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大手格付け会社の「ムーディーズ・レーティングス」は、財政赤字の拡大などを理由にアメリカ政府に対する格付けを、最上位から1段階引き下げたと発表しました。事実上、国債の格下げを意味し、現地のメディアはアメリカは大手格付け会社のなかで唯一残っていた最上位の格付けを、奪われることになると伝えています。

目次

格付け引き下げ根拠 「財政悪化への懸念」具体的に示す
16日 NY債券市場 米国債売りの動き広がる
市場の受け止めは
米財政 支出削減目指すも及ばず 赤字は増加の試算
米国債 最上位格付けを大手3社からすべて失うことに
これは「ムーディーズ・レーティングス」が16日発表したものです。

それによりますとアメリカ政府に対する格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げたとしています。これは事実上、国債の格下げを意味します。

理由について会社は、アメリカの歴代の政権と連邦議会が毎年多額の財政赤字を計上し、利払い費が増大するという傾向を転換する方策で合意できなかったと指摘したうえで、今後、歳出の増加に伴って財政赤字の拡大が見込まれるとしています。

そして会社は「アメリカ経済と財政の力強さは認識しているが、もはや財政指標の悪化を完全に相殺できるものではないと考えている」と指摘しています。

ムーディーズはおととし11月、アメリカ政府に対する格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げていました。

アメリカ国債の格付けをめぐっては、かつての「スタンダード・アンド・プアーズ」、現在の「S&Pグローバル・レーティング」が2011年8月に最も信頼度が高い格付けから1段階引き下げ、「フィッチ・レーティングス」も2023年8月に最も信頼度が高い格付けから引き下げました。

有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、ムーディーズの判断によってアメリカは大手格付け会社のあいだで唯一残っていた最上位の格付けを、奪われることになると伝えています。
格付け引き下げ根拠 「財政悪化への懸念」具体的に示す
ムーディーズ・レーティングス」は、アメリカ政府に対する格付けを引き下げた根拠として、財政悪化への懸念を具体的に示しています。

それによりますと、10年以上にわたって連邦政府の支出が拡大し、減税によって歳入が減少した結果、財政赤字が増えたとしています。

さらに金利が上昇したことで、利払いの負担が増加したと指摘しています。

格付け会社は、GDP国内総生産に占める連邦政府財政赤字の割合が2024年の6.4%から2035年にはおよそ9%にまで高まると分析しています。

アメリカ国債への需要は高いものの、2021年以降の金利の上昇が債務返済能力の低下につながっているとも指摘しています。

一方で、この格付け会社では長期的な見通しについては「安定的」としています。

その理由について、経済規模の大きさや高い平均所得、成長を支えるイノベーションの実績などがあるとした上で、関税の引き上げで短期的には経済成長率は鈍化する可能性が高いものの、長期的な成長は大きな影響を受けないと予想しているとしています。
16日 NY債券市場 米国債売りの動き広がる
今回の発表を受けて、16日のニューヨーク債券市場ではアメリカ国債を売る動きが広がりました。

国債が売られて価格が下がると長期金利は上昇する関係にあり、長期金利の代表的な指標となっている10年ものの国債の利回りは、一時4.49%まで上昇しました。

市場関係者は「金曜の夕方ということもあり参加している投資家が少ない中で金利は大きく上昇した。週明けの債券市場の動向が注目される」と話しています。
市場の受け止めは
市場の受け止めなどについて、アメリカ総局・新井俊毅記者の報告です。

Q なぜこのタイミングだったのか?
ニューヨークの金融市場では、このタイミングでの発表は驚きをもって受け止められていました。

というのは、トランプ政権が掲げる減税策について、議会での調整が進められる中での発表だったからです。

ホワイトハウスの副報道官が「格付け会社はバイデン前政権の4年間でなぜ沈黙していたのかと批判した」と有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは報じていて、この格下げはトランプ政権からの反発も予想されます。


Q 今後どうなる?
今回の格付けの引き下げによって、トランプ政権の主要政策の1つである減税策に大きなプレッシャーがかかることになります。

関税政策に伴うインフレ懸念で支持率が低下傾向にあるトランプ大統領にとって、国民受けする減税策を実現するのに手間取ることになれば大きな痛手となる可能性もあります。

また、財政悪化への懸念から市場が恐れていた「アメリカ売り」が起きても、おかしくない局面にあります。

土日をはさんで最初に開く主要な市場となる東京市場での反応について、投資家は緊張感を持って見守ることになりそうです。

米財政 支出削減目指すも及ばず 赤字は増加の試算

アメリカ政府の借金にあたる公的債務の残高は、年々増え続けています。

最新のデータではおよそ36兆2000億ドル、日本円で5200兆円以上となっています。

この10年間でもおよそ50%増えていて、特に新型コロナの感染拡大をうけてバイデン前政権が実施した現金給付や失業保険の積み増しなど大規模な財政支出によって、債務が急激に膨らみました。

その後、新型コロナの感染拡大が落ち着いてからも半導体や気候変動対策など巨額の予算を盛り込んだ法律を相次いで成立させ、財政は悪化の一途をたどりました。

日本の財務省によりますとGDP国内総生産に占める債務残高の割合は、アメリカは2024年の推計値で123.3%。日本は254.6%と突出していますが、G7のなかではアメリカは日本、イタリアに次ぐ高い水準となっています。

トランプ政権は関税措置によって税収を増やすとともに、実業家のイーロン・マスク氏が事実上率いるDOGE=“政府効率化省”による政府支出の削減を目指しています。

しかし、現時点ではDOGEが削減したとしている額も、推計で1700億ドルにとどまり目標としていた1兆ドルには遠く及びません。

こうした中で、アメリカ議会下院の与党・共和党の指導部は、トランプ政権の1期目に実施された所得減税の恒久化や飲食店の従業員などが受けとるチップや、残業代への課税免除などを盛り込んだ法案を提出しました。

「大きく美しい法案」と名付けられたこの法案には、トランプ氏が去年の大統領選挙で掲げた減税策の多くが盛り込まれています。

法案では気候変動対策の事業廃止や縮小、低所得者向けの医療保険の厳格化など歳出削減策も盛り込まれていますが、ムーディーズ財政赤字の大幅な削減は実現できず、今後10年間で連邦政府の基礎的な財政収支の赤字額がおよそ4兆ドル増加するとの試算を示しています。

米国債 最上位格付けを大手3社からすべて失うことに
アメリカ国債は、アメリカ政府と基軸通貨であるドルに対する信頼を背景に、長く世界で最も安全な資産とされてきました。

さまざまな投資商品に組み込まれ、アメリカ国債の利回りは金融市場の重要な指標となっています。

このアメリカ国債の格付けをめぐっては、かつてのスタンダード・アンド・プアーズ、いまの「S&Pグローバル・レーティング」が2011年8月に初めて引き下げに踏み切りました。

最も信頼度が高い「AAA」から「AA+」に1段階引き下げ、今も上から2番目の「AA+」となっています。

さらに2023年8月には「フィッチ・レーティングス」も「AAA」から「AA+」に1段階引き下げました。

大手格付け会社のなかで「ムーディーズ」だけが事実上、アメリカ国債の格付けを最も信頼度が高い「Aaa」としてきました。

今回の決定で、アメリカ国債は最上位の格付けを大手3社からすべて失うことになります。

財務省が16日発表した3月の対米証券投資統計によると、海外勢の米国債保有額は9兆0500億ドルと、前月の8兆8100億ドルから約2330億ドル増加し、過去最高を記録した。

増加は3カ月連続。前年比では約12%増加した。

米連邦準備理事会(FRB)が今後数年間で職員数を約10%削減することが分かった。ブルームバーグ・ニュースが、パウエルFRB議長が職員に宛てたメモをもとに16日に報じた。主に自然減で達成を目指すとし、対象は本部および12の地区連銀を含むFRBの職員全体という。

パウエル議長は幹部に対し、必要に応じて機能統合を段階的に進め、一部の業務慣行を見直し、適正規模を確保して法定の使命を果たせるよう指示したという。「今後数年間で、FRB全体の人員規模は現在から約10%減少する見込みだ」とした。

#米経済(250517)

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