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産経新聞政治部官邸キャップ 阿比留記者の「菅首相との445日間」 歪んだ政治手法と嘘の数々 「不毛な空騒ぎ」の日々

 首相だけではない。枝野幸男官房長官は記者会見での冷静な姿勢を評価されたが、実際には厄災を振りまいた。


 文部科学省などが運営する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の観測結果を非公開とするよう指示したのも枝野氏だった。


 「SPEEDI情報はどこかで一元化して勝手に出さないように…」

 首相や仙谷由人官房長官(当時)は、釈放について「地検独自の判断だ」と繰り返したが、これは国民を欺く真っ赤な嘘だった。


 「すべての元凶は首相だ。首相がベタ降りし、釈放の指示を出した」


 複数の政府高官がこう証言する。そして首相指示に従い、船長の処分保留決定などを決めたのが仙谷氏だった。2人は日本の正当性を明らかにする漁船衝突映像も隠蔽し、国民の知る権利もないがしろにした。

 以後、国会は内閣の卑怯(ひきょう)で姑息(こそく)な対応の追及に明け暮れる。菅政権による政治空白はすでにこのとき始まっていたのである。

 菅直人首相は昨年6月8日の就任記者会見で自らの政治スタイルの本質を図らずも漏らした。自らの内閣を幕末の志士、高杉晋作にちなんで「奇兵隊内閣」と命名し、高杉を尊敬する理由をこう説明したのだ。


 「高杉は逃げるときも速いし、攻めるときも速い」


 「逃げる」ことを先に言及したことに耳を疑ったが、これこそ本音だった。首相はかつてあるインタビューでこう述べている。


 高杉晋作を一番好きな理由は逃げ足が速いことなんだ。やばいと思ったらさっと逃げて…」

 鳩山由紀夫前首相は今年7月の産経新聞のインタビューにこう明かした。


 「菅さんは、私が首相のときに副総理として何度も『厳しい局面に立たされたら別の大きなテーマを示せば、そちらに国民の目が向いて局面を打開できるんだ』と進言してきた」

 実績・成果に乏しい菅政権を振り返り、あえて功罪の「功」を求めるとしたら何があるか。それは「政(まつりごと)を為(な)すは人に在り」(中庸)という普段は当たり前すぎて意識しない言葉の重みに、国民が改めて気づくきっかけを与えてくれたことではないか。

 「天下の大患は其(そ)の大患たる所以(ゆえん)を知らざるに在(あ)り」


 高杉晋作の師である吉田松陰はこう述べた。