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ブラジルの首都ブラジリアでは8日、ボルソナロ前大統領の支持者たちが連邦議会や大統領府、それに最高裁判所に侵入し、施設の窓ガラスを壊したり書類などを荒らしたりしました。

これを受け、治安部隊によって排除されたあと拘束されたおよそ1500人のうち、これまでに女性や子ども、それに高齢者などおよそ600人が解放されました。

解放された男性の1人は、ロイター通信の取材に対し「われわれは新たな戦いに備える」と話していました。

一方、連邦警察の施設では10日、拘束されている支持者たちを乗せたバスが出発するのが確認されました。

施設の関係者は、別の場所で詳しい取り調べを行うために移送すると明らかにしました。

こうした中、ブラジル各地で行われたルーラ大統領を支持するデモでは「恩赦を与えるな!」などのシュプレヒコールが繰り返されました。

ブラジル政府は、背後関係など全容の解明に向けて徹底した捜査を行う方針です。

アメリカ政治や民主主義の仕組みに詳しい慶應義塾大学渡辺靖教授は今回の襲撃事件について「異なる意見があってもことばで相手を説得して、乗り越えていくというのが民主主義の根幹だ。暴動や暴力でもって自分の主張を正当化しようとする行為は、やはり危惧されるべきことだ」と批判しました。

その上で「もし今回、ボルソナロ前大統領の支持者の一部が、暴徒化するという悪しき例を2年前アメリカで起きた連邦議会襲撃事件から得たのであれば、アメリカが民主主義を広げてきた役割がある一方で、民主主義を否定するかのような動き自体も広めてしまっている」と述べました。

さらに、こうした動きが広がっていく可能性について渡辺教授は「経済格差の拡大や政治に対しての不平不満がことばだけでは伝わらないというフラストレーションを抱えた人が、SNSなどでつながり、過激な行動や暴力を肯定するという流れは、欧米だけでなく今後他の国や地域で広がっていく危険性がある」と述べ民主主義の根幹が揺らいでいくことへの危機感を示しました。

その上で「分断や対立をあおる手法は国や社会の統一を損ねる大きな危険性がある。そういう手法は通用しないんだという機運を政治家本人やメディアも含めて盛り上げて維持することができるかどうかがいま試されている」と述べました。

ブラジルで右派ボルソナロ前大統領支持者らが連邦議会や大統領府、最高裁を襲撃した事件を捜査している最高裁判事は10日、前法相で今月に首都ブラジリアの治安責任者に就いていたアンデルソン・トレス氏の逮捕を命じた。消息筋がロイターに語った。罪状は不明。

トレス氏は事件の責任を巡って批判にさらされていた。同氏は事件当日の8日にブラジルのメディアに対し、休暇で米フロリダ州オーランドに家族と滞在していたと語っていた。オーランドはボルソナロ氏の現在の滞在先でもある。

事件でこれまでに拘束された約1500人は1カ所の警察施設に尋問のため収容されている。SNSにはブラジル国旗をまとうなどした人々が地面でじかに寝ている様子などが投稿され、一部収容者はロイターに対し、拘束の期限は定められておらず、食事などの待遇がひどいと訴えた。

ボルソナロ支持者らはSNSでブラジリア以外での幹線道路や製油施設を襲い経済混乱を起こす計画も話し合っていた。消息筋2人によると、同国のエネルギー企業エレトロブラスは送電塔2カ所の損傷が首都襲撃と関係しているかどうかを調査中。当局の捜査も広域にわたる可能性が出ている。

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