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ジョージア州フルトン郡の大陪審は14日、ドナルド・トランプ前大統領と18人が2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして、マフィアなど犯罪組織の取り締まりに使われてきた州法違反で起訴した。

フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事は起訴内容を明らかにするにあたり、広範囲な選挙介入のために前大統領を首謀者とした共謀関係があったと主張した。

「今回の起訴は、開票結果についてジョージア州法に定められた合法的な不服申し立て手順に従う代わりに、被告人たちはジョージア州での大統領選結果を覆そうと、組織的な違法行為に事業として取り組んだことに関するもの」と、検事は述べた。

トランプ前大統領が刑事事件で起訴されるのはここ数カ月の間で、4回目だ。しかし、アメリカの大統領経験者が、ジョン・ゴッティやヴィンセント・ジガンテといったマフィアのボスを有罪にするために使われてきた法律と罪状で起訴されるのは、今回が初めて。

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アメリカでは組織犯罪活動はしばしば、「威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO法)」で摘発され起訴される。

RICO法にもとづき検察官は、実際に犯罪行為を行った組織の末端構成員と、犯罪行為の命令を出した組織の幹部を、まとめて摘発できる。

30以上の州が連邦法のRICO法をもとに、独自の州法のRICO法を制定しており、ジョージア州のRICO法の対象範囲は他州より広い。

連邦RICO法は、組織的不法行為の証拠と認定する対象として35種類の犯罪行為を並べている。これに対してジョージア州のRICO法は、65種類の犯罪行為が対象となる。

検察は、犯罪「事業」の存在を示し、要件となる少なくとも2件の犯罪行為について常習的な違法行為のパターンがあったことを、詳述しなくてはならない。

「大統領選の後にここで実際何があったのか、その実態を描き出し、共謀の全容を起訴するため」、RICO法は検察にとって、犯罪事実を全体像を物語る道具となる。ジョージア州立大学で法律学を教えるアンソニー・マイケル・クライス教授はこう言う。

ジョージアでは、選挙を妨害し、開票結果を帳消しにさせようと意図して行動する人間が、本当に大勢いた。その中心にいたのがドナルド・トランプだが、彼はもっと広い範囲で動いていた」

ジョージア州法のRICO法違反には厳罰が適用される。禁錮刑は5年から最長20年。罰金刑は最高25万ドル(約3660万円)。それだけに、組織の末端は減刑を求めて検察と取引する可能性がある。

その場合、これまで表に出ていない証拠や証言が次々と得られて、共謀の幹部たちを処罰する材料として使えるようになる可能性があると、クライス教授は説明する。

ただし、トランプ前大統領自身を有罪にするには、検察は前大統領がただ弁護士たちの法的助言に従っていただけの「受け身な参加者」ではなく、実際に共謀を取り仕切っていた「運転手だった」と、立証しなくてはならないという。

これについて、前大統領とその仲間たちは「やることがとても雑で、文書記録をあちこちに残し、自分たちの行為を隠し立てすることについて何の恥の意識もなかった」と、クライス教授は言う。「つまり、あちこちに情報のかたまりが散らばっているということだ」。

トランプ前大統領はこれまでにすでに、大統領選の結果を覆そうとしたとして米司法省に連邦法違反で起訴されている。その裁判の証拠は、ジョージア州での事件と互いに影響し合い、重複する可能性もある。

前大統領はそのほか今後、ポルノ俳優への口止め料の支払いに絡むニューヨーク州法違反の罪をめぐり出廷する。フロリダ州の連邦地裁では、大統領退任後に私邸マール・ア・ラーゴで発見された機密文書の取り扱いに関して、公判が予定されている。

RICO法を使うことで検察は事件の全容を法廷で示すことができると、ウィリス検事は言う

民主党からフルトン郡の地区検事となったウィリス氏は、過去にもジョージア州のRICO法を起訴に使い、注目を集めたことがある。

2013年には、アトランタの公立学校の教師や職員がボーナスや昇進を確保するため、州内統一テストの点数を水増ししていた事件の起訴を指揮した。

2011年に教職員35人が起訴されたこの事件の渦中、ウィリス氏はRICO法をこう説明している。「RICOの下では、着席の正式な夕食会で、みんなしてスパゲッティを食べるとか、そういうのは必要ない」のだと。

「何が必要かというと、全員が同じ目的に向かって同じように行動していることだ。全員が同じ目標に向かって働いていなくてはならない」と、検事は当時述べた。

アトランタ公立校のこの事件では、起訴された教職員35人のうち、23人が司法取引で有罪を認めたほか、公判に臨んだ12人のうち11人が有罪に、1人が無罪となった。8カ月続いた審理は、州史上最長の刑事裁判となった。

マフィアのボスやラッパーにRICO法

ウィリス検事は昨年5月にもRICO法を根拠に、グラミー賞受賞経験のあるラッパー、ヤング・サグ被告を起訴し、本人の音楽レーベルYSLの関係者27人が「犯罪集団のストリート・ギャング」だと主張した。

「私はRICO法のファンです。なぜかというと、陪審員はとてもとても知能が優れていると、私はそう思っているので」と、検事は起訴を発表する記者会見で述べた。

陪審員は、何があったのか知りたがっている。誰かの人生について正確に判断したいと思っている。そしてRICO法のおかげで検察官と捜査当局は、事件の全体像を説明することができる」

ただし、その陪審員選任の手続きが遅々として進まず、今年1月に始まるはずだった公判は、いまだに始まっていない。何千人もの陪審員候補が除外され、陪審員は1人も決まっていない。

そのため、ヤング・サグ被告はもう1年3カ月も勾留が続いている。音楽レーベルYSLの関係者の一部は、すでに司法取引に応じたり、裁判が分離されたりしている。

「このYSL事件から、ファニ・ウィリスは教訓を得ていると思いたい。ドナルド・トランプの事件が、同じ段階まで進んだ時のために」と、アトランタを拠点とする刑事事件専門のケイシャ・スティード弁護士は言う。

「これまでのところ(YSL事件は)ぐちゃぐちゃになってるので!」

ウィリス検事とそのスタッフは、「陪審員候補にどれだけ大勢を呼ぶ必要があるか、全員を一堂に集める作業がどういうものか、弁護士全員が陪審員候補を尋問するのにどれだけ時間がかかるか」把握して、準備できていたようには見えなかったと、スティード弁護士は話す。

ヤング・サグ被告の裁判は遅々として進まず、アトランタ公立学校の教職員に対する公判を抜いて、ジョージア州史上最長の刑事裁判になるだろうと言われている。

複数の被告と複数の弁護人がかかわるRICO法違反の裁判では、これは珍しいことではない。そしていざそうなると、その地域のほかの裁判が大いに滞ることになる。

「ここの裁判所は基本的に、開店休業状態」なのだと、やはりアトランタで刑事事件を扱うメグ・ストリクラー弁護士は話す。

「私はRICO法が大嫌いです」とストリクラー氏は言い、起訴された依頼人は厳罰を受ける可能性や、法廷で争うために必要な時間と費用を前に、怖気づいていることが多いのだと話す。

加えて、RICO法違反の裁判は時間がかかり、複雑になりがちなだけに、トランプ前大統領の裁判は、陪審員にとって非常にわかりにくく、居心地の悪いものになるだろうと、ストリクラー氏は言う。それも、陪審員の選任が済めば――の話だが。

「事件が理解できるようになる、そのはるか前に、陪審員は寝てしまうはず」だと、ストリクラー弁護士は予言した。

#トランプ(選挙介入事件・ジョージア州フルトン郡ウィリス地方検事「ジョージア州RICO法」)

トランプ前米大統領弁護団は17日、2020年の大統領選挙結果を覆そうとしたとして起訴された裁判について、26年4月に公判を開くようワシントンの連邦裁判所に要請した。

トランプ氏が共和党最有力候補となっている24年11月の大統領選後に公判を開始することを求めた。

弁護団は「公共の利益は正義と公正な裁判にあり、判決を急ぐことではない」と主張している。

一方、検察当局は10日、公判を24年1月2日に開始するよう裁判所に要請。この場合、大統領選に向けた共和党の最初の予備選挙が実施されるわずか2週間前に裁判が始まることになる。

#トランプ(議事堂襲撃事件・ワシントン連邦地裁・トランプ弁護団「26年4月開始」・提案)

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#トランプ(選挙介入事件・ジョージア州フルトン郡ウィリス地方検事「初公判は3月4日に」・スーパーチューズデーの前日)

#米大統領

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