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【次代への名言】温故知新編(1)

 「平泉」の背景となる浄土思想(教)はインドで生まれ、中国を経て日本にもたらされたのだが、中国思想研究の第一人者だった森三樹三郎は「特に浄土教の場合は、その徹底と完成とが、中国よりもわが日本で実現された」とする。また森によれば浄土教は中国古代の『荘子(そうじ)』の教えに相通じている。三段論法のようで恐縮だが、日本の浄土思想は老荘思想の集大成という一面をもつことになる。

 「公平に孔子を評価し、素直に論語を理解するには日本人がいちばん適している」。以前、小欄では東洋史学の大家、宮崎市定(いちさだ)のそんなことばを紹介したことがある。が、孔子だけではない。浄土思想にみられるように、日本人は洋の東西を問わず、さまざまな思想や哲学を自分のものとして発展させ、完成してきた。

経世済民の真髄

 これを山鹿素行(1622〜1685)は「天縦(てんしょう)の神聖」と言うておる。

天のほしいままにさせるところの神聖、非常に優れた働きであり能力である。