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イスラエル軍レバノンイスラムシーア派民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師を殺害したことについて、スンニ派が支配層を形成するアラブ諸国の多くは沈黙を保っている。

イスラエルに反発する住民がいる一方で、政府がイスラエルと国交を正常化したり、ヒズボラを支援するイランと敵対するなど、分断が生じていることが背景だ。

ペルシャ湾岸諸国とアラブ連盟は2016年にヒズボラを「テロ組織」に指定したが、アラブ連盟は今年、指定を取り消している。

スンニ派が支配層を形成するサウジアラビアは29日遅くの声明で、レバノンの動向を「重大な懸念」をもって見守っていると表明。レバノンの主権と地域の安全を維持するよう求めたが、ナスララ師には言及しなかった。

同じくスンニ派が支配層を形成するカタールアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンはナスララ師の殺害について完全に沈黙を保っている。

UAEとバーレーンは20年にイスラエルとの国交を正常化。バーレーンは11年にシーア派住民による大規模な民主化蜂起を鎮圧した。

バーレーンのイラン寄りのテレビ局ルアルアは、ナスララ師を追悼する小規模なデモ行進が行われたと報道。バーレーン政府がデモ隊を「攻撃」し、一部のデモ参加者が拘束されたと伝えた。

バーレーンの反体制派サイト「バーレーン・ミラー」はナスララ師に哀悼の意を表したシーア派イスラム法学者が当局に拘束されたと報じている。ロイターはこうした報道の事実関係を確認できていない。

エジプト大統領府の声明によると、同国のシシ大統領はレバノンのミカティ首相と電話で会談し、レバノンの主権に対する侵害を認めないと述べたが、ナスララ師には言及しなかった。

エジプトはイランや代理勢力に批判的だったが、イランとは非公式な接触を続けている
シリアやイラクなどは3日間の喪に服すと宣言している。

ローマ教皇フランシスコは29日、イスラエルによるレバノン空爆イスラムシーア派民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師と非戦闘員が死亡した件について、軍事攻撃は「道徳の範囲を超えている」と批判した。

教皇はベルギーからローマに戻る機中、各国は軍事力を「度を越して」使用できないと言明。「戦争の中であっても、守るべき道徳はある」と述べた。

さらに「戦争は不道徳だが、ルールにより一定の道徳性が実現する」と指摘。「防衛は常に攻撃に比例していなければならない。不均衡が生じると、道徳を超える支配傾向が生まれる」と述べた。

教皇は暴力的な紛争の終結をしばしば求めながらも、通常は侵略者の特定と受け取れる言動には慎重な姿勢を取る。しかし、ここ数週間はイスラエルの軍事行動に言及し、先週にはレバノン空爆は「容認できない」と述べたほか、28日にはイスラエルパレスチナ自治区ガザ攻撃で子どもらが死亡した件を非難した。

昨年10月7日のイスラム組織ハマスによる未曾有(みぞう)の攻撃に精神的にも大きなダメージを受けたイスラエルは、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラを攻撃し指導者ナスララ師を殺害したことで、勝ち誇ったムードにある。

  29日付のイスラエル各紙は1面で「新たな中東」を宣言した。ネタニヤフ首相はナスララ師の死によって、「イランの悪の枢軸の主エンジン」を打破したと語った。悪の枢軸とはヒズボラのほか、パレスチナ自治区ガザのハマスやイエメンの親イラン武装組織フーシ派、シリアやイラクの新イラン武装勢力のネットワークを指す。

  端的に言えば、過去約1年間にわたり、複数の敵に包囲されて極めて不安定な状態にあると心配してきたイスラエル国民は、潮目の変化を告げられた形だ。イランによる直接的な報復の可能性があっても、喜びが打ち消されることはほとんどない。

  タカ派シンクタンク、ミスガブ国家安全保障・シオニスト戦略研究所の上級研究員、コビ・マイケル氏は「イスラエルはゲームのルールを変えた」とし、「ヒズボラがまひ状態になれば、枢軸全体がまひ状態に陥る。イランは脆弱(ぜいじゃく)となっている」と指摘した。

強硬貫くイスラエル、「レッドライン」意に介さず-イランの出方焦点

  これはレバノンの状況と対照的だ。同国南部はイスラエル軍による約1週間の空爆で徹底的に破壊され、何百人もが死亡して多大な数の人々が安全な場所を求めて避難した。ヒズボラは過去20年間にわたりレバノンの政治を支配してきており、その弱体化がどのような事態につながるかについて、現地の敵対勢力の間にも深い懸念がある。

  イスラエルはガザでも強気の姿勢を強めている。複数の同国当局者はハマスについて、司令官の大多数を殺害して24の大隊のうち23を破壊し、軍事的脅威として解体したと話している。

  多大な代償を払ったのはパレスチナ人だ。ハマスによれば、少なくとも4万1000人が死亡し、同地区の多くはがれきと化した。一方、戦闘停止の協議は行き詰まり、ハマスにとらえられた人質約100人が解放されずにいる。

  ヒズボラハマスによるイスラエル攻撃の翌日の昨年10月8日から同国への砲撃を始めた。多数の住民が避難を余儀なくされたイスラエル北部はゴーストタウンとなった。米国はハマスヒズボラをいずれもテロ組織と見なしている。

  イスラエルは9月半ばになってヒズボラ攻撃を本格化させ、指導部を標的に2006年以来最も激しい戦闘を繰り広げている。

  イランはこれまでのところ、イスラエルに対する報復を急ぐ様子はほとんどない。ペゼシュキアン大統領は直接的な攻撃を直ちに行う方針を示すには至らず、国際デビューとなった先週の国連総会演説も抑制気味だった。

  ネタニヤフ首相の右翼政権に懐疑的なリベラル派のイスラエル人は一連の攻撃を歓迎しつつも、機会を捉えて和平交渉を推進する必要があると主張している。これに対し、さらなる武力攻撃だけが結果をもたらすとの声もあり、その場合、レバノンへの地上侵攻が選択肢の一つとなると考えられる。

  レバノンのミカティ首相は、イスラエル軍による空爆開始以降、1週間余りで少なくとも11万人が避難したとした上で、避難民は数日中に100万人に達する恐れがあるとの見方を示した。

  ナスララ師殺害を受けて不穏なムードも高まっている。レバノン国民の多くは、08年や21年にあったようなヒズボラの支持者と他の勢力との衝突が新たに生じる可能性を憂慮している。

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原題:Israel Sees a Paralyzed Hezbollah as Lebanon Fears What’s Next(抜粋)

親イラン民兵組織ヒズボラは、戦闘員らが所持する通信機器の一斉爆発からわずか1週間後に、指導者ナスララ師をイスラエルによる空爆で殺害された。同師の居場所は厳重に隠されてきただけに、今回の攻撃により、敵対勢力による組織への浸透が深いレベルに及んでいることが浮き彫りになっている。ヒズボラはこれまで指揮官の素早い交代で組織的な危機を乗りこえてきたが、最近はイスラエルの猛攻による消耗が激しく、弱体化が進んでいる。

ロイターはナスララ師殺害の数日前から数時間後にかけてレバノンイスラエル、イラン、シリアの10人を超える情報源を取材した。イスラエルの攻撃によりヒズボラが受けた損害、とりわけ補給線や指揮系統への打撃について具体的な情報を入手した。特別な配慮が必要な問題だとして、全情報源が匿名を条件に取材に応じた。

イスラエルの動向に詳しいある情報源は今回の攻撃前24時間以内の取材で、イスラエルは20年間にわたってヒズボラ情報の収集に力を入れており、ナスララ師をいつでも攻撃できると述べた。詳細には触れなかったが、イスラエルの情報活動は「卓越している」と胸を張った。

イスラエル当局者2人は、イスラエルのネタニヤフ首相と側近の閣僚がヒズボラ司令部に対する攻撃を承認したのは25日だったと明らかにした。

ナスララ師は2006年に起きた前回の大規模な戦闘以降、公の場にほとんど姿を現していなかった。同師の警備体制に詳しい関係者によると、常に警戒を怠らず、動静が外部に漏れないよう厳しい制限が敷かれ、面談する人物の範囲も非常に限られていた。この関係者は、ナスララ師暗殺はイスラエル内通者が潜入していたことを示していると述べた。

9月17日の通信機器一斉爆発以来、ナスララ師は一層慎重になり、イスラエルによる暗殺を懸念していたと、ヒズボラの内部事情に詳しい治安関係者が1週間前にロイターに語っていた。指揮官の葬儀を欠席し、数日前に放送された演説も事前に録音されたものだったという。

スウェーデン防大学のマグナス・ランストープ氏は今回の攻撃について「ヒズボラにとって大きな打撃で、情報活動の失敗を示している。ナスララ師が他の指揮官と会議に入っているという情報がもれ、一気に襲撃された」と指摘した。

イスラエル軍によると、ナスララ師を含め今年ヒズボラの最高幹部9人中8人を殺害し、そのほとんどが過去1週間に実行された。この中には精鋭部隊「ラドワン部隊」の隊長も含まれる。

イスラエル軍のショシャニ報道官は28日の会見で、ナスララ師や他の指導者が集まっていることを「リアルタイム」で把握していたと述べたが、情報の入手方法には触れなかった。

また、イスラエルのハツェリム空軍基地の司令官であるレビン准将は「この作戦は入り組んでおり、練り上げるのに長い期間をかけている」と述べた。

<大損害>

ヒズボラは指揮官の差し替え素早く、ナスララ師の従兄弟のサフィエディン師が後継者と目されている。欧州の外交筋はヒズボラの指揮体制の特徴について「1人が殺害されても次の指導者が現れる」と述べた。

米国とイスラエルの推定によると、ヒズボラは最近の事態緊迫化前の時点で戦闘員が約4万人に上っていた。豊富な武器備蓄を持ち、イスラエル国境付近に広大なトンネル網も築いている。1982年にレバノンで設立されたシーア派民兵組織であり、イランが支援する反イスラエル勢力の中で最強とされる。

イランから数年にわたり支援を受け、米国の推定によれば計15万のロケット弾、ミサイル、ドローンを保有イスラエルの推計によると、保有武器の規模は2006年の10倍に達している。

しかしこの10日間で物的にも心理的にも弱体化が進んでいる。

イスラエルの最近の攻勢によるヒズボラの武器備蓄の被害状況について具体的な推計はほとんどない。中東のある西側外交筋は今月27日のイスラエルによる攻撃前に、ヒズボラは最近ミサイル能力の20-25%を失ったと述べたが、推計の基になる資料等は示さなかった。

イスラエルの治安当局者は、ヒズボラのミサイル備蓄の「かなりの部分」が破壊されたと述べたが、具体的な内容には触れなかった。

<イランの関与>

ナスララ師への攻撃前にイランの情報筋3人がロイターに対し、イランがヒズボラにミサイルを追加で送る計画を立てていると明らかにしていた。

初出のイラン情報筋は、提供される予定の武器にはイランの短距離ミサイル「ゼルザル」の他に中距離弾道ミサイル、精度を高めた改良型「ファテフ110」が含まれていることを明らかにしていた。

ナスララ師の暗殺後、これらの情報源には接触できていない。

イランの2人の情報筋は、イランはヒズボラに軍事支援を提供する方針ではあるものの、ヒズボライスラエルの対立に直接関与することには消極的だと述べた。

シリアの軍情報機関の幹部によると、ヒズボラは先週のイスラエルによる攻撃で破壊されたミサイルやドローン、ミサイル部品の補充が必要となっている可能性がある。

これまでイランからの物資は空路や海路でヒズボラに届いていた。しかしレバノン運輸省の関係者によると、イスラエルベイルート空港の航空管制に対し、イラン機が着陸した場合には武力を行使すると警告したため、同省は28日、イラン機にレバノンの空域に入らないよう通知した。このイラン機の積み荷は不明だという。

イランの治安当局者はミサイルや部品、ドローンを輸送する最も良いルートはイラクとシリアを経由する陸路であり、両国の同盟勢力の支援もあると語っていた。

しかし、シリア軍関係者によると、イスラエルのドローンによる監視やトラックを狙った攻撃のため、このルートは危険になっている。ロイターは6月、イスラエルヒズボラの弱体化を狙い、今年に入ってシリアでの武器庫や補給路への攻撃を強化していると報じていた。

イスラエルの特殊部隊は最近を含む過去数カ月にわたり、レバノン南部で標的を絞った小規模な奇襲作戦を展開していたと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい関係者の話として報じた。

  この報道によると、特殊部隊は地上侵攻の可能性を前にして情報を収集し、探査活動を行った。地上侵攻は今週にも開始される可能性がある。

  国境沿いに位置するヒズボラのトンネルにも奇襲が仕掛けられたという。

  地上侵攻が行われるとしても、その時期は変わる可能性もある。

原題:Israel Has Conducted ‘Small’ Raids in Lebanon for Months: WSJ(抜粋)

イスラエルは長年、親イラン民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師を殺害する機会をうかがってきた。そして27日、レバノンの首都ベイルートへの空爆でそれを実行に移した。

イスラエルヒズボラ指導者ナスララ師を空爆で殺害-対立激化

  非公開情報であることを理由に匿名で語ったイスラエル高官によれば、同国情報機関は最近、ナスララ師が拠点を移す計画であることを知った。そうなれば、攻撃の機会は閉ざされることになりかねない。ネタニヤフ首相は27日、滞在するニューヨークのホテルの部屋から攻撃命令を下した。国連総会の一般討論演説でレバノンでの即時交戦停止案を拒否する数時間前のことだった。

  交戦停止案を主導していた米国政府がイスラエルから通知を受けたのも攻撃の直前だった。ナスララ師を殺害した今回の空爆の前にイスラエルは、レバノン各地でポケベルなどの通信機器を一斉に爆発させたほか、激しい空爆を実施。イランの代理勢力の筆頭格であるヒズボラは弱体化し、指導者も失った。  

  国連総会では世界の指導者が、中東での全面戦争のリスクを回避するよう訴えてきた。しかしイスラエルは、イランとヒズボラが長らく「レッドライン」としていた一線を越えた攻撃に踏み切っており、国際社会の呼び掛けとは正反対のことを行っているようだ。

  一方でイランの最高指導者ハメネイ師の当初の反応を見る限り、イラン側に事態のエスカレートを焦っている様子はない。イランのペゼシュキアン大統領も、イスラエルに対する直接かつ即時の攻撃を言明するには至っていない。24日の国連総会での演説も、イスラエルによる軍事行動を非難しつつ、その口調は比較的抑えたトーンだった。

イラン大統領、核合意再建と制裁解除を呼び掛け-イスラエルには警告

  米政府の内情に詳しい関係者によると、イランが事態を急速に深刻化させる方向に突き進む公算は小さいと米国は判断している。その背景には、4月にイランがイスラエルに対して行ったミサイルや無人機での攻撃では思うような効果があげられず、今や貴重な戦力であるヒズボラが弱体化したことがあるという。センシティブな内容だとして匿名を条件に話した同関係者は、力を削がれたヒズボラもイランも選択肢は非常に限られていると語った。

  ネタニヤフ首相は28日のテレビ演説で「ナスララ師の殺害はイスラエル北部の住民を無事に帰還させるという目標達成の必要条件だ」と主張。その上で「今後数日中にわれわれは重大な試練に直面するだろう」と述べ、国民に報復への警戒を呼び掛けた。

  匿名を条件に語ったイスラエル政府関係者2人が語ったところによると、ヒズボラはまだ強力な軍事力と多数のミサイルを有しているものの、指導者が不在となって危機に陥っている。それでもイスラエル軍は報復攻撃に備えた態勢を整えており、レバノンでの地上作戦の可能性にも備えている。

  米政府の考えに詳しい関係者は、指導者を失ったヒズボラがどのような反応を示すか予想するのは難しいが、報復を狙っているのは明らかだと指摘。今回のイスラエルの攻撃によって米国が働き掛けている交戦停止案の取り組みは複雑化したとし、全面戦争に向かう誤算のリスクは高まっていると述べた。

原題:Netanyahu Ratchets Up Challenge to Iran With Nasrallah Killing(抜粋)

イスラエルは29日、イエメンのホデイダ港などフーシ派の拠点を空爆したと発表した。レバノンではヒズボラに対する攻撃を強化し、27日に指導者ナスララ師を殺害しており、中東地域の親イラン武装組織との対立が拡大している。

イスラエルは、過去数日のイスラエルに対するフーシ派のミサイル攻撃を受けた対応と説明した。

フーシ派が運営する保健省によると、少なくとも4人が死亡、29人が負傷した。

イスラエルはまた、レバノンへの攻撃を継続すると表明した。イスラエル軍のハレビ参謀総長は「ヒズボラは指導者を失っており、われわれは同組織を激しく攻撃し続ける必要がある」と語った。

レバノン保健省によると、29日のイスラエル軍空爆により、南部アイン・デレブで32人、東部バールベック・ヘルメルで21人が死亡。過去2日間の空爆では14人の医療関係者が死亡した。

バイデン米大統領は、中東での全面戦争を回避できるかと問われ、「回避しなければならない」と答えた。イスラエルのネタニヤフ首相と協議すると述べたが、詳細には言及しなかった。

米上院軍事小委員会の委員長を務めるマーク・ケリー議員は、イスラエルがナスララ師殺害に使用した爆弾は米国製の誘導兵器だと述べた。

イスラエルの軍事行動>

イスラエル軍は29日、レバノンの発射装置や武器庫を含む数十の標的を攻撃したと発表した。また、レバノン方面から飛来した砲弾8発と紅海から飛来した1発を迎撃したという。

イエメンでは、戦闘機を含む数十機のイスラエル軍機が発電所やラス・イッサ港、ホデイダ港を攻撃したとし、フーシ派が「イランの指示と資金提供の下」でイラク民兵と協力して活動していると非難した。

イスラエルのガラント国防相は「われわれのメッセージは明確だ。イスラエルにとって遠すぎる場所はない」と述べた。

レバノン保健省は、過去2週間で1000人以上のレバノン人が死亡し、6000人が負傷したと発表した。このうち何人が民間人なのかは明らかにしなかった。

イスラエル軍が、隣国レバノンイスラムシーア派組織ヒズボラに対する地上作戦の可能性に言及し緊張が高まる中、双方の間では攻撃の応酬が続いています。こうした中イスラエル軍は、イエメンの反政府勢力フーシ派にも空爆を行い、紛争の拡大が懸念されています。

イスラエル軍は29日、レバノンの首都ベイルート郊外のほか、レバノン南部では武器庫などヒズボラの拠点およそ45か所に空爆を行ったと発表しました。

一方レバノンからは、およそ20発のロケット弾がイスラエル北部に発射され、ほとんどを迎撃したなどと発表しました。

イスラエル側がレバノンでの地上作戦の可能性に言及する中、攻撃の応酬が続き緊張が高まっています。

イスラエル軍は29日、ヒズボラの本部で最高指導者ナスララ師を殺害した27日の空爆について新たな発表を行い「この攻撃で20人以上のテロリストも殺害した」としたほか、ヒズボラの本部は複数の民間の建物の地下にあり、近くには国連の学校もあったとしています。

ロイター通信などは、この攻撃の現場からナスララ師の遺体が見つかったと29日伝えています。

こうした中イスラエル軍は29日、イエメンの反政府勢力フーシ派が使う港や発電所などを空爆したと発表しました。

イランが支援するフーシ派は前日の28日「ガザ地区レバノンの防衛のため」などとして、弾道ミサイル1発をイスラエル最大の商業都市テルアビブの空港に向けて発射し、イスラエル軍はこれをイスラエル領外で迎撃したとしていて、紛争の拡大が懸念されています。

米バイデン大統領 全面戦争「避けなければならない」

イスラエルヒズボラの緊張が高まるなか、アメリカのバイデン大統領は、全面戦争は「避けなければならない」という考えを強調しました。

イスラエルレバノンへの地上作戦の可能性に言及し、緊張が高まるなか、アメリカのバイデン大統領は29日、東部デラウェア州にある空軍基地で、記者団から「全面戦争は避けられるのか」と問われたのに対し「それは本当に避けなければならない」と述べました。そして、イスラエルのネタニヤフ首相と近く協議する考えを示しました。

また、ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は29日に出演したABCテレビの番組のなかで、ヒズボラの状況について「指揮系統はほとんど壊滅状態にある。過去数日のあいだにイスラエルによって数千のミサイルと無人機を破壊されており、いま現在のヒズボラはつい1週間前のヒズボラとは異なることは疑いようがない」と述べました。

そのうえで「ヒズボラはテロ組織であり、イスラエルは国民と国土、主権に対する脅威を取り除く権利と責任を有する。同時に、全面戦争に発展することを防ぐために緊張を緩和する方法を見つける必要がある」と述べ、外交による事態打開を模索していくべきだという考えを改めて強調しました。

ハウスのカービー大統領補佐官は29日、イスラエルは、レバノンイスラムシーア派民兵組織ヒズボラやイランとの全面戦争によってレバノン北部の人々を安全に家に帰らせることはできないと述べた。

イスラエルは29日、レバノンへの攻撃を続けヒズボラへの圧力を強めた。イスラエルは、北部地域をヒズボラのロケット弾攻撃から守り、何千人もの避難民が帰れるようにすることを目的としている。

カービー氏はCNNに対して「ヒズボラとの全面戦争、イランとの全面戦争は、そのための手段ではない。住民を安全かつ持続的に帰還させたいのであれば、外交的な道こそが正しい道だと信じている」と述べた。その上でイスラエルの安全保障に対するアメリカの支持は揺るぎないものだと付け加えた。

オースティン米国防長官はイランと同国が支援する武装組織に対し、中東の米国人を攻撃しないよう警告した。一方、ホワイトハウスイスラエルに対し、中東全体に及ぶ戦争の引き金を引かないようあらためて呼び掛けた。

  イスラエルは27日、レバノンの首都ベイルートへの空爆で親イラン民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師を殺害。2日後の29日、米国防総省は声明で中東に展開する米空海軍について詳しく説明し、防空支援を増強すると表明した。

  イスラエルベイルートへの攻撃と、イランが支援する武装組織で最も強力とされるヒズボラに大きな打撃を与えたことで同地域のリスクはさらに高まった。米国はイスラエルレバノン侵攻を一段と懸念している。

  イスラエルのネタニヤフ首相は28日、ヒズボラを攻撃する目標の一つは北部の住民の帰還を可能にすることだと説明した。

  米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は29日のCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、イスラエルは「北部の家やキブツに家族を戻そうとしている」と発言。「われわれもそれを望んでいる。ただそれを実現する方法はヒズボラ、そしてイランとの全面戦争ではないとわれわれは信じているし、今後も信じ続ける」と語った。

原題:US Defense Chief Warns Iran Against Targeting Americans (1)(抜粋)

米軍は29日、中東における航空支援能力と、同地域への派兵準備態勢を強化すると発表した。

イスラエル軍は28日、レバノンの親イラン派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師を殺害したと発表。イランが報復に出るのではないかという懸念が強まっている。 もっと見る

国防総省のライダー報道官は「米国はイランとイランに支援されたパートナー・代理勢力がこの状況に乗じたり、紛争を拡大したりするのを阻止する決意だ」と表明。また、「この地域の米国の要員や利益が標的になるようなことがあれば必要なあらゆる手段を取る」と警告した。

声明は「数日以内に防衛的な航空支援能力をさらに強化する」とのみ説明しており、具体的な規模などについては触れていない。

同省は、米軍は必要なら増派できる準備を整えているとしている。

#第三次世界大戦イスラエル
#核戦争(イスラエル

#パレスチナガザ地区ハマス大規模攻撃「アルアクサの洪水」・355日目②)

イスラエル軍は30日、レバノンの首都ベイルート市内を初めて攻撃した。ロイター記者は、市南西部の集合住宅の上階が攻撃された際に爆発音が鳴り、煙が上がるのを確認した。

ロイター記者によると、レバノンの首都コラ地区の集合住宅の上階が攻撃されたという。
治安当局筋はロイターに対し、少なくとも2人が死亡したと語った。イスラエル軍は現時点でコメントを出していない。

イスラエルは主にイスラムシーア派民兵組織ヒズボラが活動の大半を行っているレバノン南部とベイルートの南部郊外を攻撃している。

この日の攻撃はベイルート市内への初の攻撃とみられる。近隣住民によると、イスラエルの爆撃から避難してきたレバノン南部に住むシリア人は近くの橋の下で何日も寝泊まりしていたという。

レバノン保健省によると、過去2週間で1000人以上のレバノン人が死亡し、6000人が負傷した。民間人犠牲者の具体的な数は明らかになっていない。政府によると、人口の5分の1に相当する100万人が家を追われている。

イスラエルと隣国レバノンイスラムシーア派組織ヒズボラの間の攻撃の応酬が続く中、イスラエル軍は30日、レバノンの首都ベイルートの市街地に空爆を行い、ロイター通信によりますと少なくとも3人が死亡しました。イスラエル軍による一連の攻撃でベイルートの市街地に向けて空爆が行われたのは初めてだとみられるということです。

ロイター通信によりますと、イスラエル軍は30日未明、レバノンの首都ベイルートの市街地に空爆を行い、現地にあるアパートなどが被害を受けました。

また、この空爆パレスチナ武装グループの幹部3人が死亡したと伝えています。

AP通信が配信した現地の映像では、空爆を受けた建物の近くに救急車や消防車がかけつけ、多くの住民たちが集まっている様子がわかります。

イスラエル軍は、これまでヒズボラの拠点が多くあるレバノン南部や、首都ベイルートの南の郊外を中心に攻撃を行ってきましたが、ベイルートの市街地に向けて空爆が行われたのは初めてだとみられるということです。

イスラエル軍は、29日、イエメンの反政府勢力フーシ派が使う港や発電所などを空爆したとも発表していて、紛争の拡大が懸念されています。

官房長官 「最大限の自制を 退避含め邦人保護に万全期す」

官房長官は、午前の記者会見で「イスラエルヒズボラとの間の緊張の高まりを強く懸念し、多数の民間人の死傷者が発生していることを深く憂慮している。わが国は、すべての当事者にさらなるエスカレーションを回避するよう、最大限の自制を強く求めている」と述べました。

また、邦人保護に関し「現時点で在留邦人に被害がないことを確認している。各種の調整がつきしだい、航空自衛隊の輸送機をはじめとする自衛隊の部隊をヨルダンおよびギリシャに向けて出発させる予定で、引き続き邦人待避を含め、いかなる事態にも対応できるよう万全を期していく」と述べました。

イスラエル軍が、隣国レバノンイスラムシーア派組織ヒズボラに対する地上作戦の可能性に言及し、緊張が高まる中、イスラエル軍は一連の攻撃では初めて、レバノンの首都ベイルートの市街地を空爆したと伝えられています。
アメリカのバイデン大統領は、全面戦争は「避けなければならない」として、イスラエルのネタニヤフ首相と近く協議する考えを示しました。

イスラエル軍レバノン東部のヒズボラの拠点を空爆したほか、レバノン側から発射された無人機1機を撃墜したと30日、発表し、27日の空爆ヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害したあとも双方の攻撃の応酬が続いています。

一連の攻撃について、レバノン保健省は過去2週間ほどでレバノンでは子どもや女性を含む1000人以上が亡くなったとしています。

欧米の複数のメディアによりますと、30日未明にはレバノンの首都ベイルートの市街地に空爆があり、アパートなどが被害を受けたということです。

現場は交通の要衝で商店などが多く集まる場所だと伝えられていて、イスラエルによる一連の攻撃でベイルートの市街地に向けて空爆が行われたのは初めてとみられます。

イスラエル軍はこれまでのところこの空爆について言及していませんが、パレスチナ武装グループは幹部3人が殺害されたと発表しました。

こうした中、アメリカのバイデン大統領は29日、記者団から「全面戦争は避けられるのか」と問われたのに対し「それは本当に避けなければならない」と述べました。

そして、イスラエルのネタニヤフ首相と近く協議する考えを示しました。

イスラエル軍が、ヒズボラに対する地上作戦の可能性に言及し、紛争の拡大が懸念される中、外交による事態の打開を図れるかが焦点です。

フランシスコ教皇「過剰なやり方は不道徳な行為」

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は29日、訪問先からバチカンに戻る機内で記者会見しました。

この中で、イスラエルによるレバノンガザ地区への攻撃で多くの犠牲者が出ていることについて見解を問われると「防衛とは、受けた攻撃に対して、常に比例していなければならず、その釣り合いを失えば道徳を逸脱していく。どの国であってもそのような過剰なやり方は、不道徳な行為だ」と述べ、批判しました。

そのうえで「戦争であっても、守らなければならない道徳がある」と述べ、当事者に自制を求めました。

レバノンイスラムシーア派組織ヒズボラのナンバー2、ナイム・カセム氏は、イスラエルが地上侵攻に踏み切った場合、対抗する準備ができているとし、イスラエルは目標を達成できないだろうと述べた。

指導者のナスララ師が28日のイスラエル空爆で死亡して以来、初めての演説でカセム氏は「われわれはいかなる可能性にも立ち向かうつもりだ。イスラエル軍が地上侵攻を決断した場合も、戦う準備ができている」と述べた。

イスラエルが連日、レバノン南部を中心に激しい攻撃を繰り広げる中、ヒズボラ以外の反イスラエル勢力の要人が殺害されている。

イスラム組織ハマスは30日、レバノンにおける指導者アミン氏がイスラエル軍空爆で死亡したと発表した。レバノン南部ティールのパレスチナ人難民キャンプにある住居を狙った攻撃で妻や子どもとともに死亡したという。

イスラエルヒズボラが主に活動するレバノン南部とベイルートの南部郊外を攻撃してきたが、30日は首都ベイルートのコラ地区を攻撃。パレスチナ解放人民戦線(PFLP)は、この攻撃で指導者3人が死亡したと明らかにした。

イスラエルは29日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派のミサイル攻撃への報復として、イエメンのホデイダ港などフーシ派拠点を空爆したと発表した。イエメン当局によると、ホデイダ港では少なくとも4人死亡し、29人が負傷した。

イラン外務省のキャンアニ報道官は30日、ナスララ師らが殺害されたことについて、イスラエルの「犯罪行為」をうやむやにすることはないと述べた。

イラン外務省のキャンアニ報道官は30日、レバノンで親イラン派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師らが殺害されたことについて、イスラエルの「犯罪行為」をうやむやにすることはないと述べた。

27日のイスラエルによるレバノンの首都ベイルート攻撃では、イラン革命防衛隊のアッバス・ニルフォロウシャン副司令官(准将)も殺害された。

キャンアニ氏は記者会見で「(敵が)後悔するようなやり方でわれわれは行動する」と表明。戦争を望んでいるわけではないが、恐れてもいないと述べた。

イスラエルベイルート攻撃についてはレバノン当局と緊密に連絡を取っているとした。

#パレスチナガザ地区ハマス大規模攻撃「アルアクサの洪水」・356日目①)