マスクCEOは幹部らに対し、約10%の人員削減が必要だと告げていた。また、金融大手JPモルガン・チェースは住宅ローン事業で解雇に着手した。

求職者が自発的に企業を訪れるようになったことは、過去2年間にわたって人手の確保とその維持に苦心してきたアトラス・コンテナ社などの米企業にとって、一筋の光明だ。

アトラス社のセンテナリ氏は「常に人が辞めるので、常に人を採用している」と言う。同社の工場は冷房を備えていないこともあって、特に夏場は人手の確保が難しい。

「うちの夏は暑くなる」。だからこそ、採用責任者から求職者が来ていると聞いた時には驚いたという。

宅配大手フェデックスのラジ・スブラマニアムCEOは先週、同社の雇用問題は最悪期を脱したとの見方を示した。5月31日に終わった会計年度には、賃金インフレ、従業員の離職、人手不足の施設を避けて荷物を別の施設に迂回させるコストなど、人手不足に伴う経費が14億ドルに上っていた。

スブラマニアム氏は、決算発表後のアナリストとの電話会議で「賃金は1年前に比べて上がったままだが、落ち着いてきている」と述べた。

新型コロナウイルスパンデミック期、米労働市場では退職や転職をする労働者が非常に多く「大退職時代」とまで呼ばれた。パウエルFRB議長は最近の議会証言で、現在の米労働市場求人倍率が2倍に近く「持続不可能なほど過熱している」と指摘した。

アイオワ州の機械メーカー、バーミアのジェイソン・アンドリンガCEOは、数カ月中に労働市場が緩むと予想する。FRBの積極的な利上げの影響で、既に芝刈り機など住宅・消費者関連の事業で需要が冷え込み始めているという。もっとも、同社が関係する他のセクターはまだ堅調だ。  

アンドリンガ氏は「ほんの数週間前のような労働市場の過熱状態が、今後落ち着くのは間違いなさそうだ」と語った。

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