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【紳助さん引退】テレビ局の責任は大きい 麻生千晶さん

 そもそもテレビ局は免許事業で、ジャーナリズムの一翼も担う社会の木鐸(ぼくたく)の一つ。番組、出演者とも品位と責任が求められる。中でも司会者は社会人代表であるべきなのに、島田紳助の場合は“突っ込み”と称する「いじり」と「いじめ」を繰り返していた。


 しかし現在のテレビ界は、彼のような下品な発言で人間の卑しい欲望に応える存在に「視聴率が取れるから」と大金を積んできた。しかも“大司会者”として、番組プロデューサーのように出演者やスタッフの選定までしていたと聞く。


 芸能界の大権力者になってしまい、番組で人の顔の造作や体型についてまであれこれ言うなど、全く見苦しかった。しかしテレビ局はたしなめるどころか、ひれ伏してきた。


 そんな彼の手法を真似(まね)する子供も増えたと聞く。それだけ影響力があった訳で今回、いかがわしい人間の黒い交際が分かったのだから、(反面教師として)教育材料にしたらいいのではないか。


 テレビ局は、暴力団がらみの不祥事が起きると偉そうに糾弾するが、そんな彼を雇ってきた局側の責任は大きい。彼が女性マネジャーへの傷害事件を起こした後も、各局対応は甘かった。なぜ彼のような人間を使い続けてきたのか、テレビ局に問いたい。


 背景には、テレビ局に対する吉本興業の巨大な力がある。彼はその頂点の地位にあった。番組に若手芸人をタダみたいなギャラで出す一方、彼には高い出演料を払わせ、収支を合わせる。


 だからどの番組を見ても関西弁があふれ、彼が司会をする同じような番組ばかりになった。まるで「金太郎飴(あめ)」のようだ。


 レギュラー番組では「開運!なんでも鑑定団」がまっとうだったが、あれも石坂浩二という“緩衝地帯”があったから、視聴者も安心して見られたと思う。


 今回の引退も、詰め腹を切らされたというより、もう十分稼いで面倒くさくなったのだろう。これで多少、テレビ界の風通しがよくなるのではないか。テレビ局はまっとうに芸で勝負する人間を使うべきだ。

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