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米連邦準備理事会(FRB)による市場との対話は比較的高く評価されていることが、学者と民間アナリストを対象に実施した調査で明らかになった。

調査はブルッキングス研究所ハッチンス財政・金融政策センターが、学者31人と民間アナリスト24人を対象に実施。パウエル議長率いるFRBの市場との対話に対する総合評価は中央値で「B+」だった。

新型コロナウイルス流行でFRBが一連の複雑な対策を打ち出した2020年の調査では「A-」の評価を得ており、評価がやや下がった。

ただ、連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の記者会見については、回答者の80%以上が「極めて役に立つ、もしくは役に立つ」と答え、政策当局者のインフレ、雇用、経済成長に対する見解をまとめた四半期経済見通しやFOMC声明についても、回答者の70%以上が同様の見解を示した。

もっとも、政策当局者の政策金利見通しを示す「ドットプロット」については「極めて役に立つ、もしくは役に立つ」との回答が約半数にとどまった。ドットプロットを巡っては、見通しが明確になるのではなく逆に混乱を招くのではないかとの指摘が出ている。

FRB理事と地区連銀総裁の講演やメディア報道については、60%以上が「やや役に立つ、もしくは全く役に立たない」と答えた。

今回の調査が実施されたのは3月22日─4月5日。その後、市場では利下げが近いとの観測が後退し、高金利が続くとの見方が広がった。

一方、今週発表された世論調査機関ギャラップの調査では、パウエル議長に対する国民の信頼は引き続き低く、「経済のために正しいことをする、あるいは推奨する」と「大いに信頼している、もしくはかなり信頼している」との回答は39%にすぎなかった。

昨年は36%と、歴代FRB議長で最低を記録。新型コロナへの対応を進めていた20年には60%近くまで上昇していた。

米国の独自性は枚挙にいとまがないが、投資戦略の文脈においても「米国例外主義」が幅を利かせ始めている。実際、米シンクタンクのミルケン研究所が主催した年次国際会議に詰めかけた上位1%の富裕層の間では、この考え方が常識になっているのが明確に見て取れた。

今年の米国における経済と金融市場の強さは、状況を慎重に見ていた人々にとってうれしい驚きであり、会議の話題をさらった。ロサンゼルスのビバリーヒルズで開かれた会議は、かつて「ジャンク債の帝王」と呼ばれ、今は慈善活動家に転じたマイケル・ミルケン氏の研究所が主催したものだ。

力強い成長と低失業率のおかげで、高金利とインフレはさほど大きな懸念材料ではなくなっている。1年前に心配された銀行破綻などの脅威も和らいだ。ブルックフィールド・アセットマネジメント(BAM.TO), opens new tabのブルース・フラット最高経営責任者(CEO)は、商業用不動産ローンを巡る懸念は「去年の話だ」と言い切った。

世界的に見ても、米経済の成長は群を抜いている。サウジアラビアの証券規制当局トップ、モハメド・エルクワイズ氏は6日の会議で、資産配分を考える上で、そろそろ米国以外の先進国を「新たなカテゴリー」と見なすべきだと述べた。米国が他の先進国から突出していることを示す発言だ。この考え方は、国際通貨基金IMF)が予想する2024年の米経済成長率が2.7%と、欧州や日本の約3倍、英国の5倍に達するという事実に裏付けられている。

米経済の相対的な強さはドル高と株価評価の上昇をもたらし、それによって資産が膨らんだ会議参加者らは、なお一層の上昇を予想している。LSEGによると、S&P500種総合株価指数(.SPX), opens new tabの予想利益に基づく株価収益率(PER)は20倍と、過去20年の平均値16倍を上回っている。これは超大型ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」に押し上げられた部分もあるが、大型銘柄の比重が大きくならないよう「単純平均」したS&P500ですら年初から15%も上昇し、過去最高値に迫っている。

米国はなぜここまで好調なのだろうか。その理由として最もよく挙げられるのは、イノベーションの文化資本市場の厚みだ。だが、それ以外にも米国には際立った特色がある。例えば、この国の個人消費の強さは、期間30年の固定金利型住宅ローンが普及していることに負う部分が少なくない。これによって家計は急激な借り入れコストの上昇から守られてきた。また、他国よりも多額の財政赤字を出しても国債の買い手が絶えないため、政府が新型コロナウイルスパンデミック時に気前の良い家計給付を実施したことも、消費者を潤わせた。これこそが、米ドル以外の通貨を発行する国にはない「途方もない特権」だ。

米経済の底堅さもさることながら、この景気拡大がさらに続くという楽観論にも驚かされる。だが全てを勘案すると、これは理にかなった見通しだ。ドルは他の通貨バスケットに対して20年ぶりの高値に近づいているが、欧州で金利が下がる見通しである一方、米金利は高止まりする可能性が高いことを踏まえれば、ドルはさらに上昇するかもしれない。低炭素エネルギーへの移行に伴い、データセンターや電力網など人工知能(AI)関連の投資急増は、今後も続きそうだ。

マネー・マーケット・ファンド(MMF)の運用額が6兆5000億ドルと、過去30年平均の約2倍に達していることを考えれば、米国株にも一段高の余地がある。シティグループ(C.N), opens new tabのジェーン・フレーザーCEOは、景気拡大が続いても、景気が減速して米連邦準備理事会(FRB)が利下げしても、どちらに転んでも株価は上昇するという「ウィンウィン」の可能性を示唆した。プライベートエクイティ企業カーライル(CG.O), opens new tabのハービー・シュワルツCEOによると、同社の顧客は既に米国への投資配分を基準より多くしているにもかかわらず、投資の上積みを計画している。

とはいえ、会議出席者は「アメリカン投資ドリーム」に重大なリスクがあることも認識している。米政府の歳出は今年、歳入を1兆6000億ドル上回る見通しであり、専門家は皆、これほどの財政赤字は持続不可能だと警鐘を鳴らしている。毎日1万1000人の米国民が65歳の誕生日を迎えるという急速な高齢化の中で、増大を続ける介護費用をどう賄うかという問題も膨らむ。所得と富の根強い格差も頭の痛い問題だ。

ただ、今は米国投資が大きな利益をもたらしている最中であり、これらの問題を解決するための時間的余裕を持つには、来年のミルケン氏の会議を待たねばならないだろう。