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ロシア軍がウクライナ東部のドネツク州やハルキウ州で攻勢を強める中、最前線を訪れたウクライナのウメロフ国防相は、2日にAP通信が配信したインタビューで「われわれの戦いは計画どおりに進んでいる」と強調しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は反転攻勢についてAP通信の別のインタビューで「早く結果を出したかったが、望んだ結果が得られなかった」と述べ「戦争は新たな局面を迎えている」として警戒を強めています。

ウメロフ国防相としては反転攻勢の遅れに対する懸念を打ち消すねらいがあるとみられます。

一方、ロシア大統領府は1日、ロシア軍の兵士を17万人増やし132万人規模とする大統領令プーチン大統領が署名したと発表しました。

ロシア国防省は声明で「国民の動員は計画していない」と強調し、来年3月の大統領選挙を前に国内の混乱を引き起こしかねない新たな動員を避けながら、長期戦を見据えて兵力を増強する構えです。

イギリス国防省は2日、先月ロシア国内で兵士の妻たちが抗議デモを行ったと伝えられたことに触れ、ロシアの当局が世論の反発を抑えようと、兵士の家族への現金支給を増やそうとしたり、兵士の妻たちを支援するグループの信用を落とそうとしたりしていると指摘しました。

その上で「ロシアの当局は去年9月に動員された人々が1年以上、前線にいることへの抗議に特に敏感になっているようだ」と分析しています。

#ウクライナ戦況(反転攻勢・ウメロフ国防相「われわれの戦いは計画どおりに進んでいる」)
#ウクライナ戦力(イギリス国防省「先月ロシア国内で兵士の妻たちが抗議デモを行ったと伝えられた」「ロシアの当局が世論の反発を抑えようと、兵士の家族への現金支給を増やそうとしたり、兵士の妻たちを支援するグループの信用を落とそうとしたりしている」「ロシアの当局は去年9月に動員された人々が1年以上、前線にいることへの抗議に特に敏感になっているようだ」)

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#ウクライナ戦況(反転攻勢・ショイグ国防相「ウク軍は6月以降の反転攻勢で、12万5千人以上の兵士を失い、失敗した」「ロシア軍の兵士は巧みかつ果敢に行動し、あらゆる方面で掌握地域を拡大している」・ゼレンスキー「早く結果を出したかったが残念ながら、望んだ結果が得られなかったことは事実だ」「戦争の新たな局面を迎えている」)
#ウクライナ戦力(ロシア・軍の最大規模17万人拡大・ロシア国防省「兵士増員は契約軍人の採用によるもので、大幅な徴兵拡大や新たな動員を行う計画はない」・メドベージェフ安全保障会議副議長「今年1月1日から12月1日までに45万2000人以上が契約により軍に採用された」)
#ウクライナ戦況(複数軍事ブロガー「激戦となっていたドネツク州マリインカをロシア軍が掌握した」・戦争研究所「確認できるだけでロシア軍が74%以上を支配しているが、ロシア側の主張のようにさらに掌握している可能性もある」)

ウクライナ軍は、ことし6月に東部や南部に大規模な部隊を展開し、反転攻勢を始めましたが、ロシア軍は防御陣地を固めて応戦を続けています。さらに、ロシア軍はことしの秋以降、東部のドネツク州やルハンシク州で攻勢を強めています。

このうちドネツク州のウクライナ軍の拠点、アウディーイウカについてウクライナ軍は3日、ロシア側が航空戦力の支援を受けながら、街を包囲しようという試みを続け激しい戦闘が起きていると発表しました。

各地で一進一退の攻防となり、全体としてはこう着した状況が続いていると見られるなか、ウクライナでは、先月の終わりごろから各地で雪や雨が降り、強風が吹くなど悪天候に見舞われています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、天候の影響で地面がぬかるんで進軍が難しくなるなどして、戦闘のペースが落ちているという見方を示しました。

また、ウクライナ軍のざんごうに大量のネズミが発生しているとの情報もあるとしていて、本格的な冬を迎える中、厳しい寒さと劣悪な環境のもとでの戦闘が続いています。

ウクライナは東部で防衛強化 南部で攻撃継続
ウクライナ軍は、ロシア軍の攻撃が激しさを増す、東部ドネツク州のアウディーイウカなどで防衛を強化するとともに、南部ザポリージャ州やヘルソン州、それにクリミアを中心に攻撃を続けています。

アウディーイウカは、ウクライナ軍が補給などの拠点としていて、ドネツク州全域の掌握を目指すロシア軍も戦略的に重視しています。

ロシア軍は、ことし10月から戦車を含む大規模な兵力を投入して複数の方面から攻撃を仕掛け、街を包囲しようとしています。

犠牲もいとわず多くの兵士を投入するなどして、一部で前進したと伝えられていますが、ウクライナ軍による抗戦で損失も甚大だと指摘されています。

ゼレンスキー大統領は、先月14日の動画メッセージで、アウディーイウカの戦況について「ロシア軍による猛攻撃が続いている」と述べ、ロシア側はプーチン大統領が来年3月に予定されている、大統領選挙への立候補を表明するとみられている今月前半までに、戦果を得たいと考えていると指摘しました。

そして、ゼレンスキー大統領は「アウディーイウカ近郊でロシア軍が破壊されればされるほど、この戦争の全体的な状況は敵にとって悪くなる」と述べ、アウディーイウカで勝利することが全体の戦況を好転させるとして、徹底抗戦を続ける姿勢を強調しました。

また、ゼレンスキー大統領は先月30日の動画の演説では防衛線を強化するため、アウディーイウカや東部ハルキウ州のクピヤンシクの前線などで要塞の建設を進める考えを明らかにしました。

一方、ウクライナ軍は、ザポリージャ州で攻撃を続けているほかヘルソン州では、ロシア側が占領するドニプロ川の東岸に、複数の拠点を築き、さらにクリミアにあるロシア軍の拠点も攻撃するなど、南部で反転攻勢を続けています。

ウクライナ軍の報道担当「兵士たちは士気で疲れを克服」
アウディーイウカの前線でロシア軍と激戦を繰り広げているウクライナ軍の第110独立機械化旅団で報道担当を務めるアントン・コツコン氏が先月28日NHKのインタビューに応じました。

アウディーイウカの戦況についてコツコン氏は「ロシアの攻撃は、歩兵部隊だけでなく戦車やロケット砲、航空隊など多くの部隊が関わっていて、毎日ノンストップで機能している」と述べました。

そのうえでロシア側は、数万人にのぼる兵士を集中的に投入するなど、これまで以上に戦力を強化していると明らかにしました。

また、インフラ施設や住宅などにも攻撃が相次いでいるということで「産業の中心となっていたコークス工場は空爆され、非常に深刻な破壊を受けた。彼らはアウディーイウカを破壊し尽くしている」と述べました。

ロシア側がアウディーイウカにこだわる理由としてコツコン氏は、この街がウクライナ軍にとって補給などの拠点になっているからだとしたうえで「ロシア軍はアウディーイウカをウクライナの領土から切り離しわれわれをドネツクから撤退させたいのだろう」と指摘しました。

一方、コツコン氏は「戦争が2年近く続く中で、特に歩兵は疲労を感じている。寒さや雨、雪の中、極限状態だ」と述べ、冬を迎えて前線の部隊が一層厳しい状況に置かれているとしています。

ただ「兵士たちは前線で戦う意味を理解し、士気で疲れを克服している。この戦いは相手を全員殺したときに終わる」と述べ、徹底抗戦を続ける姿勢を強調しました。

アウディーイウカ市長「弾薬の供給が減っている」
アウディーイウカでロシア側と戦うウクライナ軍と連携しているビタリー・バラバシュ市長は、先月28日NHKのインタビューに応じ、戦況や街の今の様子を明らかにしました。

この中でバラバシュ市長は、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降この2か月間はもっとも激しい戦闘が続いているとしたうえで「正確な数字では言えないが、ロシア側の弾薬のほうが間違いなく何倍も多い。私たちの弾薬は不足していて確実に供給が減っている」と述べ、中東情勢の緊迫を受けてアメリカなどからの弾薬の供与にも影響が出ているという見方を示しました。

バラバシュ市長は「弾薬が不足しているので、われわれの兵士は狙撃手のように一人一人を狙うような細かい作業をしている」と述べたうえで「もしロシア人をここで止めることができなければ、彼らは暴走していくだろう。だからこそ、全世界がわれわれを助けなければならない。これは文明的な世界全体に対する戦争でもあるのだ」と述べ、欧米各国に軍事支援の継続と強化を求めました。

一方、バラバシュ市長は、街の現状について、行政施設や住宅などはほとんど破壊されたとしたうえで、侵攻が始まる前には3万3000人いた住民が、今ではその4%にあたるおよそ1300人しか残っていないと明らかにしました。

こうした住民は、自宅の地下室などで生活していますが飲料水や電気などが不足しているということです。

また、戦闘によってこれまで死亡した市民は、157人でけが人は354人に上り、ロシアが攻撃を激化させたことし10月以降、死者が増加しているということでさらに犠牲が増えることに懸念を示しました。

ウクライナ高官 反転攻勢の成果得られない要因を指摘
ウクライナ大統領府の高官は、反転攻勢で期待されていた成果が得られていない要因として、欧米からの軍事支援の遅れのほか、兵士の命を全く顧みずに大量の兵力を投入するなど、ロシア側の戦術が十分想定できていなかったことなど、4つの点を指摘しました。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、先月28日NHKの単独インタビューに応じました。

この中でポドリャク顧問は、ウクライナ軍が進める反転攻勢で現時点で、多くの人が期待したような成果は得られていないという認識を示しました。

その要因として欧米からの軍事支援が遅れたことに加え、支援のなかでウクライナどのような兵器が送られるのかという情報が事前に広く伝わり、ロシア側に対応する余地を与えたことを挙げました。

これに加えてロシア軍が兵士の命を全く顧みずに大量の兵力を投入するというロシア側の戦術が十分想定できていなかったことや、ロシア軍が防御陣地の制空権を握っていることの合わせて4つの点を指摘しました。

ポドリャク顧問は「こうした複数の要因が重なり合っていたために反転攻勢がこう着状態に陥ることは運命づけられていた。そもそも電撃的で迅速な攻勢などはなから期待することはできなかった」と述べ、当初から反転攻勢で成果を得るには時間がかかるという認識だったと強調しました。

そのうえで「ロシア軍は防御が精いっぱいで身動きがとれなくなっているが、ウクライナ側は各方面でロシア軍に圧力を加え続けている」と述べ、ウクライナ軍としてはこう着状態を打開するため攻勢を強めていきたい考えを示しました。

#ウクライナ戦況(反転攻勢・戦争研究所「天候の影響で地面がぬかるんで進軍が難しくなるなどして、戦闘のペースが落ちている」「ウク軍の塹壕に大量のネズミが発生しているとの情報もある」)
#ウクライナ戦況(反転攻勢・アウディーイウカ・ウク軍第110独立機械化旅団報道担当アントン・コツコン11/28「ロシアの攻撃は、歩兵部隊だけでなく戦車やロケット砲、航空隊など多くの部隊が関わっていて、毎日ノンストップで機能している」「ロシア側は、数万人にのぼる兵士を集中的に投入するなど、これまで以上に戦力を強化している」「産業の中心となっていたコークス工場は空爆され、非常に深刻な破壊を受けた。彼らはアウディーイウカを破壊し尽くしている」「この街がウクライナ軍にとって補給などの拠点になっているからだ」「ロシア軍はアウディーイウカをウクライナの領土から切り離しわれわれをドネツクから撤退させたいのだろう」「戦争が2年近く続く中で、特に歩兵は疲労を感じている。寒さや雨、雪の中、極限状態だ」「兵士たちは前線で戦う意味を理解し、士気で疲れを克服している。この戦いは相手を全員殺したときに終わる」・NHKインタビュー)
#ウクライナ戦況(反転攻勢・アウディーイウカ・ビタリー・バラバシュ市長11/28「正確な数字では言えないが、ロシア側の弾薬のほうが間違いなく何倍も多い。私たちの弾薬は不足していて確実に供給が減っている」「弾薬が不足しているので、われわれの兵士は狙撃手のように一人一人を狙うような細かい作業をしている」「もしロシア人をここで止めることができなければ、彼らは暴走していくだろう。だからこそ、全世界がわれわれを助けなければならない。これは文明的な世界全体に対する戦争でもあるのだ」「行政施設や住宅などはほとんど破壊された」「侵攻が始まる前には3万3000人いた住民が、今ではその4%にあたるおよそ1300人しか残っていない」「こうした住民は、自宅の地下室などで生活していますが飲料水や電気などが不足している」・NHKインタビュー)
#ウクライナ戦況(反転攻勢・ポドリャク大統領府顧問11/28「現時点で、多くの人が期待したような成果は得られていない」「欧米からの軍事支援が遅れた」「どのような兵器が送られるのかという情報が事前に広く伝わり、ロシア側に対応する余地を与えた」「ロシア軍が兵士の命を全く顧みずに大量の兵力を投入するというロシア側の戦術が十分想定できていなかった」「ロシア軍が防御陣地の制空権を握っている」「こうした複数の要因が重なり合っていたために反転攻勢がこう着状態に陥ることは運命づけられていた。そもそも電撃的で迅速な攻勢などはなから期待することはできなかった」「ロシア軍は防御が精いっぱいで身動きがとれなくなっているが、ウクライナ側は各方面でロシア軍に圧力を加え続けている」・NHKインタビュー)

news.yahoo.co.jp

 PartⅠ:1991-1999年の基本情況。

 ソ連崩壊とベルリンの壁崩壊などに関して全米民主主義基金NED(National Endowment for Democracy)が関与していたことはNEDの「年次報告書」のデータから判明したが(参照:8月21日のコラム<遂につかんだ! ベルリンの壁崩壊もソ連崩壊も、背後にNED(全米民主主義基金)が!>)、崩壊後からこんにちに至るまで、ロシアを徹底して潰そうとNEDが暗躍し続けてきたことが、同じくNEDの年次報告書から判明した。

 ここからNEDが計画的に台湾有事を招き日本を戦争に巻き込む戦略が見えてくる。

 そもそも筆者が、なぜアメリカの組織であるNEDなどに深い興味を持つに至ったかというと、中東諸国が中国に近づき始めたことがきっかけだった。特にアメリカの友好国であったサウジアラビアと、アメリカに最も嫌われ厳しい制裁を受けているイランが中国の仲介により和解したときに、関係国の資料を読むと、いたるところに「二度と再びアメリカが起こしたカラー革命により紛争と混乱を招かれたくない」という趣旨の強烈な思いが中東諸国にあることを知った。習近平プーチンの会談においても、中国語で「顔色革命(カラー革命)」という文字を使って「絶対に顔色革命を再現させてはならない」という言葉が目立った。

 そこで、カラー革命に関して調べ始めたところ、それらは全てアメリカのNEDが起こしていたことを初めて知ったのである。そのときの驚きは尋常ではない。

 それだけでなく、今は中国が強くなってきたので、中国大陸の中国共産党政権が崩壊するように香港や台湾でNEDが大活躍し、台湾にはNEDの支部さえあって、「第二のCIA」と呼ばれるNEDがCIAとともに台湾有事を創り出そうとしていることが判明したのだ。そのことは拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』で詳述した。

 台湾有事になれば必ず日本人が戦争に巻き込まれる。それを避けるためにも、ウクライナ危機がどのようにして生まれたのかを詳細に分析しなければならない。しかしその経緯はあまりに長いので、ソ連崩壊からこんにちまでを、いくつかのパートに分けて分析する。今回はまず、1991年から1999年までを対象とする。

 ソ連崩壊時同様、そこには並外れた戦略家・ブレジンスキーの存在があった。

◆ロシアを潰すために発揮されたブレジンスキーの天才的頭脳
   ――「ユーラシア大陸を制する者が世界を制する」戦略

 冒頭に書いた8月21日のコラム<遂につかんだ! ベルリンの壁崩壊もソ連崩壊も、背後にNED(全米民主主義基金)が!>でも強調したように、ソ連崩壊やベルリンの壁崩壊を招いた東欧革命に関して、圧倒的に天才的な戦略で動いたのはズビグネフ・ブレジンスキー(1928-2017年)元米大統領補佐官(カーター政権時代、国家安全保障問題担当)(1988年から1997年の間はNEDの理事)だった。

 彼は1997年に“The Grand Chessboard”という本を著し、その中で概ね以下のような趣旨のことを書いている。

 1.ユーラシア大陸を誰が制覇するか。ユーラシア大陸を制する者が世界を制する。アメリカはソ連崩壊までは、唯一ユーラシア大陸に対してだけは直接的な影響力を持っていなかった。

 2.しかし、(アメリカの力によって)ソ連が崩壊した今、アメリカが世界で唯一の世界全体を勢力圏に置く大国になった(=ソ連を崩壊させるという大事業を通して、アメリカはユーラシア大陸で力を発揮した)。

 3.したがって、ユーラシア大陸で、アメリカの力を凌(しの)ぐような大国が成長してはならない(=新生ロシアを潰さなければならない→筆者注:この論理に従えば次は中国を潰さなければならないことになる。なぜならロシアやインドと共に、ユーラシア大陸を縦につないでユーラシア経済圏を形成しようとしているのは中国だからだ。ブレジンスキーの懸念は、今では中国によって阻害されているのだから、アメリカはロシアにばかり力を注いではいられないはずだ。このことも拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』の中で詳述している。だからこそ尚更、ウクライナ危機がいかにして生まれたのかを明確にしなければならない。そうすれば私たちは日本国民を守ることができるはずだ)。

 4.そのため(新生ロシアを潰すため)には国際金融機関の世界ネットワークも重要で、IMF国際通貨基金)や世界銀行は世界の利益を代表していると言えるが、実際はアメリカの絶大な影響力の下にあり、アメリカの戦略の下で誕生したと言える(1944年のブレトン・ウッズ会議)。それらをも活用しなければならない。

 5.ウクライナNATOEUに加盟するか否かは、ロシアにとっては重大な脅威になり分岐点となり得る。したがって「ウクライナの存在」を最大限に重視(利用?)しなければならない(筆者注:1997年出版の本を執筆する時点で、これを見抜いているのだから、ブレジンスキーの頭脳の明晰さは尋常ではない)。

 一方、ワルシャワ大学政治科学研究所のSylwia Gorlicka氏は、2020年に発表した<Selected Western Countries’ stance on the Chechen conflict(チェチェン紛争に対するいくつかの西側諸国の立場)>という論文の中で、ブレジンスキーが1990年代の初期から個別にチェチェン独立派と連携し、ロシアを窮地に追いやったことを詳細に考察している。

◆1990年から1999年までのロシアとウクライナの政治情勢に関する時系列

 ソ連が正式に崩壊したのは1991年12月25日だが、ソ連崩壊の前提となる「ワルシャワ条約機構ソ連を盟主とした東欧諸国が結成していた軍事同盟)の解体」は、1990年2月のベーカー元米国務長官の発言があったからなので、ここでは1990年からのロシアとウクライナおよびその関連周辺国の政治情勢に関する時系列(図表3)を作成し、考察することとした。

 ソ連崩壊に至るプロセスの中で最も重要なのは、図表3の第1行にあるように、アメリカがソ連に「NATO軍の管轄は1インチたりとも東に拡大しない」と約束したことだ。

 しかし、その舌の根も乾かぬうちにアメリカは約束を破り、早くも1999年3月には、旧ソ連圏あるいは衛星国の中の「チェコハンガリーポーランド」などをNATOに加盟させ、その後も雪崩を打ったように「NATOの東方拡大」は続いていく。

 1997年5月に「NATO・ロシア基本議定書」が締結されているが、これはNATOの意図表明を弁解的に展開しているだけで、ロシアの同意を必要とするという性格のものでなく、最初からブレジンスキーの計画通り、むしろNATO加盟国を増やしていって東方拡大し、ロシアに脅威を与えるファクターが内在している(これに関しては<NATO・ロシア基本議定書の亡霊――3つの論点>が平易な言葉で解説している)。

 ブレジンスキーの本の概要の「4」にも記したように、アメリカはエリツィン大統領を取り込み、IMFの意見に従い「ショック療法」と呼ばれる急激な市場経済化を採用させ、国家資源を管轄する国営企業を民営化するに当たり株を超安値で売るなどして「オリガルヒ」という大富豪(新興財閥)を生んだ。

 主たる7大新興財閥は巨万の富を得て政治を動かすようになり、中には銀行を設立してロシア政府に融資する形になったり、メディアを独占するようになったりなどして、1996年のエリツィン二期目の大統領選挙の時には、人気がなくなったエリツィンが、オリガルヒを頼りにしたくらいだ。エリツィン政権はアメリカのコントロールのままに動き、1998年には財政危機に陥って、ブレジンスキーの思い通りに、崩壊寸前のところまで行っていた。

 一方、チェチェンに関してもロシアは窮地に追い込まれた。

 図表3にある通り、1991年11月に、ソ連邦の構成主体の一つになっていたチェチェン共和国は独立宣言をしたのだが、ソ連邦は認めず、また新生ロシアになってもロシア連邦チェチェン共和国の独立を認めないだけでなく、むしろロシア憲法で、チェチェン共和国ロシア連邦構成主体の中にある10の共和国の中の一つに位置付けてしまった(ロシア連邦の中には共和国や自治区なども含めると全体では90近い構成主体がある。したがって「連邦構成国」と呼ばないで「主体」と称するようだ)。

 チェチェン共和国の中には、連邦残留を希望する一派と、何としても独立を主張する分離独立派の二つの勢力があり、内紛を起こしていた。分離独立派の勢力が強くなった1994年12月にエリツィン政権がロシア連邦軍チェチェンに侵攻させるという「第一次チェチェン紛争」が起きた。

 図表3にあるように、実は1992年5月には、クリミア半島がクリミア共和国としてウクライナからの独立宣言をし、ロシアもそれを支援していたのだが、94年に起きた第一次チェチェン紛争で、それどころではなくなり、ロシアはクリミア独立支援を諦めてしまった。そのため1995年3月にウクライナがクリミア共和国を併合する結果となった。

 ということは、チェチェン紛争が起きていると、アメリカには有利だということになる。

 当然のことながら、アメリカは(ブレジンスキーを中心として)チェチェンの独立派を応援した。その詳細が前述のワルシャワ大学の論文に書いてあるわけだ。

 1999年の第二次チェチェン紛争が起きると、ブレジンスキーを中心としてAmerican Committee for Peace in Chechnya(チェチェンの平和のためのアメリカ委員会)が設立された。このとき図表1にあるようにNEDが表面に出て支援金や(ブレジンスキーが90年代初期から始めていた)連絡のための電子機器提供を増強している。

 チェチェン紛争はロシアにとって非常に手痛い問題だが、1999年末にエリツィンが退陣し、プーチン政権が現れると、やがて独立派を過激な「テロ」と位置付け、様相を変えていく。

◆NEDは民主化運動のための支援金で具体的には何をしたのか?

 ブレジンスキーはNEDの理事だったのだから、NEDが何を目的として、具体的に何をしたのかは、おおむね想像がつくものとは思うが、現在のウクライナ危機の遠因を考察するためにも、詳細を明示したいと思い、NEDの年次報告書から主たるものを選んで一覧表を作成した。実際は全てを合計すると1000以上の、細かく分岐したプロジェクトが動いているが、それらは省略した。

 図表4をざっと眺めると、エリツィン政権のロシアとウクライナは、まるでNEDの傀儡政権のようではないか。この時すでに、こんにちのウクライナ戦争の結晶成長核が埋め込まれていた事実は一目瞭然だろう。

ja.wikipedia.org

#ウクライナ代理戦争(遠藤誉「ウクライナ危機を生んだのは誰か? 露ウに民主化運動を仕掛け続けた全米民主主義基金NED PartⅠ」)

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#パレスチナガザ地区ハマス大規模攻撃「アルアクサの洪水」・イスラエル報復作戦「鉄の剣」・地上作戦拡大・シファ病院突入・人質解放合意・2日延長合意・6日目(午前7時まで)・さらに1日延長合意・作戦再開・中露斯・ペルシャ湾・海軍共同大規模軍事演習実施へ・パキスタン、ブラジル、オマーン、インド、南アもオブザーバーとして招待・J_Sato「戦略家ブレジンスキーが最も恐れていたシナリオが着々と現実化しているね」)

#ウクライナ代理戦争(ラブロフ外相「米国は意図的に欧州の脱工業化を進めている」「ロシアの安全保障と経済のためには、米国の影響下にある国の貿易、経済、投資政策に依存しないことが必要」「今の段階で欧州との関係を回復させる必要はない「」世界経済には代替的な公正なルールがすでにある」 )

#ロシア経済(WP「ロシア経済絶好調」「飲食等が繁盛。国内旅行ブーム・不動産価格上昇、建設ラッシュ・制裁で大富豪が国内投資に集中。反戦大富豪も西側が制裁、ロシアは制裁なし・石油好調。欧州には第三国経由。欧州以外拡大・軍事産業中心に製造業成長・IMFの23年GDP成長率予測、当初-2.3%→直近+2.2%に 」)

#田中宇(モスクワHSEカンファレンス・多極化)

ロシア・モスクワの警察が1日、複数のゲイ・クラブを家宅捜索したと、地元メディアが報じた。ロシアでは前日に、最高裁判所が「国際的なLGBT(性的マイノリティー市民運動」と呼ばれるものを過激派組織と断定し、全国での活動を禁止する判断を下した。

1日夜の家宅捜索で、クラブ客が短時間拘束され、パスポートの写真を撮られていたと、テレグラム・チャンネル「オストロジノ・ノヴォスティ」は伝えた。

客の1人は、長期の懲役刑に処されるのではないかと恐れていると、同チャンネルに語った。

警察は麻薬捜査を行っていたと、同チャンネルは伝えている。モスクワ当局はこれまでのところコメントしていない。

目撃者の1人は、「パーティーの最中に音楽が止まり、(警察が)ラウンジに入ってきた」と、「オストロジノ・ノヴォスティ」に語った。モスクワ中心部でのこの集まりには複数の外国人も参加していたと、この目撃者は付け加えた。

別のテレグラム・チャンネル「ソタ」は、1日夕にモスクワ市内の3軒のクラブが家宅捜索を受けたと伝えた。

ソーシャルメディア上には、1軒のクラブの外に警察車両と警官が集まっているとする複数の画像や動画が投稿されている。

LGBT運動は「過激派」
家宅捜索は、ロシアの最高裁判所が「国際的なLGBT市民運動」と呼ばれるものを過激派組織と断定し、全国での活動を禁止した翌日に行われた。

このような組織は法人として存在しないにもかかわらず、判決は司法省からの申し立てによって下された。

3年前に改正された憲法では、婚姻が男女間のものを意味することが明確になった。同性婚は認められていない。

近年、ロシアのLGBTコミュニティーに対する当局の圧力が強まっていると、モスクワで取材するBBCのスティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長は指摘する。2013年には、未成年者に対する「非伝統的な性的関係に関する流布」を禁止する法律が承認されている。

昨年には、同性愛に関する宣伝禁止法を強化する法律も強化された。規制の対象がロシアのすべての年齢層に拡大され、書籍や映画、広告、テレビ番組からLGBTへの言及が削除されている。

ロシアのテレビチャンネルは先月、韓国の音楽グループのミュージックビデオに出てくる虹の色を変えて放送した。虹色はLGBTの象徴として世界各国で使用されており、「ゲイ・プロパガンダ」法違反と判断されるのを避けたとみられる。

#ロシア(最高裁判所・「国際的なLGBT市民運動」・「過激派組織」認定・全国での活動を禁止・翌日・モスクワ警察・ゲイ・クラブ・家宅捜索)

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#ロシア(性的マイノリティー支援国際運動関係者・「過激派」認定・国内活動禁止)

#NATOexpansion

#反ロシア#対中露戦

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