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自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐり、6億7500万円の収入などを政治資金収支報告書に記載しなかった罪に問われた会計責任者に対し、東京地方裁判所は「政治活動の公明、公正を確保するという法律の目的をないがしろにする犯行だ」として禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。

当時の安倍派「清和政策研究会」の会計責任者、松本淳一郎 被告(77)は、2022年までの5年間に合わせておよそ6億7500万円のパーティー収入などを派閥の政治資金収支報告書に収入として記載しなかったなどとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。

これまでの裁判で松本会計責任者は、大筋で起訴内容を認めていました。

30日の判決で、東京地方裁判所の細谷泰暢 裁判長は「特に発覚していなかったという理由で、5年もの長期にわたって実態とは大きくかけ離れたうその内容の政治資金収支報告書を提出し続けた。政治活動の公明、公正を確保するという法律の目的をないがしろにする犯行だ」と指摘しました。

一方、「派閥の幹部に従わざるをえない立場にあった」として禁錮3年、執行猶予5年を言い渡しました。

官房長官「政治改革に終わりなし」

官房長官は午後の記者会見で、個別の裁判所の判断に政府としてコメントすることは控えるとしたうえで「岸田総理大臣は自民党総裁として『信頼回復のための政治改革に終わりはなく、当面、改正政治資金規正法の付則で検討事項とされた、第三者機関の在り方などの検討を引き続き進めていかなければならない』と述べている」と説明しました。

自民党の石破総裁は、30日午後、党の新しい執行部を発足させ、副総裁に菅前総理大臣、幹事長に森山総務会長、総務会長に鈴木財務大臣政務調査会長に小野寺元防衛大臣選挙対策委員長に小泉元環境大臣を起用することなどが正式に決まりました。

【リンク】衆院選 10月27日投開票の方針表明自民党の石破総裁は記者会見で衆議院選挙を来月27日に行う方針を表明

自民党の石破総裁は、30日午後、党の役員人事を行いました。

石破氏は、午後1時から党の総裁室で、起用することを正式に伝え、午後1時半から開かれた臨時総務会で了承され、新しい執行部が発足しました。

▼最高顧問に麻生副総裁

麻生太郎氏は衆議院福岡8区選出の当選14回で、84歳。(1940年9月20日生)。祖父は、吉田茂・元総理大臣です。会社経営に携わり、日本青年会議所の会頭などを経て、1979年の衆議院選挙で初当選しました。これまでに外務大臣総務大臣、経済財政担当大臣、党の幹事長などを歴任し、2008年に第92代の総理大臣に就任しましたが、翌年の衆議院選挙で当時の民主党に大敗し自民党は政権を失いました。自民党が政権を奪還した後も、安倍政権で副総理兼財務大臣を務め、安倍元総理の盟友と言われました。現在は党内で唯一存続している麻生派を率い、今回の総裁選挙の決選投票では、高市経済安全保障担当大臣を支持したとみられます。石破総裁としては、麻生氏を最高顧問に起用することで、挙党態勢を構築する狙いがあるものとみられます。

▼副総裁に菅前総理大臣

菅義偉氏は、衆議院神奈川2区選出の当選9回で、75歳。(1948年12月6日生)。無派閥で活動しています。小此木彦三郎・元建設大臣の秘書や横浜市議会議員を経て、1996年の衆議院選挙で初当選し、2006年には第1次安倍内閣総務大臣として初入閣しました。自民党が野党時代の2012年の総裁選挙で安倍元総理大臣擁立の中心的な役割を果たし、第2次安倍内閣では一貫して官房長官を務めました。2020年に、辞任した安倍総理大臣の後継を争う総裁選挙に立候補して勝利し、第99代の総理大臣に就任しました。今回の総裁選挙では、小泉進次郎氏を支援しましたが、決選投票では石破新総裁に投票したとみられます。石破総裁としては、豊富な政治経験のある菅氏を副総裁に起用することで、挙党態勢を構築し、党内基盤を安定させる狙いがあるものとみられます。

▼幹事長に森山総務会長

森山裕氏は、衆議院鹿児島4区選出の当選7回で、79歳。(1945年4月8日生)。旧森山派の会長を務めていました。鹿児島市議会議長などを経て1998年から参議院議員を5年余り務めたあと、2004年に衆議院議員に転身し、農林水産大臣衆議院農林水産委員長などを歴任しました。2017年から4年余りにわたって、歴代最長の期間、党の国会対策委員長を務め、安倍政権や菅政権を支えたほか、岸田政権では、総務会長として派閥の政治資金パーティーをめぐる問題の調査を中心的に担いました。石破総裁としては、豊富な政治経験や幅広い人脈を持つ森山氏を起用することで政策の推進を図るとともに挙党態勢を構築する狙いがあるものとみられます。

▼総務会長に鈴木財務大臣

自民党の総務会長に起用された鈴木俊一氏は、衆議院岩手2区選出の当選10回で、71歳。(1953年4月13日生)。麻生派に所属しています。鈴木善幸・元総理大臣の長男で麻生元総理大臣の義理の弟です。父親の秘書を経て、1990年の衆議院選挙で初当選し、これまでに環境大臣やオリンピック・パラリンピック担当大臣、それに党の総務会長などを歴任しました。また、岸田内閣では3年前の発足当時から財務大臣を務めてきました。今回の総裁選挙では上川陽子氏を支援しました。石破新総裁としては、閣僚や党幹部の経験が豊富で、麻生氏にも近い鈴木氏を、引き続き重要なポストに起用することで、政権基盤を安定させる狙いがあるものとみられます。

政務調査会長に小野寺元防衛大臣

小野寺五典氏は、衆議院宮城6区選出の当選8回で、64歳。(1960年5月5日)。旧岸田派の出身です。宮城県職員や松下政経塾などを経て、1997年の衆議院補欠選挙で初当選し、外務副大臣のあと安倍内閣で2回、防衛大臣を務めました。現在は衆議院予算委員長などを務めています。今回の総裁選挙では、同じ旧岸田派出身の林官房長官を支援しました。石破総裁としては、外交・防衛分野をはじめ幅広い政策に精通している小野寺氏を政務調査会長に起用することで、政策を安定的に実行していく狙いがあるものとみられます。

選挙対策委員長に小泉元環境大臣

小泉進次郎氏は、衆議院神奈川11区選出の当選5回で、43歳。(1981年4月14日生)。無派閥で活動しています。2009年の衆議院選挙で、父親の小泉純一郎・元総理大臣のあとを継いで立候補し、28歳の若さで初当選しました。復興政務官や党の厚生労働部会長などを務めたあと、2019年に安倍内閣で戦後3番目の若さとなる38歳で環境大臣として初入閣し、菅内閣でも再任されました。今回、初めて総裁選挙に立候補し、決選投票には進めませんでしたが、1回目の投票では、最も多い75票の議員票を獲得して全体の3位につけ、存在感を示しました。石破総裁としては、党内で一定の支持を集めた小泉氏を起用することで党内融和を図るとともに、高い知名度や発信力をいかし、政権運営に弾みをつける狙いもあるものとみられます。

国会対策委員長に坂本農林水産大臣

坂本哲志氏は、衆議院熊本3区選出の当選7回で、73歳。(1950年11月6日生)。旧森山派の出身です。地元新聞の記者や熊本県議会議員を経て2003年の衆議院選挙で初当選しました。これまでに総務副大臣や党の政務調査会長代理などを歴任し、菅内閣で、一億総活躍や地方創生の担当大臣を務めました。また、去年、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて辞任した宮下一郎氏の後任として農林水産大臣に就任しました。石破総裁としては、幅広い政策に精通し、国会対策の経験もある坂本氏を起用することで、安定した国会運営を図る狙いがあるものとみられます。

▼幹事長代行に福田達夫元総務会長
▼組織運動本部長に小渕選挙対策委員長
▼広報本部長に平井元デジタル大臣

自公連立政権の維持を確認 新政権合意に署名

自民党の石破総裁と公明党の石井代表は、30日午後、国会内で会談し、両党の幹事長や政務調査会長ら幹部が同席しました。

そして両氏は、自民・公明両党による連立政権の維持を確認し、新たな政権合意に署名しました。政権合意では両党の党首が交代したことに触れ「岐路に立つ日本のかじ取りを担う重責をいま一度自覚し、緊張感を持ちつつ、謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めていかなければならない」としています。

その上で、政治への信頼回復に向けて党から支給される「政策活動費」の透明性の確保や政治資金をチェックする第三者機関の設置など不断の政治改革に取り組むとしています。

また、低所得世帯や年金生活者などへの支援といった物価高対策に万全を期すほか、能登半島地震などの災害からの復旧・復興に全力で取り組むとしています。

さらに、少子高齢化など地方が抱える課題を克服して地方創生を加速させることや、防衛力の抜本的な強化を進めることなどを盛り込んでいます。

一方、憲法改正については、国民的議論を深め世論の合意形成を目指すとしています。

閣僚の顔ぶれも固まる

新執行部の発足に続き、石破氏は10月1日に召集される臨時国会冒頭の総理大臣指名選挙で第102代の総理大臣に選出されたあと、ただちに組閣に臨むことにしていて、閣僚の顔ぶれもすでに固まっています。

衆院選10月27日投開票へ

一方、石破氏は、衆議院選挙について野党側との論戦を経て10月9日に衆議院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で行うことを軸に最終調整を進めていて、近く考えを明らかにすることにしています。

石破総裁「勇気と真心もって真実語る」

自民党の石破総裁は臨時の総務会で「総裁として国民を信じ勇気と真心をもって真実を語り、日本をもう一度、皆が笑顔で暮らせる安心・安全な国にしていくために、全身全霊を尽くしていく所存だ」と述べました。

自民党の石破総裁は記者会見で衆議院選挙を10月27日に行う方針を表明しました。

【一覧】石破総裁 自民党新執行部が発足 閣僚顔ぶれも固まる
自民党の石破総裁は30日、党本部で党4役などの役員人事を行ったあと記者会見に臨みました。

この中で、石破氏は「あす国会の首班指名で総理大臣に選出されれば、直ちに組閣を行い、政権を発足させたいと考えている」と述べました。

その上で「新政権はできるかぎり早期に国民の審判を受けることが重要であると考えており、諸条件が整えば、10月27日に解散・総選挙を行いたいと考えている」と述べ、衆議院選挙を10月27日に行う方針を表明しました。

その上で、総理大臣に就任する前に衆議院選挙の時期に言及したことについて「いま総理大臣でない者がこのようなことを行うのはかなり異例なことだと承知しているが不適切だとは考えていない。選挙管理委員会など選挙準備の観点から申し上げた以外に理由はない」と説明しました。

そして記者団が「野党が予算委員会での質疑を求めているが」と質問したのに対し「衆参両院で所信表明演説のあとそれに伴う質疑はきちんと行う。そのほか予算委員会、あるいは党首討論の開催については国会の判断があるのでそれに従いたい。いずれにしても国民に判断してもらう材料をきちんと整えるような努力は続けたい」と述べました。

また森山幹事長は「27日の投開票のためには15日の公示になる」と述べました。

衆議院の解散・総選挙をめぐって立憲民主党は新政権の考え方などを予算委員会でただす必要があるとして臨時国会で十分な審議日程を確保するよう求めています。

森山幹事長「党内融和に十分配慮 野党協議もしっかり」
森山幹事長は「党内の融和に十分配慮し、野党との協議もしっかりやり、わが国の政治に間違いがないよう期していきたい。自民党が誇れることはいったん決まったらみんなで実現していこうというところだ。総裁選挙で互いに戦ったが、その結論には、みんなが真摯に謙虚に向かっていくことが大事だ」と述べました。

また、次の衆議院選挙で収支報告書に不記載があった議員を公認するかどうかについて「党の選挙対策委員会の中で議論して決めていくことになる。いろいろ歴史的なことも検証しながら、国民の皆さんの信頼に値する公認候補の決定を考えていかなければならない」と述べました。

鈴木総務会長「伝統守り総務会をしっかり運営」
鈴木総務会長は「自民党は幅広い政党であり、法案によってはまさにかんかんがくがくの議論が戦わされる。どんな激しい議論があったとしても、いったん決まれば所属国会議員が全員それに従うというよき伝統が自民党にはある。その伝統を守っていくためにも総務会をしっかり運営していきたい」と述べました。

小野寺政調会長「速やかに公約の取りまとめに入りたい」
小野寺政務調査会長は「石破総裁からは日本の未来を守り抜く政策を党の政策としてしっかり仕上げ、総選挙に間に合うようすばらしい公約をつくってほしいと指示を受けた。速やかに公約の取りまとめに入りたい」と述べました。

また、石破総裁が総裁選挙で訴えたアジア地域の新たな多国間安全保障体制の構築や日米地位協定の改定をどのように検討するか問われ「侵略を防ぐような安全保障環境を築くためにも大きな枠組みをつくっていくことは大切であり 総裁の指示があれば議論していきたい。日米地位協定を改定すべきという声があることも事実で議論を進めたい」と述べました。

小泉選対委員長 選挙での公認「党執行部で厳正に判断」
小泉選挙対策委員長は「選挙対策委員長の大事な仕事は1人でも多くの仲間を当選させることだ。目の前に迫っている衆議院選挙に向けて準備や対応に専念したい。来年に選挙を控えた参議院議員や地方組織ともしっかり連携し取り組んでいく」と述べました。

一方、収支報告書に不記載のあった議員の選挙での公認に関する考えを問われたのに対し「自民党を支えてくれている地方組織や党員たちの思いをしっかり踏まえ、総裁をはじめとした党執行部で最終的には厳正に判断したい」と述べました。

立民 野田代表「論戦から逃げ いきなり張り手できた」

立憲民主党の野田代表は、30日午後、連合の本部を訪れて芳野会長らと会談し、衆議院選挙に向けた支援を要請しました。

このあと記者団に対し「自民党の石破総裁は、まだ総理大臣指名選挙を経ていないのに、衆議院選挙に言及し、国会軽視ではないか。まさか論戦から逃げるとは思わず、せめて『がっぷり四つを』と思っていたが、いきなり張り手できた。これまで石破氏自身が『ご祝儀相場があるうちに』とか『野党の準備が整っていない時に』という衆議院の解散を否定してきたのだから、もっと筋を通して欲しい」と述べました。

その上で「党首討論はやった方がいいと思うが、総理大臣だけでなく閣僚の政治姿勢も聞かないと国民の判断材料が整わず、予算委員会は必ずやらなければならない。能登地方の支援のための補正予算をつくる責任を果たさないといけないし『政治とカネ』の議論を一定程度やってから信を問うべきだ」と述べました。

維新 藤田幹事長「今までの政治姿勢とたがう」

日本維新の会の藤田幹事長は、記者会見で「石破総裁は、総裁選挙で『予算委員会などで政策議論をして、国民に判断材料を提示する』という趣旨の発言を行っていた。選挙戦術的なことを優先するのは、今までの政治姿勢とたがうのではないか」と指摘しました。

そのうえで、衆議院選挙に向けたほかの野党との選挙協力について「『自民党の裏金議員の選挙区は野党で候補者を一本化した方がいい』という意見は拝聴に値するが、かなり難易度が高い。正々堂々とそれぞれの政策を訴え、与党の過半数割れを目指すことに尽きる」と述べました。

公明 石井代表「次の選挙でしっかり連立政権維持を」

新たな政権合意に署名したあと公明党の石井代表は記者団に対し「両党の顔ぶれが変わりお互いに新鮮な立場で新しい連立の歴史を築けるのではないか」と述べました。

また、自民党の石破総裁が衆議院選挙を10月27日に行う方針を表明したことについて「解散は総理大臣の専権事項なので、意向をしっかり受け止めて準備したい。次の選挙でしっかり連立政権を維持できるよう頑張ろうとお互いに話をした」と述べました。

共産 田村委員長「わが党との論戦が怖いのか」

共産党の田村委員長は、党本部で記者団に対し「石破総裁自身が『きちんとした議論が必要だ』と述べていたはずで、手のひら返しだ。自民党が追い詰められている姿を示している。『裏金』や疑惑を隠して逃げ切りを狙うやり方は非常に問題が大きく許せない。そんなにわが党との論戦が怖いのかと言いたい」と述べました。

国民 玉木代表「早くも赤信号がともった」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「石破さん自身が言っていたことと早速、そごが生じている。自民党を変えてくれるという期待の中で新総裁に選ばれたと思うが、自民党を変える前に自分自身が変わってしまっている。政治とカネの問題に終止符を打ち、国民の政治に対する深い不信感を払拭することができるのか、早くも赤信号がともった」と述べました。

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