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【日銀金融緩和】日銀、圧勝受け豹変 新政権の注文丸のみ 低成長なら「副作用」も
「10兆円の追加金融緩和も含め、安倍氏への満額回答といえる」。東短リサーチの加藤出取締役チーフエコノミストはこう語る。
ちょうど1カ月前の記者会見で白川氏は、安倍氏が突きつけた一段の金融緩和要求に対し、一般論と断りながらも反論を展開。安倍氏が当初主張していた3%の物価目標も「現実的でない」と突き放していた。
だが、20日の会見では一転、「政府との十分な意思疎通を図りながら使命を果たしていく」などと、安倍政権への協調姿勢を打ち出した。白川氏の豹変(ひょうへん)には、衆院選での自民党圧勝の影響が相当効いているのは明白だ。
一方、市場では安倍氏の経済政策に期待する「安倍相場」が勢いを増し、為替相場は1ドル=80円台半ば近くまで円安が進み、日経平均株価も1万円台を回復。ここで追加緩和を見送れば「円安、株高の良い流れに水を差しかねない」(農林中金総合研究所の南武志主席研究員)状況だった。
日銀が今後、本格検討する物価目標の主な効果は、インフレ期待を高めることで消費や投資を上向かせ、デフレ脱却の道筋を描きやすくすることだ。
しかし、賃金が上がらずに物価上昇だけが進めば、個人消費を圧迫し、景気の足を引っ張る。物価目標の効果を使いこなすには、需要を掘り起こして「企業収益が改善し、賃金が増加するような成長戦略」(東短リサーチの加藤氏)が欠かせず、新政権の実行力が問われる。
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安倍総裁が経済成長加速を指示 25年度税制改正で自民税調が本格始動
自民党税調は今後、早急に基本的な考え方をまとめた上で、公明党との協議に着手。年明けの民主党との協議を経て、来年1月末にも25年度税制改正大綱をとりまとめ、3月末までの税制改正法の成立を目指す。
3党合意に基づく消費税増税の具体策としては、低所得者対策は自民、公明両党が食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」の適用を主張。民主党は減税と現金給付を組み合わせる「給付付き税額控除」の導入が基本的な立場だ。
所得税については、民主党が最高税率を現行の40%から45%に引き上げる方針だが、公明党は50%への引き上げを要求。相続税も基礎控除の引き下げで各党の見解に食い違いがある。
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金融経済月報(12月) [PDF 3,754KB]
12月日銀月報、景気判断「一段と弱含んでいる」へ下方修正
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【記者会見】白川総裁(12月20日) [PDF 239KB]
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Q 物価を上昇させ、デフレから抜け出すにはどうすればいいのか
A 物価が持続的に下落するデフレの主因は、日本経済の需要不足にあるといわれる。家計の消費意欲が冷え込み、企業も投資を手控えているため、モノをつくっても売れず、企業は値下げ競争を強いられている。デフレ脱却には、消費や投資を上向かせて需要不足を解消する必要がある。
Q 今後の焦点は
A 目標達成の期限と、未達の場合にだれがどう責任をとるかだ。期限は、海外の中銀の多くが「中期」など柔軟に設定。責任については、英国が目標から1%以上外れると、理由を説明する公開書簡を中銀総裁が財務相に提出する方式を採用している。こうした事例を参考に、政府・日銀は詳細を詰めることになる。
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金融市場関係者であれば、当然のごとくチェックしていることでも、金融にあまり関わりの無い人にとっては、金融に関する最新情報はテレビや新聞などのマスコミから伝わる物を鵜呑みにしがちかと思われる。
たしかに政権交代への期待感が、円安を背景として株高を演出した要因のひとつであることは確かである。しかし、そもそもこの円安そのものは日銀による追加緩和期待だけが背景で起きたものではない。たとえ政権交代はなくとも、円は売られやすい地合となっていたことも認識しておくべきかと思われる。
ここにきての円安の直接的な理由は、これまでの極端な円高の動きの修正が入ってきたためである。それにはリーマン・ショックが冷めやらぬ中で発生したギリシャを主体とした欧州の信用不安が、ECBとともに独仏を中心としたユーロ諸国の必死の努力により、少なくともユーロ崩壊といった最悪の状況に陥る可能性が後退したことが大きい。
そもそも何故、円高の動きが強まったのかを振り返ってほしい。これは日本のデフレ圧力が強まったとか、欧米に比べて金融緩和の度合いが低かったことが主因ではない。リーマン・ショックの際も日本への直接的な影響は限定的であったことや、ユーロの信用不安も加わって当初はドルから、その後はユーロからの逃避的な動き、つまりはリスク回避の動きが円高の主因であったはずである。従っていくら為替介入をしようが、根本的なリスク要因が排除されなければ、円高基調を止めることはできなかった。
そして今回の円安への反転も為替介入等によるものではないことは明らかである。それは根本的なリスク要因が排除されつつあることが最大の要因である。そして、世界的に東京株式市場の反発が出遅れていたのは、この円高が大きな要因となっていた。円高という足かせが外れてきたことで、株式市場も息を吹き返し日経平均は1万円の大台を回復したのである。
このあたりの背景説明をしっかりやっておかないと、まるでアベノミクスが円安株高を招いた救世主の如くイメージされかねない。日銀が仕事をしてこなかったから円高を招いたといった認識が強まり、日銀の独立性を失わせ、さらに財政ファイナンスを意識させるような動きを強めると、今度は日本が世界的なリスク要因になりかねない。
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すごい勢いで円が下がっている。ドルはここ1週間で2円、ユーロは図のように5円も上がった。これは「アベノミクス」のせいもあるが、ギリシャのユーロ離脱がなくなったという報道も大きいようだ。これまで円高の最大の原因になっていたリスクオフでユーロから円に逃避してきた資金が環流しているのかもしれない。
日米のインフレ率の差は資本収益率の差なのだ。したがって日本経済の潜在成長率(資本収益率)を高めない限り、デフレからは脱却できない。「日銀が輪転機をぐるぐる回せばインフレになる」などと思っている金融のプロは世界にはいない。
インフレが起こるのは、市場が「日銀は財政ファイナンスを始めた」と見て日本から資金を逃避するときだ。
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テレビなどでも報じられていますが、自民党は消費税増税には前向きだけれども、今後の経済推移によっては増税を見送るといってきました。
簡単に言うと、来期早々にGDPが上昇しない場合には増税しない、という方針です。
財務省も自民党増税派も、当然これを踏まえた上で増税を実現しようとしますから、短期で経済指標が上向きになるようなマクロ経済運営に努めるでしょう。
その場合、土木建設事業を中心とする公共事業を大量に発注し、今現在"遊んでいる"失業者を雇い入れ、使った税金がそのまま生産増になるような施策を打つものと思われます。
政府の支出によって力ずくで景気を上向きにしようという単純明快なデフレ脱却路線が、長期的に失敗する方向を向いて走っていくのは目に見えています。
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一時の景気回復策が、また問題の先送りになりそうな予感がある。
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経営者は自らリスクを取る気概を “政府頼み”は一時代前の発想
財政政策に関して言えば、公共事業に景気刺激効果があるのかが問題である。2009年2月に米オバマ政権は史上最大規模の財政刺激策を講じたが、4年間経っても効果は表れていない。同政策が議会で審議されていたとき、ロバート・シラー・エール大学教授は「アニマル・スピリッツが衰退しつつあることを考慮すれば景気刺激策は失敗に終わるだろう」(ウォールストリート・ジャーナル紙)と予言していた。
結果は同教授の予想通りとなった。オバマ政権の誕生でケインズ経済学の復活が主張されたが、期待されたような成果を上げることができず、「ケインズ経済学は2度死んだ」といわれている。
企業が成長するには、経営者がリスクを取って投資をすることが必要だ。成長は生産性向上を通して実現される。だが、今はしばしば、もっと安易な道が選ばれる。労働コストの削減と工場の海外移転である。そこには生産性向上はない。労働コスト削減にはおのずと限度があり、それはめぐりめぐって消費の落ち込みとして企業に跳ね返ってくるだろう。工場の海外移転は生産だけでなく、消費でも国内市場の空洞化を招くことになる。
戦後の経営史を見ていると、経営者の質が時代とともに劣化しているように思える局面が少なくないのは、残念だ。
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マリナーズは優勝争いから早々に脱落することが多く、イチローは、シーズン200本安打など個人記録と向き合うことで集中力を維持し、自分自身を奮い立たせてきた。ヤンキース移籍後、「すごく孤独になる時間、そう感じる時間が多かった」と打ち明けたこともあった。
勝つことを宿命づけられているヤンキースでは、勝利のために何をすればいいのかということだけを考えてプレーし、純粋に勝利の喜びをナインと分かち合うことができた。「アメリカに来て理想としていたものがここにある。ここでしか味わえないものは確実に存在する」。悲願のワールドシリーズ制覇を目指すチームは、イチローの中ではヤンキースしかなかった。
イチローは今季途中に、シアトル・マリナーズからヤンキースに移籍したが、ヤンキースに移ってから、すっかり聞かなくなったものがある。チーム内でのバッシングだ。
イチローは2001年から今季途中までマリナーズでプレーしていたが、チームメイトがイチローを批判する記事が幾度と無く、新聞報道を賑わせていた。
強いチームは、どんなに個性豊かな選手が揃っていても、みな同じ方向を見ているのだ。
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