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 取材の主題であった名古屋場所中日の結びの一番では、若元春のまわしが緩んでいたことから、行司である式守伊之助が「まわし待った」をかけたが、その声かけに気づかなかった若元春が力を抜いた照ノ富士を寄り切ってしまうという事態が起きた。

 佐渡ヶ嶽審判長らが土俵上に集まり、2分半の長い協議の末に元の体勢から再開することが決まった。再開後、わずか9秒で若元春が下手投げで敗れた。この一番について畠山さんはこう語っていた。

「審判規定には“行司は動きを止めて、(まわしを)締め直させることができる”とある。だから『まわし待った』をかける判断自体は間違っていなかった。土俵下の審判からも“まわし”の声が掛かったのではないか。ただ、まわしが緩んでも力士が動いている時は止めない。そのタイミングが少し遅れたんだろうが、止める時は思い切って止めないといけない。

 問題はどこから再開するかということだったと思う。動いていたのだから(まわし待ったがかかった瞬間は)誰にもわからない。照ノ富士が左で取っていたのは1枚まわしだったが、再開後はしっかりとつかんだ左下手で(若元春を)転がした。まわしを締め直すのだからそうなる。

 本来、まわし待ったをする時は、両者分かれての『水入り』と違って土俵上で組み合った状態で締め直す。そのため元の体勢のまま再開できるが、今回は動いてしまっていた。審判部長が土俵上でビデオ室と連絡を取って再現しようとしていたが、動きがあったらからどの形から再開するのが正しいかわからない。他の審判が指摘することもできない。蹲踞(そんきょ)からやり直してもよかったのではないか。審判部の判断だから何とも言えないが、その選択もあったと思う」

 畠山氏が2015年に定年退職して以降、最高位の「木村庄之助」は7年間も空席のままになっている。現在の41代式守伊之助は健康問題に加え、差し違えや土俵からの転落などが多く、これまで昇格が見送られてきたとされる。

 これについて畠山さんは「よく聞かれるが、(昇格は)私が決めることじゃないのでね……答えられないよ」とするのみだった。5月の取材で聞いた時も同じ答えだった。そして畠山さんは「ただ、行司は土俵上の勝負判定だけじゃないからね」と付け加えた。

 行司には場内放送、顔触れ書き、番付書き、取組編成会議での書記、巡業での会計など様々な役割がある。特に立行司は土俵祭りの祭主、翌日の取組を披露する顔ぶれ言上など仕事は多い。

 5月の取材時には、畠山さんが「(行司が)左腰に小刀を帯びている」ことついて言及する一幕もあった。もともとは差し違えがあった時に切腹するためという由来があるが、「そういう覚悟をして土俵に上がっているということです」と話していた。

「勝負判定を間違った時に、いちいち切腹はできないですからね(苦笑)。それでも三役格以上はその日のうちに進退伺を出ださないといけない。1場所で2回の差し違えで謹慎処分が出たケースがあるが、それほど行司の勝負判定は間違ってはいけない。庄之助を9場所、(式守)伊之助を6場所やりましたが、その間に1回も行司黒星(差し違え)はなかった。立行司として約3年間で1度も(差し違えが)なかった。それが私の誇りだね」

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