イギリスに拠点を置く反政府勢力系の団体「シリア人権監視団」によりますと、アメリカ軍などは、23日未明から午前にかけて、イスラム国の拠点があるシリア北部のラッカやアレッポ、東部のデリゾールなど各地で空爆を行い、イスラム国の戦闘員少なくとも70人が死亡したということです。
空爆ではアルカイダ系の別の過激派組織の戦闘員およそ50人も死亡したとしています。
また、デリゾール県にいる反政府勢力の活動家がNHKに明らかにしたところによりますと、アメリカ軍などは、23日、デリゾール県のイラクとの国境の近くで、20回にわたってイスラム国が拠点としていた学校の校舎や戦闘員の訓練キャンプなどを空爆したということです。
この活動家は、「イスラム国の戦闘員たちは空爆を逃れうようと拠点から撤収して住宅が密集している地域に移動した」と話していて、市民7人も空爆に巻き込まれて死亡したとしています。
また、地元の住民の間には、イスラム国の拠点となっている場所から離れ、街の外に避難しようとする動きも出ているということです。
アメリカ軍などが、シリア国内でも空爆を開始したことについて、シリアのアサド政権と堅密な関係にあるイランのロウハニ大統領は23日、「政府の要請や国際法に基づかない空爆は、何か国が参加しようとも無意味だ」と述べ、国連安保理の決議などを経ずに空爆に踏み切ったことを厳しく非難しました。
そのうえで、ロウハニ大統領は、「アサド政権の協力なしにシリアを安定させることはできない」と述べ、アメリカが「イスラム国」に対抗するためとして、アサド政権に対抗する穏健派の反政府勢力に軍事訓練などを行う方針を示していることを強くけん制しました。