攻撃主体は不明で、アサド政権と反体制派は互いに「相手が使用した」と非難している。
イスラエルメディアによると、イスラエル軍高官も「アサド政権が3月27日にダマスカス東部などで化学兵器を使用したのを確認した」と述べた。
一方、国営シリア・アラブ通信によると、アサド政権はハラスタの事件の2日前、国連安全保障理事会宛てに「テロリストがダマスカス郊外で毒ガス攻撃を準備している」との書簡を提出していた。
化学兵器の使用が疑われる地域はいずれも、政権側に包囲されている。
4年目に入ったシリアのアサド政権と反体制派の武力衝突は、政権側優位に推移している。政権側は昨年以降、首都ダマスカスや中部ホムスの周辺で反体制派拠点を次々と制圧。北部アレッポなどの反体制派拠点には激しい空爆を続けている。アサド大統領は「主要な戦闘はあと1年で終わる」と勝利に自信を見せている。
反体制派はトルコ国境に近い北部、イラク国境に近い東部の広範囲を実効支配する。アフガニスタンやイラクでの戦闘経験を背景にイスラム過激派が影響力を拡大しており、世俗派などとの内紛もあり、政権側との戦闘では劣勢だ。
シリアの反体制派が首都ダマスカスで3月に2回の化学兵器攻撃があったと言明したことに関し、米国務省のサキ報道官は11日の定例記者会見で、「報道は承知しているが、(反体制派の)主張を支える情報を我々は持っていない」と述べた。
サキ報道官は「化学兵器使用情報は深刻に受け止めており、だからこそ国連などとシリア化学兵器の処理で協力している」と説明。今回の攻撃情報に関して支えとなる情報がないと繰り返した。