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厚生労働省が従業員5人以上の事業所3万余りを対象に行っている「毎月勤労統計調査」の速報値によりますと、物価の変動分を反映したことし2月の実質賃金は去年2月に比べて2.6%減少しました。

基本給や残業代などをあわせた働く人1人あたりの現金給与総額は、平均で27万1851円と去年2月に比べて1.1%増加しましたが物価の上昇率がこれを上回り、実質賃金は11か月連続でマイナスとなりました。

一方、政府の負担軽減策で電気代などの上昇が抑えられ、物価上昇率が鈍化したことから、実質賃金の減少幅はマイナス4.1%だった1月に比べると縮小しました。

今後について、厚生労働省は「ことしは春闘で例年にない賃上げの動きが広がっているため、その影響がどう現れてくるのか注視したい」としています。

#経済統計(日本・実質賃金)

総務省が7日に発表したことし2月の家計調査によりますと、2人以上の世帯が消費に使った金額は、1世帯当たり27万2214円でした。

物価の変動を除いた実質で去年の同じ月より1.6%増え、4か月ぶりの増加です。

内訳を見ますと、
▽「光熱・水道」は、1月に暖房の需要が増え、2月の電気代の支払いに反映されたことなどで前の年の同じ月より13.2%の増加となりました。

また、
▽「教養娯楽」は外出の機会が増えたことや全国旅行支援の効果もあって宿泊費や旅行費が増え、10.8%の増加となったほか
▽「被服および履物」は、入学式や卒業式を開催する動きが戻ってきた影響で関連する衣服の需要が増えて、10.4%の増加となりました。

一方で、
▽「食料」は、外食での飲食代が大幅に増えましたが、自宅で食事をする機会が少なくなった影響で魚介類や調理食品の需要が減り、0.4%の減少となりました。

総務省は「外出の機会が増えたことで家計の支出が増える結果となった。今回の調査結果からは物価上昇による買い控えの動きは強くはあらわれていないが、消費への影響は今後も注視していきたい」としています。

#経済統計(日本・家計調査)

政府は、8日に退任する日銀の黒田総裁の後任に、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する人事案を国会に提示し、3月、衆参両院の本会議で、いずれも賛成多数で同意されました。

これを受けて、政府は7日の閣議で、新しい総裁に植田氏を9日付けで任命する人事を決定しました。

任期は5年で、戦後初の学者出身の総裁となります。

日銀の人事をめぐっては、すでに3月、新たな副総裁に前金融庁長官の氷見野良三氏と日銀理事の内田眞一氏が任命されていて、今後、新たな体制のもとで金融政策が進められることになります。

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#日銀(植田総裁・起用・閣議決定

植田和男氏の日銀総裁就任を前に、市場では4月にイールドカーブ・コントロール(YCC)の見直しがあるのではないかとの観測が消えない。欧米の金融不安を受けて急低下した10年債金利は足元0.46%付近で推移。4日の10年債入札も政策修正への警戒感から低調な結果となった。YCCの変更は事前に織り込ませることは困難とされるが、その制約をどう乗り越えるか、「植田日銀」の対話力がいずれ試されることになる。

<経済・物価と切り離されるYCC>

品目ごとに見た物価上昇率の「最頻値」が2%を超え、春闘3次集計では定期昇給込み賃上げ率が3.70%となるなど、足元で基調的な物価上昇率の高まりを示唆するデータが相次いでいる。しかし、植田次期総裁は「さまざまな指標を丁寧にみて物価・賃金の基調を判断する」との方針を示しており、エコノミストの間では、日銀は物価の基調判断に今しばらく時間を掛けると予想している。

一方、YCCについては経済・物価のファンダメンタルズの議論と切り離して副作用軽減の観点から修正されるのではないかとの見方が目立っている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美・チーフ債券ストラテジストは「4月の決定会合では、物価の基調については引き続きデータを見ていく姿勢を示す一方で、副作用対策の観点からYCCを見直すリスクはある」と話す。

内田真一副総裁は2月の所信聴取で「副作用があるから緩和を見直すのでなく、工夫をこらして緩和を継続する」と述べ、YCCの副作用が解消しないことが政策修正思惑につながる状況をけん制した。

ただ、市場関係者の脳裏には、昨年12月に日銀が金融市場の機能低下を前面に出して長期金利の変動幅拡大に踏み切ったことに伴う「苦い記憶」が鮮明だ。「内田副総裁なら、10年金利0.5%でのコントロールの効果を認めた上で、副作用の軽減と金融緩和の持続のためにはYCCを撤廃して新たな手法を模索する、そういうロジックも簡単に作れるのではないか」(金融機関)との声も聞かれる。

<撤廃しても金利上昇しにくい環境>

こうした中、4日に行われた10年債入札は低調な結果となった。新発債で、無難な結果を予想する声も多かったが、応札倍率が低下。落札価格の平均と最低の開き(テール)も拡大するなど、投資家の応札が消極的になったことを示した。

金利水準も前回より低下していたが、低調な結果となった要因の1つは、4月の日銀決定会合での政策修正への警戒感だ。欧米発の銀行不安は、金融緩和継続の必要性を高める一方、海外の金利を低下させ、日銀がYCCを撤廃しても金利が上昇しにくい環境を作り上げた。

足元の10年国債金利は0.46%付近で、昨年6月や10月のように日銀の許容変動幅の上限を上回っておらず、マーケットの「日銀アタック」が盛り上がっているわけではない。ただ、金利スワップ市場では、海外勢が金融不安でいったん手仕舞ったYCC修正を見越したトレードを復元する動きもみられる。

りそなホールディングスの市場企画部ストラテジスト、石田武氏は「YCCを修正・撤廃したいのであればやりやすい環境だが、やらなければならない環境でもない」と指摘。「植田日銀が黒田緩和からの脱却をどの程度のスピード感で行いたいのか次第だ」とみる。

<政策修正の局面で試される対話力>

現在、日銀は日々の金融市場調節に変化を持たせることで先行きの政策変更を示唆することはせず、金融市場調節はあくまで直近の決定会合での決定事項を忠実に実行していく仕組みになっている。YCCの修正は事前に織り込ませることが難しく、修正の場合は金融政策決定会合の結果公表後に一気に市場が織り込むことになる。

市場が織り込まない中で決まった昨年12月の長期金利の変動幅拡大では、国債金利が急上昇し、事前に防衛策が取れなかった銀行や生保などの保有国債の評価損が急拡大した。「日銀にはしてやられた」(生保関係者)との恨み節も聞かれる。

岸田文雄首相は2月、日銀総裁人事に当たって、内外の市場関係者への質の高い「発信力」と「受信力」を条件に挙げた。植田新体制には、特に金融政策の変更を検討していく局面で、市場との対話力が求められることになる。

内田副総裁は3月29日の国会答弁で、市場とのコミュニケーションについて、金融市場に政策意図を正確に伝えることは重要だとする一方、毎回の決定会合の前に会合内容を先取りするような情報発信は「通常やらないし、やるべきでもない」と述べた。これは決定会合を金融政策の最高意思決定機関と位置付ける日銀の基本スタンスでもある。

一方、日銀はこれまで、市場に提供する情報の拡充に努めてきた。物価の基調をより把握しやすくする観点から、昨年4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)から、従来の生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)に加え、生鮮食品及びエネルギーを除くCPIの見通しを追加したのが好例だ。

全国銀行協会の半沢淳一会長(当時)は3月の記者会見で、植田次期総裁の下での新体制で大規模金融緩和策を調整していく際には、金融・資本市場のボラティリティが高まることも想定されるとし「政策の予見性を高めるフォワドガイダンスを含めた市場との十分な対話が重要」と述べた。

SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは、YCCを修正する場合には、投機的な動きを抑制し、金利の非連続な上昇を避ける観点から、長期金利の変動幅を段階的に拡大することが望ましいと指摘。金利の急騰を防ぐための「合わせ技」として、米連邦準備理事会(FRB)のように政策委員の金利見通しの分布を公表することで「市場とのコミュニケーションを高めることが重要になる」と話す。

政策変更時の金融市場の動揺を抑制する観点から、情報発信のさらなる拡充がどこまでできるかが問われることになる。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政策(YCC)

日銀が保有する国債の残高が先月末の時点で581兆円余りと、年度末としては過去最大となったことがわかりました。大規模な金融緩和の一環で、長期金利の上昇を抑えるため、国債の買い入れを続けていることが主な要因です。

発表によりますと日銀が保有する国債の残高は、先月末の時点で、政府が短期の資金繰りのために発行する国庫短期証券を含め、581兆7206億円となりました。

これは、年度末としては過去最大で、前の年度末と比べると、55兆円余り、率にして10.6%増加しています。

これは、日銀が大規模な金融緩和策の一環で、長期金利の上昇を抑えるため、国債を無制限に買い入れる措置を続けていることが主な要因です。

一方、日銀の総資産は、国債の買入れは増えたものの、新型コロナの影響を受けた企業の資金繰りを支援するための貸し付けが減ったことで、前の年度末から1兆円余り、率にして0.2%減少して734兆8498億円となりました。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政策(国債保有残高)