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鮫島 泉さんが市長に就任した当初、明石市役所の職員たちの反応はどうでしたか?
泉 半端じゃなく大変でしたよ。職員で投票用紙に私の名前を書いた人なんて、ほぼいませんでしたから。シーンと静まり返っていて、みんな腫れ物に触るような感じで。
部長クラスが30人ほど集まる最初の懇親会で、乾杯の音頭を取った市役所の幹部が「みんなー、市長が誰であれ、気にせず頑張ろう! かんぱーい!」とか言いだして。私が真横にいるのに、ですよ。もう、ビックリしちゃった。すごいとこ来ちゃったなと。
泉 とにかく最初は、何をやろうとしても「できません」のオンパレードでした。平気でウソつくし。まあ、ウソというか凝り固まった思い込みなんですけどね。
彼らの思い込みは、基本的に3パターンに分類できます。まずは「国の言う通りのことをしなきゃいけない」という思い込み。国が言ってないことは禁止されてると思っている。「お上至上主義」ですね。それから「隣の市ではやっていません」も彼らの常套句。今でこそ明石市が「全国初」となる施策が増えましたが、基本的に役人は他の自治体がやってないことはやったらいけないと思っている。「横並び主義」です。3つ目は「前例主義」。何か変えようとすると、すぐに血相を変えて飛んできて「これまで20年、このやり方でやってきました。変える必要ありません」と言う。そのたびに「時代は変わってるのに、何を20年間同じこと繰り返してんねん」と思いました。
市役所というのは、この3つをほぼ全員が確信的に信じ込んでしまっている組織で、一種の宗教に近い。
それで、4年に一度の選挙で、たまに変な奴が市長になることもあるけど、市役所という組織は守り通さないといけないと。今の杉並区とかもそんな状況だと思いますよ。想定してなかった市長がくると、完全なお飾りに祭り上げて、役所組織自体は副市長以下で回そうとする。そういう組織の防衛本能がものすごく働くところなんです。
泉 ええ。これは国も同じなのですが、予算っていうのは基本的に積み上げ方式になっています。明石市でいうと、まず所管の課で予算を固める。それが部に上がり部長が決裁し、部長決裁が集まってくると全体で調整して、最後に市長のところに回ってくる。おそらく全国すべての自治体で、このように予算が決まっているはずです。市長の手元に予算が回ってくる時には、いやぁ~な空気が漂っています。
#泉房穂「想定してなかった市長がくると、完全なお飾りに祭り上げて、役所組織自体は副市長以下で回そうとする」
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彼らの本音はね。その一軒の小屋を守ることなんかじゃなく、これまで自分たちが絡んできた事業者への支援なんです。自分らの権益確保が本音ですわ。
鮫島 総理大臣の人事権に対抗する各省庁の強力な武器が「リーク」です。役人は膨大な情報を持っている。それをマスコミにリークして政治家をスキャンダルで追い込むのはお家芸ですね。特に財務省は税金や予算をめぐる情報の宝庫です。増税に抵抗する政権をあの手この手でつぶそうとする。警察や検察は捜査権限を持っているから、情報を収集してマスコミにリークし、世論を操作することはお手のものです。
#泉房穂「彼らの本音はね。その一軒の小屋を守ることなんかじゃなく、これまで自分たちが絡んできた事業者への支援」
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泉 就任直後、ご丁寧に「市長には人事権がない」というレクチャーを受けました。唖然としてしまいましたけど、どういうことかと言うと、ほとんどの人事が既定路線なんです。たとえば明石市の場合、土建系の3職種は、それぞれの職種ごとに年功序列で人事が決まってました。何歳になったら次長、何歳になったら部長とね。優秀かどうかに関係なく、綺麗に縦のラインが存在する。それから、公明党が指名する枠があったりもした。「まだそんなことやってんのか」とぶったまげましたけど、「そこを市長が触ったら、大変なことが起こります。実質的に(市長に)人事権なんかほとんどないんです」と一生懸命説明された。
まあ、いきなり無視しましたけどね。
泉 仮に、私のように必要な施策のために自由自在に人事権を行使しようとすると、副市長が止めに入ります。そして、多くの市長は、副市長に丸め込まれるんでしょうね。
副市長がどんな存在かというと、私の考えでは職員の代表です。市民に選ばれた市長は、当然、市民の代表。だけど、副市長が誰を守るかというと、職員を守る。
加えて、議会の関係で言うと、緊張関係にある議会と市長の中間に立つのが副市長。役所も議会も、キーになるのは副市長なんです。私の場合、最初の1年間は副市長が決まらず、やたら議会が「早く副市長を選べ」と言ってきました。副市長は議会の味方であり代弁者だと、彼らは思っているわけです。副市長が就いた後は「お前ら(副市長)が市長を止めろ」と、ずっと言ってましたから。議会からすると、副市長は自分たちの子分のような感覚。役所職員からすると自分たちの親分が副市長。
ですから、公務員の話に戻すと、市役所職員は市長を親分と思っていません。彼らの親分は副市長なんです。
泉 副市長と喧嘩するのは、なかなか普通の市長にはできませんよ。
「市長に従っていたら副市長の意味がない」と豪語する副市長もいたりします。つまり、彼らの中では副市長のほうが市長より上なんです。ほとんどの自治体は、副市長が実権を握っている。4年ごとに替わる市長は、言ってみれば挨拶要員みたいなもの。
#泉房穂「副市長は、議会の子分、職員の親分」
有明海「のり」取り引き 漁協が不当に拘束か 排除措置命令へhttps://t.co/zkxaVBwf78 #nhk_news
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国内最大の「のり」の産地、有明海で、地元の漁協がすべての「のり」を組合に出荷するという内容の誓約書を書かせて、生産者の取り引きを不当に拘束しているとして、公正取引委員会が近く、独占禁止法が規定する行政処分で最も重い排除措置命令を出す方針を固めたことが、関係者への取材でわかりました。
独占禁止法違反の疑いが持たれているのは、佐賀市にある「佐賀県有明海漁業協同組合」と、熊本市にある「熊本県漁業協同組合連合会」です。
関係者によりますと、この2つの団体は有明海周辺の「のり」の生産者に対し、すべての「のり」を組合に出荷するという内容の誓約書を書かせ、生産者の取り引きを不当に拘束している疑いがあるということです。
その後の販売先や販売価格も組合に一任することを求めていたとみられるということです。
公正取引委員会は去年6月、2つの団体に立ち入り検査に入り、関係者への聞き取りなどを続けてきましたが、近く、独占禁止法が規定する行政処分で最も重い排除措置命令を出す方針を固めたということです。
漁連や漁協に独占禁止法違反の行政処分が出されれば、1947年に独占禁止法が制定されて以降、初めてのケースとみられます。
一方、公正取引委員会は同じ有明海の「のり」の生産者が加入する、福岡県柳川市の「福岡有明海漁業協同組合連合会」にも、立ち入り検査を行っていますが、漁連側が、事実を認めるとともに再発防止策などを確約する計画を提出しています。
生産者への「誓約書」 その内容は
関係者によりますと、佐賀や熊本の漁協などはのり漁の時期に合わせて毎年生産者に対し、のりの漁や出荷についての規約が記載された「誓約書」の提出を求めてきたとみられます。NHKが独自に入手した「誓約書」は、佐賀県有明海漁協が今シーズン、生産者に配ったもので、「全量組合に出荷するよう努めます」などと記されています。
漁協によりますと、誓約書には以前「全量組合に出荷します」と記載されていましたが、公正取引委員会の調査を受けて2021年から文言が修正されたということです。
ただ、漁協はいずれの誓約書についても「全量出荷を強制するものではなく、漁業者にお願いするものだった」として、全量の出荷を義務づけるものではなかったとしています。
佐賀県沖 のり養殖とは
佐賀県沖の有明海は全国有数ののり養殖の産地で昨シーズン、記録的な不作となるまでは、19年連続で販売枚数、販売額ともに日本一となっていました。最大6メートルの干満の差によって太陽の光と海の栄養を吸収しやすい、のり養殖に適した環境がつくられ佐賀県の中心的な一次産業となってきました。
ただ最近は担い手不足などにより生産者の減少が深刻で、県有明海漁協によりますと、漁協が合併した平成19年度に千人を超えていた生産者は、今年度647人にまで落ち込み、15年ほどで4割余りの減少となっています。
また、昨シーズンの記録的な不作の原因にもなった赤潮がたびたび発生し、県の西南部を中心に以前のようにのりが採れなくなっていて、有明海の再生も大きな課題となっています。
有明海の生産者からは
すべての「のり」を組合に出荷するよう強く求める漁協側の対応について、有明海の生産者からはさまざまな意見が聞かれました。佐賀県沖の有明海でのり養殖を営む川崎賢朗さんは、漁協にのりを出荷するかたわら、一部を使って独自の商品を開発し、販売も手がけています。
漁協の誓約書に「強制力まではなかった」と語り、「生産に集中したい漁業者にとっては漁協に全量を出荷することによる恩恵もあるのではないか」と話しました。
別の70代の生産者の男性は「組合を通して売ったほうが検査も平等で安心だ。
自分が一生懸命生産したのりを買いたたかれるのは嫌だし、個人で売るのは精神的にきついところもあるので、組合中心がよいと思う」と話していました。
一方、匿名を条件に取材に応じた別の生産者は「漁協は報道の取材には、『強制していない』と答えるだろうが、個人販売を推奨しているわけではない。個人販売をしていてもおおっぴらに言うことはできず、こういう空気は変えていく必要がある」と話していました。
行政処分への踏み切り その背景は
零細が多い生産者を保護してきた側面もある有明海の「のり」の販売制度。なぜ、公正取引委員会は行政処分に踏み切ろうとしているのでしょうか。
背景には、日本の水産業が置かれた状況と、政府が進めている規制改革推進の議論があるとみられます。
国内の水産業は担い手が減り、生産量も低下しています。
一方、世界的には水産物の需要が拡大していて、産業を成長させていく必要があるだけでなく、より高度な資源管理も求められています。
こうした中、国の規制改革推進会議の事務局が、2021年から2022年にかけて漁業者へのヒアリングを実施したところ、有明海の「のり」の出荷をめぐる誓約書の存在が確認されたということです。
公正取引委員会の関係者は、NHKの取材に対し「日本の一次産業は担い手不足や高齢化が深刻で、このままでは衰退が避けられない。こうした中で生産者を縛り、自由な流通を妨げてしまえば、競争を阻害するだけでなく、将来につながるイノベーションの芽を摘んでしまうことになりかねない」と語っています。
専門家「流通のあるべき姿 議論 研究を」
「のり」の流通に詳しい石巻専修大学の李東勲教授は、のりの共同販売制度そのものには零細な生産者をまとめ、安定的な供給につなげる利点があるとしたうえで「漁協に任せておけばそれでよいという、生産者の安易な姿勢につながっている側面もある。自由な取り引きを希望する生産者がいれば、その道を探れるようにするべきだ。水産物の流通には見えない部分がまだ多いが、組合や生産者も流通のあるべき姿を議論し、研究していくべきだ」と話しています。
#法律(有明海「のり」取り引き・誓約書(すべての「のり」を漁協に出荷)・排除措置命令へ・独占禁止法)
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