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ワクチンの効果や副反応を、接種した人としていない人で比較して検証できるシステムを九州大学のグループが開発しました。国内には、接種後に出た症状がワクチンによるものかどうか正確に調べられるシステムがないのが課題となっていて、正確に調べて信頼を高めるのに役立てたいとしています。

システムを開発したのは、九州大学の福田治久 准教授らのグループです。

ワクチン接種が進められる中で、効果や接種後に出た症状がワクチンによるものかどうかを正確に調べるには接種した人としていない人で比較する必要がありますが、国内には検証するシステムがないことが課題になっていました。

福田准教授らは、各地の自治体の協力を得て、およそ130万人分の予防接種台帳などの情報と国民健康保険のレセプト情報から個人情報を削除した形でデータベースを作り、接種した人としていない人でワクチンの対象の病気になったり接種後に副反応の疑いがある症状が起きたりした割合を比較できるシステムを作りました。

そして実際に調べると従来型の新型コロナワクチンはオミクロン株の「BA.1」が多かった時期に感染を防ぐ効果が56.5%だったほか、肺炎球菌ワクチンでは副反応として知られる皮膚の炎症が起きる確率が2.5倍だったことが確認できたということです。

こうした検証システムができたのは国内で初めてで、予想外の副反応が起きた場合にも対応が可能になるとしていて、福田准教授は「ワクチンに対する信頼を高めるのに役立てたい」と話しています。

ワクチンを接種した人としていない人の実際のデータを比べて安全性を確認するシステムは、欧米やアジアの国々ですでに導入されています。

ワクチンを接種したあとには、発熱やけん怠感のほか、血栓症や心筋炎などの症状が出ることがありますが、それぞれのケースを検証しても接種後に偶然起きたのかワクチンによるものなのかどうか分からないことが多く、正確に検証するためには接種した人としていない人とで症状が出る頻度がどれくらい異なるのか、統計的に比較する必要があります。

アメリカではCDC=疾病対策センターが「ワクチン安全性データリンク」というシステムを運用していて、全米各地にある9つの病院グループの1200万人分の医療情報をもとに、ワクチンを接種した人としていない人を比較し、接種した人の間でおよそ20の症状が異常に増えていないかを、毎週、自動的に解析しています。

このシステムは1990年に創設され、新型コロナのワクチン接種では、ワクチンを接種した人の間で心筋炎が増えていることが分かり、早い段階での注意の呼びかけにつながりました。

同様のシステムはイギリスや北欧諸国のほか、アジアでも香港や台湾で1990年代から、マレーシアや韓国、タイ、中国では2000年代から稼働しています。

日本にはこうしたシステムがなく、ワクチン接種後に出た症状が接種した人の間で特に増えているのか、接種していない人でも同じように起きているのか分からないため、検証の仕組みを整備するのが課題になっていました。

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