宮田秀明の「経営の設計学」先手必勝のセオリーを軽視して日豪競争に敗北
低い技術力という劣勢を跳ね返したのはオーストラリア人の企業家魂だった。
私たちは少し高をくくっていた。彼らの低い技術力ではいずれ行き詰まる時が来るだろうと思ったのだ。
いくら企業家魂が高くても、技術力が低ければ、技術開発競争に勝てるわけがないと思ったのだ。
そうしてH氏の企業はどんどん大型化へ突き進んでいった。2年後1999年にシアトルで開かれた第5回の国際会議で分かったのは、この企業が設計の中の一番難しい部分を北欧のコンサルティング企業へアウトソーシングしていることだった。自分たちの技術の弱点を補う方法はいろいろあるのだ。
今でも、私たちが開発した双胴船の方が、オーストラリアのH氏たちの開発した双胴船より優れていると思っている。彼らの設計が徐々に私たちの設計に似てきたことからも、それが分かる。しかし、ビジネスでは完敗だった。
ビジネスは先手必勝である。絶好のタイミングで先にマーケットをリードした方が優位に立つ傾向にある。何よりも実績がものをいう世界も多い。先にリスクを取ることが、新分野のマーケットで戦う時の戦略と言ってもいいだろう。
月曜日の朝のNHKニュース見ました。