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イギリスでは相次ぐ不祥事を受けて辞意を表明したジョンソン首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選が続いていて、20日、候補者を絞り込むための下院議員による5回目の投票が行われました。

その結果、▽スナク前財務相が137票、▽トラス外相が113票、▽モーダント通商政策担当相が105票を獲得し、ともにジョンソン政権で閣僚を務めたスナク氏とトラス氏の2人が決選投票に進むことになりました。

モーダント氏は、これまでの投票では、スナク氏に次ぐ票を獲得してきましたが、決選投票に進むことはできませんでした。

2人の候補者は、このあとおよそ6週間にわたって遊説などを行い、決選投票では、およそ20万人とされるイギリス全土の党員が郵送などで票を投じます。

投票は、9月2日に締め切られ、9月5日に新たな党首が決まり、首相に就任することになります。

イギリスでは、記録的なインフレの影響が市民生活に広がり、経済対策が大きな争点になっていて、トラス氏は、首相に就任すれば、直後に減税を行うと明言している一方、スナク氏は、インフレが落ち着いたあとに減税を検討すべきだとし、主張が対立しています。

スナク前財務相とは

スナク氏は、アフリカから移住したインド系の両親のもとにイギリスで生まれ、アジア系イギリス人として初の首相を目指しています。

オックスフォード大学やアメリカのスタンフォード大学で学んだあと大手金融機関のゴールドマン・サックスなどを経て、2015年から下院議員を務めています。

2020年2月、ジョンソン政権のもとで、39歳の若さで財務相に抜てきされ新型コロナウイルスの大きな影響を受けた経済の復興に取り組みました。

このうち雇用支援策として、新型コロナの影響で仕事がなくなっても従業員を雇い続ける企業などを対象に、政府が賃金の支払いを肩代わりする制度を主導し、大規模な財政出動を講じたことで、高い評価を得ました。

こうした功績からジョンソン首相の後継者の最有力候補と見られていましたが、不祥事が相次いだ首相に対し、今月5日、辞表を提出し、首相が辞意を表明するきっかけとなりました。

一方、新型コロナの規制が続く中、首相官邸などでパーティーが繰り返された問題では、スナク氏もジョンソン首相と同様、警察から罰金を科されています。

また、インドの富豪の娘である妻が海外所得の納税を免除されていたことや、財務相に就任後もアメリカの永住権を保持していたことも批判されています。

また、スナク氏について、イギリスの公共放送BBC「最も裕福な国会議員の1人とされる」と伝えていて、たびたび、その「富豪」ぶりがメディアなどからやゆされています。

高騰するエネルギー価格対策として、燃料税の引き下げに踏み切った際には、アピールの一環として、車に、みずからガソリンを入れてカードで支払う様子をメディアに公開したところ、バーコードを読み取る機械にクレジットカードをかざそうとするなど、支払いに戸惑う様子を見せ、裕福が故に市民生活を知らないなどとも指摘されています。

トラス外相とは

トラス外相は、オックスフォード大学で学び、その後、会計の仕事に携わっていましたが、政治の道を志し、2010年、下院議員に初めて当選しました。

保守党のキャメロン政権やメイ政権のもとで要職を歴任し、ジョンソン政権では国際貿易相を務め、2020年には、日本との経済連携協定をめぐる交渉で合意し、署名しました。

外相に就任してからは、ジョンソン首相とともに、ウクライナに対する支援を推し進め、ロシアに対し強硬な姿勢を鮮明にしています。

党首に立候補を表明した際に公表した動画では、国内外で公務をこなす様子をアピールし、豊富な経験を強調しています。

またトラス氏は、2016年のEUヨーロッパ連合からの離脱をめぐる国民投票では、残留を支持していましたが、離脱支持に転じました。

その後、EUに対して強硬な姿勢を貫いていて、今回の党首選では離脱強硬派の支持を得ています。

さらに不祥事が相次いだジョンソン首相に対し、党首選を争うスナク氏をはじめ、閣僚や高官が相次いで辞任したなか、トラス外相は、政権に残る道を選びました。

党首選のテレビ討論では「私には忠誠心がある」として、辞任せず、政権にとどまった理由を説明し、首相に近い議員などからの支持も集めました。

トラス氏が党首に選ばれれば、サッチャー氏、メイ氏に続き、3人目の女性の首相が誕生することになります。

ジョンソン首相「また会おう」

辞意を表明したイギリスのジョンソン首相は、20日、議会下院で最後の討論に臨み、EUヨーロッパ連合からの離脱の実現や、新型コロナウイルスの感染対策、さらにはウクライナへの支援などを挙げ「ミッションは、現時点ではおおむね達成した」と自身の実績を強調しました。

またジョンソン首相は、後任へのアドバイスとして「まず、アメリカと緊密な関係を続けること。ウクライナを支援し続けること。自由と民主主義を支援し続けること。減税を実施し、規制を撤廃することだ」などとして、常に未来に目を向けることが重要だと指摘しました。

最後には「アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー」と、スペイン語で「また会おう、ぼうや」という、ハリウッド映画「ターミネーター2」のアーノルド・シュワルツェネッガーさんのセリフを引用して締めくくり、与党議員たちから拍手を受けながら、議場をあとにしました。

ジョンソン英首相の後任を選出する与党保守党の党首選の第5回投票が20日実施され、スナク前財務相が137票を獲得し、首位を維持した。

2位にはトラス外相が付け、スナク氏とトラス氏が全党員による決選投票で対決することになった。

スナク氏は初回投票から首位を維持しているが、約20万人の党員の間ではトラス氏を支持する声が優勢のもよう。

モーダント通商政策担当相は3位となり、落選した。

投票結果の発表後、トラス氏は議員らに謝意を表明し「私は勝つためにこの選挙に参加する。首相になった場合は初日から全力で取り組み、党をまとめ、党の価値観に沿った政治を行う」と述べた。

スナク氏はツイッターに「私に信頼を寄せてくれた議員に感謝する。昼夜を問わず、全国に我々のメッセージを伝えるために働くつもりだ」と投稿した。

トラス氏にわずか8票差で敗れたモーダント氏は、しばしば醜い主導権争いを繰り広げる党に団結を呼びかけ。「政治は簡単ではない。私たちは今、党を統一し、なすべき仕事に集中するために協調しなければならない」とする声明を発表した。

トラス氏が支持を伸ばした背景には、EU離脱の積極的支持に転換したことと、減税を提案したことがあるとみられる。また、ジョンソン首相辞任のきっかけとなった一連の閣僚離反の口火を切ったスナク氏では次回選挙で野党労働党に勝てないとの見方も有利に働いた。

ただ、トラス氏がロシアに対し極めて強硬な姿勢を取っていることから、二国間関係の緊張が危険な水準にまで高まると懸念する向きもある。

一方、スナク氏は、新型コロナウイルス禍で英経済のかじ取りを行った功績が幅広い評価を獲得。決選投票に向けてもその点を強調するとみられる。ただ、勝利するためには、自身が資産家であるため増税を厭わないという印象を払拭する必要がある。党内からも、資産家であることが中道左派労働党の格好のターゲットになるとの懸念が出ている。

第5回投票の結果は以下の通り。

候補者 得票数

スナク前財務相 137

トラス外相 113

モーダント通商政策担当相 105

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2020年2月13日、ジョンソン首相に最側近の交代を求められたサジド・ジャヴィド財務相が、この要求を拒否し突然辞任を発表した。これを受けてスナックは、後任の財務大臣に任命された。

2022年4月、新型コロナウイルス対策のロックダウン期間中に規制違反のパーティーを開いたとして、ジョンソン首相らと共に警察から罰金を命じられた。同年7月5日には、不祥事が相次ぐジョンソン政権への抗議のため、サジド・ジャヴィド保健相と共に辞任を表明し、ジョンソン首相が辞意を表明した翌7月8日に党首選挙に出馬した。

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