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入試改革 主な大学の約6割が「歓迎」 NHKニュース

中教審の答申では、知識を覚えることに偏りがちな現在の入試から、知識の活用や思考力を評価する試験に転換させる必要があるとして、▽大学入試センター試験を廃止し、複数回受験できる新たなテストを導入することや、▽各大学の個別入試は小論文や面接などで生徒の能力を総合的に評価し、多様な学生を確保するよう求めています。
この答申を受けて、NHKは学部生が1万人以上の大学51校を対象にアンケートを行い、45校から回答を得ました。
答申が示した入試改革をどう受け止めているか尋ねたところ、「大いに歓迎する」と答えた大学が6校、「どちらかといえば歓迎する」が23校で、合わせて64%を占めました。
一方で、「どちらかと言えば歓迎しない」は13校、「全く歓迎しない」という大学も2校あり、「適切な評価を行うことのできる体制やマンパワーが必要だが、現状のままでは限界がある」という意見が寄せられました。
課題を指摘する声は、改革を「歓迎する」と答えた大学からも相次ぎました。
中でも、小論文や面接などで生徒を総合的に評価することについては、「どちらかと言えば難しい」、または「難しい」と答えた大学が合わせて19校と42%を占め、「物理的な負担が大きすぎる」、「評価の公平性をどう担保するのか」といった記述が多く見られました。
文部科学省は、平成32年度から大学入試センター試験に代わる新たなテストの実施を目指していますが、大学側は入試改革の方向性は理解しているものの、十分な内容の検討と体制の整備が必要だと考えていることが分かりました。

毎年、およそ10万人が受験する早稲田大学は今回の入試改革について、「大学が独自に進めてきた入試改革を後押しする内容で、大いに歓迎する」と答えました。
多様な学生を確保するため、学力以外の能力を評価する選抜試験をすでに実施しているということで、今年度からは50人体制の「海外リクルートチーム」を作り、世界各地から優秀な学生を集めようとしています。
海外の高校に出向いて大学の魅力をPRするほか、発展途上国の若者にも来てもらおうと学費以外に月11万円の生活費を支給することを前提とした入試を行っています。
将来的には留学生を今の2倍の1万人まで増やし、学生全体の2割に引き上げることを目指しています。
早稲田大学の沖清豪入試開発オフィス長は「社会が求める人物像が大きく変わってきている。留学生の多様な文化、価値観を早稲田の中に入れてもらって、日本人の学生にポジティブな影響を与えて欲しい」と話しています。

「どちらかといえば歓迎する」と答えた日本大学は、いわゆる「1発勝負」の入試を改めようと、全国に25校ある付属高校からの推薦入試を見直す方針です。
これまでは高校3年生の秋に統一テストを行って、その成績を合否判定に利用していましたが、平成28年度からは2年生と3年生で合わせて3回テストを行い、学力を正確に把握することにしています。
医学部を目指している付属高校の2年生の男子生徒は、「1回のテストだと実力を発揮できなかった生徒もいると思うが、複数回であれば日々の成果が出るのでいいと思う」と話していました。
ただ、日本大学の一般入試の受験者はおよそ9万人。
「1発勝負」の受験を改めて生徒の能力を総合的に評価しようという入試改革の方向性には賛同していますが、日程も人員も限られるなか、対応できる体制を作れるのか課題は少なくないと考えています。
日本大学入学課の中村好延課長は「すべての受験生に面接や実技試験を課すのは現実的ではないと思う」と話しています。

一方、京都大学は、今回の入試改革を「全く歓迎しない」と答えました。
京都大学では平成28年度の入試から「京都大学特色入試」と呼んで初めてAO入試と推薦入試を導入することにしています。
募集定員は全体の4%に当たるおよそ110人。
大学に入って何を学び卒業後にどう生かすかを書いた「学びの設計書」の提出を求めるほか、知識だけでなくプレゼンテーション能力などを見る問題を課すことにしています。
このため、「学力だけでなく能力や意欲を総合的に評価しようという入試改革の必要性は十分理解している」としています。
しかし、高校までは基礎学力をつける時期のため、総合力を測る対象は絞る必要があり、複数回受験することによる高校のカリキュラムへの影響の大きさも十分、考慮されていないと指摘しています。
京都大学の北野正雄副学長は「入試は各大学が責任を持って行うもので、試行錯誤しながら改善してきたが、答申はそれを全否定するような形となっていて、議論が尽くされないまま結論を急いだ印象がある。思い切った改革こそ慎重に準備を重ねて実施するべきで、大学や高校の現場の意見を聞いて検討してもらいたい」と話しています。