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日銀は3か月に1度の支店長会議を開き、全国の景気の現状をまとめた「地域経済報告」を公表しました。

それによりますと、全国9つの地域のうち北海道、東北、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄の7つの地域で前回の報告から景気判断を引き上げました。

一方、関東甲信越と東海の2つの地域については景気判断を据え置きました。

7つの地域で判断を引き上げたのは製造業で部品の供給不足が続く一方、まん延防止等重点措置が解除されて以降、飲食や宿泊などを中心に新型コロナの影響が和らいでいるためです。特に「個人消費」では9つの地域すべてで判断を引き上げました。

日銀は
▽ロシアの軍事侵攻を受けた原材料価格の高騰に加えて
▽国内で新型コロナの感染が再び拡大していることなどから日本経済の不確実性は極めて高いとしていて
今後の動向を注意深く見ていくとしています。

近畿の景気判断を引き上げたことについて、日銀大阪支店の高口博英支店長は記者会見で「感染症の影響の緩和を受けて人出が回復する中で、個人消費の持ち直しが明確化してきている。デパートでは高額品の販売が好調で、婦人衣料品の販売も伸びているほか、旅行なども緩やかに持ち直している」と説明しました。

そのうえで、先行きについては「関西地域でもこのところ、やや急速に新型コロナの感染が再拡大していて消費への影響に留意が必要だ。また、原材料価格はウクライナ情勢を受けて一段と高騰していて、企業収益が下押しされる可能性があるほか、物価の上昇に賃上げが追いつかなければ消費を下押しする可能性があり、今後の動向を注意深く見ていく必要がある」と述べました。

#経済統計

日銀は11日、3か月に1度の支店長会議を東京の本店で開き、全国の支店長らが出席しました。

この中で黒田総裁は景気の現状について「一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している」としたうえで、先行きについて「資源価格上昇による下押し圧力は受けるものの、新型コロナウイルスや供給制約の影響が和らぐもとで、回復していくとみられる」と述べました。

また、物価の先行きについては「当面エネルギーや食料品の価格上昇の影響により、生鮮食品を除く消費者物価の指数は、前の年と比べて2%程度で推移すると見られるが、その後はエネルギー価格による押し上げ効果は弱まり、プラス幅は縮小していく」という見方を示しました。

そして黒田総裁はリスク要因として、新型コロナウイルスや資源価格の動向などを挙げ「日本経済をめぐる不確実性は極めて高く、金融・為替市場の動向や、経済・物価への影響を十分注視する必要がある」と指摘しました。

そのうえで今の大規模な金融緩和策を続ける考えを強調するとともに、必要があれば、ちゅうちょなく追加の金融緩和に踏み切る考えを改めて示しました。

日銀の黒田東彦総裁は11日、支店長会議で挨拶し、当面は新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加緩和を実施すると改めて強調した。経済は新型コロナの影響や資源価格上昇で一部に弱めの動きもみられるが「基調としては持ち直している」ものの、感染症ウクライナ情勢や資源価格の動向、海外経済といったリスク要因の中で「不確実性はきわめて高い」と警戒感を示した。

外為市場での急速な円安を受け、黒田総裁は「金融・為替市場の動向や日本経済・物価への影響は十分注視する必要がある」と改めて述べた。

黒田総裁は経済の先行きについて、資源高で下押し圧力を受けるものの「感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復していく」と述べた。

消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は当面、エネルギーや食料品の価格上昇の影響で2%程度で推移するとみられるが、その後はエネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくとした。生鮮食品やエネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の前年比については「マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率・賃金上昇率も高まっていくもとで、原材料コスト上昇の価格転嫁の動きもあって、プラス幅を緩やかに拡大していく」との見通しを示した。

黒田総裁は金融システムは「全体として安定性を維持している」と評価。金融環境は「企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にある」と述べ、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努める方針を示した。

政策金利は「現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移することを想定している」とした。

参院選自民党が単独で63議席と、改選124議席過半数を確保して大勝したことを受け、来年4月に任期を迎える黒田東彦日銀総裁の後任選びが本格化する。政府は、金融緩和からの脱却は尚早との立場だが、緩和継続に伴う急ピッチな円安には警戒感を抱く。首相を退いてからも影響力を保持してきた安倍晋三氏を失ったことで、結論を得るまでの曲折も予想される。

<衆参ねじれの過去>

2013年3月に就任し、在任日数が歴代最長となる黒田総裁は23年4月8日に任期を迎える。政府・日銀内から続投説は聞かれず、来年の通常国会への人事案提示をにらみ、政府は内閣改造後にも後任の調整に着手する見込みだ。

参院で野党が過半数となった2008年当時の「ねじれ国会」では、福井俊彦総裁の後任案を巡って福田康夫内閣が元財務次官で武藤敏郎副総裁(当時)の昇格案を提示したが、否決された。元大蔵次官の田波耕治・国際協力銀行総裁(同)の起用案も否決され、戦後初めて総裁不在となった。

21年10月の衆院選に続いて参院選でも勝利した岸田文雄内閣は、フリーハンドを得た格好とも言え、今後焦点となる日銀総裁人事で「岸田カラー」を反映できる。

日銀総裁は国会の同意を得て内閣が任命する。

<にじむ緩和継続期待>

今のところ岸田首相は「金融政策を触るべきではない」との立場を崩していない。経済財政運営の指針となる骨太方針では、物価安定2%目標を巡って「持続的・安定的」との記述を追記した。

「デフレ脱却を宣言できる経済環境じゃないのに正常化を急げば、看板政策への分配原資を失う。(持続的・安定的と追記したのは)緩和継続への期待の表れ」と、与党幹部の1人は指摘する。指針の修文協議について「原案の段階から明記され、(正常化は)議論の余地もなかった」と、別の関係者は振り返る。

日銀総裁人事に先立つ審議委員選びでは、7月23日に任期満了を迎える片岡剛士委員の後任に、岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長の高田創氏を充てる人事がさざ波を立てた。「リフレ派を外して正常化に向かう布石なのか内閣官房に質した。そうではないと確認できたため、人事案に同意した」と、野党党首の1人は語る。

政権与党にとどまらず、金融政策の修正を求める立憲民主や共産党以外の野党の間でも、金融政策修正に対する警戒感は強い。

<日銀出身者を有力視>

財務省出身の黒田氏の後任について、同省OBからは「次は日銀出身者」との見方が出ている。複数の日銀OBも、約10年ぶりに同行から総裁が選出されることに期待を寄せる。

有力候補と目されているのが雨宮正佳副総裁と、中曽宏前副総裁の2人だ。雨宮副総裁は、アベノミクス政策のもとで政府との連携に徹し、「政財界に気脈を通じるパイプがある。複雑な金融政策も熟知している」(元日銀幹部)と評される。コロナ対応では麻生太郎財務相(当時)と国債購入の上限撤廃に奔走した。

一方、中曽氏はマクロプルーデンス政策に精通する国際派で知られる。1997年のアジア通貨危機では信用機構課長として対応にあたり、「危機時の手腕は広く知られ、国際金融界での知名度も抜群」(金融庁幹部)との声がある。

財務省出身では、元財務官でアジア開発銀行の浅川正嗣総裁も取りざたされている。浅川氏は、自民党麻生太郎副総裁の信頼が厚く、退官前には財務次官候補に推されたこともある。

<波乱含みの米経済>

もっとも米国経済の先行き不安も根強く、年末にかけ経済環境がどう推移するかも後任人事を左右する。岸田首相は2月21日の衆院財務金融委員会で、日銀総裁人事について「その時点で最もふさわしいと判断する人を任命するのが基本。今後の経済の動向を見ながら的確な判断を行っていきたい」と述べた。

日銀審議委員を務めた経験もある野村総合研究所木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、円安是正が必要で黒田氏が任期中に政策を柔軟化すれば「(継承者として)雨宮副総裁が有利になる」とみる。

ただ、米国の急激な利上げで金融市場が混乱すれば、円安対応から金融システムの安定に政策の軸足が移ることも予想され、「その場合は中曽氏が有利」と木内氏は言う。

安倍元首相が死去したことがどう影響するかも焦点となる。21年10月の岸田内閣発足以降、安倍氏は「党高政低」を主導する象徴的な存在だった。

安倍氏は次期日銀総裁について「しっかりとしたマクロ経済分析ができる方にやってもらいたい」としていた。安倍氏の遺志を継いで金融緩和路線を継続できるかどうかは、その後の政権求心力にも影響を及ぼす難題となる。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政
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