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焦点:企業の資金調達に新型種類株、中長期の株主ターゲットに | Reuters

これまで企業にとって主な調達手段は、社債普通株の発行、借り入れだったが、新たに有力な選択肢が1つ増える可能性が出てきた。


新たな調達ツールは「譲渡制限付き非上場種類株式」と呼ばれ、トヨタはこの種類株を発行できるようにするため、6月の定時株主総会で定款を変更する予定。株主の承認が得られれば、「第1回AA型種類株式」を発行できるようになる。

この種類株の発行は、シリーズ化される見通し。発行株数の合計は、発行済み株式総数の5%未満(1億5000万株)に抑える。トヨタ種類株と同数の普通株を自己株取得で買い取り、希薄化を回避する。

この種類株には、いくつかの特徴がある。まず、上場はしないが、普通株と同様に議決権がある。ただ、譲渡制限があり、種類株を保有する株主は売却することはできない。


その間、1年目に0.5%、2年目からはそれに0.5%ずつ上乗せされた配当がつく予定。5年目以降は2.5%。


商品性としてはクーポンの付いたCB(転換社債型新株予約権付社債)のようだが、市場で流通しないため、発行後5年間の流動性は低い。配当も当面は普通株式より低い。トヨタ配当利回りは平均約2%。


トヨタは、中長期の株主を増やす狙いから今回の調達ツールの起用を決めた。トヨタの個人株主は約57万人で、全体に占める割合は約20%。もともと個人株主を増やしたいトヨタは、3月には週末に個人投資家をターゲットとするイベントを開催するなど、「ファンづくり」を強化していた。


種類株主にとっては、3つの選択肢がある。1)普通株式への転換、2)種類株式のまま保有、3)発行価額での取得請求だ。


普通株に転換する場合は、5年後以降にその権利を行使することができ、行使すると、発行価額で普通株に転換できる。発行価額は、条件決定日のトヨタ普通株終値より20%以上高い水準で設定される。


種類株を持ち続けたい場合は、そのまま保有できる。ただ、5年間は普通株への転換はできないため、キャピタルゲインや換金の時期は限られる。また、当面は普通株配当利回りより低い配当率になる。


一方、トヨタは発行価格で全株を取得することができる。安全で先進的な技術の開発には、長い期間にわたる研究開発や資金が必要になるため、トヨタはおカネの出し手としても、中長期投資家を生かすのが賢明と判断した。


しかし、種類株主から株の買い取り請求があった際に、企業はそれに応じられるだけの財務基盤を有している必要がある。このためどんな上場企業でも採用できるツールにはなりそうもない。他方、トヨタの試みが成功すれば、優良企業の間で新たな株主づくりと資金調達ツールになる可能性はありそうだ。