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『二十一世紀日本の国家戦略』
P192

 やはり子供のときから、人間と自然との関係もきちんと教えなければならないのです。あるいは家庭のなかにおける人間関係、あるいは社会人としての人間関係、あるいは世界人としての人間関係とか、そういう基本的な型、ルールを教える必要があるのです。
 私は平常、小学校は子供に人間として生きる基本の型を教え、中学から高校にかけては社会や国家や世界や大自然と個人の関係、その中に生きる人間の本質についての自覚をつくらせ、そこに志、モチベーションが生まれる。大学では、自己の使命感を体得することを目標に教育を行うべきであるといっています。

P193

 また、ゆとりの教育といって、小中学校において、授業日数を減らして子供にゆとりを与える。それで成功するかどうかというと、私は必ずしも成功するとは思いません。かえって、何かに夢中になっているときのほうが、子供にとって心のゆとりは生まれるのかもしれません。私としては、心のゆとりとは、修学時間を減らして余裕の時間をのばすことから生まれるのではなく、むしろ親と子供、先生と子供とのあいだの信頼や安心感から生まれるものであると思います。修学時間を減らすことが子供にゆとりを与えていると考えること自体が間違いであるのです。