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将棋の八大タイトルの1つ、「王座戦」五番勝負が31日から開幕し、史上初の八冠独占を目指す藤井聡太七冠(21)と、タイトル防衛で永世称号の獲得を目指す永瀬拓矢王座(30)による注目の対局が始まりました。

王座戦」五番勝負の第1局は31日から、神奈川県秦野市の旅館で始まりました。

先に対局室に入った永瀬王座に続いて挑戦者の藤井七冠が盤の前に座り、振り駒の結果、藤井七冠が先手となりました。

午前9時に対局開始が告げられると、藤井七冠はお茶をひとくち含んでから飛車先の歩を突き、後手の永瀬王座も同様に歩を突いて応じました。

そのあとは、大駒の「角」を交換して互いに駒組みを進め、序盤戦が始まりました。

「王座」は藤井七冠が保持していない唯一のタイトルで、今回の五番勝負に勝つと、史上初の八大タイトル独占となります。

一方、「王座戦」4連覇中の永瀬王座は、防衛を果たすとこのタイトルでは3人目となる永世称号名誉王座」の資格を獲得します。

2人は練習将棋を指す研究仲間としても知られ、公式戦の対戦成績は藤井七冠が11勝、永瀬王座が5勝です。

王座戦」五番勝負はことし10月にかけて日程が組まれ、先に3勝した方がタイトルを獲得します。

第1局の勝敗は31日夜決まる見通しです。

対局相手は研究仲間として知られる永瀬王座

藤井聡太七冠は2016年、中学2年のときに史上最年少となる14歳2か月でプロ入りし、デビュー後には前人未到の29連勝を達成しました。

そして2020年7月には、タイトル獲得の最年少記録を30年ぶりに更新する17歳11か月で「棋聖」を獲得し、そのあとも「王位」、「叡王」、「竜王」、「王将」、「棋王」を次々に奪取。

ことし6月には最年少で「名人」を獲得して、現在、日本将棋連盟の会長をつとめる羽生善治九段以来となる2人目の「七冠」となりました。

さらに藤井七冠はこれまでに、獲得したタイトルを失ったことはありません。

連続での獲得期数は大山康晴十五世名人に次ぐ、歴代2位の17期に上ります。

その藤井七冠が最後に残したタイトル「王座」獲得を目指して挑戦する相手が永瀬拓矢王座です。

これまで「王座戦」4連覇中で、今回のタイトル戦で防衛を果たすと、このタイトルでは3人目となる永世称号名誉王座」の資格を獲得します。

将棋に対して厳しく熱心な姿勢から「軍曹」の異名で呼ばれる永瀬王座は、藤井七冠とふだんから練習将棋を指す研究仲間として知られ、藤井七冠は、挑戦権を得たときの記者会見で、「永瀬王座は私がプロ入りしたときから将棋を教えてもらい、自分を引き上げていただいた方だと思っている。ふだんから指しているので手の内を知られてしまっているところもあり、五番勝負に向けて、さらに工夫が必要だと感じている」と話していました。

2人の公式戦の対戦成績はこれまで、藤井七冠が11勝、永瀬王座が5勝です。

このうち、去年の「棋聖戦」五番勝負では藤井七冠が3勝1敗でタイトルを防衛しましたが、第1局では同じ局面を繰り返す「千日手」が2度成立するという異例の展開を経て、「指し直し」の結果、永瀬王座が勝利するなど、白熱した対局を繰り広げました。

今回、藤井七冠は最も手ごわい棋士の1人を相手にタイトル獲得を目指すことになります。

日本将棋連盟 羽生会長「将棋界の歴史に残るような将棋を」

史上初の八大タイトル独占をかけて藤井聡太七冠が臨む「王座戦」五番勝負。

開幕を前に、27年前に当時の七大タイトルを独占した日本将棋連盟羽生善治会長に話を聞きました。

羽生会長は八冠制覇の可能性について、「藤井さんの将棋を見ていると、自分自身の形勢が悪くなる瞬間が非常に少ないという特徴がある。苦戦するときや負けてしまうときもあるが、全体から見るとその確率が少ないことが際立っている。大舞台でもふだんどおりの力を発揮し、悪くなっても崩れずに逆転のチャンスをうかがう総合的な戦い方はより洗練され、今の充実ぶりを考えれば、藤井さんが勝って八冠を達成してもそんなに驚くことではない」と語りました。

羽生会長は1996年2月、25歳のときに将棋界で初めて七大タイトルを独占しました。

前の年にも七冠をかけて王将戦で当時の谷川浩司王将に挑みましたが、3勝4敗で敗れ、そのあとの1年間ですべての防衛戦を制した上で再び臨んだ大一番でした。

羽生会長は当時について、「初めて挑戦したときは阪神・淡路大震災があった年で記憶に残っている。フルセットまでいって負けてしまい残念だった気持ちはあるが、10日後くらいには名人戦が始まり、次の対局に向かっていくような気持ちだった。移動が多く、間隔が短い中で対局しなければならないのは大変だが、棋士にとって宿命みたいなところもある。七冠を達成したときも、すごくうれしかったみたいな感情的なインパクトは残っておらず、慌ただしい時があっという間に流れ去った感覚だ」と振り返りました。

そのうえで、今回の「王座戦」について、「将棋そのものは当時と比べて30年弱たっているので定跡や戦術的なものはかなり変わった。ただ、お互いに懸命に研究したり分析したりして、1局1局に臨んでいく姿勢は変わっていないと思う」と話していました。

ことし行われた「王将戦」をはじめ、藤井七冠とたびたび対局してきた羽生会長ですが、その強さについては「1つ2つというような選択肢だけを深く読んでいるのではなく、もう少し幅広い選択肢を1つ1つの局面で読んでいるのではないかと思う。5手ずつ3手先を読めばもう100手を超えるので、言うのは簡単だが思考の方法としては負荷がかかる。未知な場面や答えが出ない領域での選択や考え方に、何かほかの棋士との違いがあるのではないかと思う」と語りました。

そして永瀬拓矢王座との「王座戦」五番勝負については「永瀬さんは練習量をこなしていくというところでは棋士の中でナンバーワンではないかと思っている。序盤のオプションをたくさん持っているので、藤井さんといえどもすべて対策を立てきるのは難しい。永瀬さんの作戦に藤井さんがどう反応するかが1つの見どころになる。将棋界の歴史に残るような将棋を指してほしい」と期待を寄せていました。

王座戦」五番勝負が31日に開幕し、神奈川県秦野市の旅館で第1局が行われました。

先手は藤井七冠で、序盤に大駒の「角」を交換する得意戦法の「角換わり」に持ち込むと、後手の永瀬王座は銀を使った攻めの姿勢を見せ、互いに1時間近くの長考を挟みながらじりじりとした展開が続きます。

その後、藤井七冠が相手陣地へ駒を進めて攻め込みますが永瀬王座は攻撃をしのいで反撃に出ます。

終盤、互いに持ち時間を使い切り、1手を60秒未満で指す「1分将棋」に入ります。

一進一退の攻防となる中、持ち駒を増やした永瀬王座が落ち着いた指し回しで形勢を有利にすると午後9時11分、藤井七冠が150手までで投了しました。

永瀬王座は五番勝負の1局目を白星で飾りタイトル防衛に向けて好スタートを切りました。

今回の「王座戦」は藤井七冠が史上初の八大タイトル独占を目指す一方、4連覇中の永瀬王座は、防衛するとこのタイトルでは3人目となる永世称号の「名誉王座」の資格を獲得します。

王座戦」五番勝負はことし10月にかけて日程が組まれ、次の第2局は、来月12日に神戸市で行われます。

永瀬王座「まずは先勝することができてよかった」

勝利した永瀬王座は対局のあと、「後手番で相手にどうついていくかという将棋になり、自信がないと思いながら指していたが、そこまで大きく崩れていなければいいと感じていた。まずは先勝することができてよかったと思う。次の対局までしっかり準備して挑みたい」と話していました。

藤井七冠「できるかぎりよい状態で次の対局に」

一方、敗れた藤井七冠は「お互い玉(ぎょく)が薄い形での戦いになり、どうバランスをとるか非常に難しい将棋だと思っていたが、途中こちらの攻め駒が少なく、よい指し方ではなかった場面があった。早くも厳しい状況にしてしまったと思うが、できるかぎりよい状態で次の対局に臨んで熱戦にできるように頑張りたい」と話していました。

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