ICC赤根智子所長 “厳しい国際情勢の中 秩序守り正義を追求”https://t.co/jPaem0jIaC #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) March 17, 2024
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻やイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突などをめぐって、戦争犯罪などの疑いを捜査しているICC＝国際刑事裁判所のトップに就任した赤根智子所長が、NHKの取材に応じ、厳しい国際情勢の中でも国際法の秩序を守り正義を追求するために尽力したいと抱負を語りました。
今月11日、オランダのハーグにあるICCの所長に日本人として初めて就任した赤根智子氏は、NHKのインタビューに応じ「世界情勢が変化し、大きな戦争や事件が相次ぐ中で今所長を務めるのは、非常に難しいかじ取りを任されることになると思う。非常に多くの責任を負ったという気持ちだ」と述べました。
ICCは去年3月、ロシアがウクライナから子どもたちを移送したことについて戦争犯罪の疑いでプーチン大統領などに逮捕状を出しましたが、ロシアの協力は得られていません。
これについて、赤根氏は「逮捕状を出すときには、執行されないかもしれないなどと考えるわけではない。逮捕、予審を経て裁判につなげるための逮捕状の発行で、次の段階を待つということだ。時効はないので、最後まで遂行に向け努力していく」と述べ、あくまでも責任を追及する姿勢を示しました。
一方、ロシアがこれに反発して赤根氏を含むICCの裁判官や検察官を指名手配したことについて「あまり外出をしないよう心がけるようになった。自分の安全のためだけではなく自分に何か起きれば裁判所自体への脅威にもなり得る」と述べ、身の安全を気遣っていることを明らかにしました。
ICCはイスラエルとハマスの衝突をめぐっても、検察官が周辺国の協力を得ながら双方の戦争犯罪などの疑いの捜査を進めています。
赤根氏は「世界で最も重大な犯罪を裁く裁判所であるICCは、正義のために地道な努力を続ける姿勢を示すことで、象徴的な存在ともなり得る。世界の秩序を守るうえで法の支配が重要だということは日本も標ぼうしている」と述べ、ICCの最大の資金拠出国である日本が引き続き活動を積極的に後押ししていくことに、期待を示しました。
赤根智子所長とは
赤根智子氏は愛知県出身で、函館地方検察庁の検事正や最高検察庁の検事などを経て、6年前からICCの裁判官を務めています。去年3月にICCがロシアのプーチン大統領に逮捕状を出した際には、検察官が示した証拠や情報を検討し逮捕状を発する予審裁判部に所属し、今月11日に行われたICCの裁判官による投票で、日本人として初めて所長に選出されました。
ICC＝国際刑事裁判所とは
ICC＝国際刑事裁判所は、2002年にオランダのハーグに設けられた常設の裁判所で
▽戦争犯罪や
▽人道に対する犯罪
▽民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加えるジェノサイドなど
国際法上の重大な罪を犯した疑いのある人物の刑事責任を問うことを目的としています。事件を捜査する検察部門と裁判を行う裁判部門があり、裁判官や検察官など世界およそ100か国から集まった900人の職員が働いています。
これまで
▽スーダンのダルフール紛争や
▽ミャンマーの少数派のロヒンギャの人たちが迫害された疑いなどの事案を扱ってきました。また
▽ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐっては、ウクライナの子どもを移送したとして、戦争犯罪の疑いでプーチン大統領に逮捕状を出したほか、
▽イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突をめぐっても、戦争犯罪などの疑いで捜査を進めています。一方でICCを設立した条約には日本を含む124の国と地域が加盟していますが、アメリカやロシア、中国などが加盟していないことから管轄権の限界も指摘されていて、どこまで実質的に責任を追及していけるかが課題です。
日本は2007年に条約に加盟し、ICCの最大の資金拠出国で、去年は37億5000万円を拠出しています。
ICCをめぐる動きは
ICCはロシアがウクライナへの侵攻を始めた直後のおととし3月、ウクライナで行われた疑いのある戦争犯罪や人道に対する犯罪などについて捜査を開始しました。去年3月には、ロシアがウクライナの占領地域から子どもたちをロシア側に移送したことをめぐって戦争犯罪の疑いでプーチン大統領などに逮捕状を出しました。
今月5日には、ロシア海軍の黒海艦隊の司令官など2人にも、民間の施設を攻撃した戦争犯罪などの疑いで逮捕状を出しています。
一方これに反発するロシアは去年、赤根氏などICCの裁判官や検察官を、「違法な手続きに関わった」などとして指名手配しました。
また、おととしにはロシアの情報機関員が別人になりすましてICCにインターンとして潜入しようとした疑いが持たれているほか、去年にはICCへのサイバー攻撃も行われています。
一方、イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突をめぐっても戦争犯罪の疑いが持たれていて、去年10月、裁判所のカーン主任検察官がガザ地区とエジプトの境界線を視察した際、双方を捜査していることを明らかにしています。
d1021.hatenadiary.jp
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