政治家がテレビに出てくることは多いが、ヘタな番組よりもはるかに面白いのが民主党・小沢幹事長の会見だ。なにしろ、質問した大新聞の記者たちがケチョンケチョンにやられてしまうのだ。
一連のやりとりを見れば、小沢が大マスコミの報道に相当、イラついているのが分かる。記者は記者で、つれない返事に恨みをためるのか、ますます、小沢に厳しく当たる。こうしたことが一連の小沢批判記事の背景にある。だから、異様な報道が目立つのである。
別にニュースでもないのに、小沢については問題視し、針小棒大に政局記事を仕立てるのである。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏もこう言う。
「民主党政権は内閣は鳩山首相、党は小沢幹事長と役割分担をしています。そのうえで、政府与党一体化を掲げているのですから、何が問題なのでしょうか。小沢氏が選挙の洗礼も受けないフィクサーであれば、二重権力は問題ですが、選挙を勝ち抜いた国会議員で、公党の幹事長として毎週記者会見もする。これを闇支配というのであれば、自民党政権下の森元首相はなんだったのか。役職もないのに節目節目で官邸に行き、人事にまで口出ししてきたのに、メディアは問題にしなかった。小沢氏だけを問題にするのは、政局の分析記事でも何でもなくて、単に好き嫌いで書いているとしか思えません」
小沢が嫌いなメディアはちっとも書かないが、小沢の政治家としての実力は最近ますます、磨きがかかっているように見える。
「驚いたのが、次の参院選で2人区に平然と2人を立てる方針であることです。1人は連合の組織候補、もう1人は風を受けられる大衆受けの候補者。両者が競い合い、2人とも当選させるのが狙いですが、こんなことは自民党は考えもしないでしょう。共倒れを恐れる候補者は納得しないし、それを抑え込むほどの実力者もいない。しかし、小沢氏は平気でそれをやるわけです。小沢氏は自民党を完全消滅させる狙いで、すでに来年の統一地方選も視野に入れている。衆参の選挙に続いて、地方選挙でも惨敗すれば、自民党は壊滅です。小沢氏のすごいところは、徹底してやること。絶対に妥協せずにやりぬくこと。他の政治家とは大人と子供ほどの差があります」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)
裏を返せば、小沢がいなくなれば、民主党はフツーの政党に戻ってしまう。だからこそ、検察もメディアも小沢叩きに血道を上げるのだが、それは国民のためにはならない。権力の完全掌握を狙う小沢は、数の力をバックに国会、選挙制度改革を断行し、真の政治主導=国民主導を根付かせようとしている。2大政党制になっても官僚支配がそのままでは、どんな政権になっても官僚の手のひらの上で踊らされるだけだからだ。