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特定の犯罪によって得た収益を収受・隠匿する行為は「組織犯罪処罰法」で刑事処罰の対象とされています。

この法律は、こうした「犯罪収益」を没収・追徴の対象として、その処分を禁止する保全手続も設けています。

ここでいう犯罪収益とは、裁判例の傾向上、「犯罪行為自体によって取得した収益」と言える必要があります。つまり、収益と犯罪行為との間に因果関係があるだけでは足りず、犯罪行為によって「直接取得された」とまで言える必要があります。

動画配信による収益には、主に広告収入があります。これまでの裁判例では「違法な動画配信」による広告収入も「犯罪収益」に該当すると判断されています。

たとえば、他人の著作権を侵害する映像や画像、音楽などを無断で動画配信して得た広告収入は「犯罪収益」に該当します。

ただし、あくまで、この判断は、動画配信自体が犯罪行為にあたることを前提としています。

しかし、今回の事件で問題となっている犯罪は、動画配信自体ではなく、動画配信内でおこなったとされる発言にとどまります。つまり、動画配信自体が犯罪行為にあたるわけではない点で違いがあるわけです。

そのため、ガーシーらが動画配信によって得ていた収益は、ストレートに犯罪収益にあたるとは言えません(図2参照)。

とはいえ、このような収益も、実質的に動画配信自体が違法と言えれば、犯罪収益に該当する可能性があります。

たとえば、動画配信での脅迫発言の割合、頻度、性質、目的などから、それぞれの脅迫発言にとどまらず、ガーシーによる動画配信自体が被害者を畏怖させるものといえるような場合には、実質的にその動画配信自体が違法といえ、それによって得た収益も犯罪収益と評価できると思われます(図3参照)。

また、単なる脅迫罪ではなく、「常習的」脅迫罪で検挙していることに着目すると、単にそれぞれの脅迫発言を個別の犯罪行為と捉えるのではなく、一連の脅迫発言を含む動画配信を繰り返していた行為を一体の犯罪行為として捉えることができれば、同様に、一連の違法な動画配信自体によって得た犯罪収益と評価できると思われます(図4参照)。

このように複数の行為を一体の犯罪行為と捉えられるかどうかは、一連の動画配信の「目的の同一性」がポイントになってきます。

たとえば、視聴率を稼いで広告収入を得ようなどという同一目的に基づき、こうした動画配信を繰り返していたと言えれば、一体の犯罪行為と捉えやすくなります。そのため、今後の取調べにおいては、一連の動画配信の「目的の同一性」についても追及対象になってくるでしょう。

#法律(暴力行為等処罰法/名誉毀損罪・ガーシー・「犯罪収益」)

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