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フランスとドイツの首脳は昨年、厳しい時代が到来すると国民に告げた。貿易紛争から全面戦争まで、世界経済が多大な課題に直面したからだ。

フランスのマクロン大統領は「豊かな時代」は終わったと宣言。ドイツのショルツ首相は、低インフレと力強い経済成長をもたらした30年間にわたる自由貿易の時代が終わりに近づいている、と警鐘を鳴らした。

しかし、国民に将来の犠牲を覚悟させるのが発言の狙いだったとすれば「馬耳東風」に終わったようだ。

ドイツの労働者は最近、賃上げを求めて過去数十年間で最大規模のストライキを行い、フランスでは年金支給開始年齢の引き上げへの怒りから、デモが広範囲に広がっている。

こうした抗議行動が映し出すのは「経済全体のパイが縮小するのなら、これからは自分の取り分がさらに小さくなるのを防ぐために闘うしかない」という多くの欧州市民の決意だ。

シンクタンクブリューゲルで経済・公共政策を専門とするシニアフェロー、グレゴリー・クレイズ氏は「だれかが犠牲を払わなければならないとすれば、自分がその犠牲を払わないために市民は闘っている」と話す。

人口高齢化から気候変動、武力・貿易紛争によるコスト増大まで、欧州が直面している問題の多くは全ての工業化された経済に共通するものだ。

だが、欧州の場合は高福祉国家が多く、世界最大の貿易圏を誇り、ロシアに化石燃料を過剰に依存していたという点で、他の地域よりも試練が差し迫っている。

ウクライナ戦争、新型コロナウイルスパンデミック、高インフレへの対応が今、欧州を危機に追い込んでいる。

コロナ禍後の人手不足で賃上げを要求しやすくなった米国の低所得労働者らと異なり、欧州の労働者は当初、賃上げよりも雇用の確保を優先していた。

フランス、ドイツ、その他の欧州諸国はコロナ禍に際し、寛大な一時帰休制度によって家計への重圧を一部相殺し、燃料価格の高騰を筆頭とするその後のインフレ局面では、消費者に幅広い支援策を実施した。

その間、多くの企業は値上げによって利ざやを再拡大し、インフレに拍車を掛けていたことが徐々に明らかになっている。

<みんな一緒、に疑問>

政府による支援制度は国の財政を圧迫し、財政赤字が拡大した。このため各国政府は公共セクター労働者の大幅な賃上げに及び腰になり、ドイツや英国でのストにつながっている。

INGドイツの首席エコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は低所得者はますます取り残され、ドイツでは賃金格差が拡大したとの認識が広がっている」とし、欧州全体で低所得者層と高所得者層の間の緊張が高まっていると述べた。

フランスが実施した燃料への一律補助など一部諸国のインフレ対処策は意図に反して、日々のやりくりに苦心する層よりもゆとりのある消費者に大きな恩恵をもたらすケースがあった。

一方で、企業利益と株主利益の増加が不公平感に拍車をかけ始めた。

国際労働組合総連合(ITUC)のオウエン・チューダー副代表は「(苦しいのは)みんな一緒、という決まり文句は、はっきり言って真実ではない。労働者はそんな言い分にはもう我慢ならない」と切り捨てた。

欧州全体の労組と同じく、チューダー氏も次のように主張する。政府が増税などを通じて富を再配分すれば、充実した年金制度を維持し、公共セクターの賃上げ率がインフレ率に追い付かない事態を回避できるだけの富を創出できるはずだと。

しかし、選挙で負けるのが怖いため、増税を覚悟する国は近年ほとんどない。債務拡大を容認するという、もう1つの選択肢も難しい。欧州連合(EU)はパンデミック後に解除していた財政赤字比率の上限を2024年から再適用する計画だ。

仲裁に進展がなければ、ドイツではまた、ストが実施される可能性がある。製油所など経済のさまざまな部分を揺るがしたフランスのストは大衆から強い支持を獲得し続けており、次は6日に一斉抗議が計画されている。

ドイツとフランスの政府は、怒りを和らげる方法を模索。特にマクロン大統領は、ただでさえ低かった自身の人気に打撃を被っている。

不満がさらに拡大するようなら、より過激な政党につけ入られやすくなるだろう。マクロン氏は2017年、中道の市民運動を率い、既存政党を抑えて大統領の座に就いた経緯があるだけに、フランスはとりわけ要注意だ。

ブリューゲルのクレイズ氏は「マクロン氏は中道左派から中道右派までを傘下に収めた」としつつ「国民が選べるその他の選択肢は、極右しかないかもしれない」と語った。

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