https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

財務省が12日発表した8月の財政収支は、赤字が3800億ドルとなった。前年同月は890億ドルの黒字だった。

米連邦最高裁判所が8月、バイデン大統領の学生ローン救済計画復活を求める政権側の訴えを退けたことが背景。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は3173億ドルの赤字だった。

8月の歳入は3070億ドル。前年同月は2830億ドル。歳出は6870億。前年同月は1940億ドルだった。

2024会計年度(23年10月━24年9月)の8月までの累計では、赤字は24%増の1兆8970億ドル。前年同期は1兆5250億ドルだった。歳入は11%増の4兆3910億ドル、歳出は14%増の6兆2880億ドルとなった。

財務省によると、2024年度の連邦政府の公的債務利子が累計で初めて1兆ドルを超えた。

米家計の純資産は4-6月(第2四半期)に過去最高を更新した。不動産価格と保有株式の価値上昇が支えた。

  米連邦準備制度理事会FRB)が12日発表した資料によると、第2四半期の家計純資産は前四半期から2兆7600億ドル(約393兆円、1.7%)増加し、163兆8000億ドル。家計が所有する不動産の価値は約1兆7500億ドル上がり、1年ぶりの大幅増。保有株式の価値は約6620億ドル上昇した。

  企業利益への楽観と利下げ見通しを背景に、同四半期のS&P500種株価指数は上昇。中古住宅の在庫が限定的なため、住宅価格は高止まりを示した。

  根強いインフレは家計の見通しを圧迫している。賃金の伸びが失速していることが複数の指標で示されており、貯蓄は減少。投資支出の少ない世帯を中心に、多くが家計は苦しいと感じている。

原題:US Household Net Worth Climbs to Record on Home Values, Stocks(抜粋)

労働省が12日発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)0.2%上昇した。サービス価格の上昇を背景に、伸びは市場予想(0.1%)を上回ったものの、インフレ鎮静化と一致する内容となった。

7月分は当初の0.1%上昇から、横ばいに下方改定された。

前年比は1.7%上昇と、前月の2.1%から伸びは鈍化した。市場予想は1.8%上昇だった。

労働市場の安定とインフレ率の高止まりを背景に、連邦準備理事会(FRB)は17─18日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和サイクルを開始するとみられるが、50ベーシスポイント(bp)の大幅利下げの観測はさらに後退した。

CMEのフェドウオッチによると、金融市場は次回のFOMCで50bpの大幅利下げが行われる確率を約13%、25bpの利下げ幅については約87%との見方を織り込んでいる。

サービスの価格は前月比0.4%上昇し、7月の0.3%下落からプラスに転じた。ホテルなどの宿泊料金が4.8%上昇したことに押し上げられた。外来診療費が0.2%上昇した一方、入院医療費は横ばいだった。

一方、航空運賃は0.8%下落した。

ポートフォリオ管理手数料は横ばい。卸売業者や小売業者が受け取るマージン(利ざや)の尺度である貿易サービスは0.6%上昇し、消費者の値上げに対する抵抗感が強いにもかかわらず、企業が依然として価格決定力を持っていることを示唆した。

モノの価格は横ばい。7月は0.6%上昇していた。

エネルギーは0.9%下落。一方、食品は0.1%上昇した。

食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は前月比0.3%上昇し、伸びは7月と並んだ。前年比では3.3%上昇し、前月の3.2%上昇から小幅加速した。

消費者物価指数(CPI)とPPIのデータからエコノミストが推定する8月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、0.14─0.18%上昇の範囲となった。

コアインフレ率は7月の前年比2.6%上昇に続き、8月も2.7%上昇すると予想される。低水準を推移した昨年分が計算から除外されることが背景にある。

JPモルガンのエコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「FRB当局者が過去に言及した6カ月間の年率換算は7月の2.6%から2.3%に低下するにとどまるものの、3カ月間の年率換算は2%を下回ると予想される」と述べた。

国際通貨基金IMF)のコザック報道官は12日、米国の金融政策について、物価上昇リスクが和らいだことから、米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げサイクルを開始するのが適切になるとの考えを示した。

コザック氏は定例記者会見で、IMFは米経済が年内は減速すると予想していると言及。米国のコア個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは年末時点で2.5%となり、来年半ばまでにFRBが目標とする2%に戻ると予想しているとし、このところの経済指標を踏まえる上振れリスクは低いと述べた。

その上で「FRBも示唆しているが、こうしたことは緩和サイクルが間もなく始まることを示している」と語った。

同時に「インフレの上方リスクは低減したものの、完全になくなったわけではない」とし、「FRBは今後も経済指標に基づき、利下げのペースと規模を調整し続けなければならない」との考えを示した。

米連邦準備理事会(FRB)の独立性を巡る議論が再び盛り上がりを見せている。11月5日の大統領選でトランプ前大統領が返り咲けば、市場関係者の間で議論が白熱するかもしれない。

共和党候補のトランプ氏は7月にパウエルFRB議長が2026年までの任期を全うすることを認める考えを示しつつ「彼が正しいことをやっていると私が思う場合は」と条件を付けた。さらに先月には、現職大統領はFRBの決定に「少なくとも発言権」を持つべきだとも述べた。

FRBなど各国・地域の中央銀行は過去数十年にインフレ目標を採用し、政策運営の上でより大きな独立性を手に入れたが、政治的、法的な面での独立性は必ずしも明確ではない。

理屈の上では、中銀は冷徹かつ厳密な経済指標に基づいて政策を決定し、ときの政府がもたらす政治的な気まぐれ、影響力、圧力には左右されないことになっている。現実はこうした理想とは異なるのだが、それは必ずしも悪いことではない。

世界的金融危機新型コロナウイルスパンデミックに対する先進国の対応を例に取ろう。政府と中銀は財政や金融政策の面で持ちつ持たれつの関係であり、協調することも少なくなく、このことが経済や金融、場合によっては社会的な危機を回避するのに役立った。

もちろん、こうした政策によって政府債務は急増し、その多くを中銀が保有している。これらの債務は政府債務の直接的なマネタイゼーション財政赤字の穴埋め)ではなく、流通市場で購入されたものだが、実質的には政府のある部門が他の部門に融資しているのと同じだ。

こうした政治主導の大盤振る舞いは、ほとんどの中銀の基本的な責務であるインフレの抑制に反しており、ハイパーインフレという災厄を招くリスクがあるのではないか。

実際にFRBの大規模な景気刺激策によって物価は高騰した。しかしFRBのバランスシートが膨れ上がったにもかかわらず、世界金融危機後の10年余りにわたってインフレ率はFRBの目標を大きく下回ったままだった。物価が跳ね上がったのは、膨大なマネーサプライの創出と数兆ドル規模の直接的な現金給付に、世界的な供給網の混乱、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機が重なった2022年に入ってからのことだ。

つまり、中銀と政府による財政、金融面の協調的な取り組みがインフレ高進の一因だった公算は大きい。しかしそれから2年後の今、米国は経済がなお堅調を維持しつつ、インフレ率がFRBの目標である2%に向かって収束しつつある。この結果はそれほど悪いものだと言えるだろうか。当局が積極的に動かなかった場合にどうなっていたかを考えればなおさらだ。

英国の議員で、トランプ氏と政治的な立場が大きく異なるロバート・スキデルスキー教授は5月に発表した「中央銀行の独立性という神話」という論説で、なぜ政府が金融政策についてもっと発言権を持つべきでないのかと問いかけている。

スキデルスキー氏は「金利は貨幣の価値だけでなく、失業、成長、そして分配にも影響を与える。したがって金融政策も財政政策と同様に、有権者に対して責任を負う政府によって管理されるべきだという主張も可能だ」と書いている。

<意外なランキング>

アイルランド中銀副総裁のステファン・ガーラハ氏は先月発表した「中央銀行の独立性の限界」という論説で、中銀の独立性は「100かゼロか」の問題ではないと主張。シンガポールの事例を引き合いに、「低インフレの維持という目的に対する強固な政治的な支持は欠かせないが、この目標を達成する上で中銀の完全な法的独立が絶対に必要だとは考えられない」と論じた。

シンガポール金融管理局(MAS、中銀に相当)は、1981年に導入された金融政策の枠組みの下、平均インフレ率をほぼ2%に抑えてきた。しかしMASは主要な政策手段として国内の金利ではなく為替レートを用いている。

MASの理事会メンバーのうち4人が政府閣僚で、政府が望みさえすれば金融政策を完全に掌握できることに疑念を持つ人はいない。つまり、シンガポールは中銀が真の独立性を持つことなく、一貫して低く安定したインフレを達成しているのだ。

実際、カリフォルニア大バークレー校のバリー・アイケングリーン氏とジョアン・J・マルティネス氏らが先月発表した中銀の独立性に基づくランキングでシンガポールの評価は低い。

このランキングは総裁の任期の長さや解任に関する規定、中銀と政府間の紛争解決手段、政府への貸し付け制限など16の基準に基づいて順位付けを行っている。

シンガポールの順位は、ある切り口では120カ国中114位、別の切り口では119カ国中113位。一方、FRBはそれぞれ29位と43位だ。

世界金融危機パンデミックへの対応が示すように、中銀はうわべでは独立性を保っているように見せつつ、過去数十年よりも政府との協力関係を強めており、こうした体制はかなり効果的であったと言える。中銀の独立性は虚構かもしれないが、ひょっとすると有用な虚構なのかもしれない。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

d1021.hatenadiary.jp

#米経済